4月13日


 以前から気になっていたイナンバのキハダに、今年こそ挑むべく、2本目のジギングロッドを仕入れ、アシストフックを組み、ジグを追加して機会を伺っていた。
 3月31日、土肥のとび島丸が御蔵島へ出て、15kg近いキハダを獲ったため「シーズン到来」と踏み、船を押さえにかかった。
 しかし、予定していた日は手石の忠兵衛丸は出られず、諸事情によりイナンバ隣の御蔵島へ向かう、網代の森竜丸を予約した。
集合時間は0:30。出船が1:00だ。

 柏木氏、その先輩という仲間二人と夜の道を突っ走るが、先輩の方もヒラスズキをかなり経験しているものの、後は外房の青物やカツオ程度で、マグロ類は初挑戦だという。
2時間弱走り、網代港へ到着するなり乗船準備にかかるが、皆さんキハダキャスティングに備えてツナタックルがずらり! ステラやソルティガが主流で、ルアーもガンマやロデオが目立つ。
 森竜丸は数多くのロッドホルダーがあるため、すぐさま使用タックルを取りつけ、濡れて困る荷物はキャビンに入れた。船長に御蔵島の概略を聞くと、やはり200gはあるジグが必要で、スローな動きでもキハダは十分反応するという。
 今回はジギング用にPE4号&フロロ18号、PE3号にフロロ16号だが、キハダキャスティングにはPE6号&フロロ24号、PE5号にフロロ20号だが、若干細めにして食わせ重視の考えだ。(特に、キャスティングならリーダーがふたまわり太くても使用上は問題ない)
 5時間近い航行中、寝だめするべく船のベッドで横たわるが、スペースが広く快適! これは助かる。
 そうは言っても、「休めるが眠れない」時もあるが、時折、携帯のGPSで位置を確認すると伊豆大島を通過し、5時台になると三宅島まで視野に入って来た。
 ベッドから出てキャビンに出ると、三宅島を横目で通り越し、御蔵島がぽっかりと浮かんでいる。波はかなり高く、大型の森竜丸がうねりに揺れる。
 船長は常に船を操作しながら、御蔵島へ向けてひた走った。時折、海鳥も見えるので「これはキャスティングで狙えるか?」と、期待がはずむ。
 興奮を押さえながらベッドに戻り、釣り開始の6:30に備える。





 6:00頃、関西で淡路島を震源地とする地震の速報が入るが、御蔵の周りは特に影響を受けないよう、それにしても断崖絶壁で緑の原生林に覆われた御蔵島は美しい。21世紀の東京都といえど、伊豆七島はまだまだ自然の姿を残している。
 レインウェアをはおり、長靴を忘れたものの、足元がずぶ濡れになる危険は低いと見て、私も左舷の釣り座に出た。
 島が目の前に見え、この周辺でジギングするのだと思うと胸が弾む。
 私はCB-ONEのD3(205g)をセットするが、船長が船を回している時に、ふと元ガイドを見ると、新しく仕入れたジギングロッドのSICリングが、ガイドフレームを残して影も形もなくなっている! こんなバカな?!
 このままジギングしたら、ヒットした瞬間にPE高切れ間違いない!
 慌ててもう1本のPE3号&リーダー16号のタックルにジグを付け替え、合図を待つ。
 6:30に船長が「やってください。水深は110mです」
 すかさずジグを落とし、ラインを送り出す。潮の影響を受け、若干PEが流れそうになるが、200gで十分カバーできそうだ。(一応、背黒ジグの300gまでは持ってきたが)
 ジャーク、ジャークを繰り返し、途中でフォールを入れ、ジグをスライドさせるが、それを何度か繰り返した時、ハンドルに違和感が!
 何と、ソルティガのハンドルが逆転している! これでは思うようにジグをしゃくれないので、船中、当たりがないと見るや、船長が船を立て直す。
 その間にリールを交換しようとするが、リールシートから外れず、ロッドエンドを叩いた瞬間、ソルティガのリールフットがボキン! 
 2タックルとも破損するとは!(こんなこと、2度とないと信じたい)




 キャスティングタックルは8Ft、9Ftロッドなので、150g〜200gのジグをしゃくるにはいさかか難があるが、ここで仲間にMCワークスの7Ftキャスティングロッドを借りる。
 何度か205gのD3をしゃくるが、体力的な負担が大きいため、150gのスキルレオンに切り替えた。
 その直後、船長が船を島の南側へ走らせ、反応へ当てた。すぐさまジグを落としていくと大型のサバがあちこちで当たり、私のジグにも食ってきた。
いい真サバだが、今回は遠征ジギング船だ。平塚のライトルアー船ではない。その上、仲間二人のみならず、私も「船酔い寸前」という状態のため、お土産にキープする気力もないようだ……。
 他のアングラーもサバしか当たらぬと見るや、船長は移動し、40mくらいのタナを攻める。どうやらキハダの気配が薄いらしい。そうなるとヒラマサやカンパチだ。ジグを150g、背黒ジグのゴールド系に替えるが、しゃくり易さはさほど変わらない。
 この後は、何度となく浅場、深場を交代で攻め、35mから140mまで狙うが、時折サバに邪魔される以外は本命の当たりはない。
 それでもせっかく御蔵まで来たのだから、移動中は休むものの、機会があるたびにジギングを繰り返すが、インチクを使っている仲間にも当たりはない、根魚やショゴくらいなら当たるだろうと踏んでいたが、早朝に起こった地震のせいか?
 (2011年の東日本大震災でも、大島の船でマグロ狙いの合間、カンパチを狙ったが、魚探に反応が出ていても全く当たらなかったなんて話もある)
 忍耐のジギングを繰り返すが、10時過ぎに船長は一路、船を沖に向けた。鳥の姿がちらおら見えるため、「キハダキャスティングの始まりだ!」と大喜びして群れを探索するが、鳥が見えるものの、決定的なチャンスには至らない。
 それでもしばらく走りまわって探索するが、さすがに船酔い気味だった私は、移動中は一休み……。
 この間に、御蔵島名物のイルカ(居着きのハンドウイルカが有名、ドルフィンスイムのお客さんも来る)まで見えたそうだが、私はキハダ探索が難しいとなると、力が抜けていく。




 最後は島周りに戻ってジギングを繰り返すが、スロージギングを試していたアングラーにも当たりがなく、舳先でジャークしていたアングラーが掛けたがPE高切れ!
 
 と、いうわけでキハダ狙いは撃沈したが、これもまた遠征釣りのリスクゆえ仕方ない。帰りもベッドに戻り、網代までの航路を思い切り休むが、この日イナンバへ出ていた寿美礼丸はキハダこそ出なかったものの、ヒラマサやカンパチを何本か釣ったらしい。
 その後もイナンバではキハダ、ビンチョウ、カツオが釣れているが、御蔵島は今一つな感があるようだ。


(破損したタックルは、修理におよそ2週間で完了)




 6月22日


 6月10日、突如相模湾でキハダが爆発した。

 2011年にワタエラ抜きで91kgという特大キハダを上げた、秋谷の清四郎丸が3人で20〜48kgのキハダを3人で11本という驚異的な釣果を上げ、翌日は長三朗丸もDさんらが仕立て、4人で20〜28kgを6本上げ、その後も良い日は船中6〜7本の釣果が報告されるようになっていた。
 最初の週末は先約があり、ライトルアーのサバというとんでもない展開になったが(トップで100尾!)、この日も長三朗丸は8人で7本という、素晴らしい釣果が報告された。
 キハダは20kg前後が主流で、ツナタックルが普及しているため、高いキャッチ率を示しているが(10分以内で上がることが多い模様)、時に40〜50sのキハダも報告され、果ては昨年仕立てた長井の長助丸で、ワタエラ抜きで108kgあるクロマグロが上がり、ツナアングラーを驚愕させた。
(ロッドが折れるも、1時間半で上げたとか)
 おまけに小田原の船はマカジキを掛けるわ、カツオもいるわ、餌のシコイワシは「シロギスやっていると、餌のイソメに食う」ほど魚影の濃いという、好条件が揃ったため、22日の土曜、既にルアー船、一本釣り船と2隻体制に入った長三朗丸のルアー船を予約した。
 ルアー船のみ出ていた時は大船長が舵を握るが、一本釣りは大船長、ルアー船は若船長だ。
 台風が低気圧に変わるも、伊豆諸島近海を通るため「出船できるか?」と一抹の不安がよぎるが(時化ていたときは「ナブラに遭遇した時だけミヨシに出る」とか、「波がありすぎて合わせが効かない」なんて話も)、21日も2人で出船し、15kgを1本上げた上、翌日の22日も出船が確定した。

 22日の早朝、葉山・鐙摺港へ車を向けると、昨年のハイシーズン時と違い、ゲートが空くまで並ぶ車もまばら、コマセではまだ口を使わないため、ルアー船か活き餌を持っている船以外はマルイカ、ムギイカでも狙っている模様だ。
 と、一本釣り、フカセ船には深田家で同船したMさんも!
 4時半頃、大船長が餌を買いに糟谷船長、上乗りのゆきさんと港を出た。
 昨年のキハダ狙いで苦楽を共にしたDさん、野口さんとも合流し挨拶。Dさんは既に3回出船していずれもキャッチと3連勝! 野口さんは今シーズン初出船で18kgをキャッチしている!
 1年がかりでルアーキハダの夢が叶ったようで何よりだ。
 キハダは外洋から入って来たばかりなので、まだ脂は少ないようだが、ルアーで釣るならスレる前の今がチャンスだ。 
 一本釣り、フカセ船には、コマセ好きなHさんも来た。いやはや、懐かしい面々だが、早いシーズンインは文句なしに嬉しい。(ルアー船は4人、一本釣り、フカセ船は6人)
 船に道具を積み込み、カップ麺(久米島で仕入れた沖縄そば)で腹ごしらえするや、氷仕入れる。
 車を駐車場に入れ、陽が出てきたので半袖に着替える。
 若船長が給油している間に、私もラインシステムを組み、キハダの引きに備える。久米島で使ったPEが僅かに毛羽立っているため、容赦なく切る。
 6時を回り、船は港を出て西に走るが、何でもDさん、野口さんの話だと「前回よりナブラが見つからない」という話だが、陽が高くなり、水温が上がるにつれて湧きだすはずだ。


 
 やがて富士山まで観察するが、昨年11月下旬、最終戦で走った海域まで船を向ける。次第に海鳥の数が増えてきたので、チャンス間近だ。
 いつヒットしてもよいよう、ギンバルとグローブは常に装着して群れを探す。
 と、イワシ玉に遭遇! 他船が1隻操業しているが、我々も近づいてルアーを打ち込む。しかし、何投か繰り返しても食わないので、まだ白んではいないが見切り、次の群れを探す。途中でカツオが跳ねたのも確認するが、投げても食わない。
 次に船が速度を上げ、突進していくと夥しい鳥の下に、「洗濯機」と呼ばれるような勢いで20kg級のキハダが姿を見せ、イワシを食い漁っている!
 宇宙空間の如くウロコが漂い、一斉に投げるが誰のルアーも食わない! 落ちついて何度かアンダーキャストで打ち直すが、当たりが来ないまま群れが沈んでしまった……。
 こんなバカな! と思いつつ、沈下系のサイズを上げ、ナチュラル系に変更する。
 ナブラが沸き始めたら、次々に見えてくるため心が弾むが、次のナブラは、何回か投げても食わず、シイラタックルで誘い出しをやってみる。
 ナブラが大ドモの方向で沸いたため、誘い出しを試みると、ルアーの近くでボイルが始まったが、ルアーを狙ったのか否かは断定できない。
 しかし、このナブラも食わなかった。
 ナブラで食わなきゃ、次の群れを探すしかないが、Dさんもフローティング系、沈下系をまめにローテーションし、魚の反応を探る。
 間もなく、次のナブラに遭遇した。
 一斉にキャストを繰り返すと、野口さんの投げたルアーを20kg級がズバッと白い泡を立てながら激しく追い、Dさんは沈下系を回収中にヒット! 素早く追い合わせが入り、私はオマツリしかけるが素早く解き、ナブラが沈んでいくため、ロッドを置いて動画を撮り始めた。右舷に下がってやり取りを開始し、船長も降りてきた。
 Dさんは佐藤偉知朗氏のガチンコファイトで寄せるため、勝負が早い。
「船長、反応出ているんですか」
 と、野口さん。
「いや、水面で見ている。今日は食いが悪い」
 そこに、右舷の大ドモ方向でナブラが! 
「4連勝なるか?」
「きっと獲れますよ!」
 慎重に、しかし巻ける時はどんどんラインを巻き取り、魚は次第に寄ってきた。



 水面下を2〜3回ほど回したところでネットイン! 20kg程度か?
 相模湾で4連勝、おめでとうございます!
 いやー、驚いたなあ……。
 まだナブラが近くにあるため、記念撮影まで手が回らない。船のマグロ用発砲箱に入れるしかないか?
 と、思う間もなく次のスーパーボイルに遭遇! 
真っ先に同船していた長三朗丸初乗船のTさん(平塚や大磯、網代の船に乗ることが多いとか)がヒットさせ、ソルティガ4500Hのドラグが悲鳴を上げる。
 私も落ちついてルアーを沈めていくと食った! 素早くVF-9012ERのレングスを活かして合わせをくれるが、ドラグが5kg近くあるはずだがまだ緩い、スプールを押さえ、ガン、ガンッと追い合わせをくれる。
 僅かにドラグを締め、後はハンドドラグで対処しながら右舷に降りていくが、その時に野口さんが食わせたものの、その直後にバチッとPE6号が高切れした。Tさんはカツオを上げている。
 うまく交わし、ロッドが伸されないよう気をつけて寄せていくが、バットパワーがあるせいか、余裕を持ったやり取りが可能だ。去年、久米島でメーター50のシイラを掛けておいて良かった……。
「15kgくらいでしょう」
 なんて言いながら、旋回してきた魚の姿まで確認したが、宇宙空間状態のウロコが散る中、魚は再び走った。しかし、ドラグが効き、ロングロッドでためているため、30mも出されず、魚を慎重に寄せていく。
「船長! タモお願いします」
 残り10mを切り、ついに魚の姿が見えてきた。さっきDさんが上げた魚より大きいが、ファイト時間は5分足らずだ!

                               

 落ちついて魚を寄せ、ネットに入ったキハダは24kg! 久米島で釣ったサイズと同じだが、1年ぶりにルアーキャスティングで相模湾のキハダを仕留めたため、嬉しくて足がやや震えた。
 Dさんに何枚か写真を撮ってもらい、先ほどの20kgと共にエラ、内臓を取り除く。胃袋の中は大型のシコイワシ(ゴロンボ)がぎっしりだ。
 船に積んである発砲のマグロ箱に獲物を移し、氷詰めにするが、一段落した頃、船長が叫んだ。
「右にいるから投げて!」
 鳥が何羽かいるので、試しにトップを投げてみると、あっと言う間にズドン!



 激しくドラグが鳴るが、先ほどのような型ではない。他のメンバーのロッドも次々に曲がり、やり取りを楽しみつつ寄ってきたのは4kgほどのキメジだ。掛かりがよいのでリーダーを持って抜き上げる。
 そこら中に転がっている魚を、頭を刺してバケツに放り込むなりルアーを打ち返すと、今度はルアーが空中に吹っ飛ばされ、着水直後にドン! 左右を見ると、三人同時にトリプルヒット!
 いずれも3kgくらいのキメジだが、これは面白い!
 そこに佐島の相洋丸、そして長三朗丸の一本釣り、フカセ船もやって来た。イワシを撒くとあちこちで水柱が上がり、一本釣りでもカツオが抜き上げられ、フカセの竿がいっせいに曲がる。 ドラグ音まで聞こえた。
 我々もこれ幸いと投げまくる。
 しばらく近くを流したが、一度当たったものの乗らず、ルアーへの反応は薄くなってきたので、再び探索に戻る。
 キメジの血が足下に飛び散っているので、ホースの水を掛け、ブラシで落とす。(次にヒットが相次いだとき、足下が滑るのは避けたい)

 昼頃から風が強くなってきたが、船長は何度となくナブラを探し、私たちも注意しながらルアーを通すが食わない。やや活性が落ちてきた模様だ。
 それでも途中でミノーを引っ張ってみたり、ナブラで沈下系を打ち込んだり、出ないと見るや誘い出しを試みるが出ない。(シイラすら当たらず)
 
 イワシ玉はできているが、魚の食い気が薄くなってきたようだ。
 15:00で船長は沖上がりを宣言した。
 港に入る直前に、獲物を水揚げするため一本釣り、フカセ船が小坪へ向かっていくのを確認し、船は港へ戻った。
 荷物を下ろし、記念撮影を済ませるも一本釣り、フカセ船はカツオ、キメジがポツポツで大型は出なかった模様。



 それにしても今シーズン初挑戦で24kgが獲れて良かった……。




 野口さんはラインブレークでガックリ……。


 長三煌ロのBlogはこちらです。


 7月13日

 相模湾のキハダ騒動は依然として続き、20kg級が連日、釣れ続けていた。
 さらに、カツオが活きエサに口を使い始めたため、一本釣り・フカセ船も多数のカツオを水揚げし、キハダもフカセで釣られ、この盛況に餌釣り師も奮い立ったのか、平日でも20人近い釣り客が訪れるほどの賑わいとなった。
 ルアー船も連日、10人前後の釣り客を乗せていたが、日によって釣果は左右されるものの、平塚の船が40kg〜70kg級のクロマグロを上げたり、長井の船が40〜60kg級のキハダを仕留めたり、他船からも大型魚の目撃情報が入った。
 ある時などは、仲間のDさんら11人で9本のキハダを記録した日もあったりと、次第に釣果は落ちついてきたが、釣り人たちはいてもたってもいられない。
 11日に餌釣りで出たSさんも、キハダは不発だったものの良型のカツオを何本か仕留め、ルアーでもカツオがかなり混じるようになっていた。
 出発直前の時期は、ややルアーへの反応が鈍くなってきたようだが、それでも誘い出しで食うという情報があり、私は「万一の場合でも、カツオなら釣れる」と踏んでいた。

 かくして7月13日、早朝に葉山港・長三朗丸に向かうと今度は車の列! さすがに開幕からひと月経つと、かなりの人数が繰り出すわけだ。他にまさみ丸もルアー船を出すため、そちらのお客さんも多い。
 一本釣り・フカセ船は既に満員だが、知り合いの名前がちらほら。
 まずはUさんと挨拶し、続いてはルアー船で一昨年、良型を共に仕留めたGさん、NIさんと挨拶する。どんどん知り合いが増えていく船だなあ……。
 そして今回、一本釣り・フカセ船に乗る野口さんは、去年の仕立てにも乗ったというご夫婦ひと組を招待。
 いつの間にか大船長は餌を買いに行ったが、港には折れたパシフィックファントムやガイドの取れたAbuの竿まであり、何が起こったのか一目瞭然だ。
 と、船宿が開いたのでまずは一本釣り・フカセ船から受付、続いてルアー船の受付を済ませる。



 そこに当HPを閲覧してくれているというSさんとも挨拶、氷を仕入れ、船に道具を積む際に記念撮影だ。

 6時前に餌を積んだ一本釣り・フカセ船が出船し、間もなく、私たちも港を出た。
 今日はややうねりがあるものの、際の潮はあまり流れず「潮止まりか?」と思うが、1時間半ほど走った時点でナブラが見えてきた!
 水面で盛んにカツオが跳ねるが、シラスなどの小型の餌を狙った「ショボショボナブラ」だ。
 それでもフローティング系、沈下系を投げまくるが食わない。水面をスキップさせてもダメだ。
 何回か打ち込む内に抜けていくので、船で追ってはキャスティングを繰り返す。
 と、隣でジギングを始めたBさんに食った! 引きからしてカツオだったが、2kg半はあるいいカツオが上がった。
 タングステンの80gを使っていたそうだが、それを見て私たち数名がジギングに切り替えた。
 すると、今度はGさんにヒット! ステラ5000番のドラグが悲鳴を上げ、一向に走りが止まらない。これはキハダか?! ミヨシから降り、胴の間まで引きずられた。その沖で20kg前後のキハダが全身を見せて跳ねた! また跳ねる。
 掛かったキハダか? と誤認したが、これを見ると誘い出し用のトップウォータープラグを投げ込みたくなるが、ファイト中ゆえ自粛。
 Gさんは船をほぼ1周するくらい引き回されたが、カツオ用タックルとはいえ、20kg級なら上がるのでは? と、思った時にアシストフックが外れた! 掛かり所さえ良ければ……。
 キハダも混じっているため、今度はエビングの仕掛けを作り始める者が増え、船長も「下40mくらいまで反応出ているよ」という。
「表層引きより、沈めた方が食う」と私も判断し、77gのジグを沈めていくが、船が惰性で進んでいる最中に投げるとPEが胴の間へ流れるため、投げるタイミングを計る必要があるが、あまり待っているとフォール中に移動となる……。
 何度目かでNIさんが掛けた! 長距離を走るわけではないが、カツオではなくキメジの引きなので、エビングという選択肢が正解と出た。リップルフィッシャー&ステラのタックルで浮かせたのは5kg程度のキメジ。
 昔なら「5kg以上ある魚を釣りたい」なんて思った事も、今となっては「50kg級」が目標になってしまうが、私自身はまだDRスティックを使ったエビングでは釣ったことがないため、今後の課題だ。
 その後も時折キハダが跳ねるが、誘い出しを試みても食わない! 何度か「これならドンピシャ」という場所に打ち込んでも、一度、かすかな重みが伝わったものの、乗らない。
(沈下系でないと食わないのでは? という誤解は既に払拭済み)
 移動中に10cm足らずの、ワカサギのようなトビウオの稚魚を見ていたため、キハダはっこのトビ稚魚を食っているのか?
 何度目かのナブラで同船者が沈下系を投げてキメジを食わせるが、20kg級は不発。
 ミノーで水面直下早引きしても、メタルジグでスキッピングさせても私には当たらなかったが、同船者でやはりスキッピングの早引きでカツオを連発した人もいたため、「食い気があるも、攻めきれず」と判断するしかない!
 リーダーが太いのか? と気にするも、最初にカツオを釣ったBさんは、私の使っていた20号とほぼ同じ太さの80lbだったうえ、キハダも当たるのではうかつに細くできないが…。
 この日も沖で一本釣り、フカセの21号船と遭遇したが、こちらは20kg級がフカセで出た模様。結局、野口さんの仲間から(奥様もカツオ6本キャッチ)1本お土産を頂いて撤収……。


 当日の様子は、船宿Blogでもどうぞ。


 7月20日

 続いては20日の土曜、今度はフカセにするかと迷いまくったが、「水・木辺りに活きエサか、ルアーか最終判断させて下さい」と伝えて様子をうかがう内、火曜辺りからルアーキハダの調子がまた上向いてきた! 
 水曜など全船が当たりまくり、長三朗丸も20回以上ヒットするも、獲れたのは2本だけなんていう状況もあり、「フカセなら行くよ」と話していたSさんと相談し、私はルアー船、Sさんはフカセと分乗することを決定した。
 19日の夜、荒川屋のベテラン・Sさんと合流して葉山港へ向かい、翌日の昼食を買い込んだ後は仮眠をとる。
しかし、今回も一本釣り、フカセのお客さんが多い! あっと言う間に10人を上回り、15人、20人とえらい賑わいよう。今年はどうしたんだ?!
 ルアーは9人だ。
 昨年、Sさんとクロマグロ狙いで同行したIさんも来る事が確定したため、船宿で受付を済ませるや、三人でサービスのカップ麺を頂く。
 Iさんは先日、忠兵衛丸でカメ(アカウミガメ)を釣ってしまったそうだが、掛けてからひたすら潜るため、てっきりモロコ(クエ)かと誤認したそうである。
 しかも、PEがカメに巻き付いて上がって来たというのだから、文字通り「亀甲縛り」だ! (SMかよ?!)
 Mさんらと挨拶し、私もタックルを船に積み込んだ。
 ラインシステムを組むが、今回は「前回フカセに乗って、今度はルアー」のお客さんもいるわ、活きエサでは初挑戦のお客さんもいるわで、活きエサはお祭り騒ぎにならないか気が気でならない。これでは当分、フライを持ち込むどころではない。
 6時少し前に、10人のルアーマンを乗せて船は沖へ出た。先週と違ってうねりはない。
 最初は30分も走ったかどうかでナブラに遭遇したが、同船者にはキハダが見えるものの、
フローティング系、沈下系、いずれを投げても食わず……。
 一度、Mさんの投げたトップに、船べり直前で3kg級のカツオがアタックしたが、フックアップせずに消えた。
 しばらく様子を見るが、見切って別のナブラを探索した。
 鳥も見え始め、水面に小型の魚が見え始める。
 9時頃、ナブラへ先に投げたMさん、そしてもう一人にヒット! Mさんはピンク系のシンキングペンシルだが、もう一人のヒットルアーも沈下系だ。
 慣れたやり取りの末、ネットに収まったのは4kg級のキメジだ。

 

 素早く締め、エラと内臓を取り除かれたキメジは船の魚槽で氷詰めだ。2本目はバレた模様。
 20kg級のキハダも混じっているようだが、小さいのが先に食ってきてしまうのか? ここで「小型を避けるために大型ルアー」を投げても、良型がドカンと出るかどうかは別問題だ。
 移動中に同船者と歓談しつつ、クーラーの中から飲み、食べては体力保持に努める。日差しが強いので日焼け止めも一日で2〜3回は塗らないとダメだ。
 と、またキメジのナブラに遭遇し、ダブルヒット! 



 一人はメタルジグを使って食わせ、彼の写真を撮った。もう一人もやはり沈下系のようだが、もっと活性の高いキメジは、大型のトッププラグにも平気で出るため「一応、食い気はあるが早く投げないと厳しい」と判断する。
 その後も何度かキハダの姿を見るが、鳥が飛んでいても、海面に集団で止まっていても、ハミを突っついている状況ではないので、時間帯が合わないのだろうか? 少し時間を置ければ……。と思うが、魚影の濃さはヒットがなくとも嬉しい。
 次第にカツオのナブラが増えてきたが、PE1.5号でジギングしても当たらない。今回はジグをやる人は少なめだ。ましてエビングは出番なし。
 Mさんのヒットパターンを参考に、ピンク系のミノーを結んだ。
 11時過ぎに遭遇したナブラで、カツオが海面でボイルを繰り返す中にミノーをフルキャストし、一気にラインスラックを取ってしゃくった瞬間、ガツン! 
「来たっ!」
 カツオの当たりだが、しっかり合わせをくれ、胴の間へ降りていく。頭を手前に向けた状態で食わせたため、やたら走り回られるようなことはない。
 何度か突っ込むが、長距離疾走の前に向きを変えて寄せ、同船者のネットに収まった。



 前回はボウズを食らっただけに、カツオ1本でも嬉しい。しかも、相模湾のカツオを散水、チャミングなしのキャスティングで食わせたのは初めてかも……。
(単に、ルアー船には余り乗らないだけかと)
 この1本で「釣れたので、迷わず投げ続ければよい」と腹が決まる。
 昼頃、活きエサを積んだ一本釣り、フカセの21号船と遭遇したが、イワシを撒くと艫でキハダが跳ねる。やはりフカセにすれば良かったか?
 しばし探索後、またもやカツオのナブラに遭遇し、ミノーをぶん投げてジャークすると、激しい水柱が上がるもミスバイト! 
 素早く打ち直してヒット!



 フックアップを済ませると、落ちついて寄せ、ネットイン。やっぱり「ミノー早引き」が正解だった。
 エラと内臓を取り除き、念のため胃袋を裂くと10cm程度のシコイワシを食っていた。
 もう少し細身のミノー、ジグミノーがあればさらに効くはずだ。
 先ほどジグで釣った人が、シンキングペンシルで掛けるが、何とジャンプ(!)した瞬間にフックオフ!
 2時頃から日差しが強くなってきたが、頭から冷やして凌ぐ。船長も依然として探索を続けているため、私たちも「ハミさえ出れば」「誘い出しもできる」と考えつつ、後方確認してはキャストを繰り返す。
 3度目のヒット! このカツオは途中でテンションが変わり「バレた?」と誤認したが、しっかり掛かっていたので、素早く寄せ、反転されたときは無理せずしのぎ、無事に3本目をキャッチした。
 このカツオは胃袋が空だったが、3本が3本とも、フックが自動的に外れたので、やや掛かりが浅いようだ。無理なやり取りはバラし連発ですね。
 その後は投げ続けても食わず、Mさんグループのメンバーがミノージグで何本か食わせ、3本ほどカツオをキャッチしたところで、沖上がりとなった。
 一本釣り、フカセの21号船に乗ったSさん、Iさんは好調で、Iさんは21kgのキハダまで!

 この状況を見て、8月はフカセの予約を入れたのだった……。


 船宿Blogはこちらです。



 8月17日

 8月に入り、コマセ解禁後も相模湾のキハダは好調が続いていた。
 ルアーは当たり外れがあるも、オキアミにはコンスタントに食っているが、私はフカセで釣りたいため、船宿は相当限られる(笑い)。
 長三朗丸は8月上旬まで一本釣り、フカセの船を出していたが、その後は日曜のみ出船、茅ヶ崎の一俊丸は毎日出船を続けていた。
 で、一俊丸がマイワシを仕込み、キハダ専門に狙うようになったが、食いの良い日は船中9本という驚愕の釣果が報告された。
 しかしながら、飼い付けのマイワシが残り僅かとなったという情報があったため、17日に一俊丸、もし満足できなければ翌日の18日は長三朗丸に乗る計画を立てた。
 一俊丸に本来は31日に乗る予定だった、御蔵島ジギングでお世話になったSNさんも参加し、2人でキハダ狙いを目論む。
 しかし、茅ヶ崎周辺は葉山港と違い、船宿にクーラーを並べて釣り座を確保しても、船宿が開くまで車をそこらに停めて待つ場所がない! やむを得ず漫画喫茶にて仮眠した。
 
 8月17日、3時半には数多くの釣り客が茅ヶ崎港にあふれ、SNさんと合流して乗船手続きを行うが、船は活きイワシを買いに行くため、しばらく港で休む。
 他の釣り人と仕掛け談義、ドラグ調整などを行ったが、船の両軸リールタックルを借りたお客さんもいるので、仕掛けの接続や釣り方などを説明する。昨年長三朗丸で同船したEさんともハリの大きさについて、あれやこれやと談義。



 しかし、今回は佐島で餌を買っているはずだが、かなり時間を食い、その間に堤防の先まで足を運び、ファミリーフィッシングに興じている人々の釣果を見ると、足下にスズメダイが群れ、赤ちゃんの掌くらいのシマダイが釣れている。もう少し型がよければ……。
 その間にも、日差しを感じ、隣の海水浴場には水泳を楽しむ姿が見え始めるが、前夜から寝不足気味なので堤防で少しばかり横たわる。

 7:30頃に第三・一俊丸が姿を見せ、港に入るなり私たちも道具を積み、そそくさと出船した。船のカメ(生け簀)二つが餌で満タンだが、片方に飼い付けのマイワシと7〜10cmほどのシコイワシ、他方が同サイズのシコイワシのみが泳いでいる。



 上乗りさんによると、馴れ餌、粗餌両方を仕込んできたという。
 5年ぶりにお世話になる、三橋一俊船長も健在だが、第三・一俊丸は船体が長井の職漁船のように見える。(散水機周りや舳先など)船室の中には神海の70号が! 一本釣りの道糸にでも使うのか?! 
 さて、船は城ヶ島沖のパヤオ周辺に向かったが、既に船団が形成され、他船からの情報が無線で入ってくる。
 何度かナブラを見た上で、餌が撒かれた!
 艫にキメジらしい跳ねが見えるが、やはり素早く、餌を取ってもすぐに消える。
 何度目かの流しで食った! 下に突っ込む引きを交わし、ポンピングで素早く寄せていくが、これは5kg程度のキメジでは? しかし、何とバラシ! 合わせが弱すぎたんだな……。
 VF-9012ER&ソルティガ6500Hのツナタックルに、26号のハリスで食ってきたため、食いは悪くないが肝心の合わせが弱くては……。



 結局、朝方は同船者が3kgくらいのカツオを1本上げたのみ……。
 その後は次第に、撒いた餌を取ることが少なくなってきたため、ブルーヘラクレス585Sにソルティガ4500Hに12号ハリスの、スレたカツオ、キメジでも確実に食わせるライトタックルに持ち替えるが、魚を探して沖の瀬へ向かった。
 しかし、この探索の結果はあまり芳しいとはいえず、やはり城ヶ島沖へ戻る。
 次第に風が出て波が立ち始めたが、こちらでは鳥付きのナブラがあちこちで見えるも、撒いた餌を取らない。
 他船はコマセで次々にカツオを掛け、ジギングでもヒットさせている船があったり、無線ではマグロを掛けた、獲ったなんて情報も飛び交っているため、魚が潜っているのかも……。



 私の常宿、長三朗丸も大船長の21号船、若船長の32号船が並んで操業し、上乗りのゆきさんと挨拶する。
 しかし、15:00近くから次第に魚の動きが慌ただしくなってきた。
 私は艫からミヨシに入り、上乗りさん(スミスのジギングロッド&ペンのスピンフィッシャー)と並んで流すが、カツオが一瞬、左舷ミヨシで撒いた餌を次々に取った! 
 流すタイミングが合わなかったのか?
 こうなるとカツオでもいいから釣りたいというのが本音だが、キハダが浮いた場合に備え、ソルティガドラド・80TN&ソルティガ5000Hのツナタックルもミヨシ近くのロッドホルダーに置いた。
 他の釣り人にも時々当たるようになってきたが、バラシが続く。

 その次のナブラで、私の流したPEが走った! 止まったところでベールを返すと向こう合わせでジジジジー!
 追い合わせをくれてやり取りを開始するが、左右に走るのカツオの引きはファーストランが凄まじい。しかし、10kg級のメバチ、20kg級のキハダまで久米島沖で上げたジギングタックルの強度を信じ、走りが止まったところでポンピングを繰り返す。
 水面下まで寄せ、何とか反転しようとする相手をいなし、浮かせたところで船長のタモに収まった。3kgほどのカツオだ。
「やった。本日第一号……」

 と、散水にも着いたため、船長と上乗りさんが一本釣り開始! 引っぱたきで2本が宙を舞った。私は慌ててミヨシから降りる。
 完全にカツオをやる気になったと見るや、SNさん共々、左舷の散水の前に移動する。釣り客用の一本釣り道具は片付けられているため、同じ場所でフカセれば絶対に食う!
 移動が早く、波が高くなってきたので海水を浴びることもしばしばだ。
 餌が撒かれ、散水が始まった。何度か鳥が掛かってしまうほど多いが、カツオが青い背を見せて散水の中でスバッ、バシュっと餌を捕食している!

 しかし、この勝負時に当たっても3連続すっぽ抜け! タマンスペシャル16号では小さいと判断し、タマンスペシャル18号を結んでいるツナタックルに持ち替えた。
 再びマイワシをカマ掛けにして放り込むと、あっと言う間にPEが走り、ジャジャジャー! 魚が何を思ったのか右舷の艫へ突っ走る。船底に擦れる訳にはいかないので、一時、ベールを返して追跡する。止まったところでガンガン巻くと、魚は既に疲れ切ったようで、先ほどと同サイズのカツオが寄ってきた。掛かり所がよいと見るや、そのまま抜き上げる。

 その間にSNさんがカツオを掛け、存分にやり取りを楽しんでいた。こちらもタモを入れる。その次はハリス切れしたようだ。



 ナブラは抜けてしまったが、その間に魚のエラ、内臓を抜いて記念撮影。
 再びカツオが散水に着いた! 今度もすかさず食わせるが、今度はミヨシへ向かって突っ走るので、そうはさせじと身を乗り出してしのぐ、散水を浴びながらのやり取りだ。
 これはタモ入れしてもらったが、SNさんもまたもゲット! 青物ジギングに馴れているだけあってやり取りにも無駄がない。



 さらにヒット! 又もや散水シャワーを食らいながらのやり取りだが、ツナタックルは激しく暴れるカツオをねじ伏せるには最高だ。カツオだからといって小型のルアーを軽快に投げられるようなタックルは、1本1本のやり取りを楽しむには良いだろうが、手返しの点でハンデがある上、キハダが食ったら獲れるか定かでないため、状況に応じてヘビーなタックルを使う必要がある。

 あっと言う間に寄せ、最後はぶっこ抜き。(掛かりがよいと確信できるとき以外は、タモ入れて下さい)
 右舷でフカセをしていた皆さんも、半数以上の人は魚の顔を見たようだが、15:30を回った時点で船長が沖上がりを宣言した。

 残った餌は海に帰された。

 とりあえず、カツオ4本とおかず程度になったうえ、翌日には味が落ちる魚なので、一度持ち帰って凍結することを考えながら、船は波が高くなった相模湾を走り、あっと言う間に茅ヶ崎港へ戻った。



 ボウズだった人には、船長や上乗りさんが釣ったカツオがお土産に渡され、私たちは船宿で道具を片付けるが、何とコマセキハダ船でサメに半分にされたキハダが! 欲しい人は持って行って良いそうだが、流石に遠慮し、カマ付きのキハダの頭を一つ頂く。
 SNさんはカツオの頭を切り落とし、私は氷を購入した。
 ここでSNさんが先に茅ヶ崎を後にし、私はC.S.Cナオミさんに挨拶し、船宿でシャワーを浴びて塩気を洗い流した(1回、300円です)。
 最後にカップラーメンを頂き、私は茅ヶ崎港を後にした。

 一俊丸の船宿Blogはこちらです。


 茅ヶ崎海岸を通過した後、少し考えた結果、葉山鐙摺港へ向かった。
 餌のイワシが残り少ないと聞いては、使える内に挑戦しておかないと悔やむこと必至だ。前夜、長三朗丸常連の野口さんと相談し「納得のいく魚が釣れなければ、翌日は長三朗へ乗ります」と話していたので、念のため長三朗丸の大船長に電話を入れる。
「お久しぶりです。少し風がありますけど、明日は活きエサで出ます?」
「出る予定ですよ−」
「私も乗りますので、どうぞ宜しくお願いします」
 しかし、夏休み、かつ、お盆休みの真っ最中と言うこともあり、湘南海岸の道はえらく混んでいた。秋なら25〜30分で葉山まで着くはずだが、なんと1時間!
 運転していて疲れましたわ……。
 長三朗丸に着くと、大船長に挨拶して話を聞くや、本日も朝方はかなりキハダのナブラが浮いていたらしい……。コマセでは20kg級が2本出たそうだ。
 準備を済ませるや、川崎に戻ってカツオを四つ割りし、マイナス60度で凍結する。
 今日着ていた服なども洗濯し、一気に寝入った。



 8月18日

 2時半に起き、諸準備を済ませて3時に家を出ると、朝方は予想以上に早く進み、45分程度で逗子インターを出た。逗葉新道を抜け、コンビニで昼飯を仕入れに降りると、なんと6月に長三朗丸の一本釣り、フカセ船に乗っていたMさんが! 彼は仲間と共に秀吉丸でコマセをやるらしい。
 早朝のコンビニは釣り客が食べ物を次々に買っていく。
 私も葉山港の駐車場に車を入れ、乗船手続きを待つが、各船とも10人以上は確実だ。私たちの一本釣り、フカセ船は12人くらいか?



 一方、若船長が舵を握るカツオ、キメジコマセ船は20人以上! カツオが食ったらオマツリ必至だぞ……。
 
 さて、私はでかいクーラーを先に船に積むべく、大船長に「先にクーラー積んでいいですか?」と聞くと、快くOKの返事が出たため、素早く氷を買い、クーラーを大艫に積み込む。上乗りのゆきさんとも挨拶し、昨日の状況などを報告する。

 乗船手続きを済ませ、カップラーメンを頂いている内に長三朗丸常連のSさん、そして野口さんとも顔を合わせる。
 日曜にしては、やや釣り客の姿が少ないようだが、それでも駐車場はほぼ満タン、葉山鐙摺港には5、6隻の船宿があるが、各2隻くらいはあり、それに10人以上乗っているので、この葉山からだけでも100人くらいは沖に出る計算だ……。

 野口さんは秀吉丸のミヨシに釣り座を構えたMさんとも挨拶、そこでキンリュウのウルアハリについても話が及ぶ。
 その後は各自がラインシステムを組んで備えるが、ふと港の一角に椅子が並び始めた。
 野口さんが見に行くと、お見合いパーティーだとか(爆)。独身の私が「行ってきたらどう?」なんてネタにされたのは内緒だが……。

 さて、長三朗丸が7時頃港に戻ってきたが、餌がたくさん買えたらしく、しかも来週25日は私が海洋大の仲間たちと仕立てるためか、餌を生け簀に移し、その間に愛正丸のアジ船が燃料を給油。
 アジ船は1日で100リットルほど使うそうだが、カツオは300リットルだとか……。ちなみにここのアジ、38cmくらいもあるやつが竿頭で50、70釣れると言うから、カツオ、キハダが抜けた後にやってみるか?
 給油終了後、いよいよ長三朗丸が港に横付けした。
「はい。おはようございます。水が凄く悪いので、餌が死なないよう素早く乗って下さい」
 そそくさと乗り込み、荷物を各自の好きな場所に置いていく。私が大ドモに入りきらないうちに、船は葉山港を出て沖へ向かった。
 今回はカップルも二組乗船しているが、船が大きく女性でも安心して楽しめる。
 餌は昨日と同様、いいマイワシが入っているのが嬉しい。これなら太いハリスでも使えるうえ、キハダが当たる率も高いぞ。

 しばらく走って行く内に、最初のナブラへ到達した。前のカメまで餌を取りに行って、戻ってくるまでの間にSさんが早くもロッドを曲げていた。
「シイラだ」
 徐々に右舷へ移動して寄せるが、でかいシイラが跳ね、水面直下を突っ走る。オスのメーターオーバーだが、小ぶりのメスが付いてくる。
 私がタモを入れ、見事なシイラは引き上げられた。
 その後も何度もナブラがあるが、餌を撒いても取るのはその半分。キメジらしい水柱が大ドモでよく見えるが、そこへ正確に餌を流せるかが明暗の分かれ目だ。
 鳥も多いため、ハリに掛けたマイワシを食われないよう注意が必要だ。油断しているとあっと言う間に横取りされかねない。

 9:30頃、何度目かのナブラで、VF-9012ER&ソルティガ6500Hで餌を流していくとPEが走った! すこし間を置いてベールを返すと、魚の重みが伝わってきたので聞き合わせをくれる。
 乗った! 激しく下へ潜る引きは間違いなくキメジだが、バラさぬようしっかり合わせをくれ、やり取りを開始する。50mも走らないが、やはり真下へ突進する力はなかなかのもの。



 散水には入ってこないため、これを獲れれば本日第一号だ。落ちついたやり取りで5kg級のキメジが浮上した。



 素早く締め、内臓を抜いてから胃袋を裂くと、撒いたイワシの他トビウオ類の稚魚、シャコなどの小型の甲殻類、そしてホタルイカより小さなイカの子どもなどが出てきた。

 この後は20kg級らしき水飛沫も上がり、大ドモで流す私も緊張度が増していくが、胴の間でフカセでいた女性もカツオをキャッチ。
 次第にカツオが食うようになってきたが、24号のハリスではさすがに食いが落ちるようだ。しかし、二日連続でやっている上、昨日におかず分のカツオは確保していたため、「キハダが来るなら、カツオは二の次」と割り切って流す。



 11:30過ぎには野口さんが掛けた! 真下へ突っ込む引きは間違いなくキメジだ。ヴァージャー&ツインパワーのタックルで強引な手応えを交わすが、これは明らかに私のものより大きい。



 それでも彼は余裕のやり取りで浮かせ、タモに収まったのは8kg級。10月にもなれば10kg級になるぞ!
 大ドモで私とSさんの間で流していたカップルも、カツオをキャッチし、キメジも獲った。良かった……。
 船長の目にも、魚が船に着いて餌を取る時間が長くなってきた模様。

 途中でペンペンシイラの猛攻にも遭うが、すぐさまリリース。こんな時に餌を流してもシイラに横取りされるため、ジグを沈めるが食わず。
 その後も船長が群れの動きを見定めるため、しばらく止めていることが何度かあったため、その間もジギングを試すが、一度ジグに触ったものの乗らない。
 次は餌が船の下に入ってしまい、何とPE6号がペラに巻いてしまった! やむを得ず当て木にPEを巻いて切断する……。
 ここでソルティガドラド・80TN&ソルティガ5000Hのタックルに持ち替え、やや小ぶりのマイワシを使って流す。本当はできるだけ大きなマイワシを使いたいが、でかいマイワシは元気が良く、バケツからもなかなか捕まえられない。
 
 餌が船から30mも流れたかどうかの時に、再びPEが持って行かれた、落ちついてベールを返すと、予想通り魚の重みがグーッと伝わってきたので、聞き合わせを入れる。
「来たっ! これはキハダだ!」
 一気に真下へ向かって突進し、ソルティガのドラグが悲鳴を上げる。60mくらい潜ったところで止まったが、ポンピングしてもなかなか浮かない。
 これは10kg以上あるぞ!
 フカセなのでドラグを緩めにしていた、という事情もあるが少しだけドラグを締め(チ、チ、と、ノブひと目盛り毎に締めるのがコツ、一気にドラグを半周、1周と締めるのは考えものだ)、再びポンピングで浮かせようと試みるが、膠着状態となり、ロッドを起こしてもドラグが滑るため、左手をPEに当て、何とかドラグの滑りを防ぐ。
 無理にドラグを締めたりスプールを押さえたら切れる。
 その間に上乗りのゆきさんは餌を撒くのを止め、他の釣り人は道具を上げたが、私の魚はもうしばらく時間がかかりそうだ。
 隣の船もこの様子を見ていたようだが……。
 この膠着状態、重々しいやり取りだけを見ると「サメか?」なんてあらぬ誤解が生じても不思議はないが、最初の当たりからキハダに違いない。ロッドを垂直に立てて、相手の引きに対抗する。
 船長も上手に船を操船し、船底にラインが入らないよう回していく。
 と、その直後に魚が一気に真下へ突っ走った! 

 ジャジャジャジャジャジャ、ジジジ−!!!
 あっと言う間に100m引き出され、150、200と容赦なくPE5号が真下へ持って行かれる。ここで馴れていない人は無理に止めて切られることが多いが、280mくらいしか入っていないため、私も冗談抜きで青ざめる。
 このまま止まらなかったら……。という不安がよぎるが、次第に走る速度は遅くなり、250m近く出た時点で魚の走りは止まった。
 再び遠っ走りされたらひとたまりもない。
 刺激をなるべく与えないよう、テンションを極力変えずに巻き戻す。時々ロッドを肘に回して右手の疲れを防ぎ、起こすときは左手も使い、魚に振り回されずにやり取りするのがコツだ。
 ここまで走られて切れないなら、ハリは間違いなくカンヌキに掛かっている。もしハリス切れを心配して慎重になりすぎると、必要なテンションが掛けきれず取り逃がすことに繋がるため、掛けた後は遠慮せずやり取りするのがコツだ。
「すみません。私のバッカンからグローブ出して下さい」
 野口さんにお願いする。
 素手でタックルを握ると明らかに疲れが早いため、大型狙いならギンバルとグローブは欠かせない。「1本なら大丈夫だ」と考える方もいるでしょうが、その1本を取り込めず、次の魚を掛けた時に上げられるか、あるいは2本目を掛けた時に上げられるかを考えて下さい。

 右手は自分ではめ、左手は同船者にお願いするが、グローブを両手にはめた瞬間から、明らかに力の入り具合が違う。これは獲れるぞ!
 これまでイワシ餌のフカセでは13kgまでしか獲れなかったが、これは明らかに20kg級確実だ。25kgくらいはあるかも知れない。
 ルアーで掛けた時よりも元気だが、それでもある程度巻き戻してきたので、一気にポンピングを開始した。
 この頃から動画を撮ってもらい、解説しながらリフトアップ(笑)。
 途中で水を飲ませてもらい、ますます力を得て寄せる。
「もう遠っ走りはできませんよ。あのダッシュで疲れ切っているはずです」
 70、50mとどんどん寄せていく。
 あと30mか? いや、10mを切っていたらしく、ついに良型のキハダが水面下に姿を見せた。大きなデッドサークルを描く。
「竿下に向けろ、竿下に!」
 船長が叫び、私もPEが船べりに触れないよう、垂直に立てていたロッドを水平に艫へ向け、魚の走りに合わせる。



 ついに魚が浮いたが、何度かタモに入りきらず、途中でタモの柄が折れた! しかし、既に魚は疲れているため冷静に寄せ直し、ついにゲット!
「やったー! キハダゲット!」
 Sさんに写真を撮ってもらうや、予想通りカンヌキに掛かっていたタマンスペシャルを外す。ハリには伸び、曲がりはなく、ハリスもほぼ無傷だ。
持ってきたナイフで締め、エラと内臓を抜き、血を洗い流した。この時の処理が魚の品質を決めるため、手抜きは出来ない。
 船室に置いてあるマグロ用の発砲箱を取り出し、海水と氷を入れた水氷でキハダを冷やす。

 もう少しだけ餌が残っていたので、フカセを再開すると4kg近いカツオをキャッチ! これもカンヌキに掛かっていたが、こうなると無理してネムリバリを使わなくてもいいか?
 間もなく餌がなくなったところで、船長は船を港へ向けた。
 キハダの目方は28.5kg! 一昨年もルアーでこのサイズを釣ったはずだが、フカセで掛けたためか引きが違う。
 本日の大型のヒットはこの1回だが、無事に獲れて良かった……。



 コマセの船では24kgが出た模様だが、Sさんが来週の仕立てに同船することが決定!

 船宿Blogはこちらです。



 8月25日


 昨年に続き、東京海洋大学のメンバーに同行しての釣りだ。
 先週からキハダ、カツオともルアーでもコマセでもガンガン食い、カツオもコマセで10本以上釣れているほど好調が続いていたため、お土産は手堅いと踏んでいたが、「いい餌があるよ」と大船長から聞いていたため、期待が持てる。
 海洋大のメンバー9人、長三朗丸の常連Sさん、そして私の11人で13人分の料金を割る形だが、気兼ねなく楽しめるなら決して高い金額ではない。
 しかも、釣り座も仕立てゆえ融通が利くため、久しぶりにゆっくり川崎を出た。

 朝から小雨がぱらつくため、レインウェアは欠かせない。
 逗葉新道を抜け、葉山港に着くと、既にかなりの車が止まっていたが、まだ余裕がある。海洋大のメンバーは車三台に分乗してくるが、邦丸の常連、田崎さんはちょうど品川を出たところで、新潟の金子さんも同様だ。
 田崎さんは今年の6月22日、邦丸で23.7kgを獲っている。
 金子さんはノースカロライナ沖で90kg級のクロマグロを獲ったり、NZで36kgのヒラマサを獲ったりとメンバー随一の大物師だ。
 船宿で大船長に挨拶すると、何回か長三朗丸ルアー船に乗っていて、Dさん、野口さんとも知り合いの小池さん、井上さん、松本さんの3人が! 彼らは既にルアータックルを組んでいた。小池さんは先日、エビングで10kgものを獲ったとか。

 早速挨拶し、先に乗船名簿を書いてもらう。
 Sさんはあと30分ほどかかる見込みだ。
 上乗りのゆきさんにも挨拶し、受付のかづみさんには「全員集まったところで、支払いします」と告げる。
 まだ道具を車から降ろすわけにはいかないが、ラインシステムを全て組んであるため、ロッドを継げば準備完了だ。メンバーが揃ったら、早めの行動が欠かせない。
 小池さんら3人が、活きエサ船の着く港の先端まで移動したため、私もまだ駐車場に余裕がある内にと、氷を1,000円分(バケツ3杯半)仕入れ、クーラーだけ先端に持って行く。
 と、Sさんが来たので挨拶するが、その間に大船長たちは用意していた餌を、今回乗る18号船のカメへ積み始めた。小池さんたちはルアーの経験はあっても、フカセはまだ不慣れだと言うため、ハリスとハリを渡す。ルアーよりやや細めの方が絶対に食いがよい。
 と、その時に小雨が! 彼らはレインウェアなどをまとい、私は船宿でサービスのカップ麺を頂きつつ、ご夫婦でコマセ船に乗るという奥様やかづみさんらと談笑する。最近はカップルで来る釣り客も増えたため、港がやや華やぐ。(やはり、女性がいるか否かで、港の雰囲気が変わるのも事実)

 小雨はすぐ止んだが、いつの間にか18号船が沖へ出て行ったが、一体どうしたんだ?! まさか?!
 その頃、田崎さんに電話すると「今着いた」ということなので、葉山マリーナ方面へ向かう。金子さん、田崎さん、遠藤さん、山田さん、仲村さんの面々に加え、今回は白人の青年も一人混じっているが、こちらのオリバーさん、カナダからの参加だとか!
 こちらも片言英語で、釣り方や魚の大きさについて説明するが、金子さんが私を評し、「He is Beast!」なんて表現。青いColombiaのターポンシャツに魚の血が染みついているからなあ……。
 私も「相模BayはYellowfinTunaの10lb〜60lbクラスがいる。SkipJackは6〜8lbだ。他にはDolphinFishなどなど。餌は活きたサーディンとアンチョビだが、Yellowfinを釣りたいならサーディンを使え。これはジャパニーズスタイルのムーチングだ」なんて説明。
「ここで道具を全部降ろして、港の先端まで歩くが、その途中で氷を買おう。先端に道具を置いたら船代を払う」
 と、呼びかけて、各自がタックルを組み立てるや、7人でその通りにする。
 そして小池さんら3人、常連Sさんともども集まり、乗船手続きを行う。久しぶりの仕立ての幹事となれば、扱う金額に注意を払うが、長三朗丸初のメンバーは船宿の前に所狭しと貼られたキハダの写真を見て奮い立つ。

 少しばかり港の先端で待つが、私がタマン18号をフカセで釣りたいという面々に渡し、金子さんが持ってきた、インターフックの「ジャイアンとキハダマグロ」というハリで盛り上がるが、オリバーさんは「ジャイアン?」と首を傾げる。
 どこかの誰かが「日本の有名アニメ『ドラえもん』のキャラクターだ。性格は『サウスパーク』エリック・カートマンにそっくり」なんて説明したので、彼も一発で納得した模様。
 金子さんも「サウスパーク、あの放送禁止音連発の!」と爆笑。

 そんなこんなしている間に、18号船が戻ってきた。急遽、沖でゴロンボが獲れたため買ってきてくれたのだ。カメの中はこの時期は滅多に見られないような12〜14cmはあるゴロンボ(大型シコイワシ)がぎっちり。
 大船長が舵を握る21号船(キハダ専門のコマセ船)を30分ほど待たせてしまった……。今回はゆうしげ丸で舵を握っていた正一船長に、上乗りさんはMさんだ。
 カツオの竿は引っぱたき用を3本ばかり積んであるが、これで充分だ。みんなルアータックルがあるため、もしカツオの群れが散水に着いたなら、餌掛け一本釣りよりフカセでやる。何より、ミヨシで引っぱたきさえ可能だ。
 そそくさと乗り込み、船は港を出た。
 ツナタックルを上手に分散し、ミヨシはルアーメンバー4人が陣取り、後はフカセのため右舷胴の間〜艫まで散らばり、バケツを配る。
 活き餌が大変貴重な中、これだけいい餌があるので、普段はルアーで釣っているメンバーも「ぜひフカセでやってください」と、フカセの釣り方をSさんと共に説明した。
 死んだゴロンボでカマ掛けのやり方を教えるが、さすが海洋大、皆さん飲み込みが早い。
 曇り空の中、やや涼しさすら感じながら船はひたすら南下した。
 最初は「何も見えないぞ」と、訝しむ仲間もいたが、必ずいいナブラに当たることを信じ、慌てず沖を見据える。途中でコマセの船団が見えるが、そこに突入はせず、ナブラを探す。
 その間に使う餌を海水が循環するバケツへ取った。今回はマイワシがやや少なめの中、いいマイワシを必要量選ぶ。
 
 そして数時間は走った。
 
 と、次第に鳥が見え始め、ナブラが出た!
「撒けっ!」 
 船長が叫び、Mさんがゴロンボをばら撒く。
 すかさずSさんがマイワシを流すが、左舷沖で撒いた餌を取ったのか、別の餌を食ったのか水飛沫が2回ほど上がるが、船の後ろにも、右舷にも着かない。
 皆が餌を流し、ミヨシでは田崎さん、金子さん、仲村さんらがルアーを投げまくるが当たらない。だが、そんな状況はあって当然だ。
 最初は「下にいるんだけど、上に出てこない」という状況が続き、撒いた餌もなかなか取らなかったが、ミヨシでジギングを試みるメンバーもいたが食わず……。
 しかし、ここでジグを試さなければ「沈めればどうだったんだ?」と疑問を後に残すことになる。試したうえで結果が出なければあきらめも付くうえ、駄目だったことも、自分の釣りの引き出しにつながる。
 カツオのナブラは見えず、キハダを狙っているとはいえ、こうなると5kg級のキメジでもいいから食って欲しいと思えてしまうが……。
 次第に雨が降り始め、最初は船室でしのいだが、ついに体がびしょ濡れになりかけたため、久しぶりにゴアテックスのレインウェアをまとう。
                                                 
                         
                               
 何度目かの流しでも、艫から流しているSさん、私、山田さんにすら当たらなかったので、こりゃ食わないと思っていたら、何と胴の間で流していたカナダ人のオリバーさんにヒット!

 カツオ、キメジ用のライトタックルにPE3号なので、無理はできない。最初は5kgか? 10kgか? と思ったが、さらにでかい。凄まじい勢いでPEが滑る。ドラグをやや締めるが、リールも安いリールなので無理にドラグを締めたら一発で切れる。
「今日は当たりが少ないから慎重にやってよー」と、正一船長。「最初で最後のチャンスかもしれないから」(何とおっかない……)



 雨が降る中、カナダ人のファイトは続いた。ある程度下に潜った後、おとなしくなったので、「これで上がるか?」と思って寄せに掛かっても、また暴れ出す繰り返しだ。
 10kg以下と言うことはなさそうだ……。(サメでないことは確認済み)
 上乗りのMさん、常連のSさんもやり取りをレクチャーしつつ観戦するが、何とロッドからリールが外れた! 魚が走っているときではなかったが、一度リールシートにセットしても外れてしまい、ガムテープなどはどこにもない。
 どうやらリールシートに何かが詰まっていたらしく、取り除いてリールを再び取り付けるが、魚が遠っ走りしなかったのが幸いだ。

 何せ、このロッドもNZ製だがラインクラスが「12〜20Lb」の2pcs、トラウトを釣るような竿で、あちらの海でもせいぜい豪州真鯛、カウアイや子マサを想定したものだと思われるが、掛かっている獲物は明らかにいいキハダ。
 オリバーさんも次第にスプールを上手に押さえてポンピングするが、うまく寄せても40mより上にはなかなか寄せられない。
 時間が経っていく内に、雨が止んだ。
 沖ではキハダが派手な水飛沫を上げて跳ね、船長の指示で上乗りのMさんは餌をばら撒く。
 何とか交わして寄せる内に、PEが横に走り、水面まで浮いた相手を船で追跡する。一瞬、色からしてサメかと思ったがとんでもない! 15kg以上あるキハダだ。

 しかし、またもや潜っていき、浮かせるのにえらく苦労した。私のギンバルを使ってポンピングしても、ドラグが滑るか押さえて寄せられるかどうかだ。
 船長がPEを手繰るも、激しい反転で放す事も何度かあった。
「ハリスは何号?」
「18号」

                              
                               
 そんなやり取りが聞こえた直後、バキッ! 立てすぎたのか、NZ製ロッドが元ガイドの手前で折れた。
「まだ勝負を諦めるな!」
 と、船長が叫ぶ。手前のガイドは残っているため、まだ巻き取ることは可能だ。

 その後も船長が手繰り、放しを何度か繰り返すが、次第に魚も力負けしてきたようだ。ライトタックルとはいえ、じわじわ力をかけ続ける。
 ついに船長が手繰る手を放すことはなくなった。
「でかいよ!」
「もうすぐリーダーだ」
 1時間以上に及んだやり取りの末、ついに魚が浮上してきた!


                               
 一度は折れたロッドのため、Sさんの構えるタモに入り損ねたが、次の旋回で入った! サイズは明らかに25kg以上! まさかあんなライトタックルでこんなサイズが獲れるとは……。
 後ほど27.5kgと判断。

「おめでとうございます!」
「獲ったーっ!」
 オリバーさんもかなり疲れたようだったが、魚が船に上がったのを見て座り込む。
 これからゴールデンタイムの始まりゆえ、もたもたしてはいられない。ハリを見ると上顎にしっかりタマンバリが掛かっていたため、ハリス切れを防げたのだろうか?
 暴れるキハダを締め、記念撮影を済ませるやナイフを抜き、エラと内臓を取り除く。船のイグローにも入りきらないので尾鰭を切って氷詰めだ。

 この間も沖で激しく跳ねていたので気が気でない。Mさんは餌を撒く準備に入った。
こうなると、私も少し欲が出た。「次は私が釣る」と宣言し、先週と同じソルティガドラド・80TNにソルティガ5000Hで大ドモに入る。 

 次は撒かれた餌に合わせ、マイワシを流し始めると、船からわずか10m程でキハダの激しい水飛沫が上がった。その直後、――自分の中では時間がスローに感じられる。3年前、スーパーボイルで会わせ切れし、次のルアーを結んだときのように――やや左へ向かって25kg級のキハダが何本か跳ねた。私の餌に食うか?
 餌が追われたと思う間もなくPEが走り始め、バラバラ、ビュルルーッと引き出されていった。ベールを返そうとしても途中で止まり、もう一度ベールをしっかり返すや否や、ソルティガ5000Hがジャジャジャー! 合わせをくれるも一向に止まらず、大ドモから真っ正面に横走りしてPE5号を持って行く。

「おしっ! 今回も食った!」
「俺のイワシはスルーされた……」
 と、山田さんが嘆く。小さいシコイワシだと目立たなかったのかも?!
 ロッドを垂直に起こしても止められる相手ではない。
 横走りは前奏に過ぎない。マグロ類の特徴は真下へのダイビングだ。方向を変えるや、一気に潜った。スプールが徐々に細くなっていく。
 下へと走る動きが止まったところで、右舷に入りポンピングを繰り返す。腕時計を外すが、グローブがレインウェアの下なのでなかなか出せない。

 魚が前に向かい始めたため、胴の間、ミヨシ方面へと移動してポンピングを繰り返す。先週に続いてヒットしたのは嬉しい一方、さらにパワフルな手応えが伝わってくる。
 ファーストランが思ったほど走らなかったが、セカンドランも距離が出ないため、これは足下で長引く可能性がある。下手にドラグを締めすぎたら一巻の終わりだ。ハリがカンヌキに掛かっているかも定かでないが、無理せず、かつ、ためらわず寄せることだ。
 30mほどの間で苦労したが、じわじわと20m、そして10mまで来た。
 しかし、ここで魚が反転して20mくらい一気に持って行かれるが、止まったところで巻き戻す。

                               

 こちらもグローブをファイト中に着けてもらったが、さらに飲み水を補給した。かなり引きが強いのか、肘でロッドを抱えてしのぐ。次第に息が荒くなり、肘で抱える回数が増えてきた。



 10mを切り、水面下を銀影が浮上した。旋回を続けるが、慎重に寄せてリーダーが入ったところでまた反転して持って行かれる! また20、10と巻き戻し、全力で浮かせにかかる。

                               

「三度目の正直なるか?」
 とうとう座らなければ身が持たないほど参ったが、無意識のうちに、ロッドを起こすときは左手を船べりに当て、起こせてきたら後ろへ体重を掛けるが、あまりのけぞると、船べりにPEが当たりかねない。
 ドラグを2目盛りだけ締め、ポンピングを繰り返していく内に、ついにキハダが浮上した。MさんとSさんが挟み撃ち体勢でタモを用意し、正一船長がギャフを構える。
「巻いて巻いて−」



 ついにリーダーを巻き込み、抵抗を続けたキハダが海面に浮いた。小刻みに頭を振るが、もはや潜行を試みるほどの力はない。滑らかに寄せ、反時計回りでMさんのタモへ入った!
「おお−。入ったぁ!」
「やったー。連チャンでゲット!」
 これは28kgあったが、撮影後に口元を見るとハリが飲まれていた。やり取り中、カンヌキに掛かっている確信がなかったため、加減して寄せたことが、ギリギリでハリス切れには至らなかったのだろう。


                              

 こちらも締め、エラ、内臓抜きを行うと船のイグローは満タンだ。
 次第に魚が餌を取るようになってきたことを確信したため「まだまだいける」と、船内が沸き立つ。
 マイワシが少ないため「キハダがいると確信できるときにマイワシを使って! いるかどうか分からないときはシコイワシでいい。だけどシコイワシも小さいのは駄目だ。太っていて活きのいいやつを付けろ」とアドバイス。

 次に餌を撒くと、たちまち右舷ミヨシで流していた海洋大のメンバー、松本さんが掛け、シーゲートのドラグが悲鳴を上げていた。しかし、駆け寄った時にはテンションが消えた。  
 何でもPE4号を300m近く巻いていたが、全部出されそうになり、ドラグを締めた瞬間にハリスが切れたとか……。(ルアーキャスティング用に、もう少し丈夫な大きなリールを用意していたため、それを使えば獲れたと思うが)
 昨年の8月12日に、大磯の邦丸で27kgを釣った遠藤さんも同時にロッドを曲げていたが、あまり走らず、何かと思ったらシイラ……。
 次のナブラでも誰かに食うはずだ。



 そう思っていると、予想違わず鋭いドラグ音が響いた。山田さんにヒット! 彼も竜海丸で23kgを上げているが、フカセでの大型は初めて。
 彼はシーラプチャー78MH&ツインパワー12000で掛けていた。
 次第に胴の間へ移動していくが、あまりロッドを起こさず水平から45度くらいで耐え、やり取りが続く。
「マグロ頑張れ」
「『マグロやんなきゃ男じゃねえ』と、チャーマスが言っていたらしい……」
 少しPEが下に入ったため、船を回してしのぐ。
「ひるむな巻け巻け、殺せ!」
「刺身にしちまえ、刺身に」
「勢いで上げちゃうしかないね」
「頭向いたときに、ガンガンポンピング!」

                            

 彼はツインパワーを右巻きにしているため、長時間ファイトでは力が入りやすかったのかも知れない。果敢にやり取りし、落ちついたロッドワークでキハダは足下で旋回を続けたが、ついに山田さんが勝利した。
「巻いて巻いて巻いて」
 ついに海面まで浮き、Mさんのタモへ滑るように寄せる。
「やったー」
「糸緩めて! 糸!」


                           
 PEが張ったままで、魚がタモから出そうに見えたが、無事にタモへ入り、船へ上げられた。
「やったー!」
 このキハダは29kg。
 山田君自ら締め、エラを抜いて氷詰めだ。 
 その後も餌がまだ残っていたため、船のカメから餌をカイオケに移し、帰りながら群れを探索すると大きな跳ねに遭遇したが、移動が早すぎて追いつけず、帰港となった。
 と、途中で激しい雨に遭い、道具を洗う手間が省けたが……。
「雨に始まり、雨に終わりましたがお疲れさまでした」

 港へ戻ったのはおよそ17:00。
 帰港後、2本は海洋大のメンバーで分配するため、1本を大船長に捌いてもらい、もう1本は私が四つ割りにした。腹の中には卵巣があったが、冬までには産卵するのだろうか?
 頭も半割りにして持ち帰る。
 11人で4ヒット、3キャッチは充分すぎる成績だが、去年はみんなで1本のみ。
 キメジ、カツオの「お土産サイズ」は出なかったが、素晴らしい1日として皆の記憶に刻まれたことだろう。

 翌日も遠藤さん、金子さんは一俊丸のコマセに乗った。
 金子さんはついに初の相模湾キハダを獲った。目方は26kgだが、彼の新潟からの努力が報われた日だ。



 船宿Blogはこちらです。



 9月14日

 

 昨年に続き、久米島で同行した柏木氏とその仲間、LTルアーに同船した知り合いのKさん、Sさんと長井の長助丸を仕立てた。餌のイワシが入手困難な中、何とか確保したということなので、1年ぶりにフライも用意する。
 SN氏も同船する予定だったが、出張が入ったため、長三朗丸の常連仲間、野口さんも同行し、まずは私、そして野口さん、Kさんの車に同乗したSさん(ソルティガブラスト4500を用意してきた)、そして柏木氏、同僚のGさん夫妻と、総勢7人が長井漆山港へ集まった。
 昨日は竜海丸でキハダを8ヒット3キャッチ、長助丸も若船長の船が5ヒットするも、バラシにラインブレーク、果てはロッドが折れてノーキャッチと、朝一はキハダの調子が良いため、ルアーキハダをやってからカツオ、キメジの一本釣り、フカセをやる算段だ。

 今回は大船長の船で、やや小ぶりだが7人乗るには充分。
「クーラーは荷物になるから、食糧を入れる分だけ持ってきて」ということで、各自がタックル、バッカン、そして50l級のクーラー2台を乗せて船は港を出た。
 まずは船宿で確保した餌を積みに掛かるが、何と高水温のためか、餌の9割方が死んでいる! やや小ぶりのシコイワシだったが、1杯くらいにしかならなかった……。
 頭を抱えるが、船長が餌を取る船へ電話を入れ「餌を買いに行く」ということだ。
 佐島沖で、餌のイワシを専門に獲る巻き網船(3年前にも長三朗丸に乗った際に見た)の近くに船を止める。既に、若船長(こちらは10人)の船が餌の獲れる時を待っていた。
 その間に道具を組み立てるが、フライロッドにラインを通し、キャストの練習時、ギャグで「女王様とお呼び!」などと言ったため「そんな趣味があったのか……」と誤解されそうになって慌てた。
(SMクラブへ行くより、東伊豆沖のクロマグロだわな)
 間もなく、餌が巻けたので買うが、2隻で買うためこちらは5杯、いずれも5〜7cmと小さいシコイワシなので、フカセのハリスは12号が上限か。
 餌の中にトビウオが混じっていたため、Kさんのクーラーへ直行。
 さらに船が南下していく内に、キハダの気配が見え始めた。10数隻の船が見え、鳥が固まり出す。
 水面に固まったと見るや、船は巧みに回り込んだ。
「投げろーっ!」
 私、野口さん、柏木氏、G氏の4人でキャストを繰り返す。
 しかし、魚が水面まで出てこないせいか、フローティング系でも沈下系でも出ない。
 何度かナブラに船を着け、投げ続けるが、私の沈下系に一度触ったものの乗らない。
 しばらくナブラを追ったが、餌のイワシが生け簀の中で死に始めた(!)ため、潮時と見てカツオ狙いに切り替える。
  
 最初は撒いた餌を後ろで取ったが、カツオの跳ねを確認するも、フカセでも食わせられなかった。
 次のナブラは船に付いた。艫から5m以内の距離でカツオが水柱を次々に上げる。
 私がシイラを掛けてしまったが、その間にミヨシに入った野口さんが引っぱたきでカツオを3本抜き上げ、上乗りさんも次々にカツオをぶち抜いていた。
 Kさんはフカセでカツオと引っ張り合いを演じていたが、散水の中に入ってくると見るや、私とSさんは餌掛け一本釣りに切り替える。
 しかし、最近はフカセ中心になっているせいか、明らかに一本釣りの腕が落ちた(笑)。当たったと思ったらシイラが続くが、船も激しく揺れる。
「座ってやれ、座って!」
 と、船長もイワシを撒きながら叫ぶ。
 次々に抜き上げられるカツオは、4kg級も混じり見るからに美味しそうだ。キメジは混じらない。
 何度目かでようやく私もカツオを食わせ、落ちついて抜き上げる。
 次第にバケ(カブラ)には食わなくなってきたようで、野口さん、上乗りさんも餌掛け一本釣りに切り替える。 
 ミヨシからは次々にカツオが降ってくるためお土産には困らないが、もうすこし釣りたい……。
 10分ほどの騒ぎで、撒き餌と散水が止まった。



 3本くらいフカセで釣ったメンバーもいたが、キメジやソーダは混じらず、全て本ガツオだ。シイラも何本か船に入れているため、一緒に氷詰め。
 なお、長助丸の大船長は「血を抜くとそこから水が染みこむ(味が落ちる)」と、力説していたが、私や野口さんは血抜き派なので、カツオのエラと内臓を引き抜く。
(この処理を「料理方法」にも掲載していますが、かつて「カツオは割いたとき、中にある血の塊を食べなければカツオを食べた意味がない」と力説する方もいたので、血抜き処理の有無については読者個人の意見を尊重します)
 さて、次のナブラでは艫にいた柏木氏、Gさん夫妻が一本釣りだ。
 私はフカセに切り替えると、PE1.5号にフロロ10号のライトタックルで掛けた! しかし、ロッドがソルティガドラド・70Sという軟らかいロッドなのでなかなか寄せられない!
 ドラグをやや締めてやり取りした。
 その間に、Gさんは引っぱたきでカツオを掛けたが船べりの所でなかなか持ち上げられない! 
 このままだと落っことすぞ……。
「一気に抜いて、船の中に入れて!」
 こっちもやり取り中では、サポートが不可能。
 しかし、残念ながらカツオはついにドボン……。



 私の仕掛けには、誰かがPEをオマツリ寸前まで交差したが、何とか寄せてキャッチ。
 
 この騒動で殆どの餌を使い切り、後は無線で僚船の状況を聞くが、大きなナブラを見つけたものの、コマセの船団ができてしまったため、浮かせる機会はなかった。



 いつもお世話になっている長三朗丸・1号船も回ってきたので船長、かづみさんに挨拶。(こちらはキハダが船中2本ほど出た模様)

 残りの餌が少ないため、最後に小規模なパヤオ周りでシイラを狙うと、餌を撒いた瞬間に浮いてくる。
 餌釣りでは次々に食うが、私もこの時とばかりフライを振り、小ぶりなシイラを2〜3本釣っては放しを繰り返す。ルアーでは不発だった模様。
 やがてシイラがスレ、餌でも次第に食わなくなってきたため、10時少々に沖上がりすることとなった。
 流石に早い時間だが、餌がなければ仕方ない(他の釣りものに切り替えるなら、予め仕掛けや餌を用意するよう話し合っておけば良かったとか)。



 帰港後、氷を長井水産で追加したが、良型のカツオが船中18本上がったため、皆で分配、船宿で休憩後は寿司屋で白身のネタなどをつまみつつ解散した。
 餌がやや少なかったことが残念だが、この仕立てもおかずにはなったため、昨年よりは満足できたのでは?

 



 10月6日

 9月以降、活きエサの入手は困難となり、10月6日はとうとうコマセでの出船……。
 今回は野口さんとその知り合い6人との釣行なので、コマセを振りつつ、インストラクター兼任か?!
 久米島で使った道具を引っ張り出し、念のためジギング、キャスティングタックルも用意した。

 第三十二長三朗丸のミヨシを確保し、コマセの道具をセットするが、今年は付け餌のオキアミが小さい! 少しでも大きいものを選ぶ必要がありそうだ。
 野口さん一行に私の8人に加え、コマセの常連、Hさんともう一人の10人で船は沖へ出た。
 サニービシにコマセを詰め、12号のハリスを4.5mとる。指示ダナより3m沈めたら、2,3回コマセを振って指示ダナまで上げ、当たりを待つ。
 ライトトローリング用のリールを使っているため、レバードラグを1kg以下まで緩め、クリック音が鳴るようセットする。
 最初に私の道具に当たった。
 ややドラグを締めて合わせを入れるが、下へ突っ込む感触は10kg前後のメボー(キメジ)のようだ、最初の10mまでは何とか巻けたが、その後、左右に走ったかと思うや「20号使えば良かったか?」と、思う間もなく軽くなってしまった……。
 ハリスからすっぽ抜けか? しかし、そんなアホな結び方はしていないはずだ。 
 そう思って仕掛けを回収すると、ハリにはキメジの唇らしき肉片がわずかに引っかかっていた。口切れかサメに取られたのかのいずれだ。
 すぐさまハリスを20号に交換する。
 次はコマセを振るなり、ミヨシに駆け上がり、ジギングを試みると2投目でズンッ!



 ソルティガヒラマサ63Sを立て、ドラグを僅かに締めて寄せていく。小さいようだが、せっかくジグで食わせた上、本日の初物なので丁寧に寄せると、1kg半ほどの小型カツオが姿を見せた、水面間近と気付いてか再び走り出すが、若い上乗りさんのタモでキャッチ。
 その間に、コマセの道具にも食った! ペン・インターナショナル16Sが悲鳴をあげるので、カツオを転がしてやり取りに掛かる。これは先ほどよりも型が良く、3kg級だ。
 しかし、いきなり2本連続とは……。



 それと同時に、私の隣の野口さん一行の竿が曲がった。カツオの豪快な引きを楽しみつつ巻き上げ、3kg級の良型をキャッチ。
 上乗りさんによれば「カツオの顔を見たのは久しぶり」ということだ。
 何度目か船を立て直すと、再びジギングに食った! 途中「反応があるけど食わない」と、船長がぼやいたが、その群れはコマセよりもイワシやシラスを意識していたようだ。
 これもカツオの引きだが、先ほどの小型カツオよりも引く。コマセ船でジグに食わせるのは状況次第だが、ジギングタックルを持ってきて良かった……。
 これまた海面で反転し、激しく突っ込むが、3kg手前の食べ頃サイズのカツオだった。



 次はミヨシ2番目野口さんメンバーの竿が水面まで舞い込んだが、その瞬間にハリス切れ! メボーかキハダの可能性が高い。
 胃袋を確認すると、シラスとアマジョロの中間のような「やや色が付いたかどうか」という小さなシコイワシの稚魚を補食していた。ウミタナゴの稚魚も混じる。
 最初の1尾は空胃、コマセの2本目はオキアミを補食していたが、これだけシラスなどを追っていると、ややシルエットが大きくてもジグに食うようだ。
(ただし、相模湾カツオジギングでは、明らかにジグの種類で釣果が分かれる)
 その後は大ドモの釣り人がカツオを上げたり、1kg級の平ソーダが時々当たったくらいだが、次第にキハダの気配が感じられた。
 12時半頃、コマセを振ったあと、ジギングには向かわず「これは食いそうだ」と判断して当たりを待つと、ペン・インターナショナルがギギギー!
素早く合わせを入れ、やり取りを開始するが、明らかに重い!
「キハダが食ったー!」
 オマツリ騒ぎに巻き込まれ、隣のメンバーも食わせたが、これはハリス切れ。
 船長、上乗りさんの協力を得てオマツリを解決したが、その時には既に150mほどPE8号が引き出されていた。
 30kgくらいはありそうだが、かなり引く。手応えからしてカンヌキに掛かっているようだが、一向に弱らない。



 ハーネスを野口さんに持ってきてもらい、スタンディングファイトを続けるが、今回の魚はかなり横走りする。
 PEが船下に入ったときは船長が操船し、さらに横走りした魚を追っていくが、50mまで浮かせたところでまた潜る。
 これも獲れると踏んだが、15〜20分程度やり取りした直後、ガツガツ、とサメに襲われる感触が伝わり、一部を食われたのか重さが半分以下になった。全部食われる前に、少しでも回収しようとゴリ巻きに入るが、サメは複数いたのか、ビシ以外はまるきり重さがなくなってしまった……。
 回収すると、ハリスからプッツリ……。
 サメが多いと聞いていたが、獲物を食われるのは1年ぶりだ。
 ハリスを交換し、さらにコマセを振る。



 30分ほど後に、野口さんメンバーで大ドモ右舷から竿を出していた人が掛けた! これは20号ハリスを結んでいるのでそう簡単には切れないが、サメに取られる前に上がるか?



 ドラグは無理に締めず、リールが巻けない時は止まるまで走らせてやり取りを続ける。ご本人も25kgのモロコ(クエ)の経験があるベテランなので、やり取りは難なくこなし、9kg級のメボーが浮上した。
「すげえ!」
 と、他のメンバー。
「このサイズがまだまだいますよー」
 しかし、その後は良型のメボー、キハダは当たらず、平ソーダがポツポツ当たって、私も平ソーダ1本を追加した時点で終了。





 今回の野口さんメンバー、去年9月15日に長三朗丸を仕立ててフカセに挑むが、撃沈を食らっていたため、あまり数が出たとはいえないが、お土産が確保できたようで何よりだ。



 1014

コマセのカツオ、キメジがポツポツと釣れているため「数本程度なら獲れるか?」と、考え、14日も長三朗丸のカツオコマセ船に乗り込んだ。
 今回はミヨシにDさん、同僚のSさん、野口さん、小池さんも並び、エビング仕掛けに直接オキアミを刺して食わせる算段だが、右舷ミヨシ3番目の私もジギング、キャスティングタックルを持ち込む。
 付け餌に大ぶりのオキアミを用意したため、付け餌選びで右往左往する心配はない。
 しかしながら、本日はおよそ18人と満員そのもの! 上乗りさんも2人乗り組むが、竿を出す余裕はなさそうだ。
 ビシ釣りの皆さんは、9割方電動リール……。
 朝方から何度も反応に当てるが、先日より食いが悪く、なかなか竿が入らない。
 それでも9時頃、左舷のお客さんが2人、同時に食わせた。カツオか? 10kg前後のメボーか? しかし、間もなく16号ハリスが切られた……。
 先日の経験から、私はハリスを20号。サメが多いため、メボーが食ってもガンガン巻かないとサメに取られる可能性が高い。
 と、今度はミヨシのSさんに食った!
 落ちついたやり取りで寄ってきたのは1kg級の平ソーダ。それでもお土産確保できてよかった……。
 次はDさんが同じくらいの平ソーダを上げ、間もなく私にも平ソーダが食ってきたが、これはオマツリし取り込み直前でバラシ……。 
 カツオ、メボーではないので気にせず続けるが、今日は明らかに当たりが少ない! 前回よりも食い渋り確定だ。
 一度、いい鳥山も見えたので「キャスティングのチャンスか?」と、思ったが、これも投げるまでには至らず。

 昼頃、本メジの反応を捉え、数本が上がったが、このタイミングで私に再び当たった。
 人によっては竿を手持ちで誘いを掛けている人もいるが、冷凍オキアミが泳ぐはずはないと考え、私は指示ダナよりハリスの半分だけ落とし、2回ほどコマセを振ったあとは置き竿だが、それで餌が自然に漂っているのだろうか?
 今回は明らかにいい手応え。本メジだろうか?
 手元で何人かとオマツリするが、何とか2kg級の本メジをキャッチ。掛かりが浅いなら、資源保護のため放流か? と、逡巡するが、血を吹いたため、心を鬼にして(いつもそうだというツッコミなしで)キープする。 
 何とか小型を避ける方法はないか? 真鯛のような繊細な仕掛けならともかく、このハリスは20号だぞ?!(まだ警戒心が薄いため、釣りやすいのも事実だが)
 今回、付け餌に持ち込んだオキアミの威力を実感しつつ、船中ではカツオも型を見た。しかし、でかいキハダはともかく、10kg前後のメボーが当たらないと物足りない。さっき16号ハリスを切ったのはメボーだと思うが……。

 と、1時を回った直後に三度目の当たりが! ペン・インターナショナルがジジジジーと鳴った。合わせを入れるや、明らかにカツオや本メジ程度ではない手応え! 
「メボーが食った!」
 サメがいるため、もたもたしてはいられない。だからこそ20号だ。
 ハーネスを付けているより、このまま巻き上げた方が早い。そう判断し、スタンディングで寄せていく。時折、サメに追われたような走りを見せるが、ドラグが滑る時は無理をせず、巻ける時はハイギアのままガンガン巻く。
 ある程度巻いた所で、PEが横走り! 明らかにサメがいる。しかし、下に潜られるよりも対処が容易な相手だ。走った分だけ巻き取り、寄せていく内に赤いサニービシ、そしてその下にメボーがやや鈍い輝きを見せながら見えてきた。魚まであと10m足らずだが、まだ旋回を続ける。
 下にはヨシキリ鮫の背中が光ったように見えるが、アオザメやクロトガリザメよりは大人しいサメだ。




 6年前からお世話になっているベテランの上乗りさんがハリスを手繰り、メボーはタモに入った。9kgのメボーとはいえ、食い渋りの中、狙い澄まして獲った1本は最高だ。
 この後も2本目を狙って続けるが、朝方波立っていた海は凪いでいく一方、とうとう鏡のような凪となり、私に以後の当たりはなかった。
 キハダ狙い専門の二十一号船では、10kg前後のメボーは2、3本で、キハダは10回くらい当たり、27kgが1本。
 個人的には活きエサが一番好きだが、コマセで出る時も「どうすれば食うか」を日々考え、ベストを尽くせば必ず上達します。


 Back