カツオ、マグロ類に挑戦される方へ
※近年のキハダ回遊で、オフショア初心者がマグロ船に乗ることも増えたと聞きますが、大型魚を狙う前の参考にどうぞ。
他の釣りは慣れていても、沖釣り初挑戦の方はカツオ船で、「カツオ、メジ類の感覚」をつかんでください。
釣りそのものが初挑戦の方は、ライトルアー船に一度乗ってみるのもお勧めです。
カツオ船は船長も興奮しているので、怒鳴っているように聞こえる船も多々ありますが、一瞬を争う釣りで、船長や上乗りさんも興奮しているため「おっかない人たちだ」と、誤解なきようお願いします!
最近はみんな優しくなっていますが。
相模湾の大型キハダは、魅力ある魚ですが、カツオ、メジ、キメジと違い「年一回行けば釣れる」というほどチャンスが多い魚ではないので、釣ろうと思ったら年間何十回も通っているコアなお客もいます。
東伊豆沖のマグロも、食いが良ければ「貸し竿のお客さんがゲット」することもありますが、やはりある程度の経験が求められます。
「一日一回あるか」のチャンスに賭ける釣りも楽しいですが、最初は数sのカツオ、メジの数釣りで要領をつかんでからステップアップされることをお勧めします。
ルアーキャスティングで狙いたい方は、シイラ船やワラサ、ブリのキャスティング船もステップアップに適します。
※他の青物(ワラサ、カンパチ、ヒラマサ)や泳がせ釣り、オフショアキャスティング、ジギングに慣れている方は、キハダ、クロマグロを専門に狙っても応用が利きます。
キャスティングの注意点
他の人が掛けたら上げる。
カツオ、マグロ類は旋回しながら上がってくるので、他の人が掛けたら(大物なら絶対)オマツリ防止に、すぐ回収します。
(大型船なら、魚の進路を見ながら、別の場所から投げ続けることもありますが、船長の指示に従って下さい)
ラインクロスに注意
「誰かが掛けたから、俺も同じナブラに」と、投げたくなる気持ちは分かりますが、相手はバスやトラウトと違い、数十mを一気に走るマグロです。
PEが交差したら、両方とも呆気なく切れます!
ミヨシから投げて、掛けたら下がる。
カツオ、マグロキャスティングは、通常、ミヨシが有利です。
ミヨシに乗ったアングラーは、最初に投げることになりますが、まだ船が惰性で進んでいる中、投げることも多いので、なるべく前に投げ、後ろのアングラーとラインクロスすることがないよう気をつけて下さい。
魚がヒットしたら、その動きに合わせてやり取りしますが、可能ならミヨシから降りて魚を誘導して下さい。そうすれば他のアングラーが投げるチャンスも増えます。
乗合では座席のローテーションをする場合、船長の判断に従います。
後ろをよく見る!
マグロキャスティングの場合は、8フィート以上の竿で、オーバーヘッドキャストで遠投することも多いですが、必ず後ろを見て、事故に注意して下さい。
船によっては、ロッドホルダーに空いた竿が並ぶこともあり、スーパーボイルで興奮しても、他人の竿を破損しないよう、注意しながら投げてください。
(一本釣り、フカセ釣りの場合は道具は船で借りられるので、釣り具よりも先にこれらの道具を用意してください)
クーラーボックス
……暑い夏でも、体温の高いカツオ、マグロ類を鮮度良く持ち帰るには、専用のクーラーボックスが必要不可欠。 (発泡スチロールの箱は、強度に難があります)
ダイワでもシマノでも構わないが、最低で50リットル以上の容量がほしい。20キロ級のマグロ類を視野に入れるなら、70リットル以上が必須(入りきらない場合、船の魚槽で保管し、帰港後に尾鰭を切り落として入れる)
クーラーの性能は、値段に比例することが多いようです。
レインウェア
……活イワシを積んでいる船は、常時海水が流れ、夏でも肌寒いことが多々あるので、筆者はレインウェア&長靴を使用している。
ゴアテックスなど、透湿性の高い素材を選ぶと蒸れません。値段はいいですが、それだけの価値は絶対にあります。
足元も、盛夏に限ってはクロックスサンダルでも大丈夫かもしれませんが……。
ライフジャケット
……海に出る以上、何があるか分からないので(船長さんに安心してもらうためにも)ライフジャケットは用意したい。
分厚いフォーム材のものではなく、空気ボンベを使った「膨張式」のものがコンパクトでお勧めです。
一部の船宿では貸し出しも行っているが、基本的には持参したい。
あれば便利な小物類
……・イワシを掬うため、鑑賞魚用の網
・ハリを外すためラジオペンチ(ルアーを使うなら、スプリットリングオープナーが搭載されたもの)
※昨年、一俊丸でルアーキハダに挑戦したものの、スプリットリングオープナー機能がないラジオペンチしかなかったので、100lbのスプリットリングを無理やり爪で開けたなんて無茶な話もありますが。
・ラインカッター&ピンオンリール(素早く仕掛けを作れます)
・ナイフ又は小出刃(船上で使うことはそう多くありませんが、大型魚を締めたり、腹を裂くときに欠かせません。慣れたら船上で刺身も?)
ラインシステム
PEとリーダーの接続方法=PRノット、あるいはFGノット、
制作者はMCワークスの「PR-BOBBIN」と
ティムコのセラミックボビンスレッダーを使用。
ナイロンライン使用の場合=ビミニツイスト&電車結び
ハリの結び方
餌釣りの場合、内掛け結び(本結び)、外掛け結び、急ぐ場合はユニノット
ルアーなら10kg以下はループノット、それ以上ならソリッドリング+スプリットリング
一本釣り・フカセ釣りは船に積んである貸し道具でも釣りになります。
しかし、それでは対応するのが困難な大型魚が現れた時は? 手釣りよりもはるかに操作しやすく、強力な引きにも対処できる、スピニングタックルが力強い相棒となり、あなたは「老人と海」の主人公・サンチャゴのごとく、大型魚と戦うことが可能になります。
船宿によって「マイ竿フカセ釣り」(深田家))「キャスティング泳がせ」(長三煌ロ)などと呼び方が違うこともありますが、要はスピニングタックルを使ってのフカセ釣りです。
この時は推定30キロはあるキハダが掛かり、1時間近くやり合った挙句、残念ながらハリスが吹っ飛びました。(二年後、ようやく30kg級をキャッチしました)
この日は大型青物用のワンピースロッドと、トローリング用のリールも用意していましたが、このコンベンショナル(両軸)タックルは掛けてからが強いですが、動きの速いキハダには対応しきれないことがあるので、スピニングタックルが活躍しました。
とりわけ、餌が小さい場合などは、餌を泳がせるというよりも、ラインを潮に乗せて送り出すことになりますが、この手順も磯のフカセ釣りと同様、スピニングリールを使うのが一番スムーズにできます。
手釣りの限界
竿とリールを使わない手釣りは、道具が安価な反面、想定を超える大物が掛かった時は非常に手こずります。
このメジマグロは10.9キロありましたが、手釣りの道具しかなかったので、3〜4回は当たりましたが、獲れたのはこの1本だけです。
もしスピニングタックルがあれば、あと2本は獲れています。
初めて釣った10キロ級。この魚を忘れることはできません。
ルアーキャスティングへの挑戦
スピニングタックルは、扱いが容易なだけではなく、そのままルアーに転用することができます。
餌釣りでお土産を確保したあと、ルアーで遊ぶのも面白いものです。
ちなみに右は120cm、9キロのシイラです。
サバの群れをルアーで釣っていたら、いきなり浮上してガパッ!
サバやシイラはルアーで釣りやすいですが、流れ藻に着くマツダイはルアーでないと投げる機会が取り難いものです。
また、キハダなど動きの速い魚には、ルアーでないとプレゼンテーションが不可能な場合があります。
しっかりしたスピニングタックルは高価ですが、それだけの働きをしてくれます。
船宿によっては、貸してくれるところもあるので、「5キロ以上のマグロを釣りたい!」と考える方はぜひ、スピニングタックルでのフカセ釣りにチャレンジしてください。