7月16日

 久米島から帰島後、東伊豆沖のクロマグロが次第に盛り上がり、キハダも混じるようになった様子を見ていたが、冷凍庫に刺身在庫がまだまだ残っているため「7月にクロマグロ1回やって、後は9月頃から取り組むか?」と、考えていたら、えらい事になった。

 7月上旬、貴雅丸が4本キハダを獲ったうえ、連日のキャッチの結果、三日で11本!
 他船も次々に釣果を出し始め、長井、平塚、小田原いずれの船も好釣果が報告されていた。

 最初はシイラタックルしか積んでいないときに遭遇し、ラインを全部持って行かれたり、ロッドを折られた者もいたようだが、今回は20kg前後の「取り頃」サイズが多かったため、PE4号で充分との意見があったり、仲間からも小田原の船でキメジを獲ったなんて聞いて期待が弾む。
 キハダ、キメジ、カツオの混成群で、カツオが見えていてもキハダのルアーを投げると、下からキハダが浮いてきて食ったなんて話も……。
 私は情報が入ってすぐ、貴雅丸に予約を入れたが、船長も覚えていてくれたよう。出船は4時半という早さだから驚いた……。

 なお、この間にBBC制作 ブルー・プラネットシリーズ第3作(映画、『ディープ・ブルー』の詳細版)OPEN OCEAN』を見たが、マカジキやバショウ、そしてキハダが獲物に食らい付く様子が秀逸!
 絶対に見て損はありません!

 各ルアー船のみならず、去年よりルアーキハダ船を出して成果を上げた、茅ヶ崎の一俊丸、葉山の長三煌ロも出船決定だが、今回は先約があるので悪しからず……。

 一方、佐島の深田家は未だ動きを見せず。
 プロショップの店長も、平塚の船で20kg級をフローティング系で釣ったというが、私は悩んだ挙げ句沈下系を購入……。

 事前に「PE4号&80lbで充分」と聞いていたが、久米島ではシイラしか掛けられなかったツナロッド、VF-9012ERでどうしても獲りたかったため、まずはこの竿にソルティガ6500H PE6号&24号、次はコーラルスターC-DOS76MHにソルティガ4500H PE4号&20号、そしてカツオ、キメジ用にソルティガヒラマサ63Sにソルティガ4500H PE3号&12号の組み合わせで、長井へ向かった。

 貴雅丸で受付を済ませると(この日は乗合11人、さらにプロショップの仕立てあり)、北村さんも来ていて驚くが、やや風が出ているので、しばらく出船するか検討する。
 その間に、当HP閲覧者の方ともお話しする。(こちらの方、外房ヒラマサフリークのようです)
 結局、風がまだ残る中出船したが(長井水産で氷を積む)、ミヨシ一番を取れたのは嬉しいものの、かなり波をかぶり、朝方はやや肌寒い!
 1時間半ばかり走り、次第に鳥が見え始めたが、北村さんが「あの辺が怪しいぞ」と船を寄せると、鳥が固まり気味の場所を見つけ、一気にツナロッドを振り抜く!
 着水後はラインスラックを取りながら、カーブフォール気味に誘うが、反応はない。
 しかし、移動が早く、魚が沈んでいるのか魚影は見えず、あっと言う間に移動してしまったが、まだこの近くにいるのは間違いないので、しばし探索を繰り返す。
 もう一度船を着けてみるが、やはり動きが止まらない。
 
 ここで少し移動となったが、今回のアングラー、半数以上がソルティガを持参し、それも5000番から6000番台が多い。ドッグファイトも何台か見え、NEWソルティガもかなりあったのだから恐れ入る。
 ロッドもカーペンターがかなり目立つが、MCワークス、CB-ONE、ダイワなども……。
 移動中、隣の方とお話しすると、去年長三煌ロで乗り合わせたMさんの知り合い! しかも、サンスイでも会っていたようだから、世の中狭いなあ……。

こんな釣り、やる人が限られていたが、ここ数年のキハダフィーバーで状況が変わったらしい(昔のナイロンラインでシイラやった話や、57kgのメジ、キメジが大物だった時代などの話も)。
 私自身、以前は一本釣り&フカセ専門だったが、いつの間にかルアーで乗ることが増えている!

 そんなこんなで、船上の話も相当盛り上がるが、そんな時に次のナブラが!
 しかし、この時は他船も2隻が付けていて、後れを取ったが果敢に投げる。お客さんが多いので交差もやむを得ないが、すぐ解けた。
 全然浮かないので、「こうなったら、誘い出しでもやるか?」と、ヤケクソ気味に考えるが、風も波も収まりを見せない。凪げば沸くはずだが……。
 その前に、ローテーションで胴の間に移ったが、もうしばらくは沈下系で投げる。
 ちょうど「9時の方向だ!」と北村さんが叫び、そこにルアーを打ち込むが、移動が早いキハダを止めることはできなかった。

「はい、風も強いのでマグロを探しながら港へ向けます」
 無念のタイムアップだが、最後までルアーは付けたまま、私は横になった。

 帰港すると、水道で道具を洗い、キハダ刺身・角煮、冷や汁をご馳走になる。特に冷や汁は初めてだから嬉しい。



 仕立船(丸八丸)は3kg級のキメジ1本(誘い出しで出たとか)。
 魚は多いが、条件が悪かったのでは仕方ない。

 なお、2010年の9月末も、魚は多かったものの、荒れていたせいかまるきり駄目だったことを思い出し「相模湾キハダは、荒れると不利か?」なんて考えさせられるが、小田原の船は入れ食いで、50kg級を獲った船まであったそうだから、場所の違いもあったのかもしれない。

 最後に、船長は朝方、「どこかの船で客が落ちた(無事救出されたが)」ことを大変気にしていたため、非常にエキサイティングな釣りだが、安全には最大限の注意を払っていきたい。
 (2010年に稲取の船と、貴雅丸で同船したSさんとも再会しましたが)

 何だか、この釣りにはまると知り合いがどんどん増える気がする……。



7月21日

 東伊豆沖もキハダの群れが入り、キメジ、カツオ混じりで好調だったが、去年に続きクロマグロの食いも良くなってきた。
 前日も餌釣りでは全船が掛けたなんて情報もあり、絶対の釣果を確信し、昨年深田家で同船したSさんと、22時半頃合流し、南伊豆・忠兵衛丸へ向かった。

 朝方は思ったより早く船宿へ着き、銭州船のお客さんらと談笑し、他にもマグロのお客さんが集まったところで、ジャンケンで釣り座を決めるが、みんな納得の位置で一安心。私を含め5人が餌で、Sさんはルアー専門だ。
 キハダも多いので「キハダ狙えば、全員釣れるのでは?」と聞いてみたが、船長は「キハダなら相模湾でも釣れるから、一日、クロを狙いましょう」ということで迷いは消えた。

 荷物を積み込むと、遠征船のキャビンに横たわるが、半袖に毛布が心地よい。
 餌のサバを釣るまで1時間ほどウトウトするが、前夜はろくに眠れず、さらに4時間近く走ったものだから、下手すると船酔いしないか気になる……。
 サバの場所へ着いたら、いつも通りにフラッシャーサビキをひと組購入し、餌のサバ確保に取り組むが、電動丸3000EVのレベルワインダーからPEが抜けていたため、Sさんに手伝ってもらい、何とか準備開始となる。
 この日はかなり波が高く、しばし飛沫を浴びる。最初はサバがほぼパーフェクトに食ったと思ったら、下のバケがサバに巻き付き、あっと言う間に7本針が3本針に!
 それでも釣り続けるが、サバの食いも渋く、25mくらいの棚から40m、果ては8090mの棚まで探るから、電動がないと効率が悪い!
 3本針にも単発が多かったが、時にダブル、トリプルで食わせ、着実に餌を確保し、最後はSさん情報で15mダチで小ぶりなサバを追加し、僚船もサバ確保に励んでいる中、マグロの場所へ向かった。 

 顔と手を洗い、レインウェア、上着を脱いでベッドに入ると、あっと言う間に眠ったらしく、疲れは吹き飛んだ。まずはカップラーメンにお湯を注ぎ、釣り座へ向かう。
 久米島でも使ったリーディングXゴウマン240H&ペン・インターナショナル16Sにハリスとハリをセットし、足下へタルを用意し、サバをすくい取る。
 船長の指示で、大ドモから順に餌を投げていくが、私もPEとハリスの接続部をトップガイドまで引き出し、一気に餌を遠投する。
 他のお客さんはミヤマエ/コマンドやマリンパワー等、子どもの頭くらいもある大型電動リールに、ごつい竿なので久米島のパラシュートも余裕でできるが、100kg級を狙うとなると、これくらいごつい方が確実なのだろう。
 私は「100kgはまず上がらない! 最大で5070kgが限界!」と割り切ってライトタックルで流していますが、これは普段やる釣りの性質によって差が出ますわ。
 最初の餌は、手形が付いていたサバのため、弱りが早くて駄目だったが、次の餌で当たった。
 餌が追われる感触が伝わってきて、ドラグを徐々に締めてもクリック音が響き、お構いなしにラインが出るので、少し食い込ませてから合わせを入れた。

「サメだぁ。全然引かない!」
 フックアップしたにも係わらず、まるきり走る様子を見せない。
 それでも久しぶりの魚の感触を楽しむべく、しばらくスタンディングファイトで戦うが、久米島の経験で魚を素早く寄せられるようになってきたと思える。しばらくやり取りするが、本当に走らないので、サメとしか考えられない。
 そのサメに体力をとことん使うのも惜しいと考え、最後はウインチファイトにかかると、ハリスを巻き込み、1.5mほどのサメが浮上してきた。
 写真を撮ってからハリスを切ってもらおうと思ったが、その前にハリス切れ……。飲まれていたんですね。

 Sさんはエビング、誘い出しとどんどん試していくが、中層にはメジの反応などないようなので、キャスティングで誘い出すしかなさそうだ。
 他にも遊漁船が5隻、プレジャーも3隻ほど操業しているが、皆クロマグロに燃えているのは間違いない。キハダ、キメジは別の場所だろう。
 次は大艫で流していた客に当たった。
「今度は本物(クロマグロ)か?」
 リールが激しく唸り続けるが、隣の客とオマツリし、バレた……。
 その次も別の客に当たるが、あまり走らない。

「サメか?」
「本物だといいけど……」

 皆さん、ヘビータックルなので寄せるのも早いが、油断は出来ない。

 しかし、寄ってきたのはハンマーヘッドだった! 今日はサメが多いのか?!
 その後は次第に鳥が見え始め、キャスティングの期待は高まるが、跳ねはない。私もフカセの竿を見ながら、ロデオをぶん投げて誘い出しを試みるが、出てこない。
 こんな時はイワシサイズの沈下系より、ある程度大きさのあるフローティング系を使う方がアピールすると思うが……。
 海域はやや曇っているため、長袖がちょうど良いが、波は途中でサバを取った場所よりはるかに凪いでいる。去年は磯にぶつかって砕ける白波まで見たが……。

 だからといって、釣りの手を休めるわけもなく、活きのいいサバに付け替えて流している内に、追われる気配が続き、再び当たった。
 しかし、一気に持って行くほどでもないので、少し待つと再びPEが持って行かれる。レバードラグを締め、合わせを入れた。
 乗った! しかし、サメなのか動きは鈍く、比較的た易く巻けるが、ある程度巻いた瞬間、魚が右の船底へ走った! 擦れた感触が一瞬伝わる。
「やばっ! 高切れしちゃかなわん!」
 慌てて左舳先に回り、ポンピングを開始するが、魚がさらに走った。一瞬腰が浮きかけ、ドラグを少し緩める。

 その後もPEがスプールの下に食い込み、何とかバックラッシュせずに寄せる。途中で走ってもサメに違いないと思い、右往左往が収まったところで、ウインチファイトに切り替えるが、明らかに魚を早く寄せられるようになっている。竿の活かし方も大分分かって来たようだ。



 ついにハリスを巻き込みにかかる。
「サメじゃなかったら、何でしょう?」
「エイだったりして……」
「底物の可能性はありませんが……」
 と、その瞬間Sさんが叫んだ。
「マグロだ! 50kgはあるぞ!」
「えっ?!」
 その時には、既に魚は船縁まで寄ったが、黒い影が見えたかどうかの瞬間、魚は反転した。
 
 バチーン

 ドラグを緩める一瞬前に、30号のハリスが飛んだ。30号が切られるなんて、沖サワラ以外じゃ初めてだ!
 フルドラグ寸前だったが、飲まれて切れたのか、僅かに傷が残っていた。
「何てこった! クロマグロだったとは!」
「残念だったねえ」
 クロマグロ自己記録間違いなしのサイズだったぞ?!

 これはショックだったが、素早くハリを結び直す。他の船も40kg級や60kg級を獲ったというから、最後までチャンスを諦めるわけにはいかない。

 一方、鳥の姿も増えてきたので、Sさんと並んでトップを投げまくるが、こちらは出ない。ソルティガドラド80TN&ソルティガ5000Hのタックルも、去年より飛距離が出せるようになってきたのが嬉しいが……。
 と、他のお客さんの電動リールが凄まじい悲鳴を上げ、ラインが持って行かれた。
100mくらい走ったら合わせて!」
 乗った!
「他のお客さんは上げてー」
 大慌てで巻き上げ、魚を掛けた人は竿を立て、電動で一気に巻き取り、船で魚を追跡する。何度も走るが、今度こそクロか?
 全員が期待し見守る中、大ドモにラインが走り、サメの鰭が見えた。
「サメ?」
「あれは付いてきただけかも」
 船の真下でも抵抗する相手に、誰もがクロマグロを確信したが、浮いてきたのは2m半はあるハンマーヘッド!
 今日はどうなっているんだ? マグロとサメの区別がつかなくなるぞ!
 さらに、激しいスコールにも見舞われるが、最後までサバを泳がせるも、追われるシグナルは何度も伝わるが、次のヒットはなくこの日の釣りを終えた。
 船長も残念そうだが、唯一のマグロが……。

 船のベッドで熟睡し、港へ戻ると、お土産用にサバをクーラーに収め、船宿で温泉に入るが、銭州船は12kgのカンパチを釣っていました。

 大船長の話だと「キハダは寄せたら楽だけど、クロマグロは最後まで暴れる」ということで、キハダの釣果に恵まれる一方、クロの引きを忘れていたのが敗因ですね。
 サメと思ったらクロマグロだったなんて話も、随所で聞くが、ついにその日が来たか……。

 次回来たら、絶対獲るぞ!



8月4日

相模湾のキハダは、当初20kg前後の「やや小ぶり」サイズが多いか? と思っていたら、50kg級を釣った船も続出し、ここ数年ですっかりルアーキャスティングの威力を実感していた私は、次回は葉山の長三煌ロに乗ろうと計画した。

長三煌ロのルアー船も、しばらくはキメジ(メボー)中心だったが、7月末の東伊豆沖のクロ(カジキも上がった!)好調時、相模湾もさらに盛り上がり、去年同船したDさんがついに27kg30kgの良型をダブルキャッチした!
 (誘い出しと沈下系)
 佐藤偉知焜Xタイルに習い、PE8号を使用してのガチンコファイトで、いずれも3分程度で上げたとか!
 これで「良型が出たら乗ろう」と、目論んでいた私は、迷わず予約を入れた。大船長の声も懐かしい。

今年はフローティング系も有効と聞き、前夜に1本購入し、さらには去年10月に同行したTさんが「85日の日曜参戦」と聞き、さらに心が騒ぐ。

かくして84日の早朝、1年ぶりに葉山港・長三煌ロへ向かった。他の常連さんと挨拶し、今日の期待が弾む。(去年31kgを釣ったWさんはイワシを積んだカツオ船へ)
 上乗りのかづみさんや、大船長と挨拶し、久米島からキハダを送った発砲の箱を船に置かせてもらう。
 今回はルアーのお客さんは私含めて5人なので、思う存分投げられそうだ。
 氷の購入など、いつも通りに準備を進めていくが、Dさんのダブルクリンチノット改めなど、去年とは明らかに違う。
 本格的に入れ込んだ人の様子を見ながら、私もラインシステムを組み、船上でドラグ調整を行った。

若船長が舵を握り、18号船で沖へ向かうが、同船者の一人は、去年108日に同船した小泊までクロマグロを狙いに行く人だった!
 また、Dさんは鈴清丸で沖へ出たときは、キハダの様子は悪かったものの、10kg上の沖サワラを上げたとか! 沖サワラも釣って食べたいなぁ……。
 次第に鳥の影が見え始め、1時間ほど走った後に最初のナブラにぶつかった。最初はすぐ消えたと思ったら、魚が餌を追い上げ、イワシ玉が沸いた。一気に船をつける。
 しかし、他船も多く、長井の船や相洋丸、一俊丸、庄三郎丸など合計8隻、さらにプレジャーボートもいるため、魚が散るのも早く、なかなか食わせられない。

2回ほど他船とオマツリしてしまったが、すぐ解く。
 庄三郎丸がいい所に付けたと思ったら、一俊丸が17kgを獲ったりと状況は悪くないが、魚の移動がとにかく早い。
 白んだ所で、各船とも散らばって魚を探索するが、今回はイワシ玉を固めるナブラは少なく、鳥が付いているが、素早く移動するナブラが多かった。
 こんな時、マイワシ(中羽)でフカセができたら……。と思うも、沈下系とフローティング系を投げまくる。

9ftのVF-9012ER8ftのDODADO80-TNを振り比べると、DODADO80-TNの取り回しの良さに驚くが、VF-9012ERはうまくタイミングを見て振ると、確かに飛距離が違う。


何度目かのナブラで、同船者が食わせた!
 頭をガバガバッと振るので、シイラかと思ったが潜る。キメジ?

510kgくらいかな?」

 跳ねたのでシンキングを投げたら食った。
 ということだったが、思ったより引きが強い。しかし、しっかりしたキャスティングロッドにステラの組み合わせなので、まず獲れるだろう。

 5分弱のやり取りで魚が浮いてきたが、下手すると20kgはあるぞ?! そんなにあったとは!
 強度のあるタックルに引かれるため、水中で旋回する時はもんどり打つように回る。
                                  

 船長のサーモンネットに収まったのは21.5kg
「おめでとうございます!」
 本日最初の型ものだけに、一安心。
 こんなナブラでも食ってくるんだねえ。

 次はDさんの誘い出しにヒットした! セブンマイルが曲がり、ガチンコファイトで強引に寄せてくるが、30kg前後までだろうからすぐ上がるか?
 素早い誘い出しも去年とは大違いだが、佐藤偉知焜Xタイル、恐るべし!

 だが、何度かポンピングした瞬間にリーダーが切れた! 飲まれてたんですね……。
 誘い出しで食わせるのを見たのは数年ぶりなので、その誘い方を自分のルアーでも再現するのが課題だ。ビートウッドシリーズはおいそれと買える値段ではない!

 次もDさんがあっという間に食わせるが、今度は掛かりが浅かったのかバラシ……。
 このフカセ釣りも真っ青な当たりの数に度肝を抜かれた私は「誘い出しが有効」と判断し、ダイビング系を投げまくる。ロングロッドはこんな時も使いやすい。
 また、魚の移動が早いため、まだルアーが海中にある内に船が走り出すこともあるが、こんな時は素早く回収できるハイギアが威力を発揮した。うっかりローギアのリールを買ってしまったらどうなるか考えただけでも恐ろしい!

 船はナブラを発見するや、左舷に見ながら併走し、頃合いを見て徐々に速度を上げた。
 ナブラの前に回り込んで投げるので、キハダからは「小魚が逃げていく」ように見えるのだろう。これが「小魚が向かってくる」ように見えたら絶対食わないと原田佐敏氏。

 まだ飛距離が足りない場合もあるが、何とか遠投!
 やや手前にルアーが落ちるも、誘っていくと、船から10m以内の場所で魚が私のルアーに出た! 誘い出しに反応させたのは初めてだが、バイトには至らず消えた。
 ルアーを回収すると、ゴミが掛かっていた……。これでは食うわけもないが。本当に出るんだねえ。
 これまで「ナブラに当たるまでは寝てても大丈夫」なんて考えていたが、鳥が付いた素早いナブラは至る所で見られ、休んでいる時間などない!

しかし、この海域での探索も長時間緊張に満ちたものだったにも係わらず(時にはカツオの群れも)、ノーヒットが続き、昼過ぎに別の海域へ向かった。

1時間半ほどクルージングとなったが、次第に鳥が集まり、イワシ玉を固めそうな気配も濃厚になってきた。
 一投ごとに真剣勝負で投げ、ラインシステムを時に組み直す。6号に慣れてくると5号などライトに感じてしまうから恐ろしい!
 イワシ玉が出た! Dさんのフローティングにチェイスがあり、Nさんの沈下系にもアタックするが乗らない。
 私も一瞬のボイルに打ち込むが、口を使わなかった。

 別のナブラに沈下系を打って、回収を兼ねて静かにジャークすると……。モゾ、フッと感覚が伝わり、「ルアーに触っているかも」と判断しながら引き続けると、ゴツ、グッと重さが伝わった。
「来たっ!」
 浅掛かりでバラすのは御免とばかり、スプールを押さえて大合わせを2回ほど入れた瞬間にふっと軽くなった! もしやと思ってルアーを回収すると。ST-56が延びていた。
 刺さりを良くするため、細軸に替えたのだが、従来よりヘビータックルでドラグも5kgほどに締めているため、負担が一気に掛かって延びたのか……。
 その後はフックを太軸のST-66が搭載されたモデルに変更し、投げ続けるがタイムアップ……。
  最後まで探索してくれた船長に申し訳ないが、「食わせる」ことまでできたのだから、既に何本か上げているため、獲るのは時間の問題だ。


 結局、本日の獲物は岡本さんの1本、おめでとうございます!
 
(翌日は10月に同船したTさん、29kgをキャッチ! こちらも初のルアーキハダです!)

 注:現在、コマセカツオ船が始まったため、ルアー専門船は休船中です。イワシを積んだカツオ船もでかいの上げてます!


 812

今度は青森県の金子さんから「12日に相模湾のキハダ、邦丸でやります」という知らせが来たので、ノースカロライナ沖で90kgのクロマグロを釣っている一方、相模湾キハダはまだ釣っていないという彼と東京海洋大学の仲間たちと共に、邦丸のルアー船でチャレンジすることを決めていた。

 早めに邦丸へ着き、金子さんや大学の仲間、そして先生まで参加ということで、皆さんと挨拶し、また仮眠をとる。(小雨が続き、船宿の軒先で寝袋やシートを敷いて野宿状態)
 船宿の受付前に、昨年のノースカロライナ沖の話を聞くと、本人も「3kgのカツオが最大」という状況で100kg級のクロマグロ狙いに来たというため、茂木陽一氏もぶったまげたとか! しかし、彼も健闘し90kgをキャッチの上、4時間半のロングファイトを経験しているので、やり取りは私より上手いかも知れないぞ?!

 そんなことを考えつつ、味澤船長に挨拶し、乗船手続きを終えると大磯港に向かう。初めての大磯だが、長井、佐島、葉山よりも開けた観光地(景勝地)のせいか、垢抜けた様子も見え、途中で海の家まで現れる。

 駐車場でタックルを組み立てると、海洋大のメンバーで私と同じ、CB-ONEVF9012-ERNEWソルティガ6500Hというタックルを持ってきた人も! リーダーをスリーブ止めしているから見分けは付くが……。
 邦丸は「大型クーラー、持ち込み不要」ということなので、タックルとバッカンだけ持って行けばよいが、港の端にあるため、六熊丸を見ながらかなり歩く。

 で、船に道具を積み込み、船長からは「大型のトップ系で誘い出すのが効く」と状況を伺って出船した。


 皆さん、シイラやカツオ、中にはジギングやGTの経験はあるも、相模湾のキハダを獲ったことのあるメンバーはいないということで「キハダはマグロ類でも、一番骨が硬いから、当たったらスプールを押さえ、何度も追い合わせを入れて」とレクチャーする。
 西沖が近いため、葉山船とは違ったメリットがあるか? と考えるが、邦丸特有のミヨシ大型手すりも印象的だ。
 まずは潮目に向かい、他船が流している中を探索する。
しばらく探索した後「投げて!」
 最初はシイラの影も見えたと言うことで、樹脂系のフローティングを結んだが、なかなか出ないので念のためシンキングペンシルに替え、投げたら水面直下を静かに引いてみる。
 何度目かでグッ、とシイラの当たりが来た。
 素早くスプールを押さえてフックアップすると、遠くでシイラが飛んだが小さい。一時、手元に突っ込んでラインが弛んだと思ったが、ゴリ巻きで50cm少々のペンペンシイラを私は抜き上げた。ラジオペンチでフックを外そうとすると、その前に外れ、艫側の釣り人にリリースしてもらう。

 苦笑いしつつ、金子さんのノースカロライナ沖の話や、Mさんのスロージギングの話など聞きつつ、船は一気に加速した。 これはナブラを見つけたに違いない。 
 見ると、
2隻ほど船が操業し、その間の海面が盛り上がり、盛んに水飛沫が上がるスーパーボイル! これは打ち込めば絶対食うぞ!
「スーパーボイルだから、沈下系を付けて!」
 
 私もアドバイザー役として叫ぶ。
 皆がロッドを後ろに倒し、オーバーヘッドの構えをするが、船長は「まだまだ、慌てて投げないで」と、制し、さらに船を寄せていく。
 ボイルまで20mを切った辺りで、「投げろーっ!」 
 ルアーが一斉に飛んだ。私の沈下系も入り、フォール中に食うか? と思ったが、一斉射撃に驚いたのかボイルは沈んでしまった。
 
 無数のイワシの鱗が散らばる中、右舷で投げていた遠藤先生にヒット!

「船長、当たってます!」

「他の人はみんな上げてー」
「追い合わせを入れて下さい!」 
 
VF9012-ERが曲がり、追い合わせも決まってラインが走り出した。 
 ミヨシに移ってスタンディングファイトが始まる。
 
 私は動画を撮りつつ観戦するが、操船を見ていると魚が手元に突っ込む時はバックし、ラインが手すりに触れるのを防ぐ。かなり引きが強いが、
25kgから30kg前後だろう。
 落ちついてやり取りすれば上がるサイズだ。 
 
5分、10分……。巻いては出され、巻いては出されを繰り返すが、一度、リーダー近くまで巻いて魚の姿が見えた。30kg以内のキハダだ。 
 私も以前より冷静に、他人のファイトを観察できるようになってきたが、また魚は走り出したものの、ファーストランの速度、距離には及ばないのが分かる。

                                  


 過酷なやり取りの末(ロングロッドなので、立ててファイトできるとはいっても、ショートロッドより負荷が掛かるのは間違いない)、魚は浮いた。船長が素早く銛を打ち、本日第1号、先生にとってもファーストツナが船に引き上げられた。目方は27kg「おめでとうございます!」 
 頭に銛が入ったため、ほぼ即死状態だが、血を洗い流し、船長もカメラを出して記念撮影だ。

    

 船に積んである大型発砲を取り出し、魚と氷を入れたら海水を入れて水氷だ。次は2本目、3本目だ! と勢い付いて次の群れを探索するが、スーパーボイルにはなかなか遭遇しない。今回も鳥が付いているが、素早く移動するナブラが多かった。 
 それでも何度となくキャストを繰り返し、釣り座をローテーションとなった。私も誘い出しを試すがなかなか当たらない。
 一人、ガンマを振り切ってしまった人がいたが、船を回して回収……。
(でかいフローティング系を使うなら、PE5号以上を使わないと振り切れます!) 




 何度目かのナブラで、
Mさんが沈下系で掛けた! 
 ソルティガ・キャスティングヒラマサがへし曲がり、
NEWソルティガ5000Hからラインがどんどん出て行く。
「ドラグが緩いから、もっと締めて!」
 
 しかし、それでも引き回される。
 



 金子さんがサポートに回り、彼はミヨシでファイトを開始するが、かなり魚の力に参っているようだ。ハンドルが緩んだが、すぐさま締め直す。
 と、テンションが軽くなって来た。魚が手元に向かってきたので、この時とばかりガンガン巻いてもらう。
 ある程度ライン回収後は、再び潜る。船縁にラインが当たりそうで気が気でないが、何度かかわすも、次のポンピングでフックオフ! ルアーは付いているので、フックを見るが、私のように延びていた訳でもないので、掛かりが浅かったのでしょう……。

 その後は、正午前後は浮きが悪くなったものの探索を続け、午後に入ってからはカツオ混じりのナブラ、水面下でギラギラ見えている群れは多いものの、なかなかバイトして来ない。
 再びローテーションにより、ミヨシ近くで「次に出たらいただき!」と思ったが、
8月のキハダは秋より動きが速いようで、侮れない。 
 最後はスーパーボイルに遭遇するも、大型のルアーを投げた人に当たったが乗らず、私には当たりもかすりもせず、タイムアップとなった……。


 帰港後、大磯漁協の流し台で、見学の小学生たちを驚かせつつ(キハダの目を撫でていた子どももいた)、あっと言う間に船長の見事な包丁捌きでキハダは解体された。


 胃袋からはシコイワシが大量に出てきたが、私はお土産の昆布とキハダの頭、中骨、そして事前の取り決め(20kg以上の魚なら、釣った人が半身の所有権があり、残りは仲間と分配)により、ブロックを一つ頂いた。
 海洋大の皆さんは、翌日は丸伊丸の仕立てだが、私はこれで失礼。
 次の再会を楽しみにしています。



 8月18日

 相模湾のルアー船で、3回連続でボウズを食らったため、私も流石に慌てだした。
 何せ、脂の乗ったカツオ、キメジが餌釣りではガンガン上がっているうえ、フカセでもでかいキハダが食い始めたので「餌釣りの船なら、両方狙える」と判断し、まずは14日、長三煌ロへ向かった。

 しかし、当日は前夜からの強風で、出船を断念する事に……。

 大船長も非常に残念そうだったが、5時くらいから風が弱まってきただけに、さらに残念。カツオはいい値がつくも、キメジはその半額だとか! しかし、キメジ1本で10kgくらいあるため、結局はカツオ1本と同じ値段で水揚げできるというが、この時期でも脂のあるカツオ、キメジは下手な畜養もの本マグロよりいけます。

 次の出船は9月か? と思ったが、急遽予定が空き、同じ週末の18日、ライトルアー経験者の仲間を連れ、再び長三煌ロへ向かった。
 かなり早い時間から、葉山港の前は車の列ができていたが、みんなカツオ、キメジ、キハダを釣りたいんだねえ……。(船宿7軒ありますが、みんなカツオ船出してます)
 最近はでかいキハダがコマセにも口を使い出したらしく、常連客のWさんらと魚の話で盛り上がる。早めに港の駐車場が開いたため、これ幸いと車をつけ、受付を済ませるが、港で氷を買うとき、これまで「1300円」だったのが「2杯目から200円」と、値下がりしてラッキー。
 カツオ、メジ、キハダをやるなら氷はふんだんにいります。
 若船長のコマセ船も結構お客さんが集まり、私もタックルを組み立てたところで出船。

 今日の餌はシコイワシが多いが、結構大きさがあるので、フカセには充分だ。マイワシがもう少しあれば言うことなしだが……。 
 で、仲間は船の貸し竿を借り、久々におかずを釣ろうと目論んで、船は西沖へ向かった。
 1時間も走らないうちに、船団の姿が目に入る。次々に魚が見え始め、水面で小型魚が跳ねる。
 しかし、最初の撒き餌では船に付かず、私も合間を見てジギングを試すが、食わない。
 何度目かの流しで、撒いた餌を魚が取った。素早くツナタックルでイワシを泳がせると、PEラインがバラバラッと持って行かれた。ベールを返すと5kg近いドラグなのに一気にラインが持って行かれ続け、何と20号ハリスが飛んだ! 
 5kg10kgなら飲まれても、1本目で切れないのは実証済みだから、20kg級に違いない。あーあ、もったいない……。 
 その間に
Wさんは3kg級のカツオキャッチ、これは旨そうだ!

 次は私にもカツオが来た。3kg級でも結構引くが、ヘビータックルを使い、大型魚とのやり取りに慣れた私は、落ちついて魚をタモ取りしてもらう。 やった! 今年の初鰹をキャッチ! 

 8月にカツオを釣ったのも、数年ぶりのような気がする……。
 魚があちこちで跳ねるのが、私にさえ何度となく確認できるが、やや活性は悪いらしく、一本釣りでは散水の中まで入ってこないのか、釣果はイマイチだ。 
 フカセにしておいて良かった……。

 カツオの胃の中身を確認すると、撒いたイワシの他に、シラスやアジ、サバの稚魚らしい半透明な小魚が結構入っていた。シラスを食っていると、イワシやルアーへの反応が悪いというのは定説だが、初めて確認できた。
 次のナブラで、今度は激しい胴震いが伝わった。ラインを一気に引き出す勢いは、油断禁物だが、9ftのロングロッドはポンピングする度に、長いストロークで巻き取れるので、疲弊するほどの大物でない限り、数釣りには有効かも知れない。
 もっとも、舳先で操業する上乗りさんたちは、ソルティガのジギングロッドを使っていますが……。(数年前、深田家でも見ました) 
 立ち位置の違いから、短くても大丈夫なのかも知れないが、ショートロッドならではの取り回しの良さも見逃せない。




 あっと言う間に寄ったのは
4kg級のキメジ、水面直下で長い胸鰭を広げて走り回る姿は壮観だが、頭さえ向けられれば安心だ。(油断すると、頭を持ち上げても反転されるが) 
 他のお客さんたちも、次々に魚を掛け始めたが、
5kg級のキメジといえど、結構引くので真剣勝負そのもの。ただ、仲間はまだ当たらなかったので、仕掛けの流し方をレクチャーし、目立たないタマンバリを結ぶ。
 私はもう一度、ラインが持って行かれたが、ベールを返して食い込みを待つ間に吐き出されたので、「あまり長く待つのも、タックルによっては逆効果」と考える。
 その後は、魚がなかなか餌を取らないため、流してもすぐ移動という状況がしばし繰り返されるが、鳥が付いたでかいキハダの群れも見える。
 これはルアーのチャンス! 
Wさん共々、ミヨシからフローティング系を投げて誘い出しを試みるが、この時は雷雲が近づいていたため、静電気を帯びたのか、トップガイド付近からピリピリ音がする……。
 しかも、ブランクを持った瞬間、ビビッ、とプチ感電!
Oh My God! まさか感電するとは!」
「ちょっとおっかないな……」 そんな事を言いながらも、次の群れを見つけるなり、再びぶん投げる。これで釣れれば儲けものだが、かなり飛距離が出せるようになってきたのも事実。
 ショートピッチでポーズを入れながら引いてくると、一瞬、カツッとルアーが押さえ込まれた! しかし、合わせを入れるのが間に合わず。
 やっぱり出るんだねえ。

 と、その辺りでルアー専門は止めにして、再びイワシを撒くと、キメジの群れが船に付いた。 
イワシを泳がせるなり当たり、船底へラインが伸びるが、こんな時はロングロッドのリーチで交わし、ミヨシでライン交差を交わし、素早く浮かせた。

 ファーストランで走られるのは避けられないが、次のポンピングでいかに早く寄せるかが肝だ。


 
 仲間も魚を掛け、必死にやり取りしている。

「ラインを船底に当てないように気をつけて、止まったらどんどん巻く」
 
 そうは言っても、慣れないと時間が掛かるのも事実。
 
 私はさらに
3本目を掛けるが、食い込ませるのに長い時間を取る必要がなかった。ラインが走ったら3秒ほど待ち、ベールを返した時に重さを感じたら、そこで軽く合わせればカンヌキに掛かるため、飲ませる恐れはないようだ。 
 これもゴリ巻きするが、足下で突っ込み、頭を浮かせたと思っても、不可抗力で反転され、また走り回る。

 しかし、落ちついて寄せて船長のタモへ。

「ありがとうございます」

 いつの間にか、仲間も
5kg級のキメジを上げていた。やったね。
 次のナブラは、キハダもいたようだが、撒いた餌にはシイラが付いたらしく、表層で平べったい魚が跳ねたと思ったら、あっと言う間にペンペンシイラの嵐。掛かった瞬間にラインが海面を切り裂くように走るので、カツオ、キメジと間違えることはない。

 ハリを飲まれていたので、ハリスを切って放流するが、大ドモでは数人を巻き込んでオマツリ騒ぎ。何とか解けたが……。
 だが、キメジのナブラはまだ近くにいたらしく、バケツでまだ2本のキメジを血抜きしている間に、新しい群れが船に付いた。 流した刹那、魚が食ってくるのだからかなりいい状況。私もこの機会を逃すまじと一瞬の隙も見せずにやり取りする。 
 
5kg級のキメジを取り込んだが、さらにもう1本キャッチ! ハリはいずれもカンヌキに掛かっていたので、外すのも比較的楽。 これで45kg級キメジ5本だが、この数釣りは5年ぶりだぞ?!(今年はコマセでも10本以上釣る猛者がいるが) 

 脂のある激うまキメジだから、沖縄のパヤオ周りで釣れるキメジとは別格だ。
 



 仲間もすぐキメジを掛け、
2本目をキャッチした。 
 餌も残り少なくなってきたが、まだ
10時そこそこ。もう12流しはやれるか? と、思いきや雷雲は更に近づき、雨がまともに直撃するようになったため、安全のため10時半に早上がりとなった。ずぶ濡れになってキャビンの後ろに身を寄せる。帰る途中も雷が付近に落ちるから危険極まりない。アウトリガーやジャンボ漁の竿なんかを出してたらどうなることやら……。
 もっとも、長三煌ロで早上がりするときは、結構釣れたときのことが多いうえ、
5kg前後の魚が6本釣れれば、目標の10本には及ばずとも、お土産には充分。 

 早く港に戻れるのはいいが、港は車で一杯だから、出られるか?
 そう思いつつ、11時くらいに帰港すると、まずは道具を洗い、クーラーを車に積む間に、他の船も続々と帰港し、スペースができたので、大船長、女将さんに挨拶して葉山港を後にした。(コマセ船は竿頭5本だったとか)

 早上がりできたので、別件の用事も片付けられたが、カツオ、キメジとも脂があって最高! 船の生け簀にいた本カマスも頂き、刺身にしたがやっぱり旨さが違う!

 いやー、餌釣りって最高!



 98

 5月に久米島へ遠征した柏木氏から「8月、カツオとシイラ狙いませんか?」と相談があり、今度こそカツオ、キメジの数釣りをすべく「9月に入ってから、長井の船を仕立てましょう」と、提案した。
 大学の後輩も、昨年はカツオを型見ずで終わっただけに、今回は数釣りしてもらいたい。
 と、いうわけで長井、佐島の仕立て船を調べ、今回は「長助丸」をチャーターした。昨年、長三朗丸でキハダ狙いで出た時も、操業しているのを見た船だ。
 
 今回は「餌が小さい」ということで、フカセ釣りは難しいそうだが、そうなれば餌掛け一本釣りと引っぱたきが主力で、キハダの跳ねがあった際に備えてツナキャスティングタックルを持って行く予定だが、全員にフカセ用のスピニングタックルが行き渡るよう手配した。
さらに、念のためどこの誰かはフライタックルまで……。

 当日朝、長井漆山港の駐車場へ車を停めたところで船長から電話が入り、少し時間を調整。その間に大学の後輩や柏木氏など、5人のメンバーが揃い、総勢6人で出船。船はそこそこの大きさがあり、甲板も広く、カイオケも装備されているので申し分ない。船長の漆山晃さん、そして年配の上乗りさんの二人に挨拶し、荷物を積み込む。



 餌は佐島で飼い付けのナレエサを仕込んだが、本当にシコイワシが小さい! 5cmあるかどうか、アマジョロ(シラスより少し大きくなり、ようやく色が付いた状態)に限りなく近かった。
 712cmくらいの混じりものは、ヒラゴ(真鰯の稚魚)かと思ったら、何とウルメ! 飼い付けでもイワシ類中、最弱のウルメは生け簀の中でポツポツと腹を返す。
 しかし、ウルメの数はかなり多いので「全滅する前に使えばいい」と、割り切って沖へ向かう。途中で一本釣りの練習もやったが……。
 引っ張りの道具を流していると、カツオのナブラが上乗りさんの撒いた餌を取った! 大艫で23kg級のカツオがぽんぽん跳ねるが、散水の中には入ってこなかった。
 折角仕立てたので、「引っぱたきは食いが今ひとつ」と聞くも、餌掛け一本釣りを試みるが、その後度々遭遇するナブラも、艫で撒いた餌を取っても、散水の中に入らないのでは手が出ない。
 何せ、シコイワシはフカセられないほど小さく、ウルメの子をまだ活きている内に付けるしかないが、「皆に釣らせる」ことに気を遣ったせいか、そこまで手が回らず……。
 場合によっては、ミヨシの周りや散水の外で8kgくらいあるキメジがガバガバやっているので、ルアーをぶん投げるが、鳥がリーダーに絡まった!
 この状況を見て、上乗りさんもフカセの仕掛けを放り込むも食わず。
「これはルアーの道具で、イワシを付けて流さないと駄目だ」
 かくして、一本釣り&フカセから、フカセ専門に切り替え、ウルメの子を流すことにするが、日が昇るにつれて浮きが悪くなってきた。
 船長からは魚群が見えるものの、餌を撒いても取らなくなってきてしまった。潮変わりを待つしかないか?
 そこで船はパヤオへ向かったが、「パヤオのシイラでも、朝一以外は餌じゃないと食わないかも…」と、いうことでフカセ用のハリを用意する。

 船がパヤオに近づいた瞬間、柏木氏と私がそれぞれ、ジャークベイトとミノーをぶん投げるが、全く反応がない。しかし、上乗りさんがイワシを撒くと小型シイラがわらわらと寄ってきた。
 フカセ釣りで挑む初心者・女性アングラーはヒットの嵐で次々にシイラを掛けていく。私は1尾だけ釣るが、一時、船のタルに魚を入れるため、ペットボトル氷を用意する。
 よく見ると、シイラ以外の魚も見えるというから、小型のカンパチか沖アジだろう。

 大学の後輩が、ヒレナガカンパチを食わせた! ショゴと呼ばれるサイズだが、美味しいことは間違いないので、私も本気になる。


 シイラが先に食いに来るので、死に餌を水面に付けてはシイラに食われる前に引き上げ、カンパチが寄った瞬間に落として一丁上がり。(結構引きますが)
 まだまだいるので、シイラは眼中になく、カンパチの追加を狙うが、小型のジグを落としても追わず、餌以外は手がないようだが、次第にカンパチは潜ってしまった。
 その間もシイラは釣れ続け、柏木氏のゼナックが折れたが、6人で18本ほど上げた。(一人で7本くらい釣った者もいたが、殆どのメンバーが満足)

 さらに、大学の後輩は500gあるかどうかの極小キメジも! この10倍の目方の魚を釣りに来たのだが、彼女にとっては初マグロ。何はともあれ釣れてよかった……。

 ひとしきりシイラの引きを味わったところで、「遊びはこれで終わりだぁー」と、船は再びカツオ、キメジを追って走り出した。
 しかし、この日は「パヤオ周りでマグロ(キハダ)が1本出た」と無線で情報を聞くも、海が鏡のようにべた凪で、魚の気配がまるでない。
 いても浮かなかったと思ったら、さらに気配が薄くなるとは!
 それでもまだ昼前なので、探索を繰り返すが、カツオ、キメジのナブラは見あたらず……。

 かくして再びパヤオへ戻り、女性アングラー二人には引っぱたきも体験してもらい、極小キメジがもう1尾上がったが、ヒレナガカンパチは出てこなかった。


 みんなシイラを満喫しているようなので、既にお土産は充分と判断し、型の良いものだけ数本キープし、後はキャッチ&リリースの繰り返し。


 私も久しぶりにフライを振り、10数回はバイトさせるも、2尾だけキャッチしたが、70cm前後でもジャンプを繰り返し、10番タックルで楽しめる。久しぶりのソルトフライだね。
 カツオ用のフライだけに、散水と撒き餌を繰り返せばシイラも次々に食うが、フッキングが難しい。もっと堅いロッドがいいか?
 池の鯉か養殖ニジマス並みにシイラが集まり、散水に着いて撒かれたイワシを捕食するため、引っぱたきのいい練習になったようだ。
 私もこの際だからと引っぱたきで遊び、掛かったらそのまま後ろの海へ落とす。
 これも結構難しいね。

 と、いうことで餌を使い切り、長井水産で氷を船に積み、シイラ祭りとなったクーラーを抱えて私たちは帰港した。船長の奥さんとお子さんが出迎えてくれたが、まだ小学校に入る前の息子さんがもやい綱を握る姿が可愛らしい。

 道具の片付け、魚の処理を終えると、船宿で(潜水漁で使う、ウエットスーツもありました)お茶を頂きながら船長の話を聞くが「昨日は職漁で500kg(キメジ300kg、カツオ200kg)が上がった」というだけに期待していたが、「表面水温が高すぎるのか、浮いてこなかった」という状況だったとか。

 大型キハダも「数日前、スーパーボイルで40kgが上がり、何匹か大羽が胃袋から出てきた」なんて聞くだけに興奮が隠せない。しかも、30kg級のメバチを釣った人もいるとか!
 また、大島沖のメジ漁の話を聞いたり、75kgのマカジキの魚拓を見たり、船長の息子さんがカブトムシを見せに来たりと和やかな雰囲気の中、支払いを済ませ、船宿を後にした。

 まるで大人の部活動のようなノリだが、最後は船長に教わった寿司屋(前を何度も通っていた)で地魚を摘み、解散……。
私は本カマス、エボダイ、キンメ、ホウボウ、鬼カサゴ、シラスを頂く。


 9月15日

 今年は例年になくキハダの魚影が濃いだけに、やきもきさせられるが、今年のキハダはコマセに付き、ビシ釣りで次々に釣果が報告された。
 長三煌ロでも、15日よりコマセのキハダ専門船を出すということだが、イワシを積んだカツオ船を仕立てるという話をDさんより伺い、私も「活きエサ&ルアーをもう一度やってみよう」と、考えて葉山港へ向かった。
(コノシロが混じっていれば、それでも平気で食ってくるというから、キハダは本メジより獰猛なのは間違いない)
 コマセは結構お客さんが来ているが、キハダ専門船のお客さんがかなり集まり、コマセ船常連のHさんとキハダの話に花が咲く。
 その間にDさん、仕立ての幹事Nさんらと挨拶し、いつも通りにカップラーメン。
 大船長が餌を買いに行っている間に、氷を買い、道具を組み立てて準備を済ませるが、フカセ用のジギングタックルだけは、餌の大きさを見るまでハリスを決められない。
 港の中でもクロダイの群れや、アカエイ、シーバスらしきボイルも見るので、試しにキハダ用ルアーを投げるが、流石に食うわけもない。
 次回は死んだシコイワシを買ってこようかな……。
 そんなこんなで1時間ほど待ったが、餌を多めに買えたらしく、港前の生け簀にも何杯か移し、私たちは船に乗り込んだ。
 今回は57cmほどある飼い付けのシコイワシなので、フカセられる大きさだが、ハリスはやはり12号が限界だ。

 どんどん沖へ向かい、その間に最終準備を整える。上乗りさんたちはイワシを選り分け、少しでも大きめのイワシを付け餌用に、船のタルに移す。これがマイワシなら最高なんだけどねえ……。
 最初のナブラはシイラだったが、初心者グループはこれでも魚の引きを味わえるから一安心といったところだろうか。
 キメジ、カツオのナブラも多かったが、餌を撒いてもなかなか散水までは入ってこない。大艫右舷で流していたフカセの人が掛けた! しかし、間もなくバレた! もったいない!
 次は左舷の人が掛けたが、今度はチヌ針が延ばされていたので、タマンバリを渡す。
 今回も「撒いた餌を、艫では取る」という状況だが、なかなか右舷のフカセで流す範囲までは来ない。小さい餌なので泳がせると言うより、船の後ろに流すといった方が正確だが、しばしばオマツリも……。


 私も当然、シンキングペンシルや小型のジグを投げるが食わせられず、小型シイラのみ! 念のため、シイラの胃袋を見るとシラスだらけ! シイラすらシラスを飽食していては、釣るのが難しいわけだよ……。
 Dさんが大艫に入ってフカセを試すが、当たりはなかったよう。
 一時、コマセの船団に入るが、長井の船が2隻ほど散水しているものの、こちらにはチャンスがなかった。

 キハダの跳ねを見るや、ミヨシからキャスティングを繰り返すが、水面で捕食活動を繰り返していても、ルアーには見向きもしない! 
 餌がシラスからイワシに変わったと聞いたが、まだイワシが小さすぎるのだろうか?
 と、ナブラに船を着けた直後、一隻のヨットがその上に!
 慌てて進路を変えてもらうが、これで群れは沈んでしまった……。
(このページを読んでいる可能性は低いと思いますが、操業中のカツオ船に近づく場合は、充分注意をお願いします)

 以前よりキャスティングの技術も向上し、正確に打ち込むが、シラスパターン対応のDさんのルアーでも当たらず、投げまくるがまるで効果がない。
 餌は8割以上残っているため、カツオ、キメジのナブラなら一気に撒くが……。
 かくして昼過ぎまでルアーで追跡を続けるが、私のシンキングペンシルにシイラが食ったのみ……。
 そろそろカツオ、キメジ狙いに切り替え、船団に入るが、コマセの21号船、キハダ専門の32号船とも合流する。コマセではしばしば当たっているので期待が持てるが、やはり移動が早く、なかなか散水に入らない。
 そこで、私も大艫に入ると、何度目かの流しで食った! 久々のヒットが嬉しいが、もう一人の竿も曲がる。思ったより早く魚を寄せたが、1kg級のキメジ。足下にも他のPEが見えるため、「小さいなら大丈夫」と、とっさに判断して抜こうとしたが、その瞬間にポロッと外れた! こんなバカな!
 もう一人もバレてしまった……。
 しかし、大艫で流せば食うということが分かったので、「1本釣るまでは」と、続けると、今度は5kg以上確実のキメジが食った! ソルティガヒラマサ63Sが曲がり、一気にPE4号が持って行かれるが、ハリスは12号なので無理をせず寄せに掛かる。
 ドラグはやや緩めだが、大事に上げようとリフティング→ダッシュ→リフティングを繰り返すが、あと20mくらいのところでハリス切れ! 30cm以上上でハリスが切れていたが、まさかサメにでも食われたのか?



 その後も流し続けるが、最後はDさんが食わせた! 
 10号のハリスだが、巻ける時はガンガン巻き、走るときはドラグを出して走らせるロッドワークで浮いたのは7kg級のキメジ。 この1本が船中唯一の獲物でした。おめでとうございます!


  9月22日

 今年のキハダはシラスのみならず、コマセのオキアミにも完全に着いたらしく、茅ヶ崎の一俊丸などがキハダ専門船を出し、船中数本の釣果を出すにまで至った。
 こうなるとルアーキャスティングではお手上げで、たまにエビングで食うくらい。
 かくしてツナタックルを新調した私も、腹をくくり「久米島で
47kgまで上げた道具なら……」と、テンビンのサルカンをボールベアリング入りに交換し、学生時代に買い揃えたリーディングXゴウマン&ペン・インターナショナルU16Sの組み合わせで、922日、キハダ専門の長三煌ロ・第32号船に向かった。
 久米島のパラシュートで好成績を上げているので、今度は
2本、いや3本釣るぞ! と、恐ろしいほどの欲ボケ全開……。


 普段より遅くなってしまったが、「コマセなら、釣り座にはあまり関係ないはず」と、考えて船宿のホワイトボードを見るが、既に10数人の名前が!(カツオ、キメジも狙う21号船も同様の混雑) 
 思い切って活きエサの
18号船にしようかと思ったが、18号船は都合により出船せずと聞き、腹をくくって32号船に乗り込んだが、餌釣りが16人にエビング1人という賑わいよう。コマセのベテラン、Hさんやエビングの準備をしているNさんらと話しつつ、餌のオキアミを解凍しながら沖へ向かうが、船長に聞くと「棚は70m前後、ハリスは4.5m以上で、ハリはヒネリのないもの」というもので、どこから当たるかは想像するしかないとのこと。

1時間ほど走り、最初のナブラで一斉に仕掛けを落とす、ガンガン竿を振り、サニービシからオキアミを振り出すが、当たりはない。カツオなら、コマセを振ったらすぐ当たるものだが……。と、右舷ミヨシ2番目の人が掛けた!
「ドラグはユルユルにしといて、食ったら走らせろー」
 その間も私たちはコマセを振り続けるが、反応が抜けたので仕掛けを巻き上げる。

 掛けた人はかなりPEを持って行かれ(100mくらい出た模様)、電動巻き上げで対抗するが、これは25kg級か?!


 船中が見守る中、ミヨシで観戦するが、浮いてきたのは
8kg級のキメジ! 一発でキングサーモン用ネットに収まった。 数隻の船が集まり、食わせている船も会ったが、我々はこの海域を後にし、次のナブラを追った。

 ジギング、キャスティング用のタックルも持ってきたが、一応、キャスティング用の準備とばかりフローティング系をリーダーに結ぶ。
 その後も何度となく走り回るが、当たりは遠い。 
これだけの人数なので、例え船中で
10回当たっても、自分は蚊帳の外という可能性も否定できないが、活きエサやルアーと違い、コマセならなおさらだ。 
そうはいっても、毎回、形の良いオキアミを選び、コマセを振ってチャンスに賭ける。
 

 次は昼頃、周囲をしばらく探索した後、船団に合流してコマセを振ると、左舷銅の間の人に食った! しかし、あまり走る様子がない。
「まさかサメ?」

「船長、サメもオキアミに食ってきます?」
「食うよ」
「えっ……」
 そうは言っても、7月にクロマグをサメだと思い込んでやり取りしたため、ハリス切れに終わった私としては、「姿を見るまでは……」と判断を保留する。
 電動リールの巻き上げでも相当きついらしく、じわじわと走る魚体を寄せていくが、瞬発力を余り見せないものの、持久力はありそうだ。
 船長も道糸を引き抜きながら、魚を寄せていく。

 魚が船の下に入り始めたので、私たちは仕掛けを巻き上げるが、釣り人も上手に魚を寄せていく。 
 ついに船長がビシをつかみ、ハリスを手繰った。
「サメ? ……マグロだ!」

 水面でキハダが反転し、上乗りのかづみさんがキングサーモン用ネットを持ってきた。キハダは一度反転して潜ったものの、船長の手繰りには逃れられず、ついにキャッチ!

 おめでとうございます!
「ハリスは7m使ってたというから、他のお客さんも長くして」
 そこで私も、26号のスプールを取り出すが、ひと尋、ふた尋と引き出す内に、スプールが海中へドボン! しかし、タイミングを見て手繰り、隣の釣り人が出してくれたタモで回収成功……。
 3,000円以上するハリスを海に流したら、ルアーをなくすよりショックかも……。
 船中初の良型が出たので、次こそは! と意気込むが、なかなか当たりはない。時には90m近い棚まで狙う。

 それでも最後は鳥山、ナブラの混じった反応が出たときなどは、30mくらいまで魚が浮き、私もキャビンからルアーをぶん投げたり、帰港中の一瞬、「少しだけルアーでやってみましょう」と聞き、喜んでボイルへキャストするが、これらも当たりはなく、ノーヒット……。
 反応が出たときなど、何人かは「瞬殺」と呼ばれるが、ハリを一瞬で持って行かれていたようだが、ドラグがきつ過ぎるのが原因だとか。

本日のキハダ、30kgくらいか? と思うが、帰港後、検量すると太っていたのか42kg
 私は朝方買った、クーラーの氷を船に置いていったのだった……。 

 当日の様子は、32号船船長ブログをご参照願います。



 10月6日

 翌週の29日は、知り合いのDさんがでかいキハダを掛けるが、サメに半分以下にされてしまう、それでも20kg近くあったというから恐れ入る。無事なら50kgあったのか?
 ただ、相変わらずコマセでないと厳しい中、カツオの群れが入ってきたので18号船ではかなりカツオの釣果があった。
 大船長に問い合わせたところ「カツオなら跳ね釣りで釣れるぞ」と聞き、久しぶりに一本釣りを満喫すべく、106日の土曜に再び長三煌ロへ向かった。

 左舷ミヨシ2番目を確保し、Dさん、Nさんはキハダ専門船へ乗るというが、Wさんも交えて情報交換する。
 Wさんによれば、ハリスの太さもあまり関係ないようで、「どれがいいのか、まだ未知数」と言っていた。
 確かに、イナンバのキハダをコマセで狙うこともあるが、2008年もここまでコマセで当たっていなかったからなあ……。(船宿としては、オキアミで済む上、大勢乗せられるコマセ船は好都合かもしれないが)
 だが、やはりコマセよりは活きエサが好きな私は、散水に入ってこなくとも、大ドモからジギングロッドのフカセで食わせるぞ! と、フカセの準備、さらにキハダキャスティングの準備にも忙しい。
 他のお客さんもツナタックルを持ってくる人が多いが、ベイトタックルは餌が流しにくいので不向きです。

 32号船、21号船が出て行くも、615分くらいに大船長が舵を握る18号船が港へ戻り、いそいそと乗り込むや、船は沖へ向かった。

 念のため引っ張りの道具を流すが、積んである餌も9月中旬よりは若干大きくなっている。上乗りさん二人でイワシをすくい、少しでも型の良いものをフカセの付け餌に選り分ける。混じっていた魚は青アジ(マルアジ)の子だ。(さらに、タチウオまでいたので、即座に氷締め)
 左舷に一本釣りの竿が並び、私も交換するためのハリスも用意した。
 久しぶりの一本釣りだ。期待が弾む。
 7時を過ぎた辺りでナブラにぶつかった。最初の12回は浮かなかったが、次のナブラで魚が撒いた餌を取った! 
「こっちへ向かってくるぞ!」
 大ドモ方面から撒かれた餌を取り、どんどん船に近づいてくる! 散水を開始し、さらに餌が撒かれた。
 上乗りさんの引っぱたきに掛かり、私たちも一斉に、イワシをハリに掛けて一本釣りを開始する。

 散水の中でガンガン餌を取っているので、ガツン! と来たのはやや小さい1.5kg級のカツオだが、久しぶりの一本釣りに感激!
 しかし、この1本以降、私の竿には当たらない。観察すると散水の外で餌を取ることが多いので、次のナブラではルアーでは食わず、かといって一本釣りで食わせ切れないと判断し、大きめのイワシをフカセ込むと、数回送り込んだ直後、ガツン!


 一気にラインが持って行かれるが、頭を向いた瞬間にガンガン巻くのがカツオを獲るこつ。手前を向いた瞬間、ジギングタックルでゴリ巻きし、1分で良型のカツオを浮かせた。3.5kgは楽にある良型! やりーっ!
 その次は一本釣りも再開するが、散水の中に突っ込むタイミングが以外と短く、数を伸ばすのが難しい。(2本だけだった)


 カツオの胃を確認すると、最初の1本だけはシラスも少し食っていたが、後のカツオはすべてイワシのみを補食していた。
 これならいける! カツオ用にもう1本、ジグを投げられる竿を持って来ればよかったか?
 大型のカツオや、メボー(キメジ)も散水の外で餌を取りまくるが、「これはもう、フカセの方が有利」と判断し、一本釣りの釣り座を他のお客さんに譲り、右舷でイワシを流す。
 すると再び食った! 2人の釣り人を交わし、大ドモまで引っ張られるが、血を吹きながら浮いてきたのは4kg近いカツオ! しかし、その瞬間にカツオは反転し、30m近く潜った。無理したらPEが高切れしかねない。
 やや不安定な足下を整え、再び浮かせて10m以内まで距離を詰めるが、またもや反転! しかし、ジギングタックルに絶対の自信を持っていたため、次のやり取りでキャッチ! 良く引いたなあ……。
 引っ張りの道具ではなかなか食わないので片付け、フカセを続けるが、キハダらしいナブラでは誘い出しも少し試してみる。沈下系も投げるが、その時には船長、カツオに戻るつもりだったらしい……。


 段々、フカセが有利になってきたが、右舷ミヨシでフカセをしている人も魚をキャッチ、今回は餌を撒いても、前に抜けていくとかで、船長は頻繁に船を立て直した。
前回のメボー主流のナブラと違い、船から20m以内でボイルするため、イワシを流すタイミングが難しく、しばし餌を遠くまで流しすぎたり、逆に流すタイミングを逃したりと、何度か機会をふいにする。
(一本釣りの時も、23回ほど「ハリに乗らない」なんてこともあったが)
 一度は鳥まで掛けてしまったが、何とかペンチなしで外す。
 段々、流すタイミングをつかめてきたが、大きめのイワシは「絶対餌を取る」というタイミングでもないと、もったいなくて流せません!
 餌を取ったら船長が教えてくれるので、そのタイミングで投入すれば間違いない。
 と、食ったものの故かバラシ……。
 ハリを点検し、次のナブラで流すと……。
 餌を取り始め、私の餌も食った! 凄まじい勢いでソルティガが悲鳴を上げ、一瞬で100m近く持って行かれ、久しぶりにリールが熱を持った。これは6kg以上の特大カツオか、10kg級のキメジか?
 ハリスは12号だが、無理しなければ上がる。わずかにドラグを締めるが、悪いことに魚が清兵衛丸の船底を通過したらしく、ビシ釣りの仕掛けとオマツリしてしまった!
 船長が船を回し、魚を追いかけながら、ベールを返し、清兵衛丸の船長に仕掛けを解いてもらう。(2人分の仕掛けを巻き込んでしまったようです。心よりお詫び申し上げます)
 オマツリ解消後、やり取りを再会するが、呆気なく切れた! 
 100m以上出たラインを回収するが、PEとフロロカーボンのラインシステムから切られていた。ただ、PEもかなり擦れていたため、それが最大の原因でしょう。


 
 今日は初心者のお客さんも何人かいたが、全員何とか魚の型を見て、私もまた良型を掛けるがバラシ、最後に
1.5kg級を追加し、6本でこの日の釣りを終えた。
 メボーが上がらなかったのが残念……。(一本釣りで5kg級のメボー上げるのは一苦労だそうですが、私は切られたことしかありません!)
 
 状況は18号船、大船長のブログもどうぞ。



 10月8日

 翌々日の
108日は、長三煌ロは全船半額デーということで、8月に浅八丸のライトルアー船に同船した知り合いを連れて18号船に再び向かった。
 Nさんは32号船、Dさんは小学校6年の息子さんと18号船だ。
 この頃はイワシが出始めたため、キハダも期待できるが、何と餌が入手不能!

 コマセの道具を6日は持ってきたにもかかわらず、この日ばかりは置いてきたことを悔やむが、上乗りさんの協力で船の貸し道具(電動)を借り、オキアミを解凍して沖へ向かう。
 しかし、この日は絶不調! かなり風、白波もあって揺れ、21号船、32号船もからきし駄目で、反応にぶつけてコマセを振ろうが、ジグをしゃくろうが全く当たらない!
 当たりが多ければ、いくら荒れても危険でなければ喜んで釣るが……。


 昼頃からイワシ玉が固まるようになり、大型カツオ、キメジも姿を見せるので、ミヨシからDさんとミヨシでルアーを投げまくるが、少し反応したものの食わず! 
 平安丸や竜海丸がナブラを追っかけていましたが……。
 一度、Dさんの竿が大きく曲がり、リールからPEが引き出されていったものの、ハリが延ばされて終わった……。

 ま、こんな時もありますわ。
 
  当日の状況はこちら。



 10月20日

 今年の相模湾のキハダは、コマセが効くもののルアーやフカセのチャンスは少なく、「これでは食わせられる自信がない」と判断した。
 そうなると、「キハダが食っているときは、クロマグロも好調」と昨年の状況から判断し、再び忠兵衛丸を予約した。

 最近は20kg前後から、90kgまで上がっているので期待が持てる。
 
1019日、直前まで台風の動向を伺ったが、マンユウを仕入れたり、新横浜のプロショップで泳がせ用のハリを見つけたりと動き回り、無事に出船が確定した。
 今回は7月にも同行したSさんと仲間のI氏も同行するが、全員ヒットなるか?!

 船宿で2隻出しが確定し、私たちは初めて乗る21号船になったが、準備にやや手間取るものの、23号船よりも広いキャビンに濡らしたくない道具を置き、ベッドに横たわった。いささか疲れが残っているようなので、船酔いは避けたい。
 餌のサバを取るため、いつも通り船宿セレクトのフラッシャーサビキを購入するが、サバに短くされないか気が気でない。
 最初は食いが悪く、単発だったものの、潮が暗かったのかムツが食った! サビキのバケがハリス切れで何本も持って行かれるが、いいお土産ができた♪

 次第にサバの食いも本調子になってきたが、ムツは結局4尾。サバは15尾程度確保し、他の人もムロやオアカ、そしてスルメまで釣っていて、特餌になるかと期待が弾む。ムツは浮き袋が膨らんで腹を返しているので、即座に氷締めだ。

 ついに明るくなってきた頃、船はマグロの場所へ向かった。

 私はスピニングタックルを優先してラインシステムを組んだが。その間に船はぐんぐん場所へ接近していた。慌ててマンユウを取り出し、PE8号とPRノットで接続する。
 ぎりぎり間に合うかどうかのタイミングでサバをハリに刺し、放り込む。
 マグロの活性が高いのか、サバが追われる気配がひっきりなしに伝わってくるが、本当に40号で当たるのか? スピニングタックルでは30号を結んであるが……。
 何度目かの流しで、群馬から来ている貸し竿の人が掛けた! 電動リールが唸りを上げ、ごつい竿が曲がるが、飲まれたのかあえなく切れた! もったいない!
 270mほど流した末の当たりだったというため、私もどんどん流すことにして、レバードラグからPEを送り出す。
 最初の当たりだっただけに残念だが、23号船も掛けた! 10分ほどで上がったマグロは、推定50kg、胃袋からはキンメが出てきたとか! むろん、クロマグロがキンメのいる棚まで潜ることは可能だが、夜間浮いてきたキンメを食ったのかも? 
 キンメを活きエサにしても効くとは思うが、漁業規則で28cm以下のキンメは放流サイズ。しかも、キンメを釣るのは時間が掛かりすぎる!
 と、いうことで参考にしつつサバを泳がせる。

 船長によれば、反応があるのは「マグロかサメかサワラ」のみということだから、カツオ用のルアーを持ってきてはいるが、使う機会は少ないでしょう。
 昔はこの海域で、深田丸で一本釣りを堪能したこともあったが……。

 とにかく投入の度にサバが追われるのか暴れ、いつ食うか気が気でない。キハダのビシ釣りと違い、活きエサなら自信があるが、早く魚を食わせたい。スピニングタックルに持ち替えて流しても見たが、ツナタックルならサバでも充分扱える。
 10時を回った頃、ペン・インターナショナルからPEが激しく引き出された! これは間違いなく食ったと見て、レバードラグを調整し、少しテンションを掛けてみるが、ドラグを締めるのが早すぎたのか、わずかな手応えを残して魚は餌を離してしまった!
 これまでより魚が小さかったのかも……。

 回収すると、予想通りサバは傷だらけ……。

 と、その時Sさんに当たりが! ほぼ同時に食っていたとなると、余計心臓に悪いが、ここは仕掛けを巻き上げ、電動ファイトを観戦する。
 魚はやや小さいようで、最初こそラインが出たものの、電動ポンピングで次第に寄り始めた。そうは言っても彼には初マグロ、無事に上がることを願うばかりだ。

 引きからしてマグロに間違いないが、20kg前後か? 
 動画を撮りながら魚が寄せられてくるのを見たが、船長が銛とギャフを持ってきた。ハリスまで巻き込んだところで10kg級の銀影が姿を現したが、予想より小さいと見るや、船長は素早くギャフを頭に打ち込んで船に上げた。


 おめでとうございます! (目方は11kg)

 今日は小さいマグロも(メジといえばいいか?!)多いらしく、次に当たったときは、焦りすぎていたためか、あまり走らせずに合わせを入れてしまい、あえなく餌抜かれ……。
 群馬から来ていたお客さんも、今度は餌に傷が入って戻ってきたが、「こんなことしょっちゅう」と言うくらいだから、孫バリでも付けるか?
 オモリを付けていたIさんは当たり一回だったそうだが、スルメを流し始めたSさんは沈黙が続く。
 魚探には反応が出まくりなので、サバが逃げ回るシグナルを捉えながら、再度流し続ける内、再びPEが持って行かれた! 慌てず5060mと走らせ、徐々にレバードラグを締めていくが、重みが伝わっていたものの、いきなり軽くなってきた。
 しかし、これは「方向を変えた」だけだと判断し、巻き取っていくと確かな魚の重みが伝わってきた。
 今度こそ! と、大合わせをくれるが、何と今回も餌抜かれ! 
 これまで使ってきた、先がネムっている船泳がせだが、船長は「それじゃ駄目だ」と、判断し、ノーマル型のカットゴリラを購入し、結び直した。
 しかしながら、その後もサバが追われるがなかなか食い込まない。その間にも他船が獲ったなんて話が無線で流れてくるから心臓に悪い。

 最後の流しで、思い切ってスピニングタックルも併用して餌を流すと、何度も追われた挙げ句、最後は沖サワラにやられたのか、ハリごと持って行かれた!
 Iさんが掛けたと思ったら、相手は23号船!
 今度こそ近海マグロ水揚げを確信していただけに、ガックリ落ち込むが、船室でふて寝しつつ港へ引き返す……。
(当日は相模湾のキハダもカツオも絶好調だったというだけに、皮肉としか言いようがない!)





 23号船のマグロは60kg! 沖サワラも上がっていたが………。



 11月3日

 再び忠兵衛丸でクロマグロを狙うべく、2日の夜、Sさんを助手席に乗せて南伊豆へ向かった。
 途中の道も大分慣れてきたが、今日は休日ということもあり、2隻満船!
 私たちは大船長が舵を握る23号船に乗り、餌のサバを釣りに向かった。井上さんと私が竿を出し、Sさんは魚を外す役に徹した。朝方はやや波が高かったが、サバの食いがよく、落とす度に鯉のぼり状態! 7本バリに5、6尾掛かることもざらだ。
  以前よりフラッシャー仕掛けの扱いも慣れたが、ある程度釣ったところで絡まり、新しい仕掛けを購入すると、下からぶった切られた! 最後は残った仕掛けを繋いで釣るが、これだけ食いがよいと助かる。
 井上さんは黒ムツもキャッチ! 私には外道は混じらなかった。
あっと言う間に餌を確保し、再び船のベッドで一休み。
 
 マグロ場に着くと、カップラーメンを温めつつ道具の準備を済ませる。
「下に反応が出てるぞ!」
 と、大船長。
 まずは私から餌のサバを海に放り込む。順番に餌を投げ、餌がマグロの群れへ流れるよう船長が操船するが、どんどんサバがPEラインを引き出すものの、当たりはない。



 次の流しで胴の間で流していた同船者が掛けた! 竿が激しく曲がり、電動リールが唸りを上げる。
 私の餌も追われ始め、サバが泳ぐのとは違う力でPEが出て行ったが、軽くブレーキをかけて様子を見た瞬間、その走りは止まった。



 しばらく待っても食い込む様子はないので、やむを得ず回収すると、サバが活きたまま刃物で断ち切ったように真っ二つにされていた! 沖サワラの仕業だ。
 Sさん、井上さんも同様に餌が真っ二つ。しかも、サワラが浮いてきたらしい。
 同船者がクロマグロを寄せ、ついにギャフが入った。30kgくらいか?
 私は「近くにサワラがいるならルアーだ」と、判断し、ジギングを試みるが、当たらない。もしアタックしてきても、ワイヤーやザイロンのアシストを使っているわけではないので、呆気なく切られる恐れが高いと考え、ミスバイトを防ぐべく、ミノープラグに切り替えてミヨシから遠投する。
 キャストしたらジャーク、ジャークの繰り返しで誘う。魚にやる気があるのは間違いないので、ルアーを見つけたら水面まであっと言う間に出るはずだ。
 3、4投目にジャークを入れた瞬間、ドパッ、という音と同時に魚が乗った。
「来たっ! 沖サワラに違いない!」
 8ftのツナロッドで思い切りフックアップを決め、ガンガン巻き取っていく。
 ドラグが滑るが、リーダーは26号、100lb近い強度があるので引っ張り強度はまず大丈夫だ。むしろ、頭を振られたときに歯がリーダーに当たればひとたまりもない。
 そう考え、走らせる前に寄せるべく、わずかにドラグを締めた瞬間、青と黒の縞でなく、金色の輝きが見えてきた。沖サワラではない。キメジだ!
「キメジです! タモかギャフお願いします!」
 あっけに取られていた上乗りさんも来てくれた。
 そこでキメジは反転したが、大型のルアーが掛かっている上、高負荷のドラグなので長距離を走るには至らない。
 頭にギャフを打ち込もうとしたが刺さらない。
 うかうかしてバラしたら元も子もない。そう計算した私は、
「どこに掛けてもいいから、ギャフ打っちゃってください」
 次の回しで魚が寄った瞬間、ギャフが魚の背中に打ち込まれた。



 ルアーキメジやりーっ! 憧れのミノープラグでは初のマグロ、東伊豆沖のこの海域では初めてルアーで釣ったマグロだ。
 そう考えると、キメジクラスとはいえ嬉しい限り。(サイズは7kgくらい?)この時点で満足してしまった……。



 水面直下をウォブリングするミノーが、誘い出しの効果を発揮したのかも?
 次は井上さんが沖サワラを掛けた! DUELのトローリングリールを巻いて寄せる。
「沖サワラは口が弱いから気をつけて」
 と、大船長。



 青と黒の縞で彩られた、メーター級の沖サワラが鋭い歯を見せて浮上した。私とSさんがギャフを持ち、Sさんのギャフが獲物に打ち込まれた!
 メーター20はある沖サワラだ。



 続いて艫で流していた釣り人が掛けたが、やり取りを繰り返し、船を回して寄せたのは2m弱のハンマーヘッドだった!
 もちろん、私もサバを泳がせつつ「まだキメジがいるはず」と考えてミノーを投げまくったが、この後は当たらない。
 サバも前回ほど追われる様子は見えないが、それでも船の下に戻ってくることもしばしばあるので、ルアーにのみ注意が偏らないよう気をつけて泳がせる。
 と、艫側でサメが跳ねた! 水面上2m近くまで回転しながら飛び上がる姿はアオザメに違いない。井上さんの道具に掛かっていたようだが、左舷まで走って跳躍を繰り返す姿はサメとは思えぬほど。
 間もなくハリス切れ……。
 最後は移動時間中にミノーを引っ張らせてもらうが、一回では当たらずに漁場を後にした……。



 検量の結果はクロマグロが28kg、キメジが9kg、沖サワラで7kgだったが……。



 11月4日

 クロマグロ好調の情報と共に、相模湾はキメジ、キハダ混じりで良型のカツオが爆発していた。
ただし、一本釣り船は餌不足が懸念されていたため、「時間との勝負」という様相を呈していた。
そのため、南伊豆へ行く前から、「もし駄目だったら、帰りは葉山の長三煌ロでカツオをやる」と、考え、私はカツオ用のジギングタックルやイワシ餌用のハリ、細めのハリスも用意していた。(日曜ならかなりお客さんが来ると考え、フライタックルは置いていった)

 忠兵衛丸下船後、即座に長三煌ロの船長に電話を入れた。
 この11月3日も絶好調だったというので、既にエラと内臓を抜かれたキメジはクーラーで氷詰めにし、船宿で乗船料・サビキ代等を支払い、名物の温泉に浸かって一休みを済ませるや、一気に伊豆半島から葉山港へ向かった。
途中で状況を確認すると、みんなカツオ数十本を釣った上、半数は3〜4kg級の良型で、ジギングでも食いまくっていたというが、10kg級のメボーはもちろん、80〜100kg級のキハダまで跳ねていたとか! 
 数時間の長距離運転後、釣り座を見ると、今回もコマセキハダの船が一番人気だ。しかし、私はイワシ餌の一本釣り&フカセ船。

 釣り座を確保するや、自宅まで引き返すのは時間、諸費用の点で負担が大きいと判断し、大船某所で一眠り……。
 
 翌朝、速やかに港へ向かい、乗船手続き済ませ、クーラーを見てみると、氷はほぼ無事! しかし、大漁間違いないので氷をさらに追加購入。
クーラーに入りきらない分は、発砲の箱でも買うしかないか?!
 今回は活きエサのお客さんは5人だが、カツオ、キメジコマセも同人数、キハダコマセ船は10数人という賑わいよう。
 私はツナタックル2本に20号ハリスと、前回コマセで使った16号ハリスを結び、ジギングタックルは前回同様、12号ハリスをそのまま使う形で道具を組み立て、出船した。
 久しぶりに乗ってから餌を積むため、その間にこぼれたイワシを食いに来る魚を、ジギングタックルで狙ってみると……。



 ククッと小気味よい当たりを見せたのは、予想以上に小さかったがロウニンメッキ!(GTの赤ちゃん)ギンガメは経験あるが、ロウニンは初めて、次はカスミアジやカッポレか?
 次はスズキが出てきたそうだが、その前にロウニンメッキが食ってしまった。その次にやや大きめの餌を付けて放り込み、底まで沈めても食わなければ打ち返す。



 三度目にガツッと重量感のある当たりが伝わり、水中で銀色の魚が反転した。てっきりスズキと思ったが、寄ってきたのは50cm級のクロダイ!! 落ちついて左手でタモを出して取り込む。
 昔、手の平サイズを釣ったことはあったが、神奈川県内で、しかもこんなでかいクロダイは初めてだぞ!? (やや痩せていたが、磯釣り師が見たら……)

 思わぬ獲物に笑みがこぼれつつ、沖へ向かう。
 今回は東の海域を探索すると、早くも鳥山に遭遇したが、魚がなかなか浮かない。何度か餌を撒いても取らないので、キャスティングやジギングを試すが、当たりはない。
 長三煌ロの21号船、32号船も操業し、長井船の姿も目立つ。
 最初は50mや70mで反応が出るため、私も77gのジグを落として勝負するが、空振りが続いた。
 8時頃にナブラが涌き、カツオが水面下を走ったが、昨日と同様、胸鰭がでかいアオザメが着いていた。こりゃフカセで掛けた魚を取られないか心配だ……。
 撒き餌と散水が始まったが、最初は魚がなかなか浮かない。
 そう見るや、ツナタックル&16号ハリスで大型シコイワシを流す。最初は追われたものの早合わせですっぽ抜けたが、二投目でPEがバラバラッと引き出された。
 食った! 引きからしてカツオだが、かなりドラグが滑る! ツナタックルでも決して不足する相手ではない。ハリス16号ということでドラグを緩めすぎていたらしく、徐々に締めるが、それでも10mまで寄せたところで再び走る。
 次の走りで頭を再び手前に向け、本日第1号ゲット。3kg半は確実か?
 次第に凪いできたためか、魚が浮いてきた。
 続いて、撒いた餌を魚が取った。散水に入ってきたため一本釣り開始!
 次々に一本釣りの竿がギュギュギュッと絞り込まれ、青銀に輝くカツオが船に飛び込む。
 私も一本釣りで挑み、あっと言う間に竿が絞り込まれる。時折、当たっても乗らない空振り状態もあったが、何本か1kg半ほどの小型カツオと3kg級のカツオを上げた。
 しかし、その後は餌が大きいせいか、食い込みが悪い。
 散水の外でキメジが餌を取っていたため、再びフカセに戻す。
 何本かカツオを釣った後、再びPEが走った。「またカツオか?」と思ったが、サメに追われたのか、急激に舳先方向の船底へ走り、一気に下へ潜った!
 ジャジャジャジャー! と、ソルティガのドラグが悲鳴を上げ、PE5号は真下へ伸びていった。サメに食われたのかと思ったが、この引きはキメジだぞ?!
「メボーが食ったー!」
 
4年前に味わった引きよりも強く感じるが、ロッドの粘りが違うためか、より強烈な手応えを感じる。20kg以上の魚を掛けた時と同様、全く油断が出来ない。下手をするとタックルを持って行かれかねない。
 しかし、走りが止まった後は、時々走るも最初ほど持って行かれることはない。ハリスがやや細いが、「切れるなら切ってみろ」と、強気のやり取りを繰り返した。
 久しぶりの力勝負なので、やや魚の力に押され気味だが、ポンピングを繰り返す。
 上乗りのかづみさんが餌を撒き、船長も降りてきてカツオを引っぱたきまくる!
 最後の10mまで巻き込んだ。水中で10kg級のメボーが光りながら浮いてくる。腹に傷が見えるが、サメに噛まれた痕ではない。ハリスが食い込んだ傷だろう。
 落ちついて寄せ、2008年以来の「相模湾10kgもの」をキャッチ! やはり嬉しいねえ。
 上顎に掛かっていたハリを外し、再び大きめの餌を放り込むと、即座に当たりPEが一気に引き出されていく。しかし、軽くバックラッシュしていたのか、PE5号が左中指の先に巻き付いた!
 カツオなら止まったかも知れないが、相手は間違いなく10kg級のメボー、やばいぞ!? 
 踏ん張った瞬間、16号のハリスがチモトから切れた。もっと太い仕掛けを使っていたら、指を魚に取られるところだった……。
 マグロ狙いならこれくらいの危険は承知の上だが、PEは指に深く食い込んでいた。(全治1週間強)
 しかし、すぐタマンバリを結び直し、ギンバルを着けて続けるが、カツオが掛かるものの、メボーは姿を見せなかった。



 少し移動しても、相変わらず大型カツオのラッシュ。さっきのメボーとのやり取りでドラグをかなり締めていたらしく、掛けてからも無駄に走らせず、ガンガン寄せ、最後は左手でタモ入れ。いずれも4kgはある見事なカツオだ。5kgあるかも?!
そんな状態がしばらく続いた。
 餌がでかいため、下手に一本釣りをやるよりもフカセの方が効率よいと判断したが、他の皆さん、一本釣りで入れ食い満喫!(フカセなんかやってたのは私一人)
 この時点でクーラー満タン! かくして釣り客の皆さん、船で氷を購入し、タルやバケツで入りきらないカツオを氷漬け。
 私も大喜びで10kg級の内臓とエラを抜き、クーラーで氷詰め。
 次のナブラではさらに食いが良く、雨あられとカツオが降ってくる。
「これはルアーのチャンス!」
 と、すっかり遊ぶことを考えていた私は、ジグを投げて水面下をしゃくってくると、やっぱりガツン! しかし、12号ハリスでも強気のやり取りで寄せ、最後はロッドで抜き上げる。5本くらいはキャッチした。(でかいカツオは食わなかったが)
 一本釣りに少し戻ると、カツオと混じって2kg前後のキメジ(チャッパ)もキャッチ!
 ……既に20本くらい釣っているため、クーラーで足りるはずもなく、バケツでカツオを氷漬けにしていたが、1kg半ほどの小型カツオを捌いて刺身にし、醤油なしでパクついた。しかし、食べ終わらぬうちに次のナブラ遭遇!
これはチャッパも数多く混じるが、水面でガバッと激しく食いつく姿も見え、ルアーキャスティングで釣っても相当堪能できるはずだが、10kg物を狙ってフカセを繰り返す。
 餌を取りに行く間は、ロッドホルダーにタックルを立て、ベールを返しておくと、戻った時には既にPEがバラバラ走っている!
 しかし、食い込みが浅い魚も時々いて、ゆっくり食い込んだり、時には咥えても吐き出してしまう魚もいた。一本釣りでこんな魚に当たると食わせるのに難儀する。
 釣っては転がし、次を狙う。
 何本かカツオ、チャッパが足下に転がった後、再び10kg級のメボーが食った! 今度は一気に真下へ突っ込むが、その勢いは半端ではない。あっと言う間に100mは出た。相変わらずサメの気配があるため、ツナタックル以外は使えません!
 止まったところで思い切りロッドを立て、のけぞるようにポンピングを繰り返す。真剣勝負そのものだ。
 これまで30kg、40kgの魚も取っているが、相模湾で長期間過ごし、栄養満点のイワシやコマセを飽食した魚だ。10kg級でも侮れない。
 先日は同じようなサイズでも、一回り太い26号にでかいルアーで掛けたため無理が利いたが、16号ハリスに小さなタマンバリで同じ真似をしたら一巻の終わりだ。



 それでもガンガンやり取りし、浮いたところで上乗り、ゆきさんにタモを入れてもらう(さすがに左手でタモ入れするのは無理だった)。
 船長も10kg級のメボーを抜き上げたようだが、ゆきさんも同サイズを掛け、船べりまで持ち上げたものの、ポロッ……。10kg級を一本釣りで抜き上げるなんて、俺には絶対無理だぞ!? これで10kg級2本だが、2008年は「7〜13kg3本」という釣果だったので、数釣り記録を更新すべく、さらに続けると、あっと言う間にメボーが食った!
 最初の走りも交わし、落ちついてやり取りを繰り返しながら寄せていった。絶対獲れると確信して寄せたが、いきなり16号のハリスがぶった切られた!
 すぐさま結び直すとまた食ったが、これも呆気なく切れた!
 16号も強度が落ちたようなので、20号のハリスを結んである9ftのツナロッドに切り替えた。(16号の方が、ゴロンボのためか食いが良かった模様)



 その間もひっきりなしにカツオやチャッパが食いまくったが、再び10kg級のメボーが食った! しかし、ミヨシ近くに引っ張られ、下に一気に潜られたので、足下がツルツル滑るわ、ロッドがなかなか起こせないわで大変。
「ロングロッドは伸されたとき、起こしにくい」そうDさんから聞いていたが、こうなったら打つ手は一つ。船底をPEが擦りそうになるが、その前にベールを返した。
 フリーになったPEは高速でみるみるうちに20、30mと引き出されていくが、その間にッロッドを起こし、攻守逆転とばかりガンガン巻き取っていくが、船の近くを泳いでいたアオザメに取られた!



 この後はメボーが食うことはなかったが、結局、良型半数以上でカツオ25本、2kg前後のチャッパ5本、10kg級メボー2本と、これまでのボウズなど笑い飛ばせるような入れ食い!
 これはやり過ぎか?!
 魚を船の魚槽、マグロ用発砲大箱などに詰めまくり、(上乗りさんたちの水揚げは600kg)全員が満ち足りた顔になっていた。フライを持ってこればとも思ったが、久しぶりにいいメボーを獲れたので、これ以上の贅沢は言うまい。
 秋の夕日を斜めに見送り、船は港へ向かった。

 当日の様子はこちら。



 11月25日

 三週間前の釣果は大満足だったが、その後もしばらくは好調が続いたものの、次第に釣果は下り坂になっていたが、時々、かなりの釣れっぷりを見せるため、「群れが抜ける前に、最終戦をやろう」と考え、懲りない誰かは散水に戻りガツオが付けば……。と夢想のフライを巻き、さらにナイロン8lbなんてライトラインも用意し、再び長三煌ロへ向かった。
まだ10kg級のメボーや大型キハダも見えたというので、当然、ツナタックルも……。
 今回は久しぶりにWさんとも同船したが、活き餌船のお客は4人! コマセ船が人気だが、私の釣りはやはり活きイワシのフカセ、一本釣りだ。



 餌を積んでいる間に、生け簀周りの魚を狙うが、弱った餌がなく、元気のいいイワシを泳がせると、あちこちへ泳ぐものの当たらない。弱ったイワシでないと追いつけないのか?(あるいは、視界から遠ざかる?)
 11月下旬ということもあり、寒風に吹かれつつ魚群を探査する。
 しかし、魚が見つからない! ひたすら西に走り、伊豆半島近くまで船を向けたが、魚の気配が出てきたのは出船から6時間後! 他の葉山船、島きち丸、まごうの丸などもこの海域に一縷の望みを託し、終結する。
 職漁船も操業しているが、島周りよりいいのか?!



 非常に小さな小魚(シラスやアマジョロではない)の群れや、「コケラ」と呼ばれる、イワシが落とした鱗も辺りに漂っているが、魚が餌を持ち上げていても、船で駆けつけるまでに潜ってしまうようだ。
 上乗りさんやWさんの話によれば、昨日はビシ釣りで食いまくり「旅立ち前の荒食い」だったというが……。

 何度かこの海域を往復した後、魚が撒いた餌を取った! コマセ船の周りで、2kg程度のキメジが次々に水飛沫を上げる。カツオも混じっていた。
 散水には入ってこないようなので、ためらわずフカセで流すがシイラタックルに結んだ16号では当たらない。
 Wさんが12号らしきハリスで食わせたのを見て、私も12号を結んである8lbのライトタックルで流すと、一発で食った! ジギングロッドが曲がり、激しい勢いでセルテートからラインが持って行かれるが、無理は出来ない。
 止まったところで巻き取るが、再び走る。しかし、飛ばされる心配はなさそうだ。
 先にWさんがいい型のカツオを上げたが、私の魚も次第に寄ってきた。
「また切られないでね」
「ナイロン2号を使っているので、慎重にやりますよ」
 やがて、海中を輝きながらカツオが寄ってきた。針を飲んでいたらしく、血を吹いているがまだ力を残しているのか、リーダーまで巻き込んでも、人影を見ると反転して走る。
 それが2回ほど繰り返されたので、ならば、と後ろに下がって寄せた瞬間、船長のタモに2kg手前のカツオは収まった。
 小さいがよく太ったカツオだ。


 
 さすがに少ないチャンスでは、記録狙いよりもお土産確保を優先させるべく、シイラタックルにPRノットで手間掛けて結んだ16号ハリスを切り落とし、12号に交換する。
 その間に、1メーター半を上回るくらいのヨシキリザメが現れ、船の周りをウロウロし始めたものだから、なおさらライトタックルは使えない。
 次のナブラでも、船の周りで餌を取っては跳ねるが、散水には付かない。
 フカセで掛けたものの、あまりPEを出されることなく止まったので「これは小さい」と、すぐ分かったが、最後は自分でタモ入れする。やはり2kg弱のキメジだ。


 
 しかし、3週間前のキメジよりも丸々太っていて、まるで本メジのよう。これは脂が乗っているのでは?

 と、その時に舳先周辺でキメジが跳ねた! 素早くイワシを放り込むが、届かなかったためか当たらず……。
 上乗りさんも一本釣りの叩き竿から、スピニングタックルのフカセ釣りに切り替えた。
 周辺の船を見ていると、コマセでは次々に竿が曲がっているが、ジギングは思わしくないようだ。
 その時、船から30〜40m先でキメジが跳ねたので、ルアーキャスティングでナブラへ打ち込むが、12号までハリスを落とさないと食わないほどスレているせいか、音沙汰なし……。
 こうなったらフカセ以外は可能性が薄い、続いては船の近くでボイルした瞬間、イワシを放り込むと、程なくしてラインが持って行かれたところで合わせをくれる。
 足下にサメが見えるため油断できないが、見えているヨシキリザメは、小型の餌も捕食する反面、アオザメやシュモクザメほど大型の餌を捕食するのになれていないらしく(死んだイワシや、捨てられた内臓を捕食していた)、何とか横取りされず、3kg半の本ガツオをキャッチ!
 この後もしばしば、沖でキメジが餌を取るので、活きイワシを放り込むが当たらず、Wさんがビシバシキメジを掛けるものの、私には当たらない。
 最後はこの群れに見切りを付け、港へ向かいながら様子を見るが、途中でもいくつか脂はあったものの、追っている餌が小さいのか撒いたイワシは取らず、夕闇が迫る中、道具を片付け、最後は真っ暗になった港へ船を着けた。
 こんな時間まで操業したのは3年ぶりだが、今年も長三烽ウんにはお世話になりっぱなしでした。数は少なかったものの、終わりよければすべてよし!
 来年はまた、でかいキハダ釣らせてください!
 
 参考:長三煌ロ18号船のブログ


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