6月18日



 
2011年も東伊豆沖のマグロは好調で、手石の船などは1月から釣果を出し、一時はイナンバのキハダが注目されたこともあったが、6月の時点では泳がせ、ルアーとも好調が報告されていた。
  私も手石や網代の船を予約したが、いずれも海が荒れて出船できなかったため、実質、シーズン入りしてから一カ月は待たされる……。
 カツオ、キメジも日によっては混じり、キハダが報告されたこともあったが、私は618日の土曜、泳がせの船を予約したものの、他のお客が集まらずキャンセルとなり、やむを得ず、伊東のルアー船・はるひら丸を予約した。

 617日の夜11時頃、川崎を出て1時半頃には伊東に着いた。
 先客の方とお話ししつつ、船長が来たので挨拶し、他のお客さんも集まったところで出船となった。船のクーラーには2キロほどのカンコ(ウッカリカサゴ)と、25センチ弱のアヤメカサゴが入っていたが、ジギングのお客さんが釣ったとか。



 
 
まだ真っ暗だが、漁場に着くころには明るくなっているはずだ。
 キャビンの後ろで仮眠をとり、2時間ばかり走って漁場に到達した。

 しかし、ナブラやトリヤマはない。時々、鳥が1〜2羽飛んでいるくらいだ。船はしばらく探査し、流木の近くでキャストを開始した。
 ダイブベイトで探っていくが、シイラも沖サワラもいない。ジグを試しても当たらず、切り上げて移動する。
 今回も何度か、PEがバックラッシュしながら飛んでいき、とうとう振り切れた! しかし、まだルアーが浮いているので、同船の方に回収をお願いするが引っかからず、船長に頼んで船を回してもらい、何とか回収成功……。
 去年と同じトラブルだが、まさか「また落水」なんてことはないだろうな……。
 もうしばらく、ライントラブルが続いたが「ラインシステムを、54番ガイドの位置で投げる」ことで、自分の場合はトラブル激減することが判明した。普段からラインシステムをトップガイドから出して投げれば一番だが、マグロ相手であまりリーダーを切り詰めると、魚が掛かった時、尾にメインラインが触れて切られる可能性があるので、2m以上はほしいところだ。
 気持ちよく投げられるようになり、ナブラを探すが、「11時過ぎから跳ねだした」なんて話もあるので、気長に待つしかない。


                                   

 
怪しい場所で船を止め、大型のトップウォーターで「誘い出し」という形で狙っていくが、他のお客さんもTamaTVのTTイーグルやら、SOULSのナルドやら、ガストンのT2やら、シマノのオシアペンシルやら、結構な大きさのルアーを使っている。 
 まるでGTゲームみたいだと思いながら、アクションさせていると手元にカッ、と重みが伝わったが、合わせる前に吐き出されたようだ。その後もルアーの後ろでチェイスする波紋が上がった。
「シイラだ」
 その直後、シイラが跳ねたのを確認したが、私はピックアップしたルアーを再び打ち返し、アクションさせると食った!
 ドラグが少し鳴るが、ソルティガドラド・80TNのバットパワーが魚を寄せ、5メートルも走ったかそこらで魚は止まった。素早く寄せていく。
「ヒラマサだったら嬉しいけど、シイラだろうなあ……」
 まもなく、シイラの青い魚体が見えてきた。ランディングネットに一発で入ったのは90センチ程度のシイラだが、「19センチ」という最大のルアーで食ったのは嬉しい。
「おかずにはなるな」
                                       やっぱりダイブベイトって効くね。
 獲物をクーラーに仕舞った後は、群れを探査、船長も時にジギングしたり、ガンデウスを投げたりして誘ったが、私や他のメンバーのルアーに、魚は何度か反応したものの、ヒットには至らなかった。
 一度、船から20メートルくらい先で、50キロはあるクロマグロが跳ねたが、そこにルアーを打ち込んだものの食わず、誘い出しの合間に、150gの背黒ジグでジギングも試みるが、これにも反応はなく、数時間を探査して、最後の最後に「ナブラが固まるか」と、期待したがこれも駄目で、あえなくこの日の釣りを終えた。
 他船も軒並み撃沈で、森竜丸がジギングで1本、泳がせの船は30キロ級を獲っていたそうだが、せめてカツオ・キメジでも釣れれば良かったのにねえ。
 イワシの群れが入り、トリヤマ・ナブラならルアーが有利だが、こんな時は誘い出しもいいが、サバ餌で泳がせるのが一番では?


 ま、今回は「ダイビング系ペンシルの誘い出し」を学んだ良い機会だ。
 今年こそはクロマグロを!



 7月16日

 
 

 東伊豆沖のマグロは、ルアーにスレてきたのか、次第に餌釣りが釣果を上げるようになってきた。
 私は「餌なら必ず仕留める」と、確信し、716日出船で、手石の忠兵衛丸を餌釣りで予約した。
 遠征で有名な忠兵衛丸は、5月のイナンバ、6月のマグロ餌釣りも予約していたが、イナンバは海が荒れて出られず、餌釣りはお客さんが集まらずにキャンセルとなっていた。
 今年も猛暑が続き、相模湾にも30kg級のキハダが入って来たなんて話もあったが、東伊豆沖は好調が続き、ルアー船も日によってむらがあるも、クロマグロ、キハダ、キメジが報告され、(合間のジギングで真鯛も!)釣行前日には93キロのカジキを上げた船さえあった。
 餌釣りでは一時、サメの猛攻に悩んだ時期もあったが、その後は連日、クロマグロやキハダが報告されるようになっていた。
 
  715日、仕事帰りに忠兵衛丸に電話して出船を確認し、朝の3時に集合ということで、15日の23時、川崎を出た。
 高速代節約のため、国道を通って平塚へ向かうが、予想以上に時間を要し、私はいささか慌てた。
 前回の釣行でも、1時〜1時半頃に伊豆半島を爆走する釣り客らしき名古屋ナンバーの車を見たり、網代の森竜丸に向かう車を目にして、「マグロに憑依されると、こうなるのか……」と、自分もマグロを狙っていながら、その魔力に脅威を感じたことを思い出す。  
 奥山文弥・茂木陽一両氏は「マグロは魔物、麻薬である」と、語っているが、それを思い出した私の脳裏に「魔魚狩り」という単語が浮かんだ。

 本来は海洋大の水口教授が、「ブラックバスを批判するのは、魔女狩り的行為だ」という、いわばネガティブなニュアンスだったが、私は言おう。「究極の魔魚、クロマグロを狙う釣り、これはまさに魔魚狩りだ」と……。
(なんだか夢枕獏の『魔獣狩り』みたいだな)

 やがて、車は西湘バイパスに入り、一気に走り抜け、伊豆半島へ入った。昨年は稲取までは行ったものの、そこから先の「未知の領域」を走るのは初めて。それでも河津を通り過ぎ、下田へ到達した。山も海も美しく、ドライブを楽しむ余裕さえあった。
 途中、2回ほど道を間違え、地図を見直したものの、青野川河口の橋を渡り、忠兵衛丸の船宿に車を入れる。
 手洗いに寄り、水を流すと大船長、浅沼幹雄氏が出てくれた。
「○○さん?」
「はい、そうです」
「もう他のお客さんは船で準備しているから、すぐ行って」
 と、いうことで船長が運転する軽トラを追いかけ、3分ほど走り、忠兵衛丸の船着き場に車を停め、挨拶して道具を船に積み込む。
 急いでマグロ餌釣りの道具と、餌のサバを釣る道具を組み立て、船は港を出た。
 ルアータックルは船室で組み合わせる。
 ひと段落すると、遠征船のキャビン内だけあって快適、クーラーも効いているので、ベッドで横になって少しでも休みを取る。
 しばらくウトウトした頃、船長が「サバを釣りますよー」
 かくして私や他の釣り人(年配の女性もいた)は次々に起き上がり、レインウェアとライジャケをまとい、釣り座に出た。
 他の釣り人はミヤマエの大型電動リール(キンメ用)やマリンパワーに、頑丈な竿をそのまま餌釣りに流用しているが、私はペン・インターナショナル16S とリーディングXゴウマンという、一番ライトな道具なので、サバ釣りには電動丸3000EVとグラシック50-270の沖釣りタックルで挑戦する。
 7本バリのフラッシャーサビキに、100号のオモリだが、「慌てつつ、数年ぶりに使う道具」という理由だったため、電動リールの電源、左右を間違えたり、レベルワインダーに道糸を通すのをサボったため、たちまち道糸が左右に偏り、沈めるのも巻き上げるのも一苦労という様相を呈したが、下田沖のサバはサビキを途中で止めてしまう。
 フッと、オモリのテンションが消え、続いてガクガクガクと竿を絞り込み、ズラズラ鯉のぼり状態で上がってくる。
 先週、浅八丸のライトルアー船で釣ったサバよりも型が良く、35センチ級もいるが、大半は4050近い良型だ。
 魚に触れずに外せる針外しが活躍したが、正直なところ「素手で触れず、ダメージを軽減」という目的以上に、素早く外せるメリットが大きい。
 殺すわけにはいかないので、船にまとめて入れる訳にはいかず、一匹ずつハリを外し、足元の海水が循環した青タルに入れるが、何匹か溜まったところで船長や上乗りさんがタモですくい、大きな生け簀に移していく。

   

 タナは水面下5メートルでも食うが、目まぐるしく変わるのも特徴。(1520メートルくらいが多かった)
 私は糸送りの悪さにたまりかね、道糸(PE6号)の先に結んであった先糸を大幅に切り詰め、レベルワインダーに道糸を通す。やっぱり慌てても手抜きは厳禁ですな……。
 すると、これまでの混乱が嘘のように道糸を出し入れできるので、時に8090メートルまで沈めて探り、そこで食わなきゃ巻き上げると、サバがガクガクガク……。 
 餌に手ごろな(?)35センチ前後の小ぶりのサバは、サビキの上のハリに掛かることが多いが、バレることも多くて残念。食べるんじゃないので、大サバではなく小サバ歓迎です!
 途中でサビキのバケが何本か持っていかれたり、絡んでいても平気で食ってくるが、さすがにまともに機能するバケが3本くらいになったので、新しいサビキを購入し、さらに釣り続ける。上乗りさんにも仕掛けを上げるのは手伝ってもらったが、この時ばかりは電動リールの存在がありがたい。高速で巻き上げてもサバなので口切れは少なく、強引に寄せては取り込める。
 ただし、引きが強いので幹糸が指に食い込む! さすがにバケのハリを腕に刺すような真似はしないが、冗談抜きで指が切れる!「カッタクリ用の指サックがほしい……」
(一応、荷物の中に指サックはあるが、取り出す暇などない!)
 かくして餌用のサバを確保した後、船は大島のマグロ場へ向かった。

 
 私はこの間にマグロ餌釣りタックルのPE8号に30号のハリスを結び、ルアータックルには24号と16号のリーダーを結ぶ。(キャスティング用2タックル、ジギング用に1タックルを用意)
 1時間半ほど走り、6時頃にマグロ場へ到達した。魚の反応を探し、瀬に船をつける。
「後ろの人から、順番に餌を入れて下さい。入れたら100メートルくらい流してください」
 今回は私以外にお客さん二人、上乗りさん一人が竿を出したが、私はミヨシ1番なので一番最後の投入だ。
 しかし、私にとっては餌の生け簀が一番近く、船の前に餌を投げられるので、正に理想的なポジション。(とはいっても、カツオ一本釣りに比べると釣り座はどこでも食いに影響することはない)
 サバ餌なので、一気に泳いでいってラインはどこまでも伸びていくが、追われる気配はない。
 やがて、回収してみると口掛けにしたサバは瀕死状態! これでは食わないよなあ……。
 次は上乗りさんに、鼻掛けにしてもらったが、この流しでも当たりはない。
 いれば、第一投で食ってもおかしくないが、次第に当たりが出ないため、緊張が緩んでいく。
 と、サバが追われている様子がかすかに伝わって来た。竿先が揺れ、ラインが出ていくが、追われたのか?
 餌をチェックすると、わずかに噛まれたような跡があったが、ヌメリが取れているくらいのレベルなので、銜えてもすぐ吐き出してしまったのだろう。

                                

50メートルに反応が出ているよ!」
 俄然、勢いづいて流すが、食い込まない。
 そんな時間がしばらく続いた。私は「鼻掛けでも弱りやすい」と、判断し、貴重な餌を長持ちさせるべく、背掛けに変更する。レバードラグを調整して餌を送り出し、頃合いを見て少しドラグを締め、クリック音が入るようにして当たりを待つ。
 1020分、場合によってはそれ以上の時間をかけて餌を流し、当たりを待つが、魚がいても食い気が薄いのか、なかなか当たらない。
 船を立て直す時、時折トビウオを見るが、まだナブラはない。
 他船では40キロ級が上がったというので、魚は間違いなくいるが、7〜8隻は出ている遊漁船(ルアー船が多い)や数席のプレジャーボートの動向を見ても、平和な時間が続いてしまう。
 途中で私もダイブベイトを投げてみたり、背黒ジグをしゃくってみたりと、好き放題やってみるが、まるきり当たらない。
 と、いっても大型魚が相手なので、時合いになるまでは忍耐が必要。
(もっとも、9時くらいまで流しても誰ひとり当たりがなかったので、ボウズも覚悟したが)
 その後、魚の食い気が立ってきたのか、20キロ級のキハダが跳ねた!
「出たぞーっ!」
「キハダだ! キハダが跳んでいる!」
 素早く船は走りだし、群れを追いかける。
 私は餌を投入後、たまりかねて上乗りさんに竿を見てもらい、ソルティガドラド80TNNEWソルティガ5000Hでライブベイトをぶん投げる。
 しかし、リーダーが長すぎたせいか?(PE5号にしたせいではないと信じたい)飛距離が足らず、何度も投げるが、その倍は飛ばしたいところ。
 ルアーを回収し、フカセに戻るが、こちらも当たりはない。イワシの群れがいるわけではないので、餌はトビウオやムロアジだろうから、サバでも食うはずだが……。
 次第に魚の活性が上がって来たのか、またもや跳ねに遭遇!
 こうなったら必ず釣れると確信したが、今度は船の近くで40キロ近いクロマグロが跳ねた! すかさずコーラルスターCDOS-76MHとソルティガ4500H でオズマHWを打ち込んでアクションさせるが、ノーバイト。ダイブベイトなら食ったかも?
 フカセでも当たらず、どうなるか心配したが、状況を観察すると瀬に沿ってマグロは回遊しているらしく、近くを流しているプレジャーボートなど、ずっと同じ場所でフカセを続けている。蛍光色のナイロンが風に流れて伸びていた。
 跳ねは一段落したが、まだ魚が周囲にいるのは間違いない。ジギングを試しても当たらなかったので、フカセで流し続ける。
 何度目かの流しで、餌が追われたのか竿先がガンガン叩かれ、PEラインが引き出された。そのまま見守ると、さらに竿が曲がり、レバードラグを締めていってもお構いなしにラインが走る。
「食った!」
                             
                                
                            
「しっかり合わせて! 合わせが弱いとポロっと外れるから」
 レバードラグをストライク値にまで上げ、思い切り合わせる。二度、三度と追い合わせをくれた。
 乗った! マグロはフックアップしてから数秒間は「自分が掛かった」ことに気づかないが、その間にもしっかりとした重量感が伝わってくる。
 魚が疾走し、ラインがズルズル持っていかれるが、その間に私は竿の尻手ロープを外し、舳先に移動してスタンディングで対決した。竿の曲がりを存分に楽しむ。
「この引きはマグロだよ!」
      
          
      
      
      
 ハリスに小さなこすれ傷、PEにもラインシステム部に少しほつれができていたため、無理をしたらラインブレークは避けられない。
「ポンピングはなるべく避けて、そのまま巻いて」
 今や、船は微速で前進し、マグロを追跡する。上乗りさんが手で位置を指示し、常に真正面から対決できる形に操船してくれた。
 止まった時はガンガン巻き取り、距離を詰めるが、そう簡単に寄る相手ではないだろう。
「この間なんか、
2時間はかかったよ」
 
 そんな話を聞くと、最後はウインチファイトしかないか? 獲るためなら手段を選んではいられないが、最後の最後まで自力で戦いたいのも事実。

 と、魚が反転し、一気にラインを持っていった。トータルで250m近く出たか? 
 船で追跡しながら、落ち着いてラインを回収した。竿を左手だけでは支えきれないので、時に右手でも竿を支え、魚がこちらを向くのを待つ。
「サメはいないから、ゆっくりやり取りすればいいよ」
 私も自分の体力と無意識に相談していたのか、無理をせずにラインを巻き取った。テンションは極力変えずに巻き取るが、半端ない重さが伝わってくる時はポンピングしてしのぐ。
 思ったほど竿を立てなくても、水平状態+αの状態でもタメが効いているらしく、魚は次第に浮いて来た。紺碧の世界に魚が青黒く光った。鰭も短い。クロマグロだ!

                 
 
 感動しながらも、魚はかなり弱っているのを確認し、
23回ほど足元で回した後、魚は浮いた。

「銛でお願いします! 銛で」
 まず大丈夫だと思うが、銛を打ちこまないと安心できない。
 さっきまで釣り座を構えていた右舷に誘導したところで、マグロに銛が撃ち込まれた。
 すっかりおとなしくなったマグロに、二人掛かりでギャフを掛け、私の人生最大の獲物は船に引き上げられた。40キロはあるだろう!
「やったー! クロマグロを獲った!」



 思わずガッツポーズ。
「朝から、船長と『この人が釣るんじゃないか』と、話していたよ」
 と、上乗りさんも嬉しいことを言う。
 感傷に浸っているかどうかはともかく、飲まれたハリスを切り落とし、銛っ端を取り外すと、活きているうちに記念撮影だ。重くてタックルを傍らに用意する余裕などない。
 何枚か撮影してもらった後、ナイフを抜いて胸鰭脇を突き刺し、頭も突き刺して締める。頭からナイフを抜くのが大変なんだよね……。

さらに、エラブタを開いてエラを切り取り、腹も少し裂いて内臓を取り除く。見ると、胃袋にハリが掛かっていた。
「だから早く上がったんだな……」
 カジキでも胃袋に掛ければ、素早く取り込めるのが定説だが、30号のフロロでよく持ってくれたものだ。
 心臓のみキープし、空っぽの胃袋は上乗りさんに進呈(大型キンメに最高だそうです!)し、残りの内臓はサメがいないことを確認して捨てる。
 血を洗い流した後は、船の魚槽で氷詰めだ。(海水に砕いた氷が大量に入っていた)
 素早くラインシステムを組み直し、新しいハリスを結んで餌を流すと、45分ほど後の流しで竿が叩かれ、ラインが持っていかれる!
 ガッチリ合わせをくれ、再び舳先でスタンディングファイトを展開するが、先ほどのクロマグロに比べると明らかに軽い。
「これは小さい。キハダだな」
 クロマグロのどっしり構えた動きとは違い、より機敏に走り、激しい胴震いが伝わってくる。
 その走りを楽しみながらも、無理をせずにラインを巻き取り、一気に寄せる。
 5分程度で魚は浮いた。
1520キロくらいのキハダだ!」
 魚を誘導し、頭にギャフを掛けるが、魚体が全て抜き上げられた直後、キハダは海に落ちた! 
 しかし、同じようなことを聞いて、タックルをしっかり保持していた私に死角はなかった。頭から真っ赤な血が噴き出した姿を見て「既に致命傷を負っている」と、判断した私は素早く魚を寄せ、二度目のギャフで21キロのキハダは船に引き上げられた。
2本目ゲット……」
                         
                            
                         
 これで、クロとキハダ、両方の味を楽しめるな。
 キハダは舳先へ運び、写真を撮ってもらうや、締めてエラと内臓を抜く、腹の中にはメアジらしき魚が23尾入っていた。

  

 やはり、アジを食っているんだなあ……。(かつて、深田家でメジを釣った時も、胃袋にはムロアジが入っていた)

 すっかり気を良くした私は、3本目を狙って餌を流すが、この後は何回か激しく餌が追われたものの、食い込むには至らなかった。
 大艫の釣り人も一度掛けたが、残念ながらバラし、本日は私の釣った2本のみだったが、細めのハリスが功を奏したといえるだろう。
 12時まで流し、途中でルアーも試したがこちらは不発で、本日の釣りを終えた。
 使い終わったり、死んでしまったサバは捨てずに船のクーラー行きだが、何でもキンメやモロコ(クエ)の餌として使うとか。
 爽やかな海風を浴び、船は港へと向かった。

 初の忠兵衛丸で自己記録を仕留め、ついに目標を達成した喜びは、じわじわと体に伝わってくる。ルアーでは苦戦したが、昨年の深田家と共に、餌で出船すれば高確率で仕留められたことを確信し、「これはもはや偶然ではなく、必然だ」と確信した。
 かなり距離があるものの、快適な遠征船で「これはリゾートフィッシングだ」と、実感し、船の上で一休みし、弓ヶ浜を右手に眺めつつ、船は手石に戻った。

 道具を洗い、魚を検量&記念撮影してからは(クロマグロがワタ、エラ抜きで36キロ、内臓類で全体重の一割なので40キロ間違いなし。キハダもワタ、エラ抜きで19キロなので、本来は21キロ)、クロマグロの頭と尻尾を切り落とし、ようやくクーラーに収め、キハダは漁協で箱を買い、同じく頭と尾を落として氷詰めだ。
 氷も2籠で500円と割安なのが嬉しい。

                          



                         

 荷物をすべて仕舞うと、車で船宿に戻り、まずは温泉(塩泉だが、熱いので割って浴びるしかない!)で汗と血を洗い流し、着替えると乗船料金とサビキ、氷代を支払う。
 大船長、浅沼氏の話によれば、かくては3トンの船でベヨネーズまで行ってアオダイやオナガダイを獲ったり、八丈島でカツオやシイラ(シイラでもキロ500円の値が付いたとか!)を獲ったりしたそうだが、現在は油代が高くて大変だという。
(お客さんの来ないときはキンメ漁をするとか)
 さらに、290キロのクロマグロの魚拓をはじめ、82キロのカンパチ、数十キロのモロコ、マハタ、ヒラマサの魚拓、十数キロの真鯛やシマアジの魚拓など、大物釣りで定評ある船宿だけに、見事な魚拓が圧倒する。



 話の中で「去年、由五郎から落ちたのはあなただったのか」なんて判明し、しばし苦笑い。
(由五郎さんも、ルアーで釣れていればまた乗りたいですが)
 その日、大船長もマグロを餌で掛けていたとか。
 遠征釣りの船宿代表の話は、実に面白くためになるが、16時をまわったところで船宿を後にした。

 帰宅途中、「釣れたら魚を食べて帰ろう」と考えていたため、稲取の徳造丸でげんなり寿司とキンメ汁を頂き、一休みしてから帰宅。(着いたのは22時!)

 翌日、クーラーと発泡箱で冷やしていたマグロを捌きましたが、このサイズになると結構疲れます。
 3本釣っていたら、持て余す可能性大ですね。

 

 以下、船宿情報を転載

 
釣り物    大きさ 釣果
 クロマグロ  40s 1本
 キハダマグロ 21s 1本

 マグロの跳ねは短かったですが広範囲に跳ねていました。後半にようやくヒットさせる事ができ釣果を上げることができました。エサ釣り船は、全船クロマグロをゲットしていたので明日も楽しみです。

 http://www.m-izu-chubei.com/report/database.cgi?cmd=dp&num=823&dp=


 
8月13日

 今年も相模湾にマグロが回って来た。
 しかも、46kgのクロマグロが上がったり、91kgのキハダが上がったりと、これまでにない大型魚の回遊で、各船宿はマグロ狙いの船を出し始め、キハダのルアーキャスティングで大盛り上がりとなった。

 行きつけの深田家も、8月6日より活きイワシを積んで、マグロをフカセ釣りで狙うということで、8月13日、深田家に訪れた。
 今回は、以前12kgのメジを大島沖で釣った時に同船していた人や、当HPを見たという方とお話しし(『つり丸』取材の方もいました!)、速やかに餌が買えたため、餌釣り4人、ルアーマンも4人で船は港を出た。
 餌は飼いつけのマイワシで、いずれも15cm以上はあるため、マグロに最高の大きさだ。カツオではダイバンでないと食い込めまい。
 沖へ出ると、1時間そこらでナブラに遭遇した。
 相模湾中のルアー船が集結した感じだが、カツオ・キハダが混じって跳ねているというので、美味しい大型カツオが釣りたくなる。
 激しく鳥が固め、その下で次々に巨大な水柱が上がるが、なかなか掛けられない。
 ズバッ、スバッと撒かれた餌を艫で取っている様子が見えるだけにもどかしいが、ルアーのお客さんも沈下系で一回は出たものの、すぐ外れてしまった。
 ナブラによっては、キハダが餌のイワシを固めているのか、一度散った鳥が再び固まり、その下で水柱が次々に上がる。
 時には、餌のイワシが泳いでいかないこともあったため、思い切ってルアーを投げるが、右舷だとフカセ釣りの人や、他のルアーマンのラインを拾ってしまうこともあったため、すっぱり諦め、フカセに専念する。
 今回はとりわけ、キハダの群れだったために移動が速く、なかなか射程距離に入らないため(餌を流している最中、別方向でボイルすることも……)、思い切ってフカセ釣りのハリスも、ラインシステムが巻き込まない長さ(約3m?)程度に切り詰める。
 こうなると両軸リールは不利で、スピニングタックルでも長いハリスでは食わせるのは難しいでしょう。素早くプレゼンテーションできるルアーが効くはずです!
(ハイギア以外のリールは使いたくない群れですね)
 朝方、いくらでもあったナブラも、次第に数が減り、散るのも早くなってきたが、茅ケ崎の一俊丸が撒いた餌を、散水近くで魚が取っている!
 「散水が当たっている右舷で、撒いた餌を取っている時に放り込めば食う」と、見てとった私は、ルアーマンたちが舳先や艫に集中しているのを幸いとばかり、右舷の一本釣りをする側に向かった。
 何度目かのナブラで、魚が撒いた餌を散水の中で取った!
 高水温のため、バケツに1尾しか活かせないイワシを、素早くカマ掛けにして放り込む。その直後、鳥が舞い降りて潜った。
 餌を横取りされるか? 既にHP閲覧者の方がソルティガスパルタン&ステラ8000番のタックルで鳥を釣っていたため、餌をぎりぎりまで自由に走らせるが、間もなく餌が食われたため、「鳥にフッキングしてはかなわん」と、餌だけ切ろうと大合わせをくれた。
「ジャジャジャジャ、ギー!」
 いきなりPE5号が右中指の皮を切り裂いて走り、10ソルティガ5000H のドラグが作動した。
「食ったあ! キハダだ!」
 何が起こったかを瞬時に理解し、ガン、ガンッと追い合わせをくれた。
 潜っていったイワシは、鳥が追いつくより前にキハダに食われたが、そこで大合わせをくれたため、キハダが驚いて一気に潜ったのだろう。
 ルアーマンは鳥を掛けてしまっていたが、私は数十キロのキハダが食ったのか? と、ロッドを45度の角度に保持し、ファーストランを交わす。
「無理しないで、慎重にやって」
船長が叫び、つり丸の方がファイト中の写真を撮影する。 
しかし、ソルティガドラド80TN&10ソルティガ5000Hのヘビータックル(PE5号にフロロ24号のシステム)で掛けたため、「50kgでも確実に獲るぞ!」という心意気の強引ファイトで、魚はほどなくこちらを向いた。
 これは20kg級? いや、もっと小さい?
「せいぜい10kgです。もう上がります」
 ゴリ巻きで寄って来たところで、ラインが船下に入っていくが、8フィートのツナロッドでしのぐ。
「キハダだ!」


 黄色い魚体が水面下を旋回した。これは5kg級だ。
 2回目の旋回で、魚はタモに収まった。尾に他の餌釣り師のPEが巻きついていたため、素早くハリスを切り落とし、解く。
 つり丸の方に写真を撮影してもらい、素早くエラと内臓を抜いて締める。
 胃袋には10尾程度のカタクチイワシと、2尾のマイワシが入っていた。
                                      

 この後も何回かナブラに当たったが、次のヒットはなく、餌が尽きたところで沖上がりとなった。
(氷が途中で溶けてしまったが、他の餌釣りの方から氷を頂いた)
 船宿で話を聞くと、水曜に出ていたナブラは100kg級だったとか!
 帰宅後、船中唯一の獲物を捌くと、
非常に脂が乗っていて美味! こりゃ、3年前の脂キハダの再来だ!
 15日は30kg級を仕留めるぞ!

 

 以下、船宿情報を転載。

 フカセマグロ船キハダマグロ
 0-6 kg   0-1 本

 船長コメント:
 竿頭 川崎市 白畑様
 外道 ナシ
 今日はあちらこちらで群れ見えたが移動速く
 船中1本ゲット。バラシもあり。残念でしたね。
 群れが多いので今後有望で〜す。
 又明日に期待しましょう。
 
 釣り場と水深:
 相模湾
 0-0 M

 水温:27.5 度
 潮:澄み ゆるい
 風:南 ほどほど
 波高:- M
 天候:晴れ
 http://blog.fukadaya.mobi/archives/20110813-1.html



 8月15日
 

 13日はキメジ1本の釣果で終わるも、激しいナブラを確認し、この日にもルアー船でキハダが上がったり、深田家でも翌日に大型魚のハリス切れの報告を確認したため、「ボイルの中に撃ち込めば、勝算はある」と、考えて15日、再び深田家へ向かった。
 早朝は少し風が出ていたが、出船が決まり、受付を済ませると、土曜日に同船していた方がいた。
 こちらの方、三日連続で挑戦しているそうでして……。
 また、今朝はソルティガのツナロッドが目立ち、ソルティガ・TUNA85やブルーフィン、そして私の80TNなど、ダイワのツナロッドが勢揃い(笑い)。
 先日はステラやカーペンターが目立っていたが……。
 今回は全員、餌釣りで参戦し、その合間にルアーを投げるようだが、今日もお盆休みゆえ、定置網が休みで、飼いつけのイワシを積んで出船となった。
 餌のイワシは、かなり活きがよさそうだ。

 沖はかなり波があり、ヒヤヒヤしながら西へ向かっていったが、今回はとりわけ、ナブラの移動が速く、船が駆けつけても鳥だけが水面に止まっている状態が続いた。
 途中でナブラに当たるも、カツオ・シイラが混成していたようで、カツオらしき魚影も一回だけ確認したが、フカセに食ってくるのはシイラ!
 いずれも80cm1メートルほどの良型だが、ツナタックルではぶっこ抜きです。
 途中でルアーを投げて遊んでみると、あっけなくヒットしたがすぐバレ、次のキャストでまた食った。
 2回ほどジャンプし、コーラルスター・ドルフィンクラス76MHで引き味を楽しみながら寄せた時点でポロッとフックオフ! 合わせが弱かったんだなあ……。
(ま、ルアーに傷を付けられたくないため、手加減したのも事実だが) 
それでも
2本、フカセで釣ったうえ、他のお客さんの釣ったシイラも頂き、おかず用にキープする。(胃の中には、かなり小さいシコイワシが入っていた)


      

 昼近くから次第にナブラが増えはじめ、散水と撒き餌で群れを誘き寄せようと図るも、船の下で魚探に反応が出たので、私はスキルジグでジギングするがノーヒット!
 タコベイトを引っ張っていた上乗りさんも、残念ながら当たりはない。
 今回はとりわけ鳥が多く、フカセでも2回ほど掛かったり、ルアーの場合はPEに絡まって上がってくるから厄介だ。
TTイーグルを使っていた人など、一度に2羽を釣ってしまうことも……)
 それに気を取られていたせいか、沈下系でバイトがあり、ラインが走ったものの、合わせるのが遅れてルアーを吐き出された! もう3秒ほど前に気づいていれば……。

                                       

 いずれにせよ、鳥を交わすライン操作も欠かせまい。
 それでもナブラを追い続けたが、今日はカツオ・マグロ類を手にすることなく、船は漁場を後にした。

 戻る途中、三日連続で乗船していた方に話を聞くと、この方、山口の見島沖で200kg級のクロマグロを狙ったり、モロコ(クエ)を12本獲っていたり、キャプテン1号に乗船したり、神津島の船で銭洲やイナンバで行ったり、須崎の船でキンメ釣りをしたりと、相当なキャリアの持ち主のようです。(息子さんは某メーカーのテスターだとか) 何でも、美味しい魚はアブラボウズの味噌漬けで、親戚のギンダラよりも遥かに旨いらしい。また、アジも東京湾の観音崎より内側の大型は、シマアジ並みに旨いとか。(一方、ヒレナガカンパチはカンパチよりかなり味が落ちるとか) いやはや、ベテランの方と同船すると、勉強になりますね。
(深田家の上乗りさんも、このHPを見ている人がいるようでして)

 帰港後、米人の方から釣れ具合を聞かれたり(木曜に乗る予定だとか)、息子さんが海のフライに凝って、ターポンやボーンフィッシュはもとより、パーミットまで釣ってしまったという方のお父さんがルアーでキハダを狙うため、ラインシステムの組み方を説明(!)するなどして、マグロの話で盛り上がったが、これまでイワシ餌で成果を上げてきた深田家の上乗りさんたちも、ルアーに注目の様子です。
 魚は11月まで相模湾に留まること間違いなしでしょうから、移動する速度が落ち着けば、餌釣りが効きますが、当分はルアーですね。
 今日はオシアジガーなど両軸リールを持ってきたお客さんもいましたが、移動が早いうちは、スピニングが有利でしょう。

 以下、船宿情報を転載。
 
 

フカセマグロ船

 シイラ
 80-110 cm   0-2 本

 船長コメント:
 竿頭 川崎市 白畑様
 今日はマグロの群れ多く見られたが移動速く型見ずでした。残念でしたねぇ。
 又明日に期待しましょう。

 釣り場と水深:
 相模湾
 0-0 M

 水温:28.0 度
 潮:澄み ゆるい
 風:南西 ほどほど
 波高:- M
 天候:晴れ


 http://blog.fukadaya.mobi/archives/20110815-1.html

 なお、深田家では8月31日まで、30kg以上のマグロを釣ったら(餌、ルアーを問わず)、次回分の無料乗船券がもらえるということなので、自身のある人は挑戦してみては?
 





 8月27日

 相模湾のキハダは、あまりの高水温に難儀したが、次第に水温が落ち着いてきたのか、ルアー船では依然として好調が続き、果ては50キロ級を連発した船まで現れた。
 一時、駿河湾のカツオをビシ釣りで釣ろうかと考えたが、相模湾のカツオも水温が下がり、食い気が出てきたようで、長井の船が型を見たので「うまくいけば、今年の初ガツオと大型脂キハダなるか?」と考え、8月27日の土曜、深田家で再度、出撃を決めた。 

 午前3時半前に船宿に着くと、既に5台もの車が停まっていて目をむくが、ワラサ狙いのお客さんもいたため、私は餌釣りで5番目の受付となった。
 本日のマグロ乗合は8人の客だが、2週間前に同船した親子連れの方と再会し、他にも親子連れでルアーに挑戦する方など、餌釣り5名、ルアー3名の構成だ。
 餌を船に積んだところで、出船するが、前日の豪雨などどこ吹く風とばかり、海上も凪ぎ、おまけに涼しく、水温が下がってきたせいか、生け簀のイワシも元気そのもの。
 こりゃ、期待できるぞ!
 私はジギングロッドにタコベイトを付けて流していたが、まずはカツオの気配があり、長井船が2隻やっているところで群れを探索するが、最初の撒き餌、散水ではルアーを投げるもノーヒット。
 次のナブラで、上乗りさんがカツオをブッペ(一本釣り)で抜き上げ、船にカツオの胴震いが響く。私も素早くフカセにかかるが、右舷・左隣のお客さんがキメジを上げるも、私はオマツリしてしまい、コーラルスターCDOS−76MHとソルティガ4500Hに持ち替え、イワシを流すが、食ったのは小型シイラ。
 オマツリを解く頃には群れが去り、私はPEラインを切って、ラインシステムを組み直す。(ハリスを24号から20号に落とす)
 しかし、まだPRノットを組み終わらないうちに再びナブラに当たり、今度はオマツリ+海鳥をPEラインが緊縛(!)するという事態にまで陥ったが、何とか解いて鳥を放流する。
 バケツのイワシも、今回は2〜3尾は活かせるので、生け簀から少し離れていても何とかなるが(大艫に入った人は、船に積んである角オケにエアーポンプを装着し、持参したタモでイワシ確保と、念の入り方が違う)、それでも元気なものだけ選び、あとは生け簀に戻す。
 と、次のナブラで再びカツオの群れが付き、ブッペで次々に上がった。
「こりゃ、小型魚の数釣りができる」
 そう見てとった私は、素早くイワシを流す。するとラインがバラバラと一気に引き出され、一度止まったが、再びビャーッと持っていかれた。
 やはり、PE5号より4号の方が、イワシの泳ぎも違うようだ。(ただ、長三朗では6号が標準装備されているので、大型魚の期待できる今期は5号以上が無難では?)
「よし、食った!」
 素早く聞き合わせをくれると、魚はドラグを鳴らして突っ込むが、素早くその引きを交わし、シイラロッドのバットパワーで寄せて来る。
「こりゃ、キメジだ」
 間もなく、水面下でキメジが反転し、その走りも交わし、もう2回ほど魚を回したところで、5kg級のキメジはタモに収まった。

                          

 2週間前より、少し痩せているようだが、脂の乗りはどうなんだ? (なお、このキメジの胃袋からは小さいイカが一杯あったのみ)
 ブッペにはカツオだけ食ったようだが、フカセはキメジのみというのも面白い。
 とりあえず、土産確保で一息つくが、その後はなかなかナブラが見つからない。他船も思わしくないようだが、探索、追撃を繰り返し、午後に入ってナブラが増えてきた。
 キハダの跳ねも確認し、一気に船で追いかけ、イワシを撒き、散水しながら勝負するが、シイラしか射程に入らず、餌釣りの竿を一斉に曲げる。
 私もイワシを流している最中、穂先をラインが軽く巻いてしまったので、それを直そうとしている時に当たってしまった……。
 シイラらしき当たりなので、軽く合わせをくれ、ラインがどんどん引き出される中、ソルティガのベールを返し、魚が止まったところでライントラブル解消。
 跳ねないが、キメジ、カツオにしては遅い走りだな……。
 寄って来たのはやっぱりシイラ(笑)。上乗りさんにタモを入れてもらうが、何とナイロンテグスで編んだらしきタモに穴があき、またもやシイラと格闘再開!
 やむを得ず、穴を広げてもらってロッドを通すが、先ほどのライントラブルといい、今の出来事にせよ、下手をすると竿が持っていかれる危険がある。
 シイラに10万円以上する道具を持っていかれたら、爆死ものだが、この悪運強い(?)シイラ(メーター級のメス)も無事、クーラーに収まった。

                                                  

 鳥が固まることが増えてきたので、シンキングペンシルをガンガン打っていくが、それでもキハダは食ってこないのが残念。
 シイラが多いので、念のためにドラドポッパーを結び、投げてみるが、この時には既にシイラもどこかへ行っていた。
 しかし、すぐ仕掛けを上げることが多いこの釣りでは、ハイギアの巻き取り速度が大きなアドバンテージになることは間違いない。
 何度目かのナブラで、またもやシイラがわらわらと湧き、私のイワシも食われそうになったので、餌で釣ってはあまりに安易すぎるとばかり、ドラドポッパーをぶん投げると、数投目でヒット! これもメーター級だが、ツナタックルでは楽勝すぎ、あっという間にタモに収まった。
 ドラドポッパーでは、初のメーターシイラだ! しかも、デコッパチのオス。
 先ほどキープしたメスと、長さはほぼ同じだが、5kg級キメジと、メーターシイラ2本で本日の釣りは終了となった。
 船上でよく眠ってから帰港し、キメジの型を見れなかったお客さんにはカツオが配られ、私はキメジを検量すると、ワタ・エラ抜きで5kg。前回と同じサイズだ。
 シイラも同様、5kgはあった。(上乗りさんもシイラを持ってきた)
 で、HP用撮影を済ませ、道具を洗い、船宿でカップラーメンを食べるが、前回、ラインシステムを組んだ人が、無事にフカセでキメジを獲ったそうです。
(カーペンターの竿でフカセ釣りとは、なかなか優雅かも?)
 上乗りさんや、近所の漁師さんの話を聞くと、やはりキハダ混じりのむれなので、移動の早さがネックだが、これから水温が下がって釣りやすくなるとか。
 餌のイワシも、お客さんが集まれば問題なく買えるといういうから、今後も目が離せない。

 佐島港の前の魚屋で、水カマスと子ムツを買って帰ったが、シイラも型が良いせいかほどよい脂があり、キメジは頭を落とした瞬間、その脂の多さに絶句。
 シイラ、中落ちも刺身で食べられましたが、ムニエルが絶品で、キメジも脂が乗りまくって激うま! これは何本かあれば、申し分ない。
 小さいサイズは、当日でも美味しく食べられるのが特徴なので、大型とメジサイズ、両方釣れれば一番でしょうね。
(本来の目標50sの、一割の目方だが……)
 今後、水温が安定してこれば、大型キハダも餌を取り、釣りやすくなるはずだ。

 
 以下、船宿情報を転載。

フカセマグロ船
キハダマグロ  5.3-5.6 kg   0-1 本
本ガツオ 2.0-4.5 kg   0-6 本

船長コメント:
他 シイラ73cm〜105cm1〜6本
今日は水温も下がり群れは多くなかったが食いは良好です。
今後に期待しましょう。
明日も出船しますがまだまだ予約が少ないですので
ご乗船お待ちしてま〜す。

釣り場と水深:
相模湾
0-0 M

水温:26.0 度
潮:澄み ゆるい
風:北東 弱い
波高:- M
天候:曇り


http://blog.fukadaya.mobi/archives/20110827-1.html




 9月10日

 9月に入り、水温が少し低下した頃、以前から相模湾にいたカツオが口を使いだした。サイズは駿河湾と同様、2kg4kg級だが、時に56kgのダイバンガツオも上がっている。
 ビシ釣りの船がキメジ混じりで順調に釣果を上げていく中、いよいよ長三朗丸もカツオ船を出し、ある程度釣っていた。
 私は
10月、仲間と長三朗丸で出船する予定があるため、船長と相談、確認を兼ねて910日の早朝、長三朗丸へ向かった。(昨日確認したところ、マイワシはわずかで、シコイワシも小型が多いというので、一本釣りに決めた)


 今日もお客さんが各船宿で受付をしているが、たいぞう丸が人気ある様子。長三朗丸にももっとお客さんが来てほしいところですね。
5年ぶりに一本釣りに挑戦」という、カツオ船の上乗りさんの知り合いのIさん、そして昨年も長三朗で同船していたDさんとお話ししながら出船を待つ。(当HPもご覧頂いているそうです)

 他にもツナタックルを持ってくる人が目立つが、みんなマグロを釣りたいよねえ……。 
 港前では時折、小魚が追われるので、ジグやミノーを投げるが、反応はない。
 他にもタコテンヤを投げている人や、メッキを狙っている人もいるが、メッキはルアーを追うものの、バイトには至らない様子。
 次回は出船までの間、メッキ用のタックルを用意しておこう……。
 6時半過ぎに、沖で餌を買った第21長三朗丸が来たので、素早く荷物・道具を積み込む。
 そして港前の生け簀で、餌のイワシを船に積むので、私はカツオのJGFA記録を考えて持ってきた2lbのタックルで餌釣りを試みる。  これまでにダイナンウミヘビやボラ、メッキを釣っているが、今日は何が来るか?
(上乗りさんの話では、クロダイもいるとか)

 スズキらしき魚が、生け簀の向こう側でガバガバやっているので、手前側では当たらないと見た私は、まだ生きているイワシを選び、向こう側近くに放り込み、フォールさせていくとラインが走った!  
「来たっ!」
 軽く合わせを入れると、ラインが一気に持っていかれる。250gに設定したドラグが鳴りっ放しだが「出ながら切れるのでは?」と、不安な心理は隠せない。
 しかも、生け簀の下を通っているので、ロープに巻かれたら一巻の終わりだ。引きからしてボラではなさそうだが、かといってスズキとも思えない。何なんだ?
 魚が止まるたびに、指で軽くスプールを押さえてパーミングし、じわじわ寄せていく。やがて、魚は生け簀の下から出て、リーダーが見えるが、まだ近くにロープがあるから油断できない。
 水面で反転した魚は、体高のある、タイ型の姿だった。
「キビレだ!」
 クロダイとは違う、ヒレの色でそう分かった。
 魚はもう2回ほど反転したが、無事にタモに収まった。
 キビレ(標準和名:キチヌ)なんて初めてだが、よりにもよって、2lbで釣れるとは!

(JGFAに申請したところ、ライン強度はオーバーテストになりましたが、4lbで1.55sは日本記録に認定されました)



 感動しつつ、一本釣りの準備をして沖へ向かう。今回のイワシは5cm程度が多いから、フカセには小さいが、一本釣りの付け餌には最高だ。すぐ食い込めるだろう。
 Iさんには上乗りさんが餌の付け方などをレクチャーし、左舷には予備の竿も用意される。



                                     
 船長はまず、船団の中に船を入れた。最初のナブラでは撒いた餌を取ったものの、私の付け餌が一瞬で取られ、上乗りさんは2本ほど釣ったくらいだったが、次のナブラは船に着いた。
 餌を放り込むと、竿がギュギュッと絞られるが、マグロも釣って来たせいか、以前よりも楽に魚を抜ける。型は3kg前後が大半だが、2kg級も混じる感じだ。
 と、いうわけであっという間に5本釣ったが、上乗りさんは5kg級のキメジを抜き上げ、フカセの人も7kg級のキメジを上げていた。餌のマイワシがもっとあれば、俺もフカセやりたい!


その後は散水になかなか入らなくなってきたので、スキルジグを投げるが反応はない。
 やがて、移動を繰り返して船団の魚を狙うが、餌を撒いても取るとは限らないので、私はジャックポットやオズマHWをぶん投げる。
 一度、キメジが散水に入っていたが一本釣りでは食わず、私は絶好のチャンスとばかり、ジャックポットで誘い出しを試みるが、これまた不発。本物のマイワシなら、ためらわず食うはずだが……。
 隣のIさんはカツオ3本、大艫のDさんはフカセで良型カツオ2本の釣果だが、続いてのナブラで、Dさんは沈下系で掛けたものの、掛かりが浅かったのか、フックオフ。
 船団ではビシ釣りで次々に上がっているが、イワシを撒いても浮かないようだ。ジギングで掛けている人もいたが、私には当たらず……。
 その後も群れを探し、沖の瀬方面に向かうと、途中でトビウオが跳んだり、キハダのナブラにも遭遇するが、とにかく動きが速い。餌を撒いてもなかなか止まらず、投げたルアーにも口を使わないのでは打つ手がない!
 しかし、カツオ混じりのナブラではポツポツと餌を取るため、上乗りさんのタタキや、フカセでは時々当たるようだ。 と、先ほどフカセでハリスを切られた人が、またキメジを掛けた。



 じっくりやり取りしていくが、次第に魚のダッシュが短くなってきたので、リフトアップにかかる。上がれば今日1番の大物か?
 しかし、次第におとなしくなり過ぎると思ったら、浮いたキメジの半分がなくなり、その残りをサメがかじっている! 1.5mくらいのヨシキリザメだが、タモの柄で突っついて追っ払い、キメジの頭をすくい取る。ハラモと頭の身は残っているが……。                                                                 

 あーあ、銛があれば、あのサメを突き殺してやったのに……。
 さて、この頃のナブラは、餌を取っても散水の中には入ってこないようなので、小型シコイワシでもフカセられるよう、ハリスを12号、ハリも管付き伊勢尼12号にサイズダウンし、潮の流れに従い、散水の当たる左舷から、右舷でのフカセに切り替える。
 すると、ラインが走り、止めてテンションを掛けるとガーン、と久しぶりに魚が食った。キメジか? カツオか? いささか迷うが、激しい震動がカツオらしい。少しやり取りした後、3sほどのカツオがタモに収まった。
 既に3時を回り、餌もなくなったので、ここで沖上がりとなった。

 下船後、キチヌをJGFAに記録申請するために手続き、写真撮影を行い、船宿の水道で道具を洗ったあと、佐島で子ムツ、アカイカを購入する。
 今回のカツオ、脂の乗りは普通ですが、カツオらしい、いい味わいですね。




 923

 今年のキハダフィーバー(死語?!)は、7月末に相模湾に入った群れのみならず、912日頃、さらに別の群れも到来した。
そのため、相模湾中で鳥山やボイルが出まくり、「一日数回」のチャンスが「一日数十回」と、劇的に確立が向上した。
 深田家はイワシが手に入らないため、カツオ船は休船中だが、一俊丸はルアーキハダ船を出し、40kg級を上げた日もあった。
 そして長三朗丸に至っては、70kg級がルアーで上がり、イワシ餌不足で一本釣り、フカセ釣りは休みとなったが、長三朗丸はルアー船(予約制)の出船が決定した。
 前回同船していたDさんの話によれば、あちこちでボイルが出まくり、でかいトップウォータープラグに何発も出たり、移動が速いのでフカセ釣りでは間に合わない状況だったとか。
 台風が直撃したものの、翌日の時点で海は凪いでいると聞き、私は「時化後の荒食いが?!」と、考え、23日に予約を入れた。

 23日、船宿で乗船手続きを済ませると、いつも通りに準備を済ませ、餌を買いに行く手間がかからないため、6時前に出船した。
 今回はコマセカツオ船のお客さんを、ソナーが搭載されているためか、普段一本釣りで使っている21号船に移し、我々ルアーマンは18号船になったが、スムーズにキャスティングするため、舳先近くはタモ、ギャフなどは全て片付けられ、予備のロッドも、艫側にティップを向ける形で立てかけ、船は沖へ走り出した。
 船長も普段はイワシ餌を使うだけに、どんな釣りになるか、興味は尽きないが、港を出て30分も経たないうちにナブラに遭遇した。
 激しく鳥が海面に突っ込み、ルアーを投げてもPEラインに鳥が絡むトラブルが続出するが、今回はナブラの規模が違う。
 こんな感じなら、一日中ナブラが出るだろうと踏んでいた矢先に、大艫のアングラーがヒット! 激しくロッドが曲がっている。
「段ボールをぶち抜くつもりで合わせて!」
 私も投げながら見ていると、そう大きくないらしく、間もなく魚は浮いて来た。一発でキングサーモン用のランディングネットに収まったのは9kgほどのキメジだが、イワシを飽食しているのか、丸々太っていて、まるで本マグロのようだ。これは激うま確実です!
(艫近くでボイルしたので、大型フローティングペンシルを投げたら食ったとか)



 次のナブラでは、貴雅丸や弘美丸としのぎを削りながら、チャンスを伺うがなかなか食わせられない。私はフローティングから沈下系に変更する。
 既に78隻はルアー船が周りにいるため、油断はできないが、これだけ大きなナブラ(それも、2つ湧くこともあり!)なら、私たちにもチャンスはありそうだ。
 と、次はナブラの最短距離にいた鈴清丸が掛けた! イワシを積んでいたらしく、散水機が作動し、叩きをやっている人もいるが、どこでイワシなんか手に入れたんだ? 海中に無数のイワシの鱗が漂った。
 ダブルヒットした魚は、いずれもキメジクラスだが8kgはある。立て続けにランディングされるのを見ては、私たちもモチベーションが急上昇!
 とにかくナブラは多いが、海面にベイトフィッシュが追い上げられるまで湧かないと、ヒット率は低いようだ。トップ系で誘い出しを試みるも、あまり反応はない模様。
 次は大きなナブラが湧き、船が既に3隻、それにプレジャーが付けているが、船はそれを通り過ぎた。
 見ると別のナブラが湧き、猛烈な勢いで鳥が海面に突っ込んでいる! おまけに海中からも餌のイワシ玉を突きあげるのか、海面に無数の点が盛り上がっていた。

 私は先ほど、釣った鳥が大型のカタクチイワシを吐き出したことを確認していたため、同サイズのシンキングペンシルを放り込む。        



 必殺アクションには反応がなかったため、フォールさせると食った!
「おっしゃあ! 来た!」
 素早く合わせを入れると、コーラルスターCDOS76MHがへし曲がり、ソルティガ4500Hが悲鳴を上げる。追い合わせを入れたいが、下手すると合わせ切れし兼ねない。軽い追い合わせを入れ、ランディングのため胴の間に降りる。
 手応えから、10kg以下のキメジのようだ。落ち着いて寄せにかかり、上乗りさんがランディングネットを持ってきた。あと10mくらいか?
 と、その時に外れた! Oh my Tuna!
 なんですっぽ抜けたのやら、唖然とするが、これでも合わせが浅かったのだろう。
 しかし、まだスーパーボイルは続いているので、再び舳先から打ち込んだ。距離が近いのでアンダーハンドでも届く。
 またもやヒット! しっかり合わせをくれるも、走りながら激しい震動を見せるので、大型カツオか?
 だが、これもあっという間に外れてしまい、他船とオマツリしてしまった。見ると、周囲の23隻が同じナブラにルアーを投げていたため、他のお客さんもオマツリと格闘しているが、その間にスーパーボイルは消滅してしまった……。  かなりの時間、ボイルが続いていたが、カツオが混じっていただけにイワシは逃げ切れず、海面に追い詰められた挙句、食い尽されたのだろう。
2回もバラすなんて……」
 久々にルアーで食わせただけに、ガックリ落ち込むが、今後はどうなる?
 他のお客さんも何人か掛けていたが、何れもバラしたり、サメにルアーを持っていかれたりと、一本も船に入らなかったのは、信じられないが残念だ。
 その後も鳥山・ボイルは盛んに起こるが、消えるのが速くなってきたらしく、私たちの船は江ノ島沖から長井沖を往復して群れを探索する。
 10時くらいから、風が出てきて波立ち始めたが、それでも鳥山は続いた。
 次第に波も高くなってきたので「もはやこれまでか?」と、思ったが、今日はナブラがいつになく多いせいか、時間の感覚が狂っているようだ。
 途中で一俊丸が良型を上げたり、邦丸が獲ったなんて話を耳にするだけに、いてもたってもいられないが、船長はルアー船団の中に留まる事を良しとせず(カツオの船団には、一切立ち寄っていません)、ひたすら探索を繰り返した。
 波が高くなると、浮きが悪くなるのがこれまでの常識だったが、それでも鳥山が出るだけに、最後まで諦める訳にはいかない。
 途中で、ミノーでトローリングを試すが、しばらく引っ張っている間に、海の状況が変わったのか、船長は一気に船を長井沖に向けた。
 昼を過ぎたあたりから、風が弱まり、波も穏やかになっているのに気付いたが、鳥山の数も次第に増えてきたようだ。
 私はしばらく、ミノーを投げてみるが、さすがに効果は不明。マイワシサイズではでか過ぎるか?
 午前中のようなスーパーボイルも期待できると思いながら、船長はナブラを追うが、私たちも次第に目が効くように感じて来るから不思議だ。
 船舶無線を拾い聞きすると、この間に帰港し始めた船も多いようだが、まだまだ我が長三朗丸は釣り続けること、間違いなしだ。
 と、何度か普段見るような鳥山、ナブラに仕掛けた後、サメ付きのスーパーボイルに遭遇した。2メートル近いメジロザメ類がガパーッガパッとイワシを食い漁り、同時にでかいキハダがイワシを捕食している!
 水面に米粒をばら撒くように、イワシが跳びあがっているが、一人がヒットさせたものの、すぐ外れてしまった。
 もう一人がすぐに食わせ、右舷胴の間でやり取りに入った。ツナロッドの曲がり具合から、かなりでかそうだが、これはバレる気がしない。
 激しくツナロッドが曲がり、ドラグ音が響く中、私もボイルに向かって舳先の右舷、左舷と移動しながらキャストを繰り返すが、当たりはなかった。
 さすがに慣れてきたのか、PEが鳥に絡まることは減って来たが、投げたらすぐラインスラックを回収し、なるべくロッドティップを海面に向けて、空中に漂うラインを減らすのがコツだ。下手するとPEに鳥が絡まり、先のルアーで別の鳥を引っ掛けるようなことも起こりうるので「フローティングでは鳥に食われる」とか「小型のリアルカラーは危険」といった問題とは全く別の工夫が必要である。
 と、魚とのやり取りはなおも続いていたが、やり取りが上手かったのか、掛かりどころがよかったのか、5分程度で魚は浮いて来た。
 ランディングネットに収まったのは34kg級のキハダ!(40sに見えたほど)
 
ヒットルアーは9cm級のハンドメイドミノージグだが、130lbのリーダー+口糸でも平気で食ってくるのだから恐れ入る。
 私なんかは口糸は食いが悪くなるのが心配で結べないが、今日に限っては半数近いお客さんが口糸を使っていたようだ。何はともあれ、本日最初のグッドサイズ出現に船中、大満足。
 まだまだチャンスはある、次は俺が獲るぞ!

 と、次はスーパーボイルを正夫丸が狙い、その次は同船者の沈下系が青木丸でファイトしていた人のラインを拾ってしまったが、無事にルアーを回収し、青木丸の釣り人は掛けていたキメジをランディングに持ち込んだ。
 お詫びして次のナブラへ向かう途中、突然、1015kgほどのキメジが船の直前で跳ね出した! すかさず打ち込むが、口を使わないまま消える。
 スーパーボイルが続くようになってきたので、これならヒット間違いなしだが、素早く寄せて取り込むため、ソルティガドラド80TN10ソルティガ5000Hのツナタックルに、イワシと同サイズの沈下系を結んだ。大型トップよりは飛距離が落ちるも、ナブラまで接近できるので問題はない。
 
次のボイルでは、巨大なカイオケを積んだ、長井の職漁船が先に回って来た。漁業者優先のため、このボイルは諦めるが、でかいキハダの群れに一本釣りは無謀だぞ?!
 午前中のナブラは、10kg以下のキメジも混じっていたが、午後のナブラは大型ばかりのようなので期待が持てる。
 次のスーパーボイルでも、水面に無数のイワシが跳びあがり、その下ででかいキハダが餌を食い漁っている! 
 饗宴が狂宴としか言いようのない状況だが、丸伊丸などはイワシをすくいに来る始末。我らが長三朗丸の船長も、イワシをすくいたいのはやまやまだが、今回ばかりはご容赦願いたい。

 次はDさんにヒットした! エクスプロージョンがひん曲がり、ツインパワーから猛烈な勢いでラインが引き出されていく。ついに250mは出た。                                                               

 激しいやり取りを続けるが、数分後、無情にもフックオフ! 何たることだ……。
 おそらく50s級だったのでは?(ドラグテンション、7kg以上だったそうです)
 私も何とか釣ろうと、次のスーパーボイルで沈下系を落とし込む。
 この間にも何人もヒットさせているが、バラしが相次ぎ、船長も頭が沸騰していたのでは?!
 と、私にもヒット! 素早くスプールを押さえて追い合わせを何発かくれてやり、右舷に下がってやり取りするが、ガンガン寄せると呆気なく浮いて来たのは2kg半のカツオ! みんなルアーを投げまくっているため、タモを頼むまでもないとばかり、ぶっこ抜きにかかるが、船縁まであと30cmの所で外れた!
 
あーあ、面倒がらずにネットを頼めば良かった……。
 と、今日最後のヒットかもしれない当たりをバラして悔しがるが、もう少し力を入れて抜けば、途中で外れても船の中に跳ね込めたか?
 既に3時を回っていたため、他船は極端に減り、後はプレジャーボートとの競争だが、ナブラに突っ込んで潰すような真似をするボートはいない。
 と、ラインシステムを見直すと、PRノットの下に結び目ができていた(!)ため、慌ててシステムを切り落とし、ラインを傷が付いていない場所まで切り捨て、FGノットを組む。いつナブラが出るか分からないので、PRノットを組んでいる暇はないし、コーラルスターCDOS76MH&ソルティガ4500Hではバットパワーが不安だ。
 
しかし、午後のナブラはさらに際に近いだけに驚きだ。以前はこんな際では、居着きの本メジを釣ったことはあっても、カツオはまず姿を見せず、シイラも少ないようなイメージがあったが(イナダなら多い)、イワシの群れがいれば、ここまで来るとは!
 再び現れたマグロのスーパーボイルは、まるで映画『ディープ・ブルー』か、天地創造の日の海のようだが、これまで13年間相模湾に通っていても、こんなにボイルだらけのに遭遇した日は初めてだ。
 東伊豆、千波沖よりも魚影が濃い。
 落ち着いて沈下系を落とし込むと、途中で食った!
 さすがに4回目のヒットということもあり、食わせのパターンも自分なりに分かって来たが、このバイトを逃してなるか。 
 キハダの口をぶち抜くべく、ソルティガ
5000Hのスプールを押さえ、ガン、ガンッと追い合わせを5回ばかり繰り返した。物凄い重量感が伝わってくる。間違いなく良型だ。

 ファーストランに入る前にがっちり合わせを入れたのが効いたらしく、一気にラインが持っていかれるも、外れる気配はない。
 その間に、23人が同時にロッドを曲げていた。
 左舷胴の間に降り、ラインクロスを避けながら戦うが、あまりに強烈な引きなので立ってなどいられない。スタンディングで使う分の体力もリフティングに向けなければ歯が立たない。
 素早く釣り座に座り、足を船縁の内板に掛けて踏ん張る。 
 ツナロッドを使っているため、ためらわずロッドを立ててファイトする。ドラグテンションは
5kg程度だが、ソルティガのブランクがこれくらいで折れるはずはない。
 
 グワーッとロッドを起こすと、魚の走りを確かに食い止めることができるが、既に100mくらいはラインが出ているはずだ。
 ギンバルは使っていないが、当てる位置に気を付ければ大丈夫だ。私が必死にやり取りしている間にも、キハダの狂宴が続いている。
 下に潜ったキハダが、動きが鈍重になり、ガンガン震えるので「まさかサメに食われた?」なんてあらぬ疑いを抱くが、魚もこれ以上下には潜りたくとも、ドラグテンションで潜れないのだろう。
 ラインクロスを避けるため、一度、他のアングラーを経由して舳先に入り、本気のやり取りを続けるが、他のアングラーに飲み物をもらって水分補給するも、ファイト中の写真を撮る余裕がない。その間にバレるとは言わないが、そこまで余裕が出ない。
 これ以上ドラグを締めたら体力が尽きる恐れがあるうえ、現在でも右腕の筋肉が限界に近いため、ただ支えている時は、某DVDで見たように、腕の肘側にロッドを回し、体力を温存する。
 何度か激しく突っ込むも、ツナタックルなら確実に取り込めると踏んでいたため、私は落ち着いてやり取りを続けた。 頭が手前に向いた時は、下手にポンピングせずに巻いた方が寄りが速い時があることも分かったが、一度だけ、魚が手前に来たのをバレたかと青ざめた。
 ただ、最後の詰めで40mくらいまで来たところで、原田佐敏氏言うところの「光の壁」が見えるのか、ロッドを戻す時には巻けても、起こす時にはドラグがズルズル滑って寄せられない。
 ほんのわずかにドラグに触れるが、ここで締めすぎたら一巻の終わりだ。
 その間に、他のアングラーの寄せたキハダはネットに収まるが、30kg級のようだ。
 私はこの「膠着状態」で、何度か走られたが、ソルティガのドラグも、旧式よりも熱を持ちにくいように思える。私はロッドを起こす時、何度かドラグが滑ったが、左手をラインに当て、フライの要領で寄せていく。スプールを押さえてパーミングするのは、一瞬の走りには間に合わない恐れがあるうえ、慣れない真似で獲物を逃すわけにはいかない。
 この方法が功を奏したのか、次第にラインが巻けるようになり、その間に2本目がランディングされた。
 残るは私だけだが、船長に頼んで銛を用意してもらう。万一トロ部に大穴が開こうと、取り逃がすよりははるかにマシだ。
「血を流すのは待って」
 なんて声も聞こえる。先に上がったキハダの血を抜いているようだが、今、海に血が流れるのは勘弁してほしいところだ。
 ラインの残りはついに10mを切り、銀影がリフトアップされてきた。
 私は魚が回る力を利用して空気を吸わせようと図るが、じわじわと距離を詰めて、激しい突っ込みも交わす。
「また7分も回すわけにはいきませんから」
 なんて言いながら、ついにキハダが浮いた。船長の銛が撃ち込まれ、ランディングネットに収まったキハダは28.5kg!(内臓とエラ抜き後、港で合計した検量値)



「船長! ありがとうございます! 今年も男になれました!」 
 去年もルアーで仕留めたが、これでルアーマグロは
2本目だ! (メジ、キメジは別で)

 隣のプレジャーからは拍手が聞こえ、私も「魚は何?」と聞かれて「いい型のキハダです」と、笑顔で答える。
 船長も上機嫌だが、一回のナブラで4人くらいヒットし、そのうち3本がランディングされたという快挙は滅多にあるものではないだろう。 
2008年には、フカセで船中12本なんて実績もあるが)
「はい、これで上がります」 
 そう言われて、異議のあるはずもない。バラした人も何回はヒットさせていたのは間違いないのだ。

 私はルアーを外すと、キハダの頭をナイフで突いて締め、写真を撮ってもらうや、エラと内臓を抜いて、クーラーでわずかな氷と海水で可能な限り冷やす。

 帰港後、検量&写真撮影を終えるや、尾を切り落としてクーラーの蓋を閉め、氷詰めにして持ち帰るが、脂の乗りが良く、丸々と太っていたためか、去年の33kgよりもよく引いた気がする。
 いやはや、ツナゲームでこんないい思いができる日は滅多にないが、挑み続ける価値がある獲物だ。 30s弱でこれだから、50kg級ならどうなるんだ?!


 以下、船宿情報を転載。 

     ルアーマグロ

    本日の釣果

 923日(金) キハダ 27kg35kg 船中4 

 やりました!!
船中4本他キメジ混じる^^

hit
数はなんと19回でした!!
また明日もがんばりましょう!!
ご予約お待ちしてます^^

23
日(16:30更新)

http://www1.odn.ne.jp/~car57610/rua.htm


 10月1日

 今年の初夏、私が授業補助員をしていた大学時代の後輩と知り合った。
 彼女は某大手水産会社に就職し、同期に日本魚類学会にも所属する、大の釣り好きがいるということで、魚の話で盛り上がり、「101日に、カツオ・キメジを狙おう」と、話はまとまった。
 もっとも、今年は餌のイワシが入手困難で、やむを得ずビシ釣りで挑戦することになったが、私以外に5人のメンバーが集まった。 

 かくして101日、葉山の長三朗丸に再び足を運んだ私は、既に一本釣り船、ルアー船で顔なじみとなっている常連客と挨拶し、情報交換するが、上乗りさんも「今日はコマセに乗るの?」と、驚いていたようだ。
 さすがにルアーキハダは、素人にはリスクが高すぎる!
 全員分の乗船手続きを済ませていた私は、先に氷を買っておいたが、そこに参加メンバー・男性3名、女性2名が到着し、全員で女将さんに挨拶した後、準備にかかる。
 私もビシ釣りなんて6年ぶりだが、船長が用意してくれた貸し竿やキーパーを船縁に取りつけ、コマセのオキアミ(一人3sまで使用可能)を溶かしてもらう。
 沖に向かう間に、ルアータックルも組み立てるが、昨夜、プロショップで購入したMCワークスのボビンは実に使い勝手がいい! もうクリップなんて使えません……。
 カツオ用のハリスを結び、途中でキハダの跳ねがあったので投げる準備をするが、生憎、チャンスはないまま、カツオの船団に突入した。
 タナは35mくらいだが、第一投は外したものの、反応を追って船を付けるうち、私のリーディングXゴウマンが絞り込まれた!
 「食った!」
 40sのクロマグロを仕留めた竿だが、慎重に寄せると、水面近くでまた激しく突っ込み、あえなくバラしてしまった! 4s近い、いいカツオだったのに……。
 ルアーやフカセと違い、最後はハリスを手繰らなければならないため、いささか勝手が違うようだ。(もっとも、カツオをビシで狙ったのは初めてだが)
 次は、私のビシ竿と石鯛リールを使っている仲間が掛けた! 強烈な引きに翻弄されているようだが、無事に上がったのは3s級のカツオ!

                                    

 反対側(左舷)でも、小型シイラが上がったが、その次に女性アングラーがいいカツオを獲った。これで釣りガール、カツオデビューか?!(彼女、シイラ船経験済みです)

                                                                        

 群れが船に着いたらしく、次々に竿が曲がり、私も食わせた!
 慎重に寄せ、船長にハリスを手繰ってもらいつつ取り込んだのは、やはり3s級の良型。先月釣ったものよりも明らかに肥えた魚体だ。


 今回も「特船オキアミ」を使ったが、本物と違ってハリから外れる心配は皆無で、魚の食いも良好だから、実にありがたい。
 私の隣の女性アングラーは、オマツリの際にビシが吹っ飛ばされたり、日本水産学会員は2本釣った後、でかいのを掛けて貸し竿のPEが高切れしたりと、トラブルにも見舞われたが、隣の女性がバラし連発するも、何とか他のメンバーは全員が魚の顔を見た。
 食いが立っている時など、ジギングでもヒットさせていたがバレ、途中で船長は船団を離れ、別の群れを探すが、船に着かなかったらしく、船団に戻る。
 ここでは仲間が食わせたのを見て、私も一気にコマセを振り、当たりを待つとガツガツーン! 気持ちよく穂先が曲がるのを楽しみつつ、余裕で寄せる。
 これはオマツリしていたが、無事に取り込む。
 今回はオマツリも多かったが、何とか協力して解く。
 かくして釣り続けるが、ビシ竿を使った仲間は、しっかり竿をキーパーから外してコマセを振ったのが良かったのか、4本キャッチしていた。
 私はまた食わせたが、魚がまだ弱り切っていないときにタモを入れたため、タモの縁が触れたショックでバラシ……。
 船酔いしたのか、半分近くダウンしている者もいたが、隣の女性もバラシが少なくとも3回はあったが、最後までコマセを振り続けた。
 次第に、他船でも当たりが遠くなってきたようだが、2時まで反応を追い続け、この日の釣りは終わった。
 釣果の内訳は、キメジは出なかったものの(数日前から、2kg弱までの本メジが釣れ始めたが、船長は構う気はない模様)、女性アングラー1人がゼロ、もう1人はカツオ1本、私を含む男性陣3人がカツオ2本、そして4本という具合。しめて6人で11本也。

 ゼロが出てしまったのは残念だが、いい型のカツオがほぼ全員に上がったため、港で記念撮影だ。


                                    

 イワシさえ手に入れば、もっと簡単な道具で、数が釣れるが、船長の協力に感謝。
次は一本釣りやフカセで!



 108

 10月に入り、一部の船はルアーでのキハダ狙いを終了していたが、魚はまだまだ釣れているようで、私も「10日に出漁しよう」と、考えていたものの、長三朗丸で同船したDさんから「10日は半額で乗れる」と、聞いたうえ、8日も予定が空いたため、2度の挑戦を決意した。
 4日には80kgクラスをバラしたという報告があり、7日には常連のWさんがついに31kgを獲ったというので、「こりゃいけるぞ!」と確信し、葉山に向かった。

 以下、長三朗丸・ルアーマグロ船のブログより引用(大船長、栗飯原由巳氏より引用許可済み)

 10月4日火曜日

 朝からコンスタントに魚の浮きも良く日曜に乗船して下さったお客様、本日、再度の挑戦で
 食いました!
 

20分ほどで近くまで上がって来ましたが、そこからのマグロの抵抗が
1時間近くの一進一退のやりとりの末、リーダーまで何度も来ましたが、最後船底にすれてラインブレイク。
 7080キロはあろうかと云う大物!
 取り込めなかったのが残念でしたが、大興奮のサイズでしたし、本当にお疲れ様でした!!
 その他、10キロほどのキメジがあがりました。
 キハダマグロとサイズを比べると、マグロハンターの皆様には納得がいかないサイズでしょうが、この10キロ前後サイズ、市場でも高値がつくほど(受け売り話ですが)、驚くほど脂がのっていて美味しいです!

107日金曜日

 やりました、31キロマグロ
 横浜の綿貫様、ありがとうございました!
 この方が釣らずして誰が釣る!?というほどのマグロハンター綿貫様、今期は絶不調
 36回目のご乗船で初!
 2本目、期待しております。(笑)

 ボイルほどではない、単発で顔を出す群れでしたが、落として、しばらくして回収しようかと云うその時に!?
 あれっ、ついてる、ってな感じだったそうです。 



タックル
竿:  トビペン78
リール:  トーナメントISO6000PE6号、ナイロン35号)
ルアー:  オーバーゼア130

 ……早朝、葉山港に着くと、船宿の席順を指定するホワイトボードに名前を入れ、受付時間になって起きてきた常連のお客さんと挨拶する。
 今回は左舷
3番目だが、船は大きいので余裕を持ってキャスティングができそうだ。さすがに2日通えば、この状況なら1本は出るだろう。(何という楽観!) 
実は
Dさんに「七〇があったら、買ってきてほしい」なんて頼まれていたので、某ジグミノーを仕入れていたが、自分用に2本買っておいたので、他のお客さんにも実費で分ける。
 まるでルアー屋にでもなった気分だが、常連客同士で信頼関係ができていることと、万一、事情が変わった場合、自分が使うことになっても納得できるルアー以外では、こんな真似はできません!
 氷を仕入れ、第18長三朗丸に道具一式を積み込むが、出船前にメッキを狙う余裕なんてありません!
 ソルティガドラド・80TNにソルティガ5000Hのツナタックルは4.5s、コーラルスターC-DOS76MHにソルティガ4500Hのライトタックルは3.5kgでドラグを設定するが、キメジしかいない限り振りたくない!
 土曜、しかも3連休の初日ということもあり、ルアー船のお客さんは9人だったが、コマセ船は10人くらい、ワラサ船も10人以上がいるようだ。
 いささかオマツリが懸念されるが、舳先は慣れた常連同士なので(一見さん排除の雰囲気はありません)、まず問題はないだろう。

 予備のタックルを寝かせる場所には、Wさんが濡らしたタオルをあてがう。
「こうすればラインが擦れない」
 確かに、PEが擦れたらえらい事になるからなあ……。
 まるで仕立てのような雰囲気で、船は沖へと進んでいく。今日は西方面へ向かうようだ。

                                               

 1時間ばかり走った頃、イワシを固めた鳥山が出た! 無数の鳥が海面に群がる。――周囲の船が近づく前に、狙いを定めてルアーをぶん投げた。
 ベールを返し、ルアーがクックックッと左右に揺れながら、水平フォールで誘っていくと……。 モゾモゾ、ゴツゴツ……。と、生体反応が伝わって来たが、鳥にPEラインが絡まりかけている可能性も否定できないので、そのまま待つと、ググッと持って行った。
「食ったぁ!」
 まさかファーストキャストで食うとは! 一気に合わせをくれ、2回ほど追い合わせを入れるが、明らかに魚がでかい! 感触から言って30kg以上は確実だが、あっという間に右舷の舳先まで引っ張られた。
 その間に、前回も船中1本の獲物・34kgをカー〇ンターのルアーで獲ったMさんがヒットさせた。
 私のソルティガからは容赦なくラインが出続け、全然止まる気配がない! 200m近く出されても勢いが衰えないので、このままでは全部引き出されてぶった切られかねない。
 ロッドをしっかり立てても、なおもスプールが痩せていくので、じわじわとドラグを締める。急激に締めすぎなければ切られる心配はないはずだ。
 ファーストランが止まった。
 凄まじい重量感なので、ポンピングにかかるも、なかなか巻き取れない。肘でロッドを抱えてしのぐ。今日こそはファイトシーンの撮影もしてもらおうと、カメラを取り出そうとしていると……。
 何とフックオフ! 追い合わせが甘かったのか? 油断した私のミスだ。
 魚が手前を向いただけかと淡い期待を抱いたが、無情にも軽いままの手応えで、私はせっせとラインを回収していったが、前回、Dさんがバラした時と同様、ラインを出されてからなので、巻き取るまでの時間が面倒。
 ST66-1番のトリプルフックは無事だったが、掛かりどころが悪かったのだろう。追い合わせがまだ足りなかったのかもしれない。
 その間にも、Mさんのファイトは続いていた。周りでは依然として鳥山が出続けるが、他のアングラーも盛んにルアーを投げ、他船も操業しているので、あまり無茶はできない。



 私のルアーにもイワシがスレ掛かりしたが、次の当たりはないまま白んできたので、Mさんのファイトを観戦する。
 私と同い年だが、出船前から「できるだけルアーでチャレンジする」と話していた彼は、やり取りも上手で、10分ほどで魚は浮いた。船長が銛を打ったキハダは、明らかに35kg以上の良型だ! 口から吐き出すイワシは前回と同じサイズ。



「おめでとうございます!」
 彼はTICAのタリスマンという、某掲示板でも話題になった新型のスピニングリール(ステラやソルティガよりもお手頃です!)に、天龍のスパイクツナだが、やはり見事だねえ。
 私がバラしたサイズも、同じサイズだろうなあ……。
 最初のナブラで船中ボウズ脱出、しかも良型とは嬉しい限りだが、次は私も! (とはいっても、前回釣っているせいか、やたら焦るわけでもない)
 次の群れまで、しばらくクルージングを強いられたが(やり取り中、大汗をかいたうえ、暖かくなってきたので上着を脱いで軽装になる)、3040分くらいでイワシ玉を固めている鳥山に遭遇した。
 水面にキハダの姿は見えないが、その下でイワシを食い漁っているのは間違いない。激しく鳥が海面に突っ込むのが見えた。
 大磯の邦丸も隣で操業しているが、長三朗丸が先にナブラへ付けたため、オマツリにだけ用心し、遠慮なくルアーを打ち込む。
 沈下系をフォールさせて、放置プレーで待つも食わぬとみるや、昨年のように、必殺アクションで誘うが、水面で激しいボイルを見せる訳ではないので、こちらも効果はない。
 ならば、と、カラーチェンジ(ピンク系からナチュラル系へ)して、再びナブラを撃っていく。
 ナブラは全然消える気配がないので、いくら食い渋っていても、餌を捕食している魚がいる以上、絶対に釣ってやる!
 早くも、前回キハダを獲ったGさんが魚を掛けた! 壮絶なやり取りが展開されるが、次は自分の番だ。
 と、ひと際激しく、鳥が海面に突っ込み始めた。海の中でキハダがイワシを食い出したに違いない。こんな時はキハダも興奮状態なので、タイミング良くルアーが現れたら、間違いなく食うはずだ。
 投げながらそんなことを考えている間に、ルアーは沈下し始めた。カーブフォールさせると、またもや食った!
「おっしゃー、今度こそ上げたる!」
 素早く合わせを入れ、さらにガン、ガンッと追い合わせを入れる。魚が走りだしてもさらに追い合わせをくれる。
 ラインがさっきよりも激しく出ていき、ドラグが鳴り続ける。しっかりロッドを立ててしのぐも、止まる気配はない。
 やはり200m近く出されたので、少しずつドラグを締めるも、これまでの経験か、何故かバレる気がしない。カツオ、メジには強過ぎるテンションでも、魚がでかく、ラインが太いため、決して過負荷ではない。
 いつの間にかGさんのやり取りは終焉を迎え、長三朗丸・ルアー船初乗船・パームスの帽子のNさんが舳先でファイトしていた。
 魚の疾走は止まったが、膠着状態の間にラインクロスしそうになるので、何度もかわすが、ヒヤッとさせられる、どうしようもなかったら、ベールを返してしのぐしかないが(バラしても、ルアーを持っていかれるよりはマシ)、幸運にも二人とも無事にラインクロスをかわし、ファイトを続ける。

                                                                                                                                 

 上乗りのかづみさんにお茶を持ってきてもらったり、先に魚を上げたGさんにファイト中の写真を撮ってもらうが、激しく汗をかくと共に、上半身の力が最後までもつか心配になって来た。
「このギンバル、借りていいですか?」

 Mさんのギンバルを腰に締めてもらい、バットエンドをしっかりはめ込む。
 その間にも、明らかに体力を消耗していたので、ポンピングするタイミングが前回よりも遅くなっている。魚が大きいせいか、ロッドを起こさないとまず巻けない。
 いくら肘を使って負担を交わすも、全体の力が次第に減っているので、グワーッとのけぞり、一気に巻くのがきつい! 下手にロッドを起こしすぎると船底にPEが触れかねないし、戻し過ぎると、再びリフトアップするときの負担が半端ではない。

 

 油断するとタックルを持っていかれかねないため、「最悪の場合は、交代ファイトも?!」なんて思いがよぎるが、魚は重いものの、ダッシュを繰り返すわけではないので、じわじわとポンピングしながら寄せていく。
 船縁に足を掛けて踏ん張ると楽だが、PEと船底が近づくので、立ってファイトしてかわす。
 素手だとロッドを握る力も抜けやすいように感じるが、あと5040mと次第に魚との距離は縮んでいった。
「取り込みはどうする?」
 と、船長。
「今回も銛でお願いします!」
 船長が銛を用意し、魚を待ち受ける。
 ガンガン寄せていく間に、私は出ていたPEの量を、20mほど多く見積もっていたらしく、思ったより早く、魚は足元に寄った。 
 この魚体も明らかに
35kgはある! しかし、私は圧倒されることなく、魚を容赦なく寄せたため、一度、反転されたものの、次の回しで魚は浮き、船長の銛が魚の頭を貫通した。
「やった! 連続ゲットとは……」
 前回より明らかにでかい! 
 テンションを緩めると、いつの間にかルアーが外れていたのでヒヤっとするが、無事に魚が上がって満足。
 魚を抱え込み、かづみさん、Mさんに写真を撮ってもらう。

 

Nさんはまだやり取り中なので、海に血を流すわけにはいかないが、魚を締めるだけは締め、内臓とエラを抜いて、腹に氷を詰め、マグロを入れる発泡箱に移す。

この時の内臓とエラ、血液でおよそ3kgくらいだろうか。
 私はPEに撚れがかかり、傷ついているため、10mほど切り詰め、ついでにボールベアリング入りスイベルにジグを付け、ラインの撚れを少しでも取ろうとする。
 Nさんと魚の戦いは依然として続き、さらに40分近くも続いたが、私に掛かっていたら、間違いなくノックアウトだっただろう。
 果てしないやり取りの末、浮いたキハダに銛が撃ち込まれた! タモになかなか入りきらないほどの大きさだ。
 船に上げられたキハダは、50sくらいはあるのでは? ハカリ一つでは間に合わないので、私のハカリと船のハカリを合わせるが、50sUPは確実だ。


                                                

 これで船中4本という快挙だが、フックはカンヌキに掛かり、もう一方のフックは曲がっていた。(もう一人のフックも同様)
 頭に刺さった銛が、骨の間に入ったせいか抜けないので、銛っ端のワイヤーを付けたまま記念撮影だが、こりゃでかい!
 10時前に船中4本なので、この後はまだまだいける! と、確信して魚群を探索するも、シイラはバンバン食うものの、肝心のキハダの跳ねは少なく、船長の息子さんが操船する21号船(コマセ船)と遭遇したり、流れ藻の間に見えるカンパチやオキアジを狙うも、シイラしか食わなかった。
 ただ、ハリセンボンの子が群れていたのでタモで掬い、飼育用に5尾だけキープする。


 午後になって、またもや激しい鳥山に遭遇したが、他船との兼ね合いもあり、何回か投げるもすぐ沈んでしまう。
 無数のイワシの鱗が漂っていたが……。
 帰港途中も、船のすぐ横で何本もキハダが跳ねたので、私は跳ねの中にルアーが入るも(大きなキハダが追ってきたとか)、食わせられず、結果的には朝方のみの勝負という形で帰港した。
 ノーキャッチの5人は気の毒ですが、船中4本はルアーマグロでは十分すぎる快挙です!
 同船者の中に、青森でクロマグロキャスティングをする人がいたので、話を聞かせてもらうと、ワラサはうじゃうじゃ釣れるが、夏は脂が少なく、持って帰る人はあまりいないので、泳がせの餌になってしまうらしい。(マグロに行く前の練習で狙うとか)
 また、真鯛は味が良く、ラバージグが有利だというが、肝心のマグロは100kgオーバーも出るため、PE8号が標準だとか、ナブラまで5060mは投げる必要があるというので、ソウ〇ズ のルアーが、タッ〇ルハウスの純正品よりも重たいわけだ!
 さて、港に戻ると4人で記念撮影後、キハダの尾を落としてクーラーに入れようにも、魚体がでかい(内臓、エラ抜きで36k、合計で39kgと判断)ため、頭も落とさないと無理。

 かくて魚をバラし、クーラーに仕舞うのだった……。

 当日の船宿ブログ(引用許可済み、一部制作者による加筆訂正あり)

 108日土曜日

 今日もやっちゃってくださいました、マグローハンターの皆様! 
 船中4!! 

 朝一、鳥も静かで遊覧船始まりで、とうとう、マグロ終わりか!?と一抹の不安が。。。。
 と、思いきや。。。。
 いましたいました、鳥山の下に餌持ちのナブラ!
 マグロハンターの皆様のルアーが音をたてて、飛ぶ飛ぶ!
 おっとぉ〜、長三朗丸のお魚さんこと、白畑様、ヒット!
 続いて、先週、一投げしたら食っちゃったの、モッチー様、ヒット!
 続いて二部様ヒット! 
 二部様は、11キロのメボウを、さっさとゲット。 
 惜しくも、白畑様はちょっといい感じのやり取りの後、フックアウト。。。。
 モッチー様、その後、余裕の40キロ、ゲット!
 次のナブラが良いサイズのイワシ団子をずっとかためてくれて、それに目掛けて、マグロハンターのルアーの音が飛ぶ!
 2
週間ほど前に、しらっとマグロゲットした源馬様、ヒット!!
 続いて、又も白畑様、再度ヒット!
 先ほどのフックアウトで益々、燃えたか、背中の気合の入り方が違う!
 まだまだ、ハミは船の前で付かず離れず。
 皆様、投げる、投げる!
 鳥の猛攻撃と、他の人とのラインの絡みにも負けず、投げ続け、先ほどの11キロのメボウを小さいとつぶやいた、二部様、又もヒット!!
 そうこうしているうちに、静かにカフェでお茶を飲むかのファイトで源馬様40キロゲット。
 先ほど、無念のフックアウトの白畑様も何時もの落ち着いたファイトで、39キロゲット。
 さて。。。。
 二部様はと言うと。。。。
 このマグロ、走る走る、力強く走って、挙句にあがって来ない。
 やっと姿が見えたと思ったら、横向きでなく、まだまだ元気の通常のかっこで水中に!?
 と、思ったら、やっぱり走った!
 ちょっと長くなりますので、割愛しますが、しぶといマグロでした。 力強いマグロでした。。。。
 えっ、どうしたかって!?
 もちろん、二部様、終始落ち着いたプレーで、54キロ、ゲット。
 見ているだけのこちらが興奮しどうしでした。
 皆様、ありがとうございました。
(なお、誤字脱字がありましたら、覚めやらぬ興奮のせいですので、お許しを)

本日のヒット(ゲット)タックル



モッチ−様(40キロ)
ロッド:  天龍スパイクツナ
リール:  TG8000 (PE6号、リーダー100lb
ルアー:  七ツ星



源馬様(40キロ)

ロッド:  DAIKO ヘミングウェイ 8.8
リール: ツインパワー12000 (PE6号、リーダー140 lb・口糸220 lb
ルアー:  トビトウィッチャー



白畑様(39キロ)

ロッド:  DAIWA ソルティガ DORADO 80TN
リール:  ソルティガ5000H (PE5号、リーダー24号)
ルアー:  オズマHW



二部様(54キロ)

ロッド:  リップルフィッシャー七里カスタム
リール:  ステラ10000 (PE5号、リーダー100 lb) 
ルアー:ボラドール

本当にご乗船の皆様お疲れ様でした!

http://www1.odn.ne.jp/~car57610/rua.htm

 

 1010

 8日のキハダは絶品だったが、ギンバル、グローブなしのファイトは30kg以上には無謀と判断し、渋谷のサン〇イでファイティングパッド、グローブ、プライヤーケースなどを購入したが、その時、キハダの話をした釣り人が、常連Mさんの知り合いだったとか……。
 また、PE5号が傷んでいないか気がかりなので、裏返して巻き直した。 

 この日は我らが長三朗丸に、小田原の弘美丸に乗っていた知人が来るので、彼の座席も確保して出漁した。
 コマセ船には、先月一本釣りで同船していたIさんも来ていた。
 本日はルアー船も半額サービスだけあって、12人の客だ。


 朝から大きな鳥山に遭遇するが、食いが悪く、Dさんがサメをバラしたり、長助丸とオマツリしたり、他の人がジギングでカツオをバラしたくらいだ。
 たまりかねて移動し、小規模な鳥を見て投げるも当たらず、昼にいい鳥山に遭遇するが、邦丸ともども、30分以上かけて狙うも、前回大型をバラしたKさんのロッドが絞られ、3分ほどのやり取りで17kg級のキメジが上がったのみで、後が続かない。見切りをつける。

 常連のWさんなど、邦丸の味澤船長に「全出席だね」と心配されるほどだが(!)、ここまで来ると、さすがに私も真似はできない。 
 この日はシイラさえ食いが渋かったが、大型のカツオも跳ねていたので、小型のジグを投げて狙うも食わず(日立沖で使ったフリッツ
75gが振り切れた!)、知人のTさんがジグミノーで食わせるが、ラインシステムから切れてしまった……。
 今日はDさんの仲間から、PRノットの作り方を教わったのが大きな収穫だったが、長時間鳥山が出ていても、食い渋るのはやきもきさせられる。
 マイワシなら食ったか?

 当日の船宿ブログ

 1010日月曜日

 今朝は朝からナブラはあるものの、マグロ、跳ねず、踊らず。。。。
 その後、ハミつきのナブラを2度ほどやりましたが、ハンターの皆さんの狙い大物マグロは今日は姿をなかなか見せず、カツオ、メボウの下に居たようです。 
 そんな中、先日、もどう見ても80キロオーバーはあると言うような大物を最後の最後に、船底スレで惜しくも逃してしまった、笠井様が、今日のこの食い渋りの中、またも確実にヒット!
 今回は難無くゲット。 
 大マグロとはいきませんでしたが、大メボウ!
 
17.5キロのマグロシェイプのメボウでした。 

 その後、ハミもちをずっとやっていましたが、ヒットせず。 
 カツオのナブラがあちこちに見られ、サイズも大物で何度もやりましたが、ヒットせず。 
 唯一のヒットがラインブレイク。 その方のルアー(ビーズハイブリッド)には5匹ほどの45キロ級の大カツオが追ってきてましたが残念!

本日のヒットタックル


鶴見の笠井様(17.5キロキメジ)

ロッド:  カーペンターTBL
リール:  ステラ20000 (PE6号、 リーダー100
ルアー:  七ツ星

 本日もご乗船してくださった、マグロハンターの皆様、昨日の風と夜中の雨のせいか、魚の浮きの悪い中、お疲れ様でした。
ありがとうございました。




  11月21日

 

  10月中旬、大型キハダの群れは相模湾から抜けた。
 しかし、10kg級のキメジが増えてきて、3kg級主体で5kg以上も混じるカツオと共にビシ釣りで釣れ続け、11月に入っても好調は続いた。
 日によっては、10kg級キメジを2、3本釣る人も出たり、カツオの新群れが入ったのか、ルアーで数釣りできる日もあったり、次第に型の良くなってきた(3kg級まで)本メジも混じるようになってきた。

 私は所用のため、釣れていると分かっていてもなかなか出漁できなかったが、1121日の月曜、久しぶりに父と共に長三郎丸へ向かった。
 船長に近況を聞くと「魚はとても多い」という話で、おそらくオキアミに学習しているようだ。餌のイワシも多いが、肝心のカツオ、キメジが浮くことは少ないという、ジギングも有効だというが、私は移動中、引っ張りの道具を出す許可をもらう。
 なお、ここ数年、餌のイワシが手に入らないのは、「高水温のため、定置網よりも深い場所を回遊している」のが原因だとか。
 確かに、ルアー専門船の時は、イワシ玉自体は数多くあったなあ……。
  ルアー船の場合は、どうしても技術が必要(→つまり、餌釣りほど数を伸ばすのは難しい)うえ、道具を揃える必要があるのが船宿側としてもネックだという。

 さて、この日は平日なのに7人ほどお客さんが集まり、6時半に出船すると、まずは西沖へ向かった。既に20隻近い船が操業している。
 場所からして、イナダと本メジが混成している場所だと踏んだが、最初の流しでは船中、誰も当たらなかったので、163mの仕掛けから、84.5mの仕掛けに替えると、次の流しで小さな当たりが来た。
 竿を持って誘い上げると、ククッと絞られる。
「これはイナダだな」
 すんなりと寄ってきて、ハリスを手繰る時などは「サバくらいの手応えだが…」と、感じつつ水面にイナダの姿が現れたが、掛かりが浅かったのか、頭を振った瞬間にバレた。
 もったいないと考える間もなく、父の竿にも当たり、40cmほどのかろうじてイナダと呼べるサイズを抜き上げた。飲まれていたのでハリを外していると、私の竿にも再び当たりが!
 こんどはしっかり合わせを入れ、ハリスを一切緩めることなく、強引に寄せて抜き上げる。


イナダも久しぶりだなあ……。(そもそも、イナダを狙う機会が減っているか)
 この間、クロマグロ狙いの餌に使ったサバと大して変わらない大きさだが、ビシ釣りのみならず、ジギングで食わせたら面白いかも?
 再び当たりがあったが、特船オキアミだったので、しゃぶっても食い込まなかったようだ。こんな時は本物だけを付けた方がいいか?
(といっても、餌持ちのよさから、もはやカツオ・メジ類のビシ釣りでは特船オキアミ、手放せません!)
 しかしながら、イナダばかりなので船長は移動を決意した。
 今日は18号船の若船長が操船し、いつもお世話になっている大船長は舳先で電動二本竿という組み合わせだが、毎日沖に出ている船長のコマセワークを間近で見るのも勉強になる。
 私は移動中に、自分でオモリをフロロカーボン30号にかしめたビシマを使い、タコベイトを引っ張る。
 今度は西沖から、沖の瀬まで走ったが、散水している船が3隻ほど見え、他にも4隻ほどの船が操業している。
 空気がえらく済んでいるため、伊豆半島、房総半島、そして伊豆大島までくっきり見えていた。
 引っ張りでは当たりがないので、停止直前に仕掛けを引き上げる。
 ビシ釣りの仕掛けは、再び16号に戻したが、隣のたいぞう丸が10kg近いキメジを上げた。こちらも一気に活気づく。
 まもなく、大船長の竿が曲がった!
 電動巻き上げを開始するも、ドラグが作動して道糸がズルズル出ていく!
 船の周りにはまだいるはずなので、ガンガンコマセを振って当たりを待つと……。
 
 いきなりズドンと私の竿が絞り込まれ、一気に数mは道糸が持って行かれた。

「食った! メボーだ!」
 がっちり合わせをくれ、サメがいるので容赦なくポンピングを開始した。それでも最初の走りは強烈で、ズルズル持っていかれる。
「この道具で40sのクロマグロも獲っている! これなら楽勝だ!」 
 一切、テンションを緩めずに巻き続け、船長が掛けた魚を水面まで浮かせた直後、私も一度、左側に走られたが、ビシが見えてきた。その下で
10kgには届かないが、いい型のキメジが寄せられてきて、反転した。

 しかし、再び寄せ、若船長がハリスをつかみ、キングサーモン用のネットに8kg級のキメジは収まった。

                  


 「やったあ! 一丁上がり!」
 鋭い歯が並ぶが、カンヌキにがっちりと掛かっていた。
 この後も次第に魚の活性が上がって来たのか、他の釣り人にもポツリポツリと当たるが、いずれもキメジで、カツオや本メジのような小型は食わなかった。
 しかし、良型のキメジはサメに3回ほどやられたり、バラシも一回あり、船中の当たりは9回だったが、無事に上がったのは5本という結果だった。
 大艫で釣っていた釣り人は、幸運にも2本をキャッチしたが、マイワシを使ってフカセ釣りができれば……。



 なお、職漁船が散水しているのを見たり、長井の貴雅丸も散水していたが、私が見ている限り、釣れている様子はなかった。
 他にはまさみ丸、五エム丸、島きち丸、萬司郎丸、沖衛門丸、庄三郎丸などが操業していたが、魚は多いものの、ポツリポツリの釣果だった。
 ただ、本命ボウズだった父には、大船長が釣ったキメジの切身がお土産に……。

 



 12月10日

 脂の乗ったクロマグロを狙って、再び忠兵衛丸に前夜10時発で向かった。
 途中で活アジを仕入れ、船宿で乗船手続きついでに話を聞くと、(7月に同船した方もいました)最近、サンマが入ってきているため、サバ餌では食いが浅く餌が傷だらけになって帰ってくることがあったり、「こんなにいたのか」というほど跳ねていたとか。

 また、クロマグロは非常に貪欲なため、10年ほど前に黒瀬で上がった290kgは、キンメを餌に使っているが、1mほどのツノザメも飲み込んでいたという……。
   船着き場へ移動すると、船上はまだ凍っていたが、サバ釣りの準備をし、キャビンでひと眠りする。それにしても寒いわ!

で、40分ほど走った後、フラッシャーサビキでサバを確保するが、最初は食いが悪かったものの、しばらくしていい反応に当たり、指示ダナで待つと鯉のぼり状態(笑)。しかも、以前より小ぶりな、30〜35cm前後の中サバがかなり混じるので、食い込みも良さそうだ。


 
 今回のフラッシャーサビキは、ムツバリを使っていたため、バレも激減している。釣ったサバは1トン入る生け簀にどんどん放り込む。
                    

 かくて、思う存分餌を確保して、船はマグロ場へ向かった。
 
 この日は下田の龍正丸、稲取の山吉丸、神津島の剛徳丸などが来ていたが、他にもプレジャーが2隻ほど……。

 私は最初の投入で、いつの間にかテンションが軽くなってしまい、もしやと思って巻き上げると、ハリごと餌が消えている!
 沖サワラにフロロカーボンの30号が、一発で切られたらしい……。

 大艫の釣り人も掛けたが、口糸が歯で切られた。(今回は手巻きリールを持っている客が半数ほどいた)

 
 その後も何度か当たるが、どうやらサメのよう……。

 魚探にマグロの反応があるものの、アジを流しても食わず、ミヤマエのでかい電動リールに、PE15号で流していたお客さんが掛けたが、下に持っていくのでマグロかと思い、やり取りを見守るが、激しい突っ込みを見せたあげく、浮いて来たのは2m以上、100sはありそうなオナガザメ(ニタリか?)!

 私のサバも、一度は明確に追われたものの、食い込まずに終わった……。

 今回は帰港中、キャビンで十分に休めたため、帰りの運転も楽だったが、寒いうえ、釣れなかったのは残念……。
 相模湾のキメジ・カツオがいなくなったので、千波のクロマグロをやろうと思ったら、食い渋りとは……。


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