2008年

 7月23日

 
 深田家で今年最初の相模湾のカツオ・キメジ狙いに挑戦したが、今回はナブラの浮きが悪く、ワンチャンスに掛けたカツオを水面でバラシてしまった! 飲まれないよう、ネムリのハリを使ったのが裏目に出たようだ。

 両隣の人はキメジを獲っていただけに、よけい残念。

 滅多にない不発だが、今年は魚影が濃いうえに、キメジの10〜20キロ級も回遊しているから、次回は必ずでかいのを釣るぞ!

 上乗りさんの釣ったカツオ、今回は釣り客のお土産になりました。




 
 8月2日


 本日、釣りクラブの例会で長井の青木丸に乗船し、カツオとキメジを狙った。

 キハダが多いため群れの移動が早く、ルアーではバイト1発で終わったが、フカセでポツポツと拾って行く釣りとなった。 ただ、スレているのか12号までハリスを落とす必要があった。
 また、キハダは船を遠巻きにしてボイルしていたため、いてもなかなか食わせられないというジレンマに見舞われた。

 しかし、この日のために新調したソルティガ&コーラルスターは最高にリフティングがしやすく、大型ルアーのキャスティングも容易だ。 キメジ相手でも魚が20mも走れば止めてしまい、カツオは余裕で取り込むことができた。

 これまで使っていたソルティガ・ドラド70Sとセルテート3500HDカスタムは、かなりライトなタックルだったようだ……。

 この日は結局、4キロ級のキハダ2本と2.5キロ級の本ガツオ1本に終わったが、朝一はネムリバリでカツオを2本バラしたため、今後はネムリバリを一切使わない方が良さそうだ。

 他にも女性アングラーがやり取りの末、7キロ級キメジを獲ったり、掛けたカツオやキハダがシュモクザメに食われる、いわゆるシャークアタックを目撃したりと、釣果は控えめなものの、非常にエキサイティングな一日であった。



 8月4日


  キャタリナを購入した友人と共に、佐島の深田家にキメジ狙いで出漁した。

 当日は早朝なのに船宿にお客さんがいっぱいいて驚いたが、仕立てのご一行様で、乗合は人数もほどよい所だった。 しかし、餌が買えるかどうか分からないというので、しばらく待機したが、無事に出船を果たす。

 海に出ると波が高く、大ドモでも波しぶきをかぶるくらいだったが、船団の出ている海域に向かうに従って、次第に海は収まってきた。

 餌は大降りのカタクチとマイワシの混成で、キメジ狙いのフカセには最高だが、弱いウルメイワシも混じっていて、生け簀の中で死んでしまう。ただ、量が少ないのが気がかりだ。

 船団に突っ込むと、僚船では上がっているのが見える中、散水と撒き餌を開始すると、即座に水柱が上がりだした。

 ソルティガ&コーラルスターでフカセを開始すると、即座にヒットした魚は、1発目は不覚にもバラしたが、次の当たりは無事に船長に取り込んでもらった。3キロ級の本ガツオだ。

 ただし、今回はカツオが多く、散水機に入ってきたため、一本釣りが圧倒的に有利だったが、その後も何発か掛けたものの、サメに食われたり、船底に無理矢理擦れてレインブレークなど、普段は信じられないようなバラシを経験してしまった……。

 友人もカツオ1本で終了したが、共に上乗りさんからお土産に2本ほどもらったので満足。

 帰港後、船長に聞いてみると、大型のキハダが現れるのは日によるとのことなので、釣りたければまめに通うのが一番だが、アベレージの5キロ前後が、10キロ級になるまで待つか?





 9月9日


 相模湾で釣れ盛っている大型キハダを狙い、マグロ専門という深田家で出撃した。 ここでは付け餌にはでかいマイワシが揃っているので、太いハリスでも安心して使えるのが強みだ。

 1時間半ほど走り、ナブラにぶつかって開始すると、何と最初の一投で食った!

 最初はあまり大きくないか? と思っていたら、一気に100mほどラインを持って行く。ドラグテンション5sでも全然止まらない!
 ファイティングボトムを付けたワンピースロッドと、レバードラグのトローリングリールでも相当に手こずる相手だ。
 間もなく、隣の釣り人もヒットした!

 私はスタンディングで戦ってみるが、面白い反面、実にくたびれる!
 
 隣の人は竿をキーパーに固定したままウインチファイトしたが、上がってくる途中でサメにやられ、半分ほどにされてしまっていた。  私の竿にも、ガンガンと衝撃が加わり、引きがおかしくなってきたが、それでも最後は船長に船で追いかけてもらい、ドラグをさらに締めて魚を浮かせると、相手は2m半、100kg以内のサメだった!

 最初の当たりはキハダに違いないが、やり取りの途中でキハダがサメに食われ、そのままサメが掛かってしまっただろう。
 サメの姿を確認するなり、ハリスを切ってもらった。
 この後はマグロの浮きが悪く、小ガツオが上乗りさんの一本釣りに来たり、小さなシイラが少々上がったくらで終わった。

 ただ、怪しいと思うところにはルアーを投げたり、ジギングしてみたりと、試せることは全て試したので悔いはない。

 ドラグ5sでもあれだけ疲れるのだから、スタンディング泳がせで50sのカンパチなどを釣っている人は相当に筋力があるのだろうと実感させられた。

 今回は正に天国から地獄への転落だったが、サメに食われるのはいわば不可抗力(フカ抗力?!)だから仕方あるまい。

 なお、船内の移動に協力してくれたり、お茶を持ってきてくれるなど、様々な形で協力してくれた、同船の皆さんには本当に感謝しています。

 次回は必ず獲ってやるぞ!
 (ちなみに、このキハダは半分にされた状態で15sありました)



 9月19日


 深田家にキハダのリベンジを果たすべく、10日ぶりに釣行した。 お客さんも少なめだったので、大名釣りになると考えつつ出船!

 アリゲーターの竿&リールを持ってきた人や、ステラを持ってきた人、手釣りで大型を狙うと語る釣り人などいろいろだが、今年の相模湾はそんな途方もない妄想に応えてくれる、とんでもない海だ(笑)。
 
 ポイントに到達すると、あちこちにナブラが出ていたが、カツオも混じっているようだ。

 まずは上乗りさんが食わせたが、私もリーディングXゴウマン&ペンインターナショナル16Sのスタンディングタックルにヒット!
 しかし、引きがカツオっぽい。 そう思うまもなく、サメに食われた! しかし、ドラグを締めて強引に寄せると、ほんの数分で1メーター半ほどのサメが浮上した。

 こやつはハリスをハサミで切る前に、歯で切って行ったが、サメをあそこまで早く寄せられたということに驚きを隠せない。
 
 今回の餌は、右舷から流すと船底の方へ潜ってしまうので、左舷の散水脇で、ソルティガ&コーラルスターのスピニングタックルで流すことにした。

 するとラインが一気に加速し、ベールを戻すとガツンと持って行った! ソルティガのドラグが作動し、ラインがどんどん持って行かれるが、ここでドラグを無理に止めたらサヨウナラだ。止まるまで待つしかない。

 100m、150m走っても止まらず、200mを超えてようやく勢いは衰えはじめ、250m出されてようやく止まった。
 前回の経験を活かし、魚が止まった瞬間に一気にポンピングを繰り返す。

 絶対に獲れると実感し、次第に距離を詰めていったが、やり取りの間には船内を1周りし、普段はカツオ漁をやる上乗りさんが座る舳先で戦ったが、50mを切り、40m前後のところで旋回を繰り返し、なかなか浮いてこない。船でも追ってもらい、ドラグをほんの少し締めて応戦するが、ロッドを思い切り立ててもポンピングできるかどうかだ。

 間違いなく30s、下手すりゃ40kgあるかもしれないが、やり取りの途中でイワシが水面に追い上げられ、またもやナブラが発生!

 魚も興奮したのか再び疾走するが、上乗りさんも新たにヒット、しかし切られた。

 この頃は鳥が何度もメインのPE4号にぶつかってくるから危なくて仕方ない。鋭い嘴が当たったら一発で切れそうだ。

 それでも何とか踏ん張り続けたが、あと20mのところで手応えが消えた!

 FGノットが抜けたのか? と思いきや、リーダー16号と20号のフィッシャーマンズノットが切れていた。 最初からメインに20号を結んでいれば……。

 やり取りは1時間近くに及んでいたため、実に残念だが、ある種の清々しい所感も確かにある。 これはもはや格闘技だ。大物釣りファンの心境がよく分かる。

 今回はナブラが多く、台風前の荒食いそのものだが、カツオも上乗りさんの一本釣りでは次々に上がってくる。
 しかし、今回はカタクチイワシがいないので、餌掛け一本釣りはできない。それでも何度かカツオにマイワシを取られた。

 その直後、再びキハダが食った!
 
 一度に遠っ走りをするので、サメではないことが分かるが、100mほど出されたところで16号が切られた! 歯に当たっていたのだろうか?

 今後は20号以下はいらないなと思いつつ、船上では他の釣り人もヒットの嵐が続くが、切られたりサメの連続だ。 それでも上乗りさんは10s弱のキメジを上げた。

 手釣りの人は3m半はあるサメを掛けてしまうほど、今回はサメが多いが、それもやり取りの練習だ。マグロに比べればサメなど容易である。    その後、しばらくナブラが見えなくなったので移動するが、最後のナブラでヒットしたのはサメだった!

 朝方と同様、メーター半ほどあったが、今度はスピニングタックルでも5分以内に寄せ、上乗りさんにリーダーを切ってもらったが、これで本日の釣りは終わった。

 2回ともキハダを獲れなかったのは残念だが、これでもやり方は完全に分かった。

 お土産にカツオをもらって帰宅したが、次は獲れる。









 10月16日


 最近、キハダが再び食い盛っていると聞き、深田家は乗合船を終了したので、茅ヶ崎の一俊丸へ向かった。

 お客は私を含めて3人だが、一人はフライ専門、もう一人は一本釣りとフカセキハダの両狙い、かくなる私はキハダ用に2タックル、カツオ用ルアータックル、フライ、一本釣りの用意と無茶すぎ(爆)

 仕込んだ餌は4pほどと小さかったが、私のフライとサイズはぴったりだ。マイワシもあらかじめ用意済みである。

 で、最初のナブラでは(ペンペンシイラとカツオが混成していた)小さい餌を付けるのに手間取ったが、一本釣りで5本キャッチした後、意を決してフライで散水の下を叩くと来た!
 



 頭を向けて一気に浮かせた後、案の定潜られた。
 去年はこの後であえなくブレイクしたが、(JGFAの記録を考え、8lbのクラスティペットを使用していた)今度は1.3キロほどのカツオを無事にランディングすることができた。

 ついにフライでカツオを釣ったぞ!

 カツオ歴10年目にして、ようやくフライで仕留めることができたのには感動だが、フライ専門の人も入れ食いを演じ、良型を仕留めている。
 
 その後はマイワシでキハダ狙いを試みるも、シイラに邪魔をされて釣りにならないため移動した。

 船長や上乗りさんは、このナブラでかなりの量を水揚げしたが、我々はまだまだクーラーに余裕があった。
 しかし、次のナブラがさらに凄かった!

 昼過ぎまでクルージングを強いられたが、城ヶ島近くで船団といい群れに当たり、先ほどを上回るレベルの爆釣が始まった。
 一本釣りであっという間に15本追加し、再びフライを振ると、強引にやり過ぎて8lbがブレイクしたが、ここで私もプッツン来た!

 何とフライラインに20号を直結し、そこにフライを結んで水面を叩くと即ヒット! さすがに10番のロッドでは抜きづらいので、20号まで手繰っての抜き上げだが、これがまた食いまくる。

  フライの感動が薄れそうなほどだが、掛けたら頭を向けたまま手繰るのが難しい、しばしば突っ込まれロッドが大曲がり(笑)

 フッキングミスや、バラシが半数以上あったが、5、6本はフライでキャッチし、次はルアーで遊んでみる。  
 
 散水の下でガバガバやるのみならず、反対の右舷でも青い背を見せてビュンビュン走り回る魚影にジグを投じたが、ジギングアクションは食わず、ならばとミノーを投げるとヒット!

 1発目は水面でバラしたが、次のヒットで良型を獲った。
 キハダ狙いでもマイワシにでかいカツオが食う始末。

 かくして、去年の長三郎でのメジ狙いのような狂騒が再現され、船はカツオで満タンになり、キハダのことなどどこ吹く風とばかりに帰港した。

 いやはや、このカツオのナブラは凄い!









 10月23日


 カツオの好調は喜びつつも、20年ぶりに相模湾に入ってきた大型キハダを何としても仕留めるべく、葉山の長三郎丸へ向かった。昨日から本メジも釣れ始めたというので楽しみだ。

 雨を通り過ぎて葉山に着くと、平日なのに多くのお客さんが来ていたが、最近は「魚はいるが、掛けてからサメに食われる」と女将さんが言っていたので、ナイロン12号を巻いたスタンディングタックルを主力で使うことを考えた。
 で、港の生簀でマイワシを仕込んで出船したが、大艫を見ると、何と見覚えのあるSAGEのフライロッドが! 
 これはもしかして……と思ったが、果たして先週、一俊丸でお会いしたフライ専門のお兄さんだった!
 思わぬ再会に驚き、釣り談義に花が咲いたが、まもなくカツオが着いたイワシ玉に遭遇した。
 上乗りさんが大ダモで挟み撃ちにして、目刺し位もあるシコイワシを結構すくったが、その直後、カツオの群れが船に着いた!

 バシュッ、ガポッとあちこちで水飛沫が上がり、青い背のカツオが水中を縦横無尽に走り回る。上乗りさんは一本釣りで次々に抜き上げた。
 しかし、この下にキハダがいる可能性があるので、一本釣りには走らず、ソルティガ&コーラルスターのスピニングタックルでマイワシを付けるが、当たりはない。
「シコ付けて流すと食うぞ!」
 ならば、とばかりに、大振りのシコイワシに変更して流すと、即座にギュワンと引ったくられた。
 しかし、今回はキハダ対策でPE4号を巻き、ドラグを4kg近くに節制してあるので、カツオを一気に寄せて、あっという間にタモ入れした。

 この一本で最初のナブラは終わったが、ここの船長はナブラを見る目が素晴らしい。
 食い気のなさそうなナブラには餌を無駄遣いしないし、大量に餌を積んでいながらも、上手く撒くように上乗りさんに指示しているため、行きつけの深田家のようにあっと言う間に餌がなくなる心配はない。

 最初は私もルアーを投げていたが、危険な感じが一度あったので、きっぱり諦めた。
 キハダもかなりスレてきたはずだから、ルアーではなかなか食わないだろう。

 で、次の当たりはスタンディングタックルで来た!
 マイワシを引ったくられ、物凄いスピードでラインを引き出された。私はキハダに違いないと巻き始めたが、思ったよりあっさり寄ってくる。ナイロンの効き目か?
 いや、ダイバンガツオ(大型のカツオ)だった! 上乗りさんにタモ入れしてもらったが、久しぶりの大型カツオで、5キロ近いか? と思ったが、実際には3.7キロ。
 小さいカツオを見慣れていた弊害だろうか?
 
 今回はキハダの反応が出ているらしく、たいぞう丸ら葉山の僚船と共にトリヤマを追ったが、キハダは移動が早いため、飛んでいるミズナギドリの動きも慌ただしい。
 そして、以前から移動中にトローリングを試したいと思っていたので、曳き縄用のタコベイトを流してみたが、ラインに鳥が絡まって釣りにならない!
 トローリングで蛍光色のラインを使うのは、軌跡の確認以外に鳥を避ける意味もあったのか?

そうやってひっきりなしに群れを追い回す中、次第に食いが立ってきた!

 私のスタンディングタックルで、リーダーとイワシを投入すると、恐ろしいスピードでラインが持って行かれた! しかし、レバードラグを締めてフックアップする前に吐き出された。しかも2回連続で!

 その直後、上乗りさんがスピニングタックルでヒットさせた。

 私たちも必死に流すが、なかなか当たる魚ではない。それでもマイワシに夢を託して流す。

 やがて反応は抜け、船長がやり取りを交代してリフティングに入ったが、取り込み寸前でサメに食われた! 30キロあったであろうキハダは無残にも頭とカマを残すのみにされたのだ。

 次の反応かその次かで、私の右隣の釣り人が食わせた。


「間違いなくキハダだ!」

 ダイワのガオーバイパーがひん曲がり、ラインがズルズル持って行かれている。サメが来ないか気が気でないが、強引なやり取りが功を奏し、(ハリスは30号だったそうです)15分ほどかけて魚は浮上した。
 一発でキングサーモン用の巨大なネットに収まったキハダは25キロ!
 私もあの当たりを掛けていれば……。
 何はともあれ、無事に大型が上がったのを目の当たりにしたのは初めて。幸運な釣り人は疲労困憊だ。

 もはや正午を回っていたが、船長は何度となくナブラに船を着け、魚を誘き出す。
 と、一際食いの立ったナブラに遭遇した。
 上乗りさんの一本釣りではカツオが次々に飛んできて、フライ専門のお兄さんもカツオと戦っている。
 私も即座に2本仕留めたが、もはやルアータックルを使った一本釣り。それでもキハダが混じっていることは間違いないので、マイワシを再び刺した。

 と、目の前で水飛沫が上がり、激しい胴震いを感じながら、ソルティガのドラグが作動した。

「ダイバンガツオに違いない!」  
 カツオ特有の胴震いと思ったが、ラインはあっと言う間に50メートル以上引き出され、しかも船底の方へ潜っていく!

 船底に擦れたら一発で切れることは避けられないので、8フィートのロッドを元ガイドまで海面に突っ込んで凌ぐ。艫には釣り人が多くて回れないし、ミヨシは一本釣りの狂喜乱舞だ。ここで耐えるしかない。

 カツオなら最初の走りを交わせば心配ない。そう考えて容赦なくポンピングを繰り返す。だんだん船底へ擦れる危険も下がって来たが、さらに寄せると、リーダーが巻き付いたのか、尾鰭から逆立ち状態で上がってきたのは10キロ級のキハダだった!

 すんなりと船縁まで寄ってくる。
「嘘っ、こんなに早く寄るなんて……」

 一昨年、沖縄で10キロ級を釣った時は、ドラグユルユルで30分近くかかったこともあったような……。

 少し間を置いて、船長が巨大ネットを持ってきた。

 と、そこで魚は自分の置かれた状況に気づいたのか、一暴れしたが、ほどなくタモ取りされた。
 相模湾では4年ぶりの10キロ級だ!

 先ほどの魚には及ばないが、久々にいい魚を釣ることができた。
 命が燃え尽き、血抜きした魚を写真に撮ってもらい、もう一流ししたところで、本日の釣りは終わった。

 今回はようやく目標のキハダを仕留めることができたが、フライの人と再会したり、一年ぶりだったのに上乗りさんが覚えていてくれたことに感謝。

 もう一回やるか?



 10月28日


 先日、11キロを獲ったのに、懲りない私は28日に、またもや長三郎丸に向かった。
 しかし、現在は餌不足のため、まずは佐島の巻き網船へ向かうが、イワシが獲れなかったので、飼い付けのマイワシを小和田湾内で買うことになった。
 深田家ではいざ知らず、長三郎から佐島へ行くとは!
 他にも一俊丸や丸伊丸もイワシを買いに来ていたが、とりあえず活きのいいマイワシを確保した。

 で、これだけでは心配だが、沖へ出ると小田原沖でイワシ玉に遭遇した。
 私ですら掬えるほどの大きな群れで、もう一つのカメを満タンにするほどシコイワシを確保できた。
と、そこにカツオが着いている!
 ステラを持ってきたフカセの人は即座に食わせたが、私はジギングで平ソーダ。
 今回のマグロタックルには22号のハリスを結んだが、これでは食わないので、カツオタックルに16号ハリスで2本キャッチ。こちらはPE1.5号を使ったが、以外とやり取りは楽だ。3キロ級はさすがに苦労したが、1キロ半はシイラロッドでもぶっこ抜き。

 今日は天気がいいため、水中のハリスが目立つ気がする。どうも22号が避けられているようだ。
 そこで20号に落とし、マイワシを泳がすと、ラインが一気に持って行かれ、ついにキハダが食った!
 最初の走りで100m近く持って行ったが、さすがにやり取りには余裕が出てきた。
 落ち着いてロッドを立て、頭が手前に向いたときにリフティングを繰り返し、今度こそ! と思ったが、やり取り開始10分ほどであえなく手応えは消えた。
 ハリが外れたのだと思ったが、飲まれたのか20号が歯で切られていた……。
 カンヌキに掛かっていれば、まず上がるが、飲まれては仕方ない。

 その後も他のお客さん2人と上乗りさんに当たったが、30号が切れたり、PEが飛んだりして、いずれも船には入らなかった。

 ただ、カツオのナブラは多く、一本釣りでは入れ食いで、私もフライでは平ソーダをバラしたのみだが、餌を撒いて船が減速した瞬間にトローリングでも一本仕留めたので満足。

 その後も群れを探し回ったが、4時を回った時点でさすがに終了した。
 港に戻ったのは5時頃だが、これがおそらく最後のカツオ船だろう。資金もさることながら、餌のイワシが入手できないなら仕方がない。

 思えば今年も相模湾に通ったのは8回、20キロ以上あるマグロを掛けたのは4回だが、いずれも敗れたのは信じられないが事実。
 よく通ったものだなあ……。

 「マグロは魔物である」と、昨年知り合った奥山文弥氏は言っていたが、私も魔物に魅入られてしまったのだろうか?



 前回の釣りで、相模湾のキハダ狙いは終了かと思われたが、長三朗丸に問い合わせたところ、今週末まで餌のイワシが保つ見込みだというので、明日の金曜に最後のチャンスに賭けることに決定した。
 掛けても飲まれたらハリスは切られるし、サメに食われる可能性もあるが、キハダが跳ねている上、でかいカツオも上がっているため、20キロ以上のキハダを獲る最後の機会に挑戦することに決めた。



 11月7日


 葉山の長三郎丸では、今週末で餌のイワシがなくなると聞き、正にラストチャンスと考え、今年に入って九度目のカツオ・キハダ釣りに出漁した。
 朝一に高速代節約のため、下の道で葉山に向かったが、船宿で女将さんに話を聞くと、風が吹いているため、カツオ船・イナダ船とも出られるか否かはしばらく待つ必要があるとのことだ。

 しかし、カツオのお客は私を含めて3人だったが、イナダのお客さんは次々に集まってきて、イナダの出船も決定した。
 そしてカツオ船の船長も「今日は出るぞ」ということで、大急ぎで準備した。
 今回はスピニングタックル二組と、予備にスタンディングタックルを持参したが、朝方は海が悪く、前日の疲れを引きずっていたため、私は船酔いになりかけた。久しぶりだが、こんなに苦しいと釣る余裕があるかどうか心配だ。
 それでもラインシステムを組み、準備だけ済ませてからは横になって休む。
 疲れが取れれば大丈夫だ。

 最初のナブラでは食わず、何度目かのナブラで魚が船に着いた。
 フカセではカツオが真っ先に食って来たが、上乗りさんの一本釣りでは4キロはあるダイバンガツオを抜きあげた。
 明らかにキハダマグロのボイルも見えるが、次に当たったのはダイバンガツオだ。
 でかいカツオだから、群れが抜けるのも早いかと思われたが、それは誤算だった。
 完全に群れは船に着き、私も一本釣りを開始すると次々に食って来る。弱ったイワシは食わないが、元気なイワシに変えるとすぐカツオに化ける。2キロくらいのカツオと4キロ級が混じっているため、でかいカツオも上がり、1キロ半ほどのキメジも食った。
 小さいシイラも掛かるが、即座にリリースに徹する。
 あっと言うまに、7本ほどのお土産を獲ったため(半分近くはキハダがなくても満足できるダイバン)、少ないマイワシを使ってのスピニングフカセに変更した。
 マイワシを海に放り込んで、船の真横にピャーッと泳いでいくため、スピニングリールのベールを返してどんどんラインを送ってやると、ラインが加速してバラバラと持って行かれる。

 そこでベールを戻すと、途端にガツン・ギューンと一気にラインを持って行く。
 キハダか? ダイバンガツオか? サメやシイラでないことは間違いないため、最初のランはそう簡単には止まらない。

 キハダならおそらく10kg級だから、ラインやリーダーが切られる心配はないが、うかうかしているとサメに食われる恐れがあるので、止まった時(巻ける時)は容赦なくソルティガZ・4500Hのハイギアを活かしてポンピングを繰り返す。

 時々ガクッと揺れるので、「まさかサメに?」と不安になる。その直後、軽くなってきて最悪の結果を予想するが、さらに巻くと重さが再び戻ってくる。

 最後はラインシステムが水面に出て、その下では一メートル近い、赤黒い魚体が右往左往している。マグロ類はカツオと違って最後の最後まで抵抗するのだ。
「おっしゃあ! 10キロ級ゲットォ」
 上乗りさんにタモ入れしてもらい、魚の写真を撮るが、実に美しい。
 丸々と太っているので、慣れない人が見たらメバチと間違えるかも知れない。

 この騒ぎで上乗りさんたちも続々と船室からマグロタックルを出してきた。
「キハダの反応が凄く出てるぞ!」
 と、船長も叫んでイワシを泳がせる。

 上乗りさんの一人にキハダが食った! やり取りが始まる中、船長の竿も曲がるが、これはサメだった。(サメがイワシに食ったらしい)
 しかし、上乗りさんはラインブレイク。

 餌のイワシもかなり減ってきたが、シコイワシの中から、マイワシを選んで再び流す。
 海にイワシを放ち、船から遠ざかるように泳ぎ、なおかつ潜っていけば、それはマグロに食われる。水面チョロチョロでは鳥に食われるか、良くてもシイラだ。
 何回か小型シイラがヒットしたが、当然リリースする。

 と、ラインがまたもや一気に持って行かれたが、ベールを戻す前に軽くなってしまった。
 魚がスレてきたせいか、あまり長く食い込ませようと思うと、吐き出してしまうことがあるのだ。
 次の当たりでは、ある程度送ってからベールを戻すと、ガクッと重みが伝わり、そのままギュギュギューン!
 これもキハダに違いないが、50メートル少々の走りで止まった。今度もやり取りの途中でふっと軽くなり、「まさかサメに食われた?」と思ったが、魚が食い上げただけだった。キハダにはこんな癖もあるらしい。
 無事に寄せたのは、先ほどよりほんの少し小さいサイズだった。
「2本目が上がった…」
 これまでラインブレークやシャークアタックを繰り返し経験していただけに、この釣れっぷりが信じられない。
 素早く上乗りさんに写真を撮ってもらった。

 その次は、タックルハウスのShibukiを投げてみたが、ヒットしたのはシイラだけ。フックを外すときに激しく暴れるから、シングルフック以外は怖くて使えない!
 本当にシイラゲームではシングルフックをお勧めします。(奥山氏のシングルフック推奨は伊達ではありません)
 
 これでキハダは一応、3本だ……。
 しかもまだ10時頃、この時までカツオは船に着いていたようだから、戻りガツオの執念には恐れ入る。
 カツオをフライで狙うなら、戻りガツオの群れが一番かも知れませんね。

「次のナブラで終わりだよ−」
 と、船長も叫ぶが、(もはやイワシ、撒き餌用の生け簀に残るのみ)そりゃそうでしょう。
 餌はほとんどなくなるし、船はカツオだらけ。本当に出船して良かった……。

 で、次のナブラでは、最初の当たりではベールを戻すのが早すぎて? 逆に乗らなかったものの、次の加速でガッーンと食った!

 ラインがどんどん下へ持って行かれ、ソルティガが悲鳴を上げる。あっと言う間に100メートル以上出された。これは20キロあるか?

 ダッシュが止まったと見るや、一気に巻き取る。もはやポンピングを繰り返すのみならず、スプールを押さえるパーミングを併用し、走る気配がないときは一ミリもラインを出さないつもりで巻き取った。

 魚の予想サイズは下方修正されてきたが、それでも重く、力強いことに変わりない、カツオタックルで10キロ級に挑戦したいと思っていたこともあるが、そんな真似をしたらやり取りの最中にサメに食われそうだ。

 食い上げにも惑わされず、リフティングを続け、30メートルを切ったところで、最後のランを見せたが、それも交わし、魚は水面下まで引き寄せられた。
 もはや獣のようだ。
 強引に引き寄せたため、上乗りさんがタモを出してくれたが、水面下を走り回る魚は確かに赤かった。

 昨年、この船でOZMAを投げて本メジを掛けた時も、食った瞬間の魚が赤かったことを覚えている。
 カツオ漁師は本ガツオを「アオイノ」と呼び、マグロ類を「アカイノ」と呼ぶが、これは魚の興奮色なのだ。
 餌を取っている時のカツオは、背中全体が青くなるが、マグロ類は一瞬だが赤くなる。だからそう呼ばれたのだろう。
 そんなことを考えながらも、ロッドを操作して魚の頭を海面に浮かせ、その瞬間に13キロのキハダはタモに収まった。
「3本目! 今日はどうなっているんだ?!」
「一年分の運を使い果たしちゃったんじゃないの?」
 だとしても結構、今年のカツオ・マグロの最終戦争(ハルマゲドン?!)なのだから!
 
 もう一人のマグロ狙いのお客さんは、ヒットが2回あったが、いずれも失敗し、最後のイワシを泳がせている間、私もジギングを試みたが、これで本日の釣りは終わった。

 帰港したのはまだ11時! しかも晴れてきた!

 船長、上乗りさんに「来年も…」と挨拶して後、再び下の道を通って帰宅したが、魚を解体する途中、ふと専修大学の恩師に連絡したところ、今日は大学にいるというので、マグロをブロックに切って持参した。
 
 学生時代、アルバイトでお世話になった教員室の職員の方にも、マグロとカツオの刺身を差し入れし、吉田先生と柘植先生の研究室に寄り、柘植先生の研究室では大学院の講義に同席させて頂きました。

 で、研究室を後にしてからも、教員室に寄らせて頂き、金魚やタナゴの話、私が在学していた頃の昔話、近況報告などで過去を懐かしみ、大学を後にした。

 そして魚を何とか解体し、後は明日へと……。

 本日の獲物:キハダ4本(13キロ、12キロ、8キロ、1.5キロ)
       本ガツオ8本(4キロ〜2キロ)
       他シイラ混じる。

 いやはや、4年前の深田家と同じようなシチュエーションだったなあ。
 あの時はカツオの入れ食いの後、10キロ級の黒鮪が回遊し、何発も掛けたが、船の100メートル前後しか巻いてない手釣り仕掛けなので、バラシやブレイクを繰り返し、一本だけ獲れたが、あの時にこのタックルを使っていたら、どうなっていたことだろうか?





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