2013年 久米島遠征             


 今年も柏木氏らの呼びかけで、久米島遠征が決定したため、「パラシュートならまず間違いない」と判断し、スタンディング用にハーネスを仕入れ、ルアーでも良型を仕留めるべく、フィッシングショーで『つり丸』編集部の滝さんに質問した上で、ジギングロッドや新しいジグ、トップ用にポッパーなどを仕入れる始末…。



 出発直前、小西氏がアクシデントで参加不能となったが、マグロ類初挑戦の上村氏がメンバーに加わっている。
で、どこの誰かは、出発前日までルアーやフックを買い漁り、アシストフックを作る始末…。


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 早朝に自宅を出て羽田で柏木氏と合流するも、手荷物チェックで「PEにシュッ!」が没収! 3000円はするスプレーがなくなるのはヤバイ…。(飛行機を使う場合は、ノンフロンの方を買ってください)
 
那覇空港からタクシーで泊港へ向かい、久米島行きのフェリー乗場で並びつつ、中部・関西組の野口氏、鈴木氏、そして上村氏と合流する。



 
 



 泊港で食べる時間はないため、食料を買い込んで乗船するが、座席の確保に毎回泣かされる。



 午後2時に船が港を出る頃には、近畿大学関係者の皆さん、タナゴなど淡水魚の話をつまみに腹ごしらえし、地元の釣り雑誌『おきなわ釣り王国』や、つり丸の別冊『Salt EXマグロ』などを読み漁り、私はこの機会にムラムラポップやソルティア、ガンマにフックを取り付ける。

 うつらうつら休むが、さすがに久米島まで熟睡できるはずもなく、一年ぶりに鈴木氏とマグロの話で盛り上がる。
 今回は曇りぎみだが、荒れる恐れはないため、2日の間で相当楽しめるのでは?
 久米島行きのフェリーは、一日二便だが、午後は渡名喜島に寄らないため、少しは時間を節約できるはずだ。

 慶良間を左手に望み、トビウオをしばし眺め、子供たちのはしゃぐ様子が心を和ませる。
(スポーツクラブ関係か、小学校低学年くらいの子どもがぞろぞろ)



 

やがて「球美の島」と呼ばれた久米島が、ハテの浜と共に目に入り、5時半頃にフェリーは兼城へ入港した。



 ちょうど、トローリング用のアウトリガーを装備した遊漁船が波を引きつつ、港へ入って来たが、今年もお世話になるくに丸の姿も見えた。
 フェリーは大きな汽笛を鳴らし、タラップが掛けられた。



自然と笑みがこぼれる中、兼城に降り立ち、ガーデンヒルズに車で向かう。短距離といえど、荷物が多いため助かる。

                                                       

 今回は釣り人用の会議室を使えるため、荷物の大半をこの部屋に置く。
 この後はくに丸船長との打ち合わせのため、送っていた荷物からカニでも獲れないかと特大のお魚キラーを取り出し、兼城港へ揃って引き返した。


 

港には新しく設置するパヤオも横たわっていたが、船長に挨拶し、今年の様子を聞くと「今は渋い」ということだが、出てみなければ分からぬ面も大きいことも事実だ。




 港には運送会社のトラックも来ているため、「もしや?」と思う間もなく、由奈丸が戻ってきた。釣り人のお子さんも出迎えているが、こちらはルアーで出た模様。
 船のカメから取り出される獲物を見ると、メバチが主流で10キロ級も23本は混じっている! 去年は5キロまでがメバチの上限だったが、このサイズを釣りたい!
 さらに、25キロ級のビンチョウも2本出てきたが、こちらも昨年より太く見える。
 シイラは大きくともメーター前後と小ぶりだが、カツオもポツポツ混じっている。鈴木氏などはカツオも釣りたいためか、かなり嬉しそう。



 と、今度はトモからパラシュート用のタックル(トローリングの50Lb)を出したあかね丸が帰ってきた。
 こちらも10キロ級を含めたメバチが次々に出てくるが、45キロ級の丸々太ったキハダまで上がっている! さすが、パラシュートは効くなあ…。
 カツオ、シイラも混じるが、2キロ級のヒレナガカンパチまで! これはいいねえ。
 船長連も各船の水揚げには興味津々だが、地元の釣り人は血合いを餌に、船の近くへキャストする。
 私はあかね丸の船長が、メバチの内臓を抜いているのを見て「そのハラワタください」と一声かけて、エサの内臓を確保する。

                       
                       

 今度はしらせ丸が帰港して来たが、こちらはパラシュート主流のお客さんだったようで、ティアグラやストロングファイターの傍らに、ルアーは少しある程度。
 カメから出てくるキハダはいずれもでかい! 50キロ前後が3本、30キロ前後が1本…。
 他にも15キロ級のオキサワラや10キロ級のメバチが混じるが、
オキサワラを見て「Wahoo Japan」なんてギャグを口にする方も(苦笑)                    

                   
                   
 大型が並ぶ姿を見ては心が弾むが、お魚キラーを仕掛けた。明日は6:30に出船だ。
(
朝一にジギングで遊び、一段落したらパラシュート投入しつつ、ジギングやキャスティングを併用する予定だ)


 と、いうことで島の商店(ミーバイの切身が安かった。上村氏はバナナのでかい塊を…。)や、コンビニで明日の飲み物と食料を仕入れ、「十六夜」で前祝い。
 刺身盛り合わせにはオキサワラやカジキ、カーエー(ゴマアイゴ)もあって魚毎の味を楽しめるが、フエフキダイ科の唐揚げも絶品! 久米島近海でひとつテンヤやっても面白そう。




 さらに地鶏のたたきなども味わい、ホクホク気分で宿に引き返す。

 その途中でクメジマボタルやヤモリと戯れた。
 皆さんが部屋へ向かっている間に最後の準備を済ませ、ベッドに横たわる。
 

兼城の町は、灯りが夜更けまで残っている…。


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 目覚ましの音を待つまでもなく、明るさで目が覚め、次々に食料や水、タックルを船に運んでいく。
 よい情報があったのか、船長も急いで船を出し、5番パヤオに向かってひた走った。


(モデル:鈴木氏による「海人風コスプレ」)
思ったほど冷えないので一安心だが、日焼け止めをしっかり塗りたくり、腹ごしらえも万全だ。





 やはりGWだけあって、五隻以上の船が来ているが、何度か反応を見ながら船はパヤオに近づいた。
 「タナは70
 第一投のジグはロングライドだが、仲間のロッドが次々に曲がるも、私にはジグが見えにくいのか当たらず、ブルー系のD3に切り替えた。
 すると私はシイラのスレ! 時間ばかりかかるが、アシストフックを外すなりジグを打ち返す。
                        
                                                
                                                
                        


 第一陣は2キロ級のキメジも混じったが、続いて35キロ級のメバチが次々に上がってきた。それぞれ手の空いているメンバーでギャフを掛ける。船に上げたら各自でエラと内臓を取り除く。

                           
                           
 私もすかさず、一年ぶりにメバチをキャッチ!

2本目、3本目と追加するが、皆さん半数は5キロ級だが、私は3キロ級ばかり…。
 ジグを替えても食いがさほど変わらないため、D3で続けるが、鈴木氏がカツオを上げ、私にはツムブリ。
 
メバチの内臓を取り除いていると、モンガラの群れが足元を通るが、モンガラの唐揚げを食べたくともメバチが相手では構ってなどいられない。




 
ベイトタックルで丁寧にしゃくっていた柏木氏が、時間を掛けてやり取りしていると思ったら、10kg級の美味しそうなメバチをキャッチ!(しかも2連続)




 やがてメバチがジグにスレたのか、魚探に映っても食わなくなってきたので、(イカを模したジグや、エビングでも不発)パラシュートに切り替えるが、今回はテンビンを併用し、ハリスも前回の半分という短さだ。最初はキビナゴを付けてみる。

その間も鈴木氏がミヨシでジギングを続けているが、150mのレンジを攻めているため、一声アドバイス。
「さっきの70m2倍の深さだから、もう少し大きいストロークでしゃくった方がいいよ。そうしないとジグの動きが悪い」



その直後、本当に良型がヒット! ジギングロッドの曲がり、ヒットしたレンジから断じて小物ではない。ガンガン追い合わせをくれるが、あまり長距離を走らないようなので、慎重に上げて来ると25kgの立派なビンチョウ! 去年はパラシュートでビンチョウを1日に3本釣った男だが、ジグで良型は初めてだ。


 船長は大艫の椅子で船を操船しつつ、魚探反応を見ながらタナを指示するので間違いない。

まずは「久米島初挑戦」の上村氏がパラシュートの道具でも、一番深ダナの艫にある船の貸竿を担当する。リールがティアグラ50WRSに、ペンの50lb級トローリングロッドとかなりのゴツさ。
 船長が魚探の画面を見て、
「おっ、来るぞ」と言った直後に……。

 ジ、ジイイイイイーーー!
 船のティアグラが悲鳴を上げ、一気にPEが持って行かれた。これは30s以上のキハダか?

                           
                           
 ハーネスを付けてのスタンディングからウインチファイトに切り替えるが、タックルが重く、魚の引きにも合わせて耐えるため、かなり苦しそう。



 20分後に浮いて来たのは同サイズのビンチョウだが、慣れていないと引きに耐えるのが精いっぱい。去年の鈴木氏もそうだ。

 だが、何はともあれ久米島のまともなサイズ、おめでとう!!
 イソマグロを突いたこともある男なので、記念撮影はバッチリ。
 ただ、短いハリスのテンビン仕掛けは、私たちには扱いづらいため、途中から去年同様、板にハリスを巻くパラシュートに戻す。餌も今回は、頭を切り落としたムロアジに交換だ。(ハリもサイズアップ)

その後は潮が悪いのか、魚探に反応が出ても食い渋り、時々餌を取られたりする程度。他船も状況は思わしくないようだが、時々ビンチョウやキハダが上がる上、魚探に映る反応が「5060sはある」という良型ばかりのため、パヤオの移動はせず、数時間にわたり、潮が動き出すのを待つ。
 こんなときだけは「遊漁船ということだから、基本は東京湾とも変わらない」なんて呑気なことを考えるが、我々の下を泳いでいるのは数十キロ級だ。



 合間のキャスティングでは小型シイラが出たくらい。

今年は大型シイラが少ないようだが、シイラの記録狙いでわざわざRCS7000番スプールに20lbを巻いてきた私は苦笑い。持って来なくて公開するよりはマシだ。

20lbのナイロンで、ビンチョウの記録狙いは水深が深すぎて無謀だ! ナイロンは魚が浮いていないと無理だ!(9ftのツナロッドでナイロンジギングしたら、魚が食う前にぶっ倒れそうだ)

現に「船の上で刺身作りましょう」なんてどこかの誰かはコンビニで醤油やワサビ代わりに(久米島の某コンビニでは売っていなかった)マヨネーズ、シークワーサーなんぞを仕入れてきたが、前日までの寝不足で疲れが残り、船酔いこそしないが、刺身を作る気力などない!
 ま、帰港してから居酒屋に持ち込めばよいが……。

途中で鈴木氏の手繰るハリスに、4キロ以上あるカツオが来たが、左側がカジキの吻(ビル、ツノ)に叩かれたのか生々しい傷跡が残る。彼一人でカツオ3本か?!

「後でパヤオに近づくから、メバチをジグで釣れるよ」ということだ。何とか10kg級を!
 3時頃、鈴木氏がパラシュートを開くため、PEを手でしゃくった瞬間、危険を感じるほどの勢いでPEが引ったくられた! 船のティアグラが悲鳴を上げる。
「指が取られるところだった」と顔色を変える中、彼が応戦にかかる。



 
 ハーネスを付けてスタンディングに入るが、あまりに引きが強く、道具も竿とリールで5キロ近いトローリングタックルなので、これは限界がきた。

 20分以上も戦ったところでウインチファイトに切り替える。(ギンバルがないと、おまたを痛めます……)

  
 
 昨年の43キロより明らかにでかいため、最後は上村氏がPEを引き、鈴木氏が巻き取るという、往年の大物釣りを彷彿とさせるような姿で寄せていく。

スポーツフィッシングの精神なら単独ファイトが基本だが、このサイズではよほど慣れてないと歯が立たない。PEも横に走るため、船長に船を回してもらい距離を詰めていく。船で追わないとPEが全部持っていかれる可能性も否定できない。次第にパヤオから離れていく。
「船長、ムロアジそのもの(掛かったカツオやキメジを食ったのではなく)に、カジキが食うこともあります?」
「あるよ」
 そうは言っても、跳ねないのでカジキではなくキハダであることは確実。
 私のタックルでは寄せきれないかも……。
「協同作業」は15分以上続き、何度か出たPEの量を見誤るほどの過労だが、ガンガン巻き上げていく。



「彼は魚突きやっているので、銛を打ってもいいですか?」と、鈴木氏。
「ああ、やって」
 ようやくパラシュートまで達した。

船長が「老人と海」のワンシーンのように、苦戦しながら最後のハリスを手繰るが、20mのハリスを手繰るのに10分以上かかり、再びパラシュートが持っていかれるが、何とか巻き戻す。
 途中で魚が反転した時は船長の手にハリスが絡まりかけたが、巧みな捌きでかわす。ここで手に汗握るやり取りの末、船長も疲労困憊しながらハリスを手繰る。
「あと1回廻れば終わり?」
「いや、あと34回だ」
 去年の40s級とは船長の力の入り具合も違う。
 巨大なキハダが浮上してくる姿は圧倒されるが、最初は銛綱を踏んでしまったものの、二度目の廻しで素早く上村氏が銛を打った。



「当たったぁー!! 誰か手鉤を」
 頭を一発で貫通し、周囲を赤く染めた血が獲物の致命傷を証明した。
「自分でシビカギ掛けちゃって」
 せっかくの機会だから、自分で獲物を船に上げた方がいい。


シビカギが入り、船に上がったのは70kg級の丸々太った大型キハダ! マグロを扱う水産会社で働いていた私も、70kgのキハダを見るのは初めてだぞ!?
 船長が短い木製バットで頭を叩いて締めた。
「吊るして写真撮ろう」




 大喜びで記念撮影。こんないい型のキハダ、なかなか出ないよ。


ひとしきり撮影後、腹を裂くと撒いたムロアジ、キビナゴの他、カラストンビや小型のシイラまで入っていた。

この大型でやり取りに1時間以上かかったため、これで帰港する。
 潮が動き始めた以上、やればまだ食いそうだが、30分以内に食っても、やり取りにまた1時間かかったら、魚を上げた時点で6時、帰港が8時になってしまう!
 皆が初日からハイライトを迎えられたことに満足するが、私は自分の道具では歯が立つか心配になってきた……。
 帰港後、柏木氏に「十六夜」へ魚を先に持って行ってもらい、その間に道具を片づけ、ホテルの洗濯機に着替えを放り込む。
 

                       
                       


 そして「十六夜」で大漁祝いだが、メバチ、カツオが刺身にされ、カツオはさらにたたき、握り寿司(久米島は「米」の字が当てられるくらい、稲作とも縁が深い)、そしてキハダの胃袋が実に旨い! 厚みがあり、まるで獣肉のような味わいだ。慣れていなければマグロとは信じてもらえないだろう。

まだメバチが残っていたので、これはムニエル風にしてもらうと最高!
 初めて久米仙を味わうが、深い味わいで眠りの世界に誘われるのが有難い。これは睡眠導入剤か? 寝酒という言葉があるわけだわな。
 隣席のメンバーは、姿造りの正体にあれやこれやと協議していたが、どうやら頭を見る限り、コショウダイかコロダイのよう。


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今朝は6時出船だ。私は疲れが残り、朝食がろくに入らないが仕入れたパンと、シークワーサーのジュースを頂く。
 今度は7番パヤオへ向かうが、船長と「今日はどうする」と、相談する。

「でかいのも朝は浮いているよ」
 それを聞いて答えは一つ。
「船長、朝一からパラシュートでやります!」

 今度は大艫の竿が柏木氏、胴の間は私だ。

トップを投げるが、今回もシイラ。パラシュートに戻る。
 ギィイイイーー! 
 ジジジー!


柏木氏と私のリールがほぼ同時に鳴った。私はハーネスを付けて巻き取るが、思ったより軽く、わずか5kg程度のキメジだったが、柏木氏はハーネスを取りつけ、スタンディングで続ける。


 
その合間に、チャミングに寄せたシイラを上村氏がポッパーでゲット!

柏木氏は20分ほどやり取りするが、最後は船長がハリスを手繰るもまた反転される。これは25s級弱か?




かくして柏木氏、初の良型キハダをスタンディングでキャッチ! 
 竿を交代し、10分そこらでまたもやティアグラがギイイイイー!

今度は私もスタンディングで20s級キハダを浮かせ、自分でシビカギを掛ける。それにしてもハーネスがあるとやり取りが非常に楽! これなら去年から買っておけばよかった。


「パラシュートはせず、ジギングで通す」と話していた磯釣り師、野口氏もいいサイズがヒットした。何かと思うと浮いて来たのは去年同様の沖サワラ!

今度は8kg級だが、別にワイヤーを使っているわけでもないのに、去年連続で沖サワラを当てるとは!

4年前の沖縄本島同様、パラシュートで餌を撒いたため活性が上がったのか、野口氏のジギングにさらにヒットが続く! しっかり追い合わせを入れたのでバレる恐れはない。
「おー、いいねいいね」

「ジギングでやったねえ」
 落ち着いたロッドワークで20s級のキハダが浮上した。



 パラシュートにもヒットが続き、私は持ってきたリーディングXゴウマン&ペン・インターナショナルのスタンディングで対決した。

今度は自分の扱い慣れた道具なので楽勝! どうしても巻けない時も少しあったが、ローギアに替えてしのげばこっちのもの。しかも、両手が空いているため「左手でPEを引き、右手で巻きこむ」という真似までできる!
 トローリングタックルが何で軽くならないのか不思議だったが、こんなハーネスがあれば、何とかなるわけだな……。(ナイロンを巻くため、でかいリールが必要な理由もあるが)

かくして2本目のキハダをキャッチ。これは25kgくらいあるか?




 ショアジギングのタックルで投げていた柏木氏も、今年は数少ないなか、メーターオーバーのシイラをキャッチ!



次は上村氏が船のティアグラでスタンディングし、20s級をキャッチ。「ビンチョウよりずっと引く」とキハダの引きに納得。

これまでは潮止まりにはアタリが途絶えていたが、この日は朝から正午まで食いが止まらないうえ、ジギングでもアタるため、「ジグで良型を釣るチャンス」と見て、大艫に入る。

魚探に映る反応より深い200mまで沈めてから、反応の見える150m付近をしゃくると何度か小さいアタリの後、合わせを利かせるべくスパンカーロープを交わしてからガツン! ソルティガが悲鳴をあげる。
 ハリス60号のパラシュート仕掛けと違い、PE3号&フロロ16号のライトタックルだが、走る時は走らせ、止まると慎重に寄せ、どんどんポンピングするが、途中でまた50mは持って行く。
 しかし、新調したブルーヘラクレスは、やや太めのバットにバランスのよいテーパーで、魚をどんどん浮かせてくる。最初は「軽すぎない?」と思ったほどだが、最新のブルーアイアスはどうなっているんだ?
 10分ほどのやり取りでジギング自己記録、24sのキハダをキャッチ! ジグで獲ったことに意義がある。



今日のキハダは、撒いたキビナゴやムロアジ以外に、パヤオの周りの小魚(ハシキンメやシマガツオ、フグの稚魚など)を捕食しているため、ジグへの反応がよいのかも知れない。
 釣れる度に体調が回復し、弁当をパクパク。



上村氏が再びパラシュートでヒットさせるが、これは18kgくらいのビンチョウ。もはや珍しくもなんともない?!

この頃からカツオのボイルが船の周りで見えるが、柏木氏がオズマHWを投げても反応が薄く(ショアジギングロッドで、メーター級シイラまで上げたが)、私もソルティガドラド80TN&ソルティガ5000Hのタックルで七星を投げても食わないため、キビナゴを撒き、タマンバリを結んでフカセ釣りを試してみると、即座にPEが走り、1.5kg級の小型カツオをキャッチ。



次々にカツオが上がってくる。これを見て柏木氏、鈴木氏、野口氏がカツオ釣りに夢中だが、船長はキハダを釣らせたい。

私と上村氏がそれぞれキハダとビンチョウを1本ずつ追加した。
 

 カツオを何本も釣ってから鈴木氏もパラシュートに戻り、「小さいかも」なんて言っていたが、ハリスを私が手繰る間に暴れ出し、一度は道糸からパラシュートを取り外した時点でかなり突っ走られたが、20s級のキハダを追加した。



「最後はメバチをやりましょう」ということで、パラシュートの道具を片づけ、7番パヤオに船を近づけてジギングすると、すぐさまメバチが食ってくる。2025kgのキハダを1日で4本釣ったため、グローブがないとジグをしゃくり切れない。



 私がジグを沖サワラに取られ、柏木氏がパヤオのロープに引っ掛けるといったトラブルもあったが、ジグをきれいにしゃくると、ズドンという手応えと共に、前から釣りたかった10kg級のメバチがヒットした。感動しつつも、沖上がりまであとひと流し。同じようにジグをしゃくると同じサイズのメバチがヒットし、鈴木氏も同じく10kg級のメバチをキャッチした。

 強い波が当たる中、帰港した。



 二日間の釣果は70kg級のキハダを筆頭に、2027kg級のキハダ8本、1825kg級のビンチョウ5本、10kg級のメバチ5本、そして8kg級の沖サワラに小型メバチ、カツオ多数だ。(他にシイラ、ツムブリ混じる)



去年・今年と自分なりにマグロ類各種の傾向を見ると、キハダやビンチョウはパラシュートが安定して釣れるが、メバチはマグロ類の中でも獰猛で、動く餌を好んで追うため、パラシュートよりもルアーやエビングが有効なようだ。(浮けばフカセやキャスティング、フライでも狙える)




(写真は上からビンチョウ、キハダ、メバチ)

 今回は「メバチ、キハダ、ビンチョウ」と、3種類のマグロを釣ることが目的の一つだ。

 キハダは大きいものほど赤身の色が強く、南方なので相模湾の脂キハダと違い、さっぱりした味わいだが、このような身質はヅケに向いているほか、マヨネーズやアボカドとも相性は抜群だ。

 
 メバチは脂が多いものの身が柔らかめなので、丁寧に扱いたい。3種類の中では一番美味しいため、沖縄の船長たちも、メバチがいる時は操船しながら釣り始めるほどだ。

 
 ビンチョウも身が柔らかいが、白身なのでキハダ、カツオとは別物の味で、腹部はビントロの味わいだ。サラダの上に載せたり、カルパッチョにしてもいけるが、刺身に向かない場所は蒸してオイル漬けにし、自家製シーチキンにしてもよい。


 胃袋も内容物、ぬめりを取り除いた後は、クーラーに保管しておけば、炒め物など晩のおかず&酒の肴にもってこい。

 今年も二日間、久米島のパヤオを存分に楽しみ、さながら「大人の部活動」のようなノリで楽しめたが、1本を釣るまで何度も通うことが多い、相模湾や東伊豆沖のマグロを普段狙っている方も、やり取りの練習や、ルアーでの釣り方など、近海にも応用できることは数多くあるので、「マグロに一番近い島」といわれる久米島のパヤオ、挑戦してみてはいかがでしょうか?

今回は初日から大型が出て、2日目はジギングでもスタンディングでも存分に楽しめたうえ、10kg級のメバチまで出たので「数釣り」という点では大満足だが、来年こそ50s級のキハダを釣りたい!



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