4月25日

 今年もイナンバ船でキハダ、ビンチョウを釣ろうと考え、日程の都合から第一回の425日を予約した。昨年同様、ソルティガ4500H2台にPE3号、4号を巻き替える。
 万一、マグロ類が姿を見せなければヒラマサ、カンパチと底ものでも釣るかと考え、ヒラマサ用のジグを追加し、アシストフックや胴突き仕掛けも作ったが、黒潮の流れから、こちらが本命になりそうだ。

 前日、清人船長の電話で出船を確認し、一通り道具を積むや、21:00、手石へ向かって走った。今回は比較的道路が空いていたためか、0:30には忠兵衛丸へ到着し、船宿で少し体を休める。
 予定時刻に乗船手続きを済ませるなり、今回は氷を各自のクーラーへ積み、港へ向かった。キハダならクロマグロより小ぶりなので、クーラーに入るという算段だ。
 船は予想通り、キャビンの広い二十三号船で出船だが、二十一号船はキンメ漁に出ているとか。最近はキンメも好調が続いているため、一度はやってみたい。

 道具を積み替え(スプールからリーダーがこぼれないよう、乗船直前に16号、18号のリーダをカットし、即座にアシストリングへ結んだ)、出船準備が整った頃、同船者の方が「Blog書かれている方ですね」と、挨拶する。一応、制作から6年目に入ったからなあ……。
 かくして、予定通り1:30に出船したが、イナンバに着くのは6:00頃の予定だ。それまで少しでも休んで体力を温存しないと身が持たない。そう考えつつ、ベッドに横たわる。

 

 ふと目を覚ますと、曇り気味なものの、すっかり夜が明けていた。レインウェアをまとい、バレーヒルのグローブを嵌めてキャビンから出ると、凪ぎのイナンバが姿を見せていた。みるみる大きくなってくる。
 まだ船は走り続けているため、細かい飛沫が跳ぶものの、急いでジグをアシストフックに取り付け、キャスティング用にγを結んだ。キャスティングで成果を出せるのは、この潮ならヒラマサの誘い出しくらいだろう。
 何枚か写真を撮り、イナンバが近づいてくるにつれて他のアングラーも次々に準備を始めるなか、私も胸が高まる。右の舳先に陣取った。

 船はイナンバを旋回し、魚探に反応が出たところで、投入の合図が出た。
「はい、水深は120mくらいです。底から40mくらいまで反応が出てます」
 すかさずジグを落とし、素早くジャークを繰り返すが、船中誰も当たりがない。
 キハダ、ビンチョウの姿が見えないため(イナンバにも数十羽の海鳥が居着いているが、それらが鳥山を作るには至らない)、空が次第に晴れて来るなか、今回も青物狙いになるが、それなら島周りでの瀬を狙うだろう。
 何度目かの流しで、隣のアングラーが掛けた! ジギングロッドが激しく曲がる。
 いい引きを見せるので、ヒラマサかカンパチだが、残念ながら途中でバレた。
 しかし、ほどなくして再び掛け、3kg級のカンパチを抜き上げた。ヒレナガカンパチだ!
 後ろのアングラーもヒットさせたが、これは真っ赤なバケアカムツ! 去年初めて見た魚で、色合いがまるで金魚か緋鯉だが、フエダイ科の魚で、オナガダイ(ハマダイ)の近縁種なので、これも釣りたい。4sくらいはありそうだ。
 隣のアングラーはまたもやヒット! やり取りを見守る内に浮上したのは5kg級のカンパチだ。
 まだ私には当たらないので、カンパチを釣ったアングラーと似たジグを選び、ジャークもやや細かい誘いに切り替えていくと……。
 ガツッ、ズン、と、ジグに纏わりついたと思った直後にヒット! しっかり合わせをくれて寄せていくが、最初の手応えで緊張が走ったものの、そう大きくないのか、比較的簡単に寄ってくる。



 姿を見せたのは2kg級のバケアカムツ! あまり大きくないので抜き上げられそうだが、万全を期してタモ入れをお願いする。

 いやー、去年は忠兵衛丸で初のハチビキ、アカハタ、アヤメカサゴ、そして今年はアブラボウズとアコウダイを初めて釣ったが、忠兵衛丸に通うと、新しい種類の魚に出会うことが多いなあ……。
 グローブに粘りが付かぬよう、素手で記念撮影を済ませ、このユニークな金魚ちゃんをクーラーに収める。



 時折、やや沖(水深が100m強)の魚探反応にも当ててみるが、これはジギングでも、同船者のエビングでも当たらない。サバでも釣れたら、根魚の餌にしようと踏んでいたが、サバも「いつでも釣れるわけではない」と実感、次回は身餌を持ってこよう……。

 再び島周りの浅場を狙うと、再びズドン! ジャジャーとドラグが滑る。このまま走られては根擦れすると判断し、ドラグを締めて走りを止める。(マグロ狙いなら滅多にやらないが、根に走るヒラマサ、カンパチなら時に必要だ)
 何とか最初の走りを止めたが、これは間違いなくヒラマサかカンパチ、10kg手前くらいか? 根に触れる感覚はないが、もたもたしていると次の走りで根に回られかねない。かなり重く、ロッドを支えるのがやっとだ。マグロのような持久戦ではなく、アジ科の魚を相手にした短期勝負だ。
 ポンピングを試みるが、あまり巻けないのでラインが緩むことを警戒し、ゴリ巻きに切り替える。魚は何度も重量感を見せるが、遠くへ走らないので、こちらが耐えれば力尽きるはずだ。


 次第にPE3号が巻き取られ、魚の姿が見えてきた。5kg超のカンパチだ! 同船者のタモに収まったのは6.5sのヒレナガカンパチ!
 カンパチ、ヒレナガとも1kg前後のショゴ級は釣ったことはあるが、このサイズは初めてだ。




 この後も何人かにカンパチが当たり、隣のアングラーはベイトタックルのジギングロッドをナガタチカマスに折られるというトラブルにも遭遇したが、私のHPを拝見されているKさんもカンパチを2本キャッチした。

 今日はどうやら、カンパチによい潮のようでヒラマサは船中ゼロ、やや深い場所を攻めるときは、私もヒラマサを意識してジグをスライドさせてみるが当たりはない。
 ハチビキやメダイも当たらなかった。
 私ももう一回、当たったが掛け損ねてガックリ……。
 そんなこんなしている合間に、イナンバへキャスティングを繰り返してもこちらも不発、私より遠投して探るアングラーのルアーにも反応はなかった。
 最後までジグをしゃくり続けるが、さすがに四度目の当たりはなく、同じ場所を何度も流しているので魚がジグにスレてしまったのかと思考しつつ、1200に納竿……。

 帰港後、いつも通りに記念撮影、片づけを済ませるが、今回の同船者で、昨年にもイナンバで同船された方や、普段は外房や河川部のシーバスをされていて、初めてカンパチを釣ったという方の話も伺うが、船宿で銭洲へ行かれる方の話によると、最近の銭洲ではルアーでは1kg級のカンパチが多く、それより型の良いものは餌釣りに分があるらしい。

 ヒラマサ、カンパチ、シマアジ等の遠征釣りも面白そうだが、ここ最近の状況では、もし銭洲へ行くなら五目でウメイロでも釣りたいところだ。

 クロマグロも既に姿を見せているというから、食い出したら即、出漁だ。


  6月27日

 6月中旬、相模湾にもキハダ回遊の情報が入り、長井の船が好釣果を出したため、「今年はやや遅れるか?」と、外房や銚子周辺のカツオ、キメジ、キハダの釣果を指をくわえて見ていた私は、早速長三朗丸のルアー船を予約した。

 早朝、港に着くや、DさんやNiさん、Gさんなどなど、半年ぶりの知り合いと顔を合わせ、かづみさん、ゆきさん、船長父子と挨拶する。今回はPE4、5、6号のタックルを用意した。サイズは20kg前後が多いが、40kgまで報告されているため、5号以上のタックルも用意したいところだ。
 始まったばかりのため、どうなるか楽観はできないが、釣欲に目の眩んだ面々かも……。
 今回はユウジ船長が知り合いの面々と仕立船、私は大船長の乗合船で出るが、人数がまだ少ないため、出たら投げ放題(笑)。
 長三朗丸初乗船で、普段はスタンダップパドルからルアーを投げてライトゲームを楽しんでいるという方と話しながら、沖へ船を出していくと、10隻以上の船がナブラの浮くのを待っている! 

 船長が慎重に船を進めていくと、海面が揺れ、鳥が付け始めた! 素早くフローティング系を投げて誘うが、シイラが追ったくらい。
 と、その瞬間に舳先の真っ正面で2025kgのキハダが跳ねた!
「早く投げろ!」
 しかし、PE6号では届かない! 慌てて5号タックルに替えるが、その時には魚が沈み始め、他の船が前に付け始めた。
「あーあ、あの時釣らなきゃ、何時釣るんだってタイミングだったのに……」
 まだスレていないから、目線に入ればフローティング、シンキングを問わずバイトしたかも……。

 少しずつ船を回しながら、群れを探す。
11時、50m」とか「真っ正面、40mから60m」と、船長の指示を聞きながらフローティング系、シンキング系を投げていくが、シイラが時折食うくらい。
 船団は網代から長井まで各港から集まっているが、少し様子を見た後、船長はこの船団を後にし、別の群れの探索に入った。



 今回は同船者に釣り方を説明しながら(反面教師かも)の釣りになったが、「ドラグを押せて合わせるときはこうやって……」と、ドラグを押さえながらロッドを立てていくと、シイラがガツン! 何というタイミングだ!
 去年より平均サイズはやや小さく、
80cm(昨年はメーター級もごく普通)くらいだが、その分時間を掛けずに上げられる。
 まだ魚の数が少ないらしく、走りながら探索することが多かったが、途中でソウダのナブラにも遊び半分で投げてみるが、シラスでも追っているのか盛んにショボショボしていても、ミノーの早引き、スキッピング、ジグでも当たらない。
 アジカブラやフラッシャーサビキでも持って来れば良かったか?
 これまでは「沈下系が釣りやすい」と、考えていたが、魚が固まらないときは誘い出しも有効では? と、これまでの状況を勘案してポッパーを試し、ガンマを引く。
 すると、又もやシイラ(笑)。マグロ用のモデルは、シイラにも効くわな……。
 鳥が海面近くを何羽か飛んでいるときは、その下に必ずいるはずなので、箒で掃くようにスーッと引き、ポーズを入れては再度引くが、当たらない。
 やはり魚のいる場所が限定されているか?
 そう考えた矢先、船が一気に突っ走った。
 その先には何とサメ付きのイワシ玉! 2m近いメジロザメ類の背鰭がいくつか見え、カツオ、キメジ、キハダまで! こりゃいけるぞ!
「サメに食われる危険は承知の上で、真ん中にルアーを入れて!」
 私も思わず興奮し、キャストを繰り返す。 
 あまりフォールさせていると、サメに食われる恐れもあるため、そーっとリトリーブを開始すると、ガツン!
「来たっ! …シイラでした」
 少しやり取りするかどうかの間に、シイラの手応えを確認。(苦笑)
 さっさと上げると、再び打ち込むが食わない。
 周りに他船がいない絶好のチャンスなので、船も上手に距離を保ちながら着けてくれる。
 鳥が一時、飛び去ったかに見えても、水面下に盛り上がるイワシに惹かれて何羽か戻ってくるため、目標を見失うことはない。 
 しかし、なかなか口を使わず、何とか食わせたと思ったらこれもシイラ! 何という悪い冗談だ?!

 この時のナブラは15分以上も出続けていたが、サメに邪魔されることはなかったものの、誰一人カツオ、マグロ類を食わせることなく終了……。



 いるのは確実だが、まだ水温が低すぎるか、潮が悪いのか?



 7月25日

 720日、黒潮の分流が東伊豆沖へ差してきたためか、JIBTでもキハダの釣果が報告され、サバ餌でマグロ狙いの船はいずれもキハダを上げだし、ルアーで出ている網代の森竜丸はなんと15本という驚異的な釣果を記録した。
 しかも、定栄丸がカジキをバラしたり、惠丸がマカジキを獲ったりという状況を見て「相模湾内なら、キハダ、カツオだが、伊豆の船ならクロマグロやカジキも狙える」と、判断し、急遽忠兵衛丸を予約した。
 前夜は一睡する間もなく家を出たが、途中の道でいささか迷い、西湘バイパスは一部通行止めなどのトラブルに見舞われたものの、何とか2:30に忠兵衛丸に到着……。
 くじ引きで釣り座を決め、私は艫から二番目だ。慌ただしく手石港へ移動する。
「餌のサバは二人ひと組で釣って、一人はサバを外したり、カメに入れる役をやってください」

 今回は艫の方が竿を出すため、私は外し係だ。かくしてサバ用の道具は残し、それ以外の道具を第二十一忠兵衛丸に積んでいく。
 一通り準備を終えるや、船は河津沖へ向かった。
 ベッドで1時間ほど横たわった直後、船が止まった。すかさずフラッシャーサビキの準備にかかる。私はハリ外しと指サックを用意した。
2030mでやって」
 最初は当たったものの、途中で外れてしまったが、その次から食いまくり、あっと言う間に34尾は付いてくる。暴れ回るため、途中で外れることもしばしばあるが、大暴れするサバをハリ外しで海水の循環する青タルへ落とす。
 上乗りさんが走り回り、そのサバを片っ端からタモで掬い、船のカメに入れていくが、確かに全員が竿を出していたら収集がつかない! 

 他船も同じ海域で操業しているが、特にサバの食いが良く、食い込みの良さそうな小ぶりのサバも混じりだし、最後は各青タルに数尾ずつ入れたところで餌取りを終えた。いつもこれだけ食いが良ければ申し分ないが……。
 既に空は明るくなっているが、船のベッドでさらに1時間少々休む。
 頃合いを見て、PEにフロロカーボンをPRノットで接続し、カットゴリラを結ぶと、投入寸前だ。良さそうなサバに目星を付ける。
「はい、前から投入してください」
 私は5番目だが、活きのいいサバを背掛けにして流す。
 しかし、ここでは食わなかったのでやや沖へ向かう。鳥が出たり、跳ねることもあるためルアーを投げたいが、かなり横波が強いため、今の体力で下手に動くのは危険だ。
 そんなこんなでしばらくはサバを流すのに専念していたが、オアカムロが青タルにあり、これも効果的だというため、45投目にオアカを投入する。


 流していくと確かに追われるような気配があるが食い込まない。回収すると歯形がついていた! 何で食い込まなかったんだ?



 そんな中、隣のミヤマエを使っている釣り人が掛けた。しかし、ヨシキリ鮫。
 舳先側ではタリカやペン・インターナショナル等の手巻きリールを使っている方もいるが、こちらも当たったが途中でバレ……。
 他船はキハダも上げているようだが、20kg級のクロマグロも出たというので油断は出来ない。
 時折、鳥が数羽飛んでいることもあるが、固めるほどではないので投げるかどうか、いささか迷う。人が少なければ舳でキャスティングするが……。



 寝不足のため、疲れが出てきたが、ここで舳2番目の人が掛けた! いい具合に魚が走っていくと思ったら、何とカジキ!
「みんな仕掛け上げて」
 掛けたNさんはタリカ50でガンガン巻き取っていくが、魚が反転するや、ドラグが滑る。
 私も動画を撮り始めた。
 と、水面で半身まで見せ、角(ビル)を振りながら2度、3度と跳ねた魚体はかなりの大型! 100kgくらいはあるぞ! 一瞬、バレたかと思ったが、しっかりPEはテンションを保っている。
 こりゃ、マカではない、クロカジキか?
 魚は潜り始めたが、船は魚を追い、道糸が船下に入らないよう回していく。魚が下へかなり持って行ったらしく、巻いても巻いても寄らないが、あれだけのサイズだから、そう簡単に上がるはずもない。
 ある程度巻き戻したが、また突進した時は竿を支えているのがやっと。
 それでも、隙を見ては巻き取っていく。私も空いた竿を支えつつ動画を撮り続ける。
 船長は上手に操船して距離を詰めていくが、現時点では潜り込んだカジキをリフトアップする状態だ。ハリスは40号だというから、無理はできない。
 慎重なやり取りの末、ついに全身を青みがかった輝きを見せ、3mはありそうなカジキに銛が打ち込まれた。次々にギャフが掛けられるが、そう簡単に船内に上げられるはずもない!
「○○君も短い手鉤持ってきて」
 ここで動画を切り、私もやや短いギャフを取りに行く。



 カジキは数人がかりでギャフを打たれ、手袋をした同船者が角を掴み、ついに100kgを越すカジキは船へ上げられた。胸鰭が倒れないシロカジキ(ブラックマーリン)だ!
 日本近海にはクロカジキ(ブルーマーリン)が多いが、シロカジキなんて滅多に釣れるものではない。制作者の知識ではシロカジキを狙って釣れるのはオーストラリア沖(グレートバリアリーフやリザードアイランド周辺)だったかと……。

 記念撮影後、船長が内臓を取り除く間は私が角を支えて頭を持ち上げるが、その角がザラザラしている様子といったら、タラバガニの甲羅か、粗めの鑢のような感覚だ。この角でハリスをバシバシ叩かれたらフロロだって切れるよなあ……。





 さらに、その魚体にはカイアシ類やエボシガイのような寄生虫が食い込んでおり、鰓蓋の中からシロコバンまで飛び出し、私は初めて目の当たりにした雄大なカジキに圧倒された。
 これが私の道具に食ってたら、1時間かけても上がらない、いや、獲れないわ!
 いやー、カジキが出ているから「もしかして」と、思っていたが、船中でこんな魚が上がれば、自分の魚でなくとも嬉しい。トローリングの人気が高いわけだ。



 カジキは尾鰭の両端と角が切り落とされ、引っ張り出すためのロープを鰓蓋に何本も通し、船の魚槽で氷詰めだ。
 私も奮い立ってサバを流すが、今度は沖サワラにハリスを切られた! 沖サワラがいるならば、と、船を立て直す度にミノーを引っ張るが、なかなか当たらない。その間にもサバを流している内に、私の左隣の人のPEが引き出された。



 PEが止まったところで合わせを入れると、一気に下へ持って行く。こちらの方はミヤマエを使っているが、それでもかなりの手応え。
「これは本物だぞ!」
 確かに、2030kg級のキハダではない引きだ。途中で電動だけでは巻き取れないときなど、さらに手でも巻いて寄せていく。
「やり取りにもうしばらくかかるから、これで仕舞ってください」
 やや疲れが残る私は苦笑しつつ仕掛けを巻き上げ、やり取りを観戦する。普段は「いくら何でも大げさでしょう」と、思えるような大型のミヤマエも、これだけの引きを見せる相手ならちょうど良いかも知れない。
 いずれにせよ、私のライトタックルでは歯が立たない。



 船長は下へ、下へと走る魚の引きに合わせ、船底にPEが当たらぬよう操船を続ける中、ついに強力な電動巻き上げに獲物は力尽きた。姿を現したのは70kgはありそうなクロマグロ!
 銛が打ち込まれるや、歓声があがり、3人がかりでクロマグロは船に取り込まれた。こちらも記念撮影後、エラと内臓を取り除いて氷詰め。

 2本の大物を水揚げし、船は手石へ帰港した。


(表示の数字の他、エラと内臓、尾鰭と角を合算)




 検量の結果、シロカジキは130kg、クロマグロは75kgと判明。しかも、シロカジキの切身を私も分けて頂き、自分の狙いは外したものの「50kgまでの魚を狙う、ライトタックルの数釣りでは歯が立たない魚がいる」と、判明したため、何とかもう1ランクヘビーな「100kg級の魚でも獲れる道具が時に必要」と実感し、素晴らしいお土産をクーラーに詰めて帰路へついた。


 8月1日

 先日、アブラボウズに同行したK氏、さらに同僚のSN氏から「清四郎丸を仕立てるので、行きませんか?」と、お誘いを頂き、同行を決定した。
 相模湾記録のワタエラ抜きで91kgのキハダを記録している上、船長もルアーで何本も釣っているため、これは良い勉強になりそうだ。しかも、仕立てなら夜討ち朝駆けで出る必要はない。

 しかし、集合時間は4:00、出船時間は4:30という驚異的な早さのため、あまりゆっくりも寝られず、早朝に私は秋谷へ向かった。
 普段は佐島へ行くときに通り過ぎる秋谷海岸入口から右折し、慎重に車を進めていくと秋谷漁港が見えてきた。エンジン音が聞こえ、清四郎丸の船長に挨拶する。船長の話だとRipple-Fisherのロッドが一番よいとか。
 道具を降ろしていく間に、K氏、SN氏らの車も姿を現し、挨拶しては道具を組み立てる。
 日が出る前から蒸し暑さを僅かに感じさせる中、全員が準備を済ませると、薄明かりの中、船は沖へと走り出した。

  船長の道具はテンリュウのスパイクツナにソルティガ6500H、8000HにAkiya200だ。Akiya140にはMCワークスにソルティガ4500だが、明らかに「大物を獲る」という心構えが見える。


 最近はメボー(5kg前後のキメジ級)も多いようだが、そのサイズでもマグロ用の18cm前後のトップに出ると言うから楽しみだ。メボーなら各自1本くらいは釣れるか?
 この時に同船した方の一人は、水産高校出身ということで、海洋実習での延縄の話をいろいろ伺うが、やはりサメやカジキも結構混じるとか。カツオ一本釣りの実習は静岡の水産高校がやるものだという。
 まずは大きな流木周りを投げると、予想通りシイラ……。私は合わせなかったが、それでもVF9012-ERが激しく曲がる。
 SNさんはがっちりフッキングしてしまい、メンバーがネットを出すが、なかなか入らない。私のシイラは幸運にも手元で外れたので、交代してランディング&リリース。
「沖で跳ねているぞ!」
 と、船長の発見で一気にナブラへ突進するが、跳ねているメボーの移動が早い、正面に向かって投げまくるが、あっと言う間に抜けてしまう。
 トップでは出ないと見るや、カツオ用のミノーを投げるも反応はない。
 そうと見るや、すぐさま見切りをつけて別の群れを探すが、次第に長井の船が姿を見せ始め、少しでも跳ねそうになったら「競争状態」になる。
 しかし、その時も決定的なチャンスはないのでひたすら西へ走った。
「大きい方がいい」
 と、いうので(この時期はイワシ玉が少ない)、「素早く投げて食わせる」ため、KLLガンマを結ぶが、しばしば見かけるのは5cmほどの小トビ!
 トビウオの稚魚を追っているときは、シラスパターンより難しいのでは? トビウオでも成魚を捕食しているなら、でかいトップに食わせる機会もあるが……。


 かくして、しばらくキハダの跳ねを探すが、この日は「跳ねても、即沈む」状態が続き、合間に流木や流れ藻のマツダイを狙うが、ロープが団子状に固まっていた流れ物では、私が一度当てたものの乗らず、ロープにミノーを引っかけて、沖アジの群れを確認したものの、せっかくの機会がパー……。
 次は、2本の鰭が海面に見えていたので、「メカジキか? サメか?」と、迷いつつ、メンバーの一人がナルド、私がAkiyaを投げた。
 ナルドには無反応だったが、Akiyaをショートピッチでアクションさせると、一気に浮き上がってバイト! しかし、ヨシキリザメ!
「あー、掛かっちゃったよ」
「サメが食ったら、WooDreamならぬ、WoodNightmeaだ!」
 1.8mほどで、そんなに大きくないが、やはり走る。しかし、ソルティガドラド・80TNで出来る限りプレッシャーをかけ、50m以内で止めて寄せていく。
 途中で反転しても、PE4号の強度の範囲でスプールを押さえ、じわじわと寄せていった。
「外れる?」
「いや、合わせ入れているから無理でしょ」
 と、言いつつも魚体を見ると、口ではなく胸鰭にスレ掛かり。船長がギャフを掛けてうまく外してくれたが「他の船に乗っても、サメを掛けたら切っちゃって」と、アドバイス。
 サメを船に上げるのが危険すぎるのはもちろん、ギャフなどで外した瞬間、飛んできてフックで怪我する可能性が高いとか……。(サメが食う可能性が高いときは、ウッドは止めてプラ製のすぐ買えるルアーを使いましょう)

 その後も探索するが魚は浮かず(他船では1本上がったが)、苦笑しつつ秋谷へ帰港した。小規模な海水浴場にも波と戯れる人々が見え、秋谷港の入口で糸を垂らす姿を見ては「最初はこんな手軽な釣りから入ったのに、どうしてこうなった!」と、自らを省みる。

 船長にAkiyaの使い方などを伺い、お土産にワカメを頂いて、私たちは灼熱の海岸を後にした。
  


 

 8月13日

 相模湾のキハダはまだまだ多いため、清四郎丸での撃沈も「日が悪かっただけ」と、割り切り、長三朗丸へ向かった。
 今回もルアーでの挑戦だが、隣のたいぞう丸には『つり丸』のSさんが!
 久しぶりにDさん、Nさん、Niさんと挨拶する。朝から小雨がぱらついていたため、暑いがゴアテックスは手放せない。



 定刻にあり「今日こそは!」と、期待を胸に沖へ向かう。群れは相当いるようなので、イワシを固めてガバガバやり出したらこっちの物だ。

 1時間ほど走ると、他船が何隻か見えてきたが、そこでサメ付きが沸いた。目の前で2m級のメジロザメ類がガパーッと豪快に跳ねる。キハダらしき跳ねも見えた。
 胴の間にいた私は、射程距離に入ったと見るやシェル貼りの沈下系をぶん投げた。サメがいるため、ほっとけをやったら食われる可能性があるとばかり、ゆっくりリトリーブを開始する。
 すると、あっと言う間にズトン! 反射的に合わせをくれる。
「来たっ!」
 しかし、これはサメ? 先日の手応えにえらく似ている……。
「サメだ。食ったのが見えた」
 と、Niさん。
 サメならロングファイトするわけにはいかないとばかり、ガクガク頭を振る中、スプールを押さえると24号のリーダーが切れた。
 ルアーを持って行かれたのは残念だが、時間の節約になったとばかり次のナブラを探す。と、船長は一気にスロットルを上げて突進した。




 見ると、遊漁船、プレジャーで78隻は集まっており、その中に鳥が固めている。私たちの目の前にいたプレジャーが掛けて、激しいドラグ音と共にPEが引き出されている。
 鳥の動きを見て船を回した瞬間、目の前で25kg前後のキハダが跳ね出した! 迷わず沈下系を打ち込み、ラインスラックを取るくらいのデッドスローで引いていく。いつ引ったくられるか?


 しかし、数十本は跳ねている中に通しても誰も食わず、このナブラは沈んだ。船団の様子を見ると、別のプレジャーも掛けていたのか20kg級のキハダを浮かせ、ギャフを掛けていた。
 あと少しのタイミングで、あの僥倖をこちらのものにできたのに……。
 次のナブラを探すが、その時に雨! 慌ててゴアテックスをまとう。しかし、雨が降っても魚は浮くので油断はできない。

 新たに出たナブラでは誘い出しを試すが、これも不発……。
 以前ほど小トビばかり見える状況ではなく、イワシやまともなサイズのトビウオも見えるが、どうも食い気が今ひとつのよう。
 そんなこんなで、誘い出し、沈下系、どこかの誰かはミノープラグまで使ったが、途中で天候が回復するも不発……。 
 最後はカツオ、キメジの群れを見つけ、小型のミノーをぶん投げ、ジャーク、ジャークを繰り返しても口を使わなかった……。
 
4連続ボウズを食らい、さすがの私も「腕が落ちたのか? タイミングの違いか?」と、いささか悩んだのだった……。




 9月12日

 8月下旬〜9月に入った頃、相模湾のキハダで振り回されるのに疲れ、次第に食い始めたクロマグロを獲るべく(7月の130kgのカジキや、75kgのマグロを目の当たりにし)、10年ぶりにレバードラグタックル一式の新調を決定した。
 かくしてマッドバイパースティング240H&シーラインLD60Uを探し回り、忠兵衛丸に予約を入れると「今日も3本食っているぞ!」と、聞いて期待値はMax! 日によっては50kg前後も上がっている。
 94日に釣行を予定したため、92日にタックルとウルトラダイニーマを購入し、深夜にPEを巻き巻きしたが、93日の夕方、天候の関係で出船中止!

 出れば絶対釣れると踏んでいたが、安全には替えられないため見送り、94日は休日消化のため管理釣り場でヤマメ釣り。すると食いが立っていたのか、餌とルアーでヤマメ43尾、イワナ4尾、ニジマス19尾(最後は数尾リリース)まで釣ってしまい、燻製を作る羽目に……。

 その後もクロマグロは20kg前後とやや小ぶりな新群れが来て好調のため、予定を調整して912日を予約した。前日出船確認したら満船になったとか……。

 退社後はプレミアム万鮪を仕入れ、一眠りしてから伊豆へ向かうが、熱海ビーチラインは高波で通行止め……。(この台風と大雨の被害に遭った皆様へ、心よりお見舞い申し上げます)
 しかし、その後は難なく忠兵衛丸まで到着し、他のお客さんと挨拶する。ほどなく、浅沼清人船長と上乗りの鈴木さんも現れた。
 釣り座のくじ引きも難なく進み、舳2番目を確保。伊豆半島は雨雲があまりかからなかったが、流石にキワは釣りにならない(食いが悪い)というため、利島周りでサバ釣りだ。
 船に道具を積むや、ベッドに横たわって休みを取る。途中のサバ釣りも30cm前後の食い込みが良さそうなサイズがズラズラ付いて来た。
 20分ほど爆睡し、マグロの場所が見えてきた。
 私は「そろそろ仕掛け作りだ」と、ウルトラダイニーマにビミニツイスト&正海ノットでハリスを結び、坂本結びの簡易バージョン、ウエノット(つり丸、2015815日号参照)でカットゴリラを結ぶ。
 やや早めに船は場所に着いたため、どこを流すか様子を伺い、協定の定時となった。
「はい、始めます。後ろから順に流してください」

 私はハリスの巻き癖を取り、各自のサバを入れる青タルを見ると、平均サイズより5cmは小さいサバが入っていた。20kg級も多いため、迷わずハリに掛けた。
 船が前進、後退を織り交ぜながら仕掛けを流していくと、次第にサバが追われ始めたのか、PEがスルスル伸びていく。

 もしや?
 そのまま待つと、クリック音を入れたシーラインからジーッ、ジーッとPEが持って行かれ続け、じわじわテンションを掛けてもそのままリールが鳴り続けた。




「食った!」
 レバードラグのテンションを500g1kgくらいに上げても走り続け、まもなく、重みが伝わったまま走りが止まった。
「乗った!」
 落ちついてハーネスを掛け、フックアップ。船長や上乗りさんも冗談だと思っていたようだが、実際に魚が食っているから仕方がない。それにしても、一投目でヒットするとは!
 腰にギンバルを巻いたままなので、いささかやりにくいが、スタンディングで対抗する。恐らく20kg級だろう。魚は下へ潜っていったが、100mそこらで止まった。
 マッドバイパーで魚をリフトにかかる。確かにリーディングXゴウマンよりパワーがあり、それでいて不要に暴れさせない調子だ。しかし、予想より引きが強く油断は出来ない。とうとうローギアに切り替えた。
 水面下50mくらいでしばらく抵抗するが、次第に寄り始めた。頭が手前を向いたときは一気に巻けるため、ハイギアに戻して回収する。あと3020……。
 リーダーが入ったところで竿をキーパーに掛け(ハリスを9m以上とっているため、IGFAルールは適用外)、ローギアのままじわり、じわりと寄せていく。
 ついに20kg級のクロマグロが姿を現した。やや小ぶりとはいえ、獲れれば今年の初物だ。
 寄せた瞬間、上乗りさんが銛を打ったが、ドラグを緩めた直後、銛が抜けた! 一気にPEまで引き出される。
 しかし、ここで慌ててドラグを締めすぎるような真似はせず「致命傷の可能性もあるため、無理せず寄せれば上がる」と、再び寄せていく。



 最後まで激しく抵抗したが、ついに再び銛が打ち込まれた。やや小型ながら、今年の初物をキャッチ!
 まさか一投目で獲れるとは驚きだが、急いで記念撮影。上乗りさんに内臓、エラの処理をお願いする。(ハリが飲まれていたが、明らかに昨年より引きが強かった)
 この一本で誰もが色めき立つ。腹を割いたら脂肪で真っ白だったというため、持って帰ってからが楽しみだ。
 ただし、釣果が上がっているうえ週末という条件のため、船は本船含めて12隻! 一箇所に固まっているため、どこに群れがいるか一目瞭然(笑)。
 その後も何度か流すが、当たらない。私はその間に持ってきた笹かまやおにぎりを口にしていたが、次第に気温が上がり、肌がわずかながら日に焼けるような感覚が伝わってくる。
 途中で舳の人が、サバを沖サワラに真っ二つにされたり、沖サワラの姿が見えたというのでミノーを投げてみるが不発、もっとでかいミノーを使わないとアピール不足か?
もっとも、他船も1本上げていたというため、「20kg1本ではまだまだ、もう1本、型の良いマグロを釣るぞ!」と、活きのいいサバを流していく。
 あっと言う間に
8時を回ったが、前から2番目にサバを放り込み、さらに死んだサバを上乗りさんが何本か撒き、仕掛けを流し込んでいった時だった。

 ギイ、ギイイイー
 シーラインがクリック音を上げ、サバが泳ぐのとは明らかに違う勢いでPEが引き出されていく。僅かにテンションを掛けた。更にPEが持って行かれる。
「食った!」」
「今、他の人の仕掛けを上げてもらうから、上がったら合わせて」
 同船者の皆様には申し訳ないが、仕掛け巻き上げ中に魚が止まった。ドラグをストライク値に入れて合わせをくれる。
 おっしゃあ! しっかり重みが伝わったが、さっきの魚よりも明らかにいい型のようで、
PEはさらに勢いを増して真下へ伸びていく。この走りを無理に止めるわけにはいかない。
 途中でオマツリしかけたが、上乗りさんに解いてもらう。
 ハーネスを付けて、腰のギンバルを外してのスタンディングファイトだが、どんどん
PEが下へ持って行かれる。目測で250mは出ただろう(先ほどは100m少々)。
 船長が船を回して魚を追いかけるが、底に到達したマグロが横走りしたらしく、舳方面へ走ったPEをハイギアでガンガン回収する。マグロは巻ける時に巻くのが大切だ。ある程度巻き戻したが、その次は一気に50m近く突っ走る。頭を振る感覚が伝わってくるが、まだ頭が下を向いているようで、無理はできない。
 だが、巻き心地のよいリールと、バットパワーのある竿がその引きをいなす。竿をしっかり起こして、魚の走りを食い止める。
「ムクの竿じゃないのに、よく折れないね」
 と、上乗りさん。
「私の予算じゃアリ○ーターや剛○は手が出せません! ダ○ワで十分」(伏せ字になってない…)
 もっとも、このマットバイパースティングも「チューブラーパワーマキシマム」と、称して、中空のチューブラー構造でも、植物にたとえるなら竹よりフキ並みに肉厚なので、そう簡単に折れるはずがない。そこまでドラグを締められないが。
 ある程度竿を起こすと魚の走りが押さえられるが、戻してしまうとズルズルドラグが滑る。しかし、最初の走りで体力を消耗しているとみて、重さが伝わりつつも、遠くへは走らなくなってきたため、ローギアに切り替える。

 ジイジイジイ、ギイギイ、
 クリック音を入れたまま、止まった瞬間に少しずつポンピングする。竿を起こせれば、ポンピング一回で1mは巻けるので、重さに耐えつつそれを繰り返す。腹当ても下腹部ではなく、左の太もも付け根辺りに当て、全身で魚の引きを堪能する。
 何度か反転してPEが引き出されたが、次第に魚が上を向くようになると一気に1020mと巻き取れるため、そんな時は巻けなくなるまでハイギアに戻して距離を稼ぐ。
 ついに残りが50mを切り、最後の詰めに入った。ローギアでどんどん巻いていき、4030と残りを巻き取っていく。こりゃ、ハリが胃袋にでも掛かって弱り気味か?
 もっとも、飲まれていればその分、ハリスが削られる恐れがあるため、決してドラグはストライク値以上には締めない。ファイト中にドラグを押さえることも厳禁だ。ポンピング中に竿を起こせない時、PEを親指に当てるくらいは大丈夫だが……。




 やり取りの末、水面下に銀影が旋回しながら姿を見せ始めた。いいサイズのマグロだ。ハリスが入る前に竿をキーパーに掛け、最後の詰めに入る。魚は頭を上に向け、ぐるり、ぐるりと旋回して寄ってきた。




 一度、ハリスをトップガイドから引き出したが、じわじわ巻き寄せ、水面下まで来たところで銛が入った! 40kg級確実だ! やり取り時間は2530分程度だが、このサイズなら納得。



 次は舳で電動インチクをしていた方にヒット。いい具合に竿が曲がり、上がって来たのは1.8kgくらいのイヤゴハタだ。これは私も釣りたい!

 私も根魚を狙ってもツノザメばかり連発するため、ジギングを試すと中層で食い上げた! しっかり合わせをくれると走るが、せいぜい
10m以内。これは青物だ。



 寄ってきたのは2kg級のカンパチだが、マグロの合間にジギングで釣れたのは文句なしに嬉しい。状況によってはメジや20kg級のクロマグロもジグに食う。
 この後は残念ながら沖上がりまで当たりはなかったが、今年はカツオ、キメジすら釣っていなかった中、クロマグロのダブルキャッチという最高の成果……。

 帰港時、同船していた方はNY在住の日系人(?)の方で、ストライパーやブルーフィッシュ、ポーギー(日本のハナダイに近い)、ヒラメなど、NYご当地の釣りの話で盛り上がる。
 当然、あちらのマグロ類についても聞いてみると、ボストンやカナダの大型クロマグロ、サンディエゴのロングレンジ船はキハダ、ビンチョウとも小型が多く、パナマやメキシコでは大型のキハダやカジキが上がるというが、場所によっては100150kg級のメバチが釣れるという。
 ご当地ではペン・インターナショナルが主流だが、1隻に20人以上乗せ、アンカリングして釣るため、日本の上乗りに相当するメイトのサポートが欠かせず(トイレに行くときなど、やり取りを交代してもらうこともあるとか)、素手でオマツリを解くことも多く、リールにはPEではなくナイロンを巻くのが主流という。
 ただ、食べ方はステーキにすることが多いというのがもったいない。
 米国はサメ釣りも盛んで、マコ・シャーク(アオザメ)やスレッシャー・シャーク(オナガザメ)に人気があるという。この方も8フィート級のマコ・シャークを仕留めたことがあるというが「この海域にもアオザメいますよ」と、説明する。
 あとは道具や体長制限の話などで盛り上がり、私は頃合いを見てベッドに潜り込む……。


  
 帰港後の検量では、小さい方がワタ、エラ込みで
21kg、大きい方が42kgと、クロマグロの自己記録を更新できたことが嬉しい。
 いやー、最高の竿おろしになったなあ……。



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