2010年

6月23日

 最近、東伊豆のルアー船・由五郎丸で急にマグロが食いだした。
 20キロや30キロはあるキハダが上がりだし、時にはカツオやキメジ、そして本メジも釣られていた。
 そのうえ、クロマグロも上がりだした!

 好機到来とばかり、私はありったけのルアーを集めて、6月の23日、由五郎丸へ向かった。
 とりあえず1日だけやってみるが、今日の具合を見て継続するか、一度で終えるかを検討する釣りだけに緊張が走る。

 午後11時半過ぎに実家を出て、小田原・真鶴を経過してひたすら伊豆半島を南下する。神経をすり減らしつつも、早朝の2時半頃に稲取港へ着いたが、普段通っている佐島や葉山に比べると、かなり運転で疲れる。夜のドライブは疲れますね。
 で、先客も数名来ていたが、タックルは私が思ったほどごつくはない。ただ、ルアーはかなりでっかいものを用意している人が多かった。
一本で5000円以上する高価なルアーや、入手困難なルアーを持ってきている人もいるが、私は高いルアーを買い集めるよりも、釣行の回数を増やした方が良いだろう。
 と、船長も大きな角氷を軽トラに積んでやって来た。
 船長に挨拶し、昨日の話を聞くと、でかいクロマグロが食いだして、3人同時にヒットしても獲れたのは1本だけだったとか、20万円する竿を魚に持って行かれた人がいたとか、1時間近くやり取りしてバラしたという話もあるが、クロマグロはキハダより引きが強いというだけに胸が弾む。
 私はごついシイラロッドにソルティガ4500H  ラインはPEの3号と4号だが、ルアーなら歯でリーダーが切られる心配はないため、一昨年のキハダのような失敗はするまい。
 続々と受付を済ませて、まだ未明にマグロを狙う男達は港を出た。
  1時間ほど走り、マグロのいる海域を探索すると、あっと言う間にトリヤマとナブラに遭遇した!
  でかいマグロが辺り一面で水飛沫を上げて、ガバッ、ボコッとやっている! まるでTVで見る大間沖のような様相に目をむき、まずはミノーを選んだ。
 凄まじい迫力に目をむきつつ、ルアーを一斉にぶん投げると、他のアングラーがヒットさせた!
 その合間に投げても当たりがないと見るや、固唾をのんでやり取りを見守るが、あまり遠っ走りはされないようで、100m以内のダッシュで止まっている。
 しかし、最初のヒットではバラしたようだ。
 と、思うと次のナブラが見えるが、船は結構揺れて、波飛沫もかかるので、ナブラの写真はまだ撮れない。1本釣ってからだ。
 と、船中第一号が上がった。5キロほどの本メジだが、実に美味しそうだ!
 他のアングラーは結構ヒットさせているが、バラすことも多いようだ。
 私も「ナブラの中に入れなきゃ食わないよ」と、同船のアングラーに聞き、水面の水飛沫めがけてルアーをぶん投げ、ジャークする。

 
 他のアングラーが又もやヒット!
 やり取りの末上がって来たのは、15キロほどのクロマグロだが、これ1本で十分すぎる獲物だろう。
  とにかくあちこちでトリヤマが立ち、その下ではクロマグロが跳ね回る。
 イワシの鱗が雪のように海中を漂った。
 ナブラに付ける度に、誰かしらヒットし、やり取りに入っているが、次に浮いてきたのは20キロを楽に超えるクロマグロだった! 凄まじい!
 もはや大間のようだと思いつつ、船のカメに角氷と海水を入れて、釣られたマグロはそこへ放り込まれる。
 と、私も何度かナブラにルアーを通せたのに、当たりがないので、次のナブラでは去年の末、貴雅丸の船長に教わったメソッドで、誘いを掛けつつナブラの中を通していく。
 すると……。
 ゴッゴッ、ギューンと重みが伝わり、持って行ったところで合わせを入れる。
 来たあっ!
 一気にラインを持って行くが、私は慌てずにファイトを続けた。
  他の2人もヒットさせているが、その間をうまくかわし、大ドモまで移動してポンピングにかかる。
 久しぶりのマグロゆえ、体力が持つか少し心配だったが、こうなったらもうこっちのものだ。
 ダッシュするときは行かせ、止まったところでポンピングを繰り返す。
 ライトなタックルなので、他の人のように数分で上がるか心配だが、シングルフックなのでそう簡単には外れないだろう。
 そう考えて3分ほど経過したとき、ポロッと外れた!!

 何たることだ!
 Oh my tuna!!

 フックは伸ばされていなかったが、掛かりがまだ浅かったのかもしれない。大型のマグロは、口も予想以上に堅くなっていくのだから。
 次は他のアングラーがいい型のマグロを掛けた。ヘビータックルでやり取りの末、浮いたクロマグロに船長のギャフが掛かり、私もフォローでギャフ打ちし、船に引き上げる。
 これは32キロあった!
 しかし、今日は荒れているせいか、移動の度に船は左右に大きく揺れ、海水の飛沫を浴びて私はずぶ濡れだ! かなりハードなマグロ釣りだ。
 その後もナブラが立ち、私も2回ほど当たったが、フックアップには至らず、次第にナブラが減ってきた。
  
 付近の海域を探索し、気配のある場所にはキャスティングを繰り返すが、次第に波は高くなってきた。
 そのため、ここで船長は早上がりを決意し、普段は昼過ぎまで釣るところを、8時半で切り上げた。
 帰港中も大波を浴び、揺れに揺れつつ、レインウェアの下まで雨と波飛沫で濡れたが、今日は全員がヒットさせることができた。
 私も豪快なナブラを見て、あの引きを味わうことができたので、ノーキャッチは残念だが、次の機会にまたチャレンジしよう。
 
 しかし、この釣りはヒットさせてもバラシがかなり多いように見えた。ルアーを飲まれてラインブレイクしたり、PEから高切れした人もいたが、やはりフックオフが多い。 この点が餌釣りとはかなり違うのではないだろうか?
 
 次回は必ず、このクロマグロを水揚げするぞ!



 6月28日

 先日、クロマグロのバラシで終わった私は、絶対のリベンジを誓った。
 そのため、由五郎丸を二日間予約し、さらに河津の宿を取り、初日に魚をキャッチしたら解体して送るため、ヤマト便の営業所を調べ、グリーンバーチや有次の柳刃を用意し、さらには前回のヒットルアーと、ハンドメイドのペンシルまで購入し、今回の釣行に備えた。

 6月28日、前夜に友人宅を訪問したため、殆ど寝る時間の無いまま出漁したが、何とか2時間半ほどで稲取へ着いた。
今回は一番乗りで、ミヨシからルアーを投げられると大喜びしたが、これが不幸の始まりだった……。
先にキンメ船が2隻ほど出漁していたが、次第に他のお客さんも集まり始め、全員集まったところで、再びマグロの漁場へ船はひたすら走った。

 昨日は大型が掛かり、サメかと思ったら40キロ近い本マグロだったり、他にも5キロから10キロの本メジ、3キロ程度のキメジも上がったということなので期待が持てる。

 マグロ場へ到達し、私はミヨシで群れを探索するが、今回はなかなか魚が跳ねない。時折投げてみるが、反応はない。
 そのうちに、何とハンドメイドのウッド製ペンシルを投げたとき、PE4号がバックラッシュして振り切れた!
「やばい! 俺のジャックポッドが…」
 6000円するルアーが飛んでいったが、船長に船を回してもらえば、フローティング系なので回収できるか?
 幸運にも、ルアーが次第に船の近くへ流されてきた。
 うまくタモで回収し、一安心。
 その後も何回かバックラッシュに直面したが、その度に何とか解きつつ、チャンスに備える。
 しばらく待ち時間中にジギングを試みるが、潮が速いポイントなので、100gのジグではPE3号でも底が取れず、諦める。

 で、再び群れの探索に戻ったときだった。
 今朝から私はミヨシに発ち、手すりにつかまって波を交わしていたが、結構大きな波も来るので油断は出来ない。波に合わせて体が跳ね上がりそうになるので、それを体全体で受け流していたが、大きなうねりが来た。
 何の前ぶれもなく、ミヨシに波が少し入るほど船体がつんのめった。
 次の瞬間、私の体は宙を舞った。
 顔の右側にガツンと衝撃を受け、それに気付いたとき、私は海中にいた。ザボッと自分が海に落ちた音が聞こえ、視界に澄んだ黒潮が広がったのだ。
 船から離れないと危ない。
 そう思ったときには、私の頭上は船底だった。このままだとスクリューに巻き込まれる。普段から死など恐るるに足らないと思っていたが、本能的に死の危険は恐怖感を覚え、私は手で船底を突き放し、少しでも遠ざかろうとしたが駄目だった。
 佐藤偉知朗というクロマグロの名手が、マグロとやり取り中、海に転落し、死を覚悟したというエピソードが頭を一瞬でよぎる。
 スクリューに巻かれたら痛いだろうな、うまく潜って交わせないか?
 そう思っている間にも、体が艫へ流れていく。
 もう駄目か。
 次の瞬間、私は艫の2メートルほど手前の位置で海面に浮上した。
 いつの間にか自動膨張式の救命胴衣が作動し、私は海面に顔を出した。
 船長と他の釣り人達がタモを差し出してくれたので、数秒でタモの柄につかまる。
 船縁へ上がろうとするが、長靴に水が入り、力が入らないので自力では上がらない。4人がかりでようやく引き上げてもらい、私は命拾いした。
 シーソーの原理で、急激に下がったミヨシが戻ったとき、私の体は船からあっと言う間に放り出されたのだ。
「すぐスクリューを止めたから間に合ったけど、気付かなかったら今頃、ペラ(スクリュー)でバラバラにされてサメの餌になっていたところだぞ」
 と、船長が言う。
「船には12年間乗っていますけど、落ちたのは初めてです」
 私も驚きを隠せない。冷静さを取り戻したが、顔を激しく打っていた。
 すぐに水がたまった長靴を脱ぎ、逆さまにして、ふくらんだライフジャケットを脱ぎ、船長に新しいライフジャケットとサンダルを貸してもらった。
 頭には大きなこぶができていたので、船に積んでいた氷を砕いて頭に当て、横たわる。
「港に戻るか?」
「いえ、大丈夫です」
 頭が打ったばかりなので痛いが、脳に異常はなさそうだ。
 何より、まだマグロを釣ってもいないのに引き返すなど、他の釣り人のこともさることながら、私自身も絶対に出来ない。
 もし致命傷を負っていたら、港に全速力で戻っても1時間は掛かるので間に合わないだろう。それならマグロを追った方が良い。
「○○の友人だと言うから、何かあると思ったよ」
 船長はそう言って苦笑いした。
 なお、○○とは私が通っていた大学の隣にある、文具店の二代目だ。
 釣り同好会の釣り堀を通じて、彼と釣り談義するようになり、この船の名前を聞いたのだったが……。
「明日は休めよ」
 本来は今日、明日と乗る予定だったが、こんなトラブルがあっては仕方ない。
 帰港後、病院で見てもらう必要があるだろう。
 その後も船長と雑談し、しばらく体を休めていたが、マグロが跳ね出した。
 私も飛び起き、チャンス到来とばかりナブラにキャスティングを繰り返す。
 10kg級のキメジが飛び跳ねたり、数十キロ級のボイルを目撃したりしたが、なかなか当たらない。
 艫のアングラーが掛けたが、バラしたようだ。
 その後も何度もナブラが涌くが、他の船は獲っても、こちらはルアーが合わないのか、アクションが悪いのかなかなか食わせられない。
 それでもサメ付きのナブラで隣のアングラーが掛け、私も当たったが、ライン交差する恐れがあったので合わせられず、隣のアングラーが10kg級の本メジを上げたところで今日の釣りは終わった。

 帰港後、私の携帯は水濡れで使えなくなったため、女将さんの携帯を借りて実家に事故を報告し、予約した宿は不本意ながらもキャンセルして自宅へ戻った。
 病院で見てもらうと、鼻を骨折していたが、脳には異常がないということだった。(簡単な手術後、現時点でほぼ完治した)
 左腿も激しく打って痣ができていたが、稲取から川崎まで、無事に帰って来られたのが何よりだった。

 後日、壊れた携帯を新品に交換し、ライフジャケットも空気ボンベを交換することで事後処理を終えた。

 いやはや、ライフジャケットは絶対に欠かせませんね。
 今回は、まさに生涯で最大の危機だっただろう。海が荒れる海域なのに、相模湾内の要領で参戦した私が迂闊だった。

 文字通り、「鼻っ柱を折られ、冷や水を浴びせられる」という事態に陥ったが、竿やリールを持って落ちなかったことが不幸中の幸いだ。 

 

(写真は他のお客さんが仕留めた10キロのクロマグロ)



 7月26日

 今年の6月より始まった、東伊豆沖のマグロは依然として釣れ続き、連日数十キロのクロマグロやキハダがキャッチされていた。
 中には70キロ級のクロマグロや、78キロのキハダが釣られたこともあり、今や最高のマグロ場といえるだろう。
 また、最近はクロカジキまで上がっており、正に異常事態としか言いようがない。
 ルアー船は連日、キャスティングを繰り返していたが、下田の遠征船も餌釣り(泳がせ)の船を出し、好釣果が報告されていた。
 ただ、この餌釣り船は、船代が3万円前後という値段。(ルアー船なら1万5000円前後)さすがに興味を持ちつつも、二の足を踏んでいたところへ、朗報が飛び込んできた。

 深田家がマグロ乗合を開始するという知らせが入り、私は実績が出たら、即釣行を決めた。勝手知ったる船だし、何よりアクセスが容易だ。
 深田家もマグロ乗合の初日、19キロのクロマグロと、28キロまでのキハダが、7人中4人が獲ったというので、翌日の7月26日に釣行を決めた。

 早朝に船宿に着き、他のお客さんも次第に集まってきたが、カンパチのライト泳がせ程度の道具を持ってくる人が多い。ソリッドグラスのスタンディング泳がせ竿や、ワンピースロッドにオシアジガー、トルサ、ティカ、ペンなどのレバードラグのリールを組み合わせる形だ。
 私はお馴染みのダイワのワンピースロッドにペンのトローリング用のリールと、ソルティガ&コーラスルタードルフィンクラスを持参したが、スピニングタックルを持ってきたのは私一人だ。
 上乗りさんに話を聞くと、ハリスは長ければ長いほど見切られにくいため有利で、ナイロンも伸びがあるから有効だとか。
 そして、ヒット直後は弱めのドラグテンションで走らせ、ファーストランを交わしてから徐々にドラグを締めていくとよいとのこと。最初から強いテンションを掛けると、魚の抵抗が逆に長引くそうだ。
 船長は上乗りさんと一緒に餌を買いに行き、私たちは計りでドラグ値を計り、大物に備える。
「今日の餌はサバだ」
 ということを耳にし、イワシ餌前提でハリスとハリを準備してきた私は、どうしようかと慌てたが、まずは餌を自分で確認してからだ。
 結局、8人の客が集まり、桟橋より船に乗り込んだ。
 この船では人数限定のフカセ釣りなので、皆が右舷に並ぶ、ドテラ流しのスタイルだ。
 それぞれの釣り座に道具を置くと、皆が生け簀の中の餌を観察するが、30cm以上あるサバの群れが生け簀の中をぐるぐる泳いでいる。
 何でも定置網の漁師から買ったのだとか。
 私は自分の手持ちの中で、一番太い22号のフロロカーボンを結んだが、ハリがマイワシ対応に考えた、タマン(ハマフエフキ)用の一番でかいハリでも不安で、仕方ないので持ってきたルアーのシングルフックを外して対応する。こんなやり方ありか?
 船はひたすら走るが、マグロの場所が遠いので、6時に出船して7時半、8時、8時半となってもまだまだ釣り場は先だ。
 3時間ほど走り、ようやくマグロ場に到達した、辺りでは波立つ瀬が目に入り、数隻の船が群れを探している。
 船長が群れを探索し、いいよー、と合図を出す。
「50mくらい送り出してください」
 それぞれの釣り客がバケツに水をくみ、サバを1尾ずつ入れるが、サバがでかすぎてバケツの中ではまともに泳げない。
 それでもイワシよりははるかに丈夫なので、構わず鼻掛けにして海に放り込む。サバはイワシと違い、向かっていく方向を決めるとビューッと一気に泳いでいくので、20mや30mはすぐにラインが出る。
 これならレバードラグリールで全く問題がないだろう。
 あっと言う間に50mほどラインが出て、普段イワシを使っているときのように、ひたすら自然にラインを流すが、当たりはない。
 積んでいる餌がサバなので、イワシのように撒いたり、散水機を使うことがないので、この狙い方は基本的に「餌を泳がせて、回遊待ち」という形だ。
 食わないと見るや、船を立て直して群れを探索する。
 と、大ドモから2番目の釣り人が掛けた。
 ワンピースロッドがひん曲がり、ドラグが滑ってラインが出て行く。餌を数十メートル流してから当たるので、まずは水平に出たラインを巻き取るのに一苦労だが、次は右に左に走る。
 と、私の右隣の釣り人も掛けたが、これはすぐに寄ってきた。なんと5キロほどのキメジだ。よくこんなでかい餌に食いついたものだ……。
 その間にもオマツリする恐れのない人は釣り続けたが、周囲に魚の気配が消えたのか、船長の指示で仕掛けを上げ、やり取りを見守る。
 最後は下に潜った魚を、じわじわとリフトアップしていくのだが、このやり取りは見ているだけでも面白い。
 激しいやり取りの果てに、ラインとハリスの結び目が出た、仲間の釣り人がハリスを手繰り、抵抗を続けながらも魚はギャフに収まった。 25キロ級のキハダだ。
 やはり見事だねえ。
 次の流しでは、左隣の釣り人が掛けたが、少し強引に止めた瞬間にハリス切れだ。
 餌を流しているときに分かるが、どうやらマグロがいると、餌のサバがあまり遠くまで泳いでいかない。マグロを恐れているのだろう。
 そこで、餌を交換して、一気に泳いでいく勢いに乗せ、どんどん流してやると妙な当たりがあった。しかし乗らない。
 続けて泳がせても気配がないので回収すると、餌に歯形がついていた。
 その次も餌だけかじられたようで、今度は内臓が飛び出していた。
 何が悪いのか愚考するうちに、船を立て直す。
 次は再び左隣の釣り人が掛けた。上乗りさんにロッドベルトを借りてやり取りを開始するが、ついに力尽きたので上乗りさんと選手交代し、上乗りさんのスタンディングファイトでやり取りする内に、徐々に魚は寄せられてきた。
 これは30キロ級のキハダ。
 次は大ドモでも25キロ級が上がったが、こちらもキハダ。
 贅沢きわまりないが、次第にこのサイズのキハダも見慣れてきたため、感動が薄れ気味になってきたようだ。まだ私は釣っていないのに……。
 もしやハリが悪いのでは? と考え、念のため左隣の方から、管付きのスーパームツらしきハリをいただき、右隣の方に南方延縄結びを教わり、結び直す。
 今やあちこちで激しいナブラがたち、船の数十メートル先でも盛んにマグロが跳ねる。その次はミヨシの上乗りさんが掛けた。
 彼は効率優先と、キーパーに掛けたままウインチファイトで魚を寄せてきたが、もうすぐハリスまで入るという瞬間、泳がせ用の竿がボキン!
 しかし、まだ魚はつながっているので何とか寄せ、ギャフを打った。
 こちらは34キロのキハダだ。
 時間が経過してくるにつれて、私も次第に焦りが見えてくる。他の釣り人は順調にヒットさせているのに、私はまだ餌をかじられただけだ。 
 絶対に……。と考え、作戦を変更する。
 これまで、イワシ餌のフカセでは魚が食うまでひたすら自然に流していたが、サバでは数十メートルラインを送ったら、あとは止めていた方が当たりがあるようだ。
 自分なりに考えると、サバは元気な餌なので、止めていてもイワシのように弱る恐れは少ないうえ、自然に泳がせていたらマグロでもなかなか追いつけないのではないか?
 そう考えて、サバを送り出し、50mほど先でドラグを締め、糸送りを止めた。
 と、サバがマグロに追われたのか、せわしなく暴れる様子が伝わってきた。
 ここで自然にラインを送っていたら、サバがマグロから逃げ切るのか? そう考え、そのまま止めているうちに竿先がガンガン叩かれ、ラインが明らかにサバよりも激しいテンションで持って行かれた。
 500g程度だったドラグテンションを3キロに上げるが、魚は意に介さず、ズーッ、グーッと激しく持って行く。
 これは確実に、完全に食い込んだと判断し、4キロのストライク値にドラグをセットし、思い切り合わせをくれる。
 しっかりと重量感が伝わり、ラインを引き出していく。
「ついに来たっ! 絶対に獲るぞ!」
 まだあまり疾走しないが、すぐにファーストランに入るのは間違いないので、ドラグはあくまで4キロのストライク値に留める。
 水平に伸びたラインを、スタンディングで戦うべく、立ち続け、でかい腹当てで竿を腹に当て、何度かポンピングした瞬間だった。
 魚は突進し、竿がのされてラインがどんどん持って行かれる。この時に無理したらラインブレイクもあり得るので無理をせず走らせるが、ついに100m出され、150m程度走って、魚はようやく止まった。
 一方、大ドモでも一人が魚を掛けていた。
 他の人の仕掛けがオマツリしそうになっていたが、何とかほどいてもらい、魚と思う存分やり取りを楽しむ。ファーストランを交わしたので、ドラグをさらに締め、7キロ程度のドラグで対決する。
 魚が向こうを向いたときは無理だが、手前を向いたときにどんどんポンピングする。
 再び魚は突進したが、ここはラインをくれてやる。止まったところでポンピング開始だ。しかし、その間に魚を掛けていた大ドモの釣り人は、キハダを水面まで浮かせたが、サメの背鰭が海面に現れた。ためらうことなくサメはキハダに食らい付き、一撃でキハダは半分にされた。
「早く上げないとサメに食われるぞ」
 真っ二つにされたキハダが船に上げられるのを見て、他の釣り人はそんなことを言うが、マグロを狙っているならシャークアタックのリスクは承知の釣りだ。容赦なくポンピングを繰り返す。
 と、少し魚の動きが変わったので、もしや? と心配になるが、ポンピングしていくうちに元の重さに戻ってきた。単なる食い上げで済んだのは幸いだ。
 疲労が続くが、それでもポンピングを続ける内に、30m近くまで寄せてきたところで、去年と同様、体力の限界に来た。ここで私が弱っていたら、魚はいつまでたっても獲れないため、やむを得ず、竿をキーパーにセットし、ウインチファイトにかかる。
 もっと体力がいるな……。
 ギチギチリールを巻き取っていくが、ついにハイギアでの巻き取りは不可能になるほど疲れたので、ローギアに変更して一巻き、もう一巻きと魚との距離を詰める。
 ついに最後の10mのラインを回収し、リーダーを巻き込む。
 ヘトヘトになりつつも、「関東で20キロ級」という目標が今、ほんの数mまで近づいたことの価値を実感し、最後の抵抗をしのぐ。
 25キロ級のキハダが浮き、旋回を終えたところでギャフが打ち込まれた。

              

 ついに自己記録更新! 確実に去年の沖縄で釣ったキハダよりでかい! やった!
 口元を見ると、下唇にネムリバリがしっかり掛かっていた。やはり、ハリを飲まれなければこの太さでも大丈夫だ。
 疲労困憊の中、次の流しへ向かう。
 写真を撮る余裕がまだないので、ハリスを結び直し、ラストチャンスに欲をかく。
 で、サバを流すと、再び当たったが、乗らなかった。
 回収すると、針先がサバの頭に刺さっていた。やっぱカマ掛けの方がいいか?
 と、私の右隣の人が食わせ、大ドモでもヒットし、私はやりとりの邪魔にならないよう、道具を上げ、上乗りさんにマグロの写真を撮ってもらう。
 撮影後は尾を切らないとクーラーに入らないので、目印を付けて船の魚層で氷漬けだ。
 念のため、左舷からドラドペンシルを投げてみたが、疲れたせいかあまり飛ばないので、数投で見切りを付ける。
「はい、時間がかかるので、掛かっている人以外は道具を片付けてください」
 船長がそう言ったので、我々は道具を片付け、やり取りを観戦する。
 大ドモの釣り人は魚を寄せたが、水面でバラしたのが残念。
 右隣の釣り人は、スタンディングでは力尽き、やはり最後はキーパーに掛けてのウインチファイトで30キロ級のキハダを仕留めた。
 かくして船はマグロ場を後にし、佐島港へ向かった。



 船宿に戻ると、検量と記念撮影だ。 ついにやってしまった……。

私のキハダは26キロ、全長およそ130cmだったが、本日の最大は34キロ。
 船宿HP用に写真撮影後、私は尾鰭を切り落とし、腹を割くと胃袋からはサバとシコイワシ、そして小型のイカが出てきた。上乗りさんによれば、ムラサキイカの子どもだろうとのこと。
 内臓とエラを取り除き、片付けてから、8月に再び訪れると約束し、船宿を後にした。

 自己記録を更新できたが、最後までスタンディングで戦うべく、さらに体力が必要だ。

  



9月15日

今年の6月より始まったマグロ騒動は、季節と共に接岸し、9月の時点では主戦場は東伊豆から相模湾内へと変わりつつあった。
 千波周りと異なり、クロマグロが混じることはなくなったが、30キロを超えるキハダが時にランディングされ、その数倍以上のバラシやラインブレイクが連日、マグロ狙いの乗合船、仕立て船から報告されていた。
 深田家は食い渋りに耐えかね、マグロフカセからカツオのコマセに変更したが、今年のカツオは海水温が例年になく高いせいか、極めて食いが悪かった。
 そんな中でも、長井のイワシを積んだ船や、湘南地域のルアーキャスティング船、そして長三朗丸は9月の上旬に訪れた台風の後、30kgを越えるキハダを次々に仕留め、中では58kgなんていう大型を上げた船もあった。
 専門誌や船宿関係者、プロショップ関係筋では「シイラタックルでは無理だ。ツナタックルじゃないと獲れない」との意見が大半を占めるが、私は以前から興味を持っていたムツサークルフックを入手したため、果たして掛かり具合はどうなるのか、テストでもしようと考え、9月15日、長三朗丸に向かった。

 前日の情報で、キハダは数多くいて、付け餌に中羽(中型マイワシ)も完備していると聞いているので期待が持てる。
 私は前回と同様、リーディングXゴウマンとペン・インターナショナルの泳がせ道具の組み合わせに加え、スピニングタックルでコーラルスター・ドルフィンクラス76MH、及びコーラルスターCGP8016にソルティガ4500Hを組み合わせてキャスティングに備える。
 当日はお客は私一人で申し訳ないが、まずは定置から餌を買い込み、その後、港前の船宿の生け簀から付け餌の中羽を積む。この時、死んだイワシを捨てるが、「ボラが食いに来るよ」と、上乗りさんから聞き、シーバスもいないかと、シンキングペンシルを落とし込むと、ガツンと来た! しかしやたらと軽い。
 何とダイナンウミヘビ! こやつは確かにフィッシュイーターだが、まさかルアーで食うとは思ってもいなかっただけに苦笑。噛まれないよう注意して放流する。
 次いで、船はさらに餌を買い足すべく、佐島へ向かって走った。佐島の餌屋で10杯の餌を仕込むが、これも定置から買ったのと同じく、5〜7cmほどの小さなシコイワシが主流。カツオには最高なんだけどねえ。

 途中、パヤオに遭遇したので、ルアーを投げても反応はない。小型魚が一斉に跳ねたが、撒き餌を開始すると小型のカンパチ、ツムブリ、ワカシなどの混成群が浮上した。マツダイもいたそうだ。
 すかさず一本釣りに変更するが、カツオ用のハリスは太すぎるのか食わず、船長の息子さんはフカセで30cmほどのツムブリを食わせた。


私は小型のペンシルに変更し、トゥウィッチングするとバシュッ! と当たったがフッキングせず、以後も数回は追ってきたが食わず、ジギングも不発だった。カツオ用のライトタックルと、小型ルアーをもう少し持ってくれば、カンパチが釣れたのに……。
 と、上乗りさんがイカの耳を持ってきて
「マルイカだけど、食べます?」
「喜んで!」
 生け簀に混じっていたようだが、ついさっきまで生きていたであろうマルイカ、その甘みは最高です!
 定置で買った餌には、混じり物も多く入っていたようで、私が見ただけでもマルソウダやダツ、ワカシやサバも確認したが、カマスも結構いたらしい。ワカシとツムブリをいただき、さらにはご厚意に甘えてカマスもクーラーに収める。いい型のキスもいた。

 で、さらに1時間半ほど走り、沖の瀬に向かうと、次第に鳥の姿が見えるようになってきた。上乗りさんや船長の息子さんは私のシイラロッドよりごついオフショアロッド(ライトGT用?)に、旧式ながらステラの10000番や16000番、TD5000番などを用意している。
 私も上乗りさんが漁をする舳先に入れてもらい、ややまばらな鳥山に船を着け、イワシをキャスティングして食わせようと躍起になる。時折、イワシが追われるような気配はあるが食い込まず、頭を抱えながら追跡劇を続けたが、その時、船長が操舵室から降りてきた。
「キワで食っているって言うから、この食わない群れは止めて、そっちへ全速力で向かう」
 かくして私は艫近くのキャビンに移動し、船は超高速で来たルートを引き返し始めた。城ヶ島を通過し、佐島沖を通過し、葉山、江ノ島まで通過したので、小田原沖など相模湾の西に違いない。船は猛烈な速度で走り続け、1時間ほどかけて西沖に到達した。
  


 すると、数十羽の海鳥が猛烈に海面に固まり、それを狙って大磯の六熊丸がトップを投げている! サイレンで鳥を追っ払っているが、あまり効果はないようだ。近くではプレジャーボートや他船も操業しているが、キハダが浮いて海面に水柱が次々と上がる!
 これは千載一遇のチャンスとばかり、イワシを泳がせるが、追われる様子はない。
 ならば、とためらうことなく、コーラルスターCGP8016&ソルティガのシイラタックルでシンキングペンシルをぶん投げた。着水したらフォールで誘うも食わず、去年覚えた必殺アクションで誘っていくと一発でズトン! と激しく重みが加わった。
「来たあっ! ルアーで食わせたぜ!」
 ルアーはフカセと比べものにならないほどバラシが多いと実感していたため、魚が手前を向いている内に、絶対バラすものかとスプールを押さえ、何度となく追い合わせを繰り返す。
 と、信じられないことにPE3号とフロロ16号のラインシステムが切れた! 朝方、港で組み直してきたばかりだったのだが……。
 しかし、まだまだボイルは続いているため、すぐさまコーラルスター・ドルフィンクラス76MH&ソルティガ(こちらはPE4号とフロロ20号のシステム)タックルを手に取り、結んでいたサークフックを切り落とし、同型のシンキングペンシルで再びボイルを直撃した。
 必殺アクションでマグロがズバッ、ズバッと水柱を上げる中を通すと、またもやドンッ! と衝撃が伝わった!
「よっしゃあ、また食ったあー!」
 さっきよりロッドが強いため、バットで力を入れ、バットトルクとスプールロックで鬼合わせを繰り返した。もし掛かりが浅ければ、やり取り中の口切れは避けられないし、大型マグロは予想以上に口が堅いので、合わせが弱ければ間違いなくバレる。
 これが、由五郎丸で学んだマグロの釣り方だ。
 心置きなくフッキングを済ませると、マグロはロッドを激しく曲げ、ドラグが悲鳴を上げ続ける!
「やったぜい! ルアーで食わせた!」
 まさかの快挙に、ロッドの曲がりを視覚で楽しみつつ、他船も確実にこの様子をみているはずだと実感し、一時、ナルシストとなって魚と対峙する。舳先の最前列まで移動した。
 佐島の相洋丸も隣で操業しているので、六熊丸の船長ともども、「長三朗丸に、アホな客が乗っていたな」なんて噂していたりして……。
 そんなことを考える間もなく、マグロはギュギュギュッ、とロッドをバットから曲げ、猛烈な勢いで真下に潜っていった。ファーストランの勢いはあっと言う間に100m引き出し、150mを越えたので、このままだと200m出されるかも知れない。
 だが、ソルティガには300m巻いてあるので、いかに激しく引き出されても、ドラグの効果を信じて耐える。
 ファーストランが止まった。
 当初のドラグは3kgに設定していたため、3.5kg程度まで軽―くドラグを締めるが、止まった時にじわり、じわりと巻き、ラインを回収する。魚が向こうを向いたら無理なので耐えるが、とりあえず30mばかり巻き戻した。
 途中で、ふっと軽くなることもあったが、これは魚が上がってきたからである。バレるはずはない。そう実感していた。
 しかし、魚は再び50mほど持って行き、ろくに巻き戻せないうちにさらに突進した。ラインは確実に200m以上出される。これは間違いなく30kg級だ。無理したら一発でやられるだろう。
 もっとも、過去に20kg級を手にしている実績から、一昨年に比べれば大分余裕が出てきた。
 お茶を飲ませてもらったり、やり取り中に「これで上がれば、今期5本目ですね」なんて軽口を叩きながらやり取りする。
 私はジンクスを釣りに持ち込む「霊感釣法」は趣味ではない。過去に所属していた釣りクラブでは「おにぎりに梅干しを入れる(当たらない→食わないに通じる)」とか、「新品のクーラー持参」がタブーだったが、魚が船上のおにぎりの中身や、クーラーが新品か使用済みかなどを見るわけはまずないので、単なるギャグにしかなりはしないものだ。
 何を言おうが、今更口に掛かったフックの位置が変わるわけなどないので、舳先で座って、足の屈伸を活かしてポンピングを繰り返す。
 2年前よりドラグを効かせているので(ロッドは12kg負荷まで折れない)、魚が止まった時、頭が手前に向いたらソルティガZ4500Hのハイギアを活かし、容赦なく巻き上げる。ロッドを支える右腕の負担も相当なものだが、ただ耐えるしかないときは左腕も活用し、一箇所に負担が掛かりすぎないよう、用心しながらやり取りした。
 時に魚が左右に走るが、「そのまま舳先にいて」という言葉を信じ、左右に向くくらいでやり取りを続けた。


 魚が時に上を向いたときは、10mや15mもあっと言う間に回収できるが、ポンピングすると、その度に重さが体全体に伝わってくる。時に苦労して巻き戻した分以上のラインを一気に持って行くが、走る距離が次第に短くなってきているのを確認していた上、魚が頭を振る感触も伝わり始めた。
 今や引き出されたラインは100mを切り、残り50mの距離で、光が見えるのか、船影が目に入るのか、しばし寄せるのに手こずったが、しっかりしたシイラロッドのバットと、ソルティガのドラグがじわりじわりと獲物を寄せる力となった。相手が向こうを向いたときはギリギリまで耐え、手前を向いたらどんどんポンピングする。次第に魚は「デッドサークル」とも呼ばれる、旋回を繰り返しながらリフトアップされてきた。
 ついに水面下に銀影が浮上し、キハダの姿を確認した。
「30kg以上あるよ!」
 上乗りさんも興奮を隠せない。船長も操舵室から降りてきて、長いギャフを用意した。キングサーモン用の巨大ネットも健在だ。
 だが、ライト気味のタックルだけあって、水面下で旋回していても、なかなか距離を詰められない。目と鼻の先で10回、15回と旋回する。その度にラインが出たり入ったりを繰り返すが、リーダーを短めに組んでいたため、ラインシステムがガイド内に入っても、リールにまでは届かない。


 もう1メートルも巻ければ、リーダーを巻き込んで最後の詰めに入れるだけにやきもきさせられるが、ここで無理をする必要はない。
 20回は旋回した頃、ようやくマグロが浮いた。船長がギャフを差し出すがまだ打てず、次の旋回でマグロの姿が視界から消えた瞬間、テンションが大分軽くなった。ようやくマグロにギャフがかかり、それを船長の息子さんがタモに入れ、私の人生最高記録の魚は船に引き揚げられた。
 これまで相模湾のキハダは、キメジサイズさえルアーでは実績がなかったため、今年こそはと密かに目標にしていたが、よりによってこんなでかいのが上がるなんて!



 確実に30kgを越えている(全長131cm、33kgと判明)。私は上乗りさんに写真を何枚も撮ってもらう。口元にルアーが掛かっている写真も激写する。
 感動しつつ、上乗りさんにルアーを外してもらい、ナイフと包丁を忘れた私は、調理ばさみで頭を突いて締める。
 そこそこ血を抜いてから、クーラーに収めるも。案の定尻尾ははみ出す始末(笑)。
 
 この後は上乗りさんや船長の息子さんも何発か掛けたが、飲まれたせいかハリス切れしたり、ラインとリーダーの結び目が切れたりして、船には入らなかった。
  

 私もラインシステムを組み直し、激しいナブラにルアーを打ち込めばもう一本追加できたかも知れないが、体力をかなり使ったため「いざとなったら、ウインチファイトするしかないか」と考え、リーディングXゴウマン&ペン・インターナショナルの泳がせ道具にサークルフックで挑んだためか当たりはなくて終了した。
 一応、何度かボイルにルアーを投げて誘ったり、ジギングも試したけどね。
 最後の最後は、上乗りさんが大型を掛けたが、マグロなら40kg以上はあるかと思ったが、浮いてきたのは巨大なサメで、本日の戦いは終わった。

 帰港後、エラと内臓を取り除くと、胃袋から1キロ半ほども餌が出てきた。大半が大型カタクチイワシのようだ。



 ついに、ついに30kg級のキハダを仕留めた! それもルアーで食わせ、最後まで自力で戦い、IGFAルールにも完璧に沿って行われたファイトで獲ったのだから、達成感や満足感は半端ではない。ファイトタイムは25分から30分ほどかかったが、シイラタックルでも最強レベルなら何とかなる。
 ま、ツナタックルが欲しいけどね。

 長三朗丸カツオ船の船長、息子さん、上乗りさん。おかげで自己記録更新できました。本当にありがとうございます!

 


9月29日

 9月29日、時化後の荒食いを期待して、長三カ丸へ向かった。

 今回はイナダ・ワラサ船は14人もお客が来ているが、カツオ・キハダ船は私を含めて4人だけ!
 まあ、ある程度経験がないと、難しい相手であることは確かだけど……。

 で、まずは港の生け簀から餌を積み込む際、死んだイワシを餌に、カツオ用のライトタックルで流してみると……。

 ククッ、と当たりが来て、ヒットしたのは20cm弱のメッキ! ギンガメアジのようだが、これまでメッキは釣ったことがなかったので嬉しさもひとしお。
 今年はメッキの魚影も濃いそうだ。
 で、同サイズを2尾追加したが、その後は当たっても餌が取られたり、すっぽ抜けたりして、釣果は3尾のみに留まる。

 風がやや残っていたため、海はかなり荒れていたが、それでも鳥山があちこちに見える!
 しかし、なかなか固まらず、ルアーを投げて一発必中を狙うも、鳥が先に食ってきたりと困難続き。

 他にも3隻ほどルアー船がキハダを狙っていたが、ルアーを投げても、イワシを泳がせても食わず、追跡劇を続ける。
 途中で一度、シイラが食ったが、サークルフックのためかすっぽ抜け……。

 そんなこんなを続ける内に、午後になって海も凪いできた。鳥は一層、激しく海面に固まるようになり、キハダが水面でボイルする姿も見えてきたが(30kg級も確認)、どうやら追っている餌が非常に小さいらしく、カツオ・メジ用のルアーでも不発。

 撒き餌用の小さいシコイワシは、小さすぎて遠くに送り出せないので、最後はやむを得ず(乗船中、かなり疲れが出てきた)マイワシのフカセで頑張ったが、船中誰も当たりがない中、本日の釣りを終えた。

 船長の話だと、とにかく小さいイワシを追っているので、極小サイズのルアーか、イワシ餌ならオモリを付けないと難しいのでは? という話だった。

 ま、大物釣りはボウズも覚悟の上だ。 
 次回はカツオも釣れると良いが……。



10月11日

 
 10月に入り、ようやくカツオが本格化し始めた。しかも、大半が3s以上の型ものが多いと聞き、私は奮い立った。
 おまけに11日は乗船料金半額サービスということで、迷わず釣行を決意し、11日の早朝、長三朗丸に向かった。

 当日は「カツオ入れ食い、休日、料金半額」という三つ巴の好条件のため、お客さんが相当押しかけ、ついにカツオ船は二隻出船を決定し、餌を買いに行った。この前キハダを獲った時の上乗りさんにも挨拶する。
 休日のため、葉山港の駐車場は薄暗い内から車に埋め尽くされ、長三朗のカツオ船だけでも四十人近くは来ていたらしい。
 私はメッキでもいないかと極小ジグを投げるが、さすがに10号のリーダーだと太すぎるのか、元々魚がいないのか、当たりはないので他の釣り人とルアー談義などをして過ごす。居合わせたルアーの方など、昔からシイラゲームをされていたそうで、竿やルアーの移り変わりなども勉強になる。

 さて、何とか二隻とも餌を入手し、私は船長が舵を握る第二十一長三朗丸に乗り込んだ。船長の息子さんと、この前の上乗りさんは別船・十八号船だ。
 
 出船してからは9時近くにナブラに当たるが食わず、次のナブラではイワシを泳がせるとシイラが跳ねた。小型シイラだが、おかずにでもしようと考え、キープする。それからしばらく走ってもなかなかナブラに当たらず、念のためタコベイトを引っ張ってみたが、全然当たらず、スイベルを入れなかったので、PEラインに糸よれがかかりまくり、閉口して巻き上げる。
 ようやくナブラに当たったと思ったら、又もやシイラの群れで、真下に先ほどと同様、50〜60cm程度の小型シイラが群れ泳ぎ、そうとは知らぬ内にカツオ用ライトタックルで投げたジグを食った。しかしバレ、マグロ用タックルでシンキングペンシルを投げて獲ったが、トレブルフックは危険すぎるので思い立ってポッパーを投げた。ポコン、ポコンと、水面で激しくアクションを付けると、鳥がわらわらと舞い降りてくるが、それをかわしつつ誘っていく。一回掛けたがバラし、その後はトップで出なくなったので、シンキングペンシルでもう一本追加する。ほぼ入れ食い状態で食うが、バレも多い。
 ま、お土産だからあまり釣りすぎても持て余すのも事実。
 その後も船は延々と走り、午後を回ってもいいナブラに当たらない。さすがに私も「まさか、最悪の場合は……」とおっかないことを考え始めるが、一時半ごろ、ついに食いが立ってきたのか、船は船団に突進した。         
 相模湾中のカツオ船が集まり、他の船は殆ど、舳先ではジギングし、その後ろではコマセを振っているが、魚群こそ海面がわずかに濁っているせいか、なかなか浮かないものの、相当な大群が下にいるらしい。どの船も魚群の前へ、前へ回り込もうと、加速減速を激しく繰り返していた。
 と、小田原の弘美丸がジギングで掛けた!
 我らが長三朗丸も、停止したので素早くジグを落とし、激しくジャークを繰り返す。
 ズドン! と、一気にロッドに重さが伝わった。素早く合わせると、魚は一気に突進し、ドラグからラインを引き出される。
「食った! ダイバンか? マグロか?」
 この間33kgを釣ったにも係わらず、魚の突進力はかなりのもので、あっという間に30mは持って行かれたが、これは何sあるか? 丁寧にやり取りし、浮いた魚は3kgほどのカツオだったが、良く太っている。こりゃ旨そうだ!
      

 上乗りさんにタモ取りしてもらい、今年の初カツオキャッチ! 釣れ出すのが遅すぎやしないか?!  ま、激うま確実の良型カツオなので満足。素早く血抜きして締める。
 次もフカセの人が何人か竿が曲がったな、と思った直後にガツン! この引きも激しく、めっためたに暴れまくる。一時は船底へ潜っていくので、竿を海中に突っ込んでしのぐ。PEがわずかに擦れたかもしれない(後日、8mほど毛羽だっていたので切り捨てる)。
 だが、カツオの突進はマグロほど長距離を走れないので止まった時にガンガン巻き、一気に寄せてタモ取りする。
 今回は魚が船に着く時間が短いせいか、あまり効率は良くないが、それでも一本釣りでも魚は食っていた。フカセの人は慣れていないとバラすことも……。大ドモに回っていたルアー専門の人もジギングで釣っていたが、カツオの胃袋を見ると、大型シコイワシばかりでコマセはほとんど入っていない。
 次の流しでは、フカセの人は3人、4人と同時ヒットしているのに、ジギングでは当たりが遠い(餌を撒くかどうか迷っている時や、一時停止の最中はチャンスメイクとばかりジギングするが)。そこで私も新しく入手したライトツナロッド、ソルティガドラド80TN をフカセで試すことにした。このサイズならカツオ用ライトタックルでは果てしなく引きずり回され、取り込みに時間が掛かりすぎる!
 付け餌のマイワシで流すと、ガツン、ギュイーンと来た! 突進の勢いはさすがだが、それが止まったら、反撃を許さず、頭を向いているのを幸い、ガンガン寄せてタモ取りだ。やはりバットパワーが違うね。
 最後はカツオだけでなくキハダも跳ねだし、明らかにカツオよりでかいボイルが見える。しかしマイワシでも食わず、他のフカセ釣り師にも当たりはないので、ジギングしても不発。思い切ってシンキングペンシルを投げても不発。開き直るならポッパーを投げてみた方が良かったか? 
 かくして本日は3sものカツオ3本で終了したが、他の船では38kgのキハダを獲った船もあった模様、そして翌日の12日には長三朗でも55kgが上がったというから恐ろしい!
  
 なお、このカツオは予想通り、脂の乗りもよく、最高でした。

  
 次回こそはでかいキハダとお土産のカツオ大漁だ!


 10月16日


 新群れ回遊後のカツオは、依然として好調で、数十本の釣果が記録されたり、キハダも大型が日によって上がっていた。
 そこで10月16日、知人と再び長三朗丸へ向かった。

 当日は土曜と言うこともあり、早朝から葉山港周辺では多数の車が並び、先日に顔を合わせた釣り人とも再会する。と、本日からカツオ船の料金が値下がりし、1万1、000円になった! こりゃ助かるねえ。

 で、本日はお子様も一人参加し、十人のお客を乗せて船は沖へ出た。女性の上乗りさんも二人いて、正にこの長三朗丸、一本釣り乗合船でも一番先進的と実感する。私はマグロ用2タックルとフライタックルを持ち込んだが、フライは出番があるかどうかは出てみないと分からないだろう。

 最初のナブラまでしばらく走ったが、今回は1.5kgほどの小さいカツオが跳ねた。撒き餌と散水が開始されるが、上乗りさんは小型をたまに上げ、同行者は平ソーダを釣った程度、私は間違いなく魚が跳ねている辺りにジグを入れたが食わせられなかった。
 今日はどうなることか? と、一抹の不安がよぎるが、前回と同じく、西沖に走るとカツオ船団に遭遇した。そこに合流してチャンスを狙う。船が停止する度にジギングで誘うが、なかなか食わない。他船の様子を見ても、前回より食いが渋い感じは否めなかった。

 それでも、一瞬のチャンスをつかみ、散水と撒き餌で群れを浮かせた。舳先では職漁でカツオが宙を舞い、私のジギングでも食った! 最初は小さいか? と思ったが、やはり手強い! 3キロ級のカツオは、例えキハダを釣り慣れていても十分楽しめる手応えだ。
 ただ、ソルティガのドラグを3kgに設定しているため、2回ほどダッシュしたが無事に交わし、タモに本日第一号が収まった。
「よっしゃあ、ジギングで獲った!」
 他のフカセ釣り師はマイワシを流していたが、当たりは遠いようなので、私のジグの方が撒き餌のシコイワシとサイズが似ている上、広く探れるはずと信じてしゃくり抜く。
 このナブ・で同行者も一本、本カツオを獲っていたが、やはり初挑戦なのですっぽ抜けが多かったようだ。
 次のナブラでもマイワシは手元のバケツに残し、ジギングするとガツンと来た! フカセの人とオマツリになってしまったが、何とか強引な手応えを交わし、取り込んだのは4kgを超える、見事なダイバンガツオ! 最近、でかいカツオはルアーでのヒット率が高い気がしてきた……。こりゃ旨そうだ!          
 同行者ももう一本、カツオを追加する。

 その後、船は船団を離れて移動していく。私はマグロに備えて、ルアー用に使っているコーラルスター・ドルフィンクラスにシンキングペンシルを結んだ。
 今日は凪いでいるが、その鏡のような水面に魚影が走った!
 キハダもいると感じた私は、ソルティガドラド・80TN にマイワシで流すが、食ってきたのは2kg級のカツオ! こりゃ、ジグを投げればよかったか? やり取り中は足下でも青い背のカツオが走り回っていたが、一本を取り込んだときには姿を消していた……。
 かくしてジギングで二本、フカセで一本だが、この間と全く同じパターンだ……。

 これでカツオ用のシコイワシを使い果たし、残ったマイワシを餌に、マグロ狙いに切り替わり、一本釣りの釣り人にもマグロ用のスピニンタックルの貸し竿が渡され、ひたすらマグロを探索する。しかし、模様はあっても食い気のあるナブラにはぶつからず、やきもきしているところに、何と鯨が現れた!      
 一度は見失ってしまったが、再び鯨は浮上してきた! 予想違わずマッコウ鯨だ! 船をさほど警戒していないのか、舳先ギリギリまで接近する。8〜9mほどのマッコウ鯨一頭なので、子鯨だろう。
 潮を吹きながら泳いでいる姿は、書籍やTVではお馴染みだが、海で鯨に遭遇したのは初めてなので、その感動はひとしおだ。ホエールウォッチングを楽しむ気持ちも分かるねえ。かねてから相模湾にはマッコウ鯨が回遊し、シイラ船などで目撃されることがあると聞いていたが、それにようやく遭遇できて感激! 実に見事な生き物だ。

                     

 さすがに銛は積んでない上、漁業法上の関係で手を出すわけにはいかないが、こんな鯨を捕獲したら、肉と鯨油、その他歯や竜涎香など、かなりの価値になるだろう。
 感動を味わいつつ、バス1台分くらいはある巨体が海中へ消えた後、もうしばらくマグロを探索したが、模様はないので帰港となった。



 11月8日

 昨日、相模湾に再び戻りガツオの群れが通りかかったと聞き、長井の貴雅丸に向かった。

 早朝、車を停めて、隣の釣り人に挨拶すると、何と6月、由五郎丸で落っこちたときに会った人だった!

 お互いに驚き、マグロの話で盛り上がるが、船宿で受付を済ませ、私も一本釣りをすることを伝え、さらには船長、職漁をやるために上乗りさんも一人呼び、四人で出船!

 餌は飼い付けの活きがいいシコイワシで、大きさも申し分ないため、餌掛け一本釣りでも、フカセの餌にも最高だが、どうなることだろうか?

 私はルアータックル二組と、フライタックル、そしてアジビシ竿に石鯛リールを組み合わせ、沈めるためにメタルジグ三連結した後ろに、タコベイトを付けたトローリングの道具を用意したが、船の貸し竿は叩き釣り用のバケ!
 
 こりゃ、散水に入ってきたら、思う存分叩けるぞ!

 かくて期待を胸に、船は沖の瀬へ向かって走るが、その途中、船長もヒコーキにタコベイト二本を付けた引っ張り道具を出し、私のトローリング道具と一緒に曳いて群れを探す。

 と、トローリングに来た!

 しかし、ラインを一気に持って行くわけでもなく、沖合で魚が跳ねた。

「シイラだ。シイラ」

 小さいシイラなのであっという間に寄せ、抜き上げて一丁上がりだが、せいぜい60cmほどの小型。

 もっとも、カツオのナブラに当たらなかった時を考え、血抜きしてクーラーに入れる。
                                


 本日はたいぞう丸も出船して、同じ海域でカツオの群れを探したが、なかなか魚が浮かないらしく、探し回っても、一度、いいナブラに当てたが、餌を撒いても取らず、群れが沈んでしまった……。

   

 時折シイラが食ってくるだけで、他の魚も混じらず、それでも最後の最後まで探索したが、ついには見切りを付け、シイラ5本で帰港となった……。

 活きのいい飼い付けのイワシは、他の業者の生け簀に移し、船に給油してから、道具を片付け、貴雅丸名物のサービス料理をご馳走になる。(船代込みです)

 品目はキハダとイシナギの刺身、キハダとカツオの煮付け、イシナギと水菜を和えたサラダに、かつぶしの効いた卵ご飯、そしてイシナギのアラ汁だが、初めて味わうイシナギは、刺身もさることながら、アラ汁の美味しさが最高レベルだったのが幸いだ。

 今後はカワハギ狙いで出船すると言うことだが、餌が入って来たら、ブリ・ワラサのキャスティングも成立するという。
 また、カツオは「まだいるが、夏のカツオよりも難しい」ということだ。
 この日は日立丸で釣っている茨城沖も調子が悪かったそうだが、今年のカツオ狙い、もう一回やれるか?

 ま、前から試したかったトローリングで、シイラとはいえ連続ヒットできたのだから、「移動中、曳きながら群れを探す」という戦略は間違っていなかったと分かったからいいか。             

                                   

 


11月13日


 2010年のカツオ・マグロ騒動では、その中でも一番影響とインパクトを備えていたのは、東伊豆沖に現れたクロマグロとキハダだろう。
 やがて、キハダは相模湾にも入り込み、一昨年よりはヒット率も、賭けてからのランディング率も及ばないが、相模湾中で跳ね回り、釣り人を狂喜させた。
 しかし、今年はカツオが食い渋り、いてもなかなか口を使わず、一本釣りやフカセの餌のイワシも入手困難の中、ようやくカツオが食いだしたのは10月に入ってからという、極めて短い釣期であった。
 また、キメジはカツオに混じって釣られたこともあったが、本メジは非常に少ないまま、今期のカツオ・マグロはシーズン終盤を迎えつつあったが、まだカツオを釣り足らない筆者は、日立沖でカツオを追っているルアー船で、最後の勝負を賭けようと決めた。

 かくして11月13日 日立丸へ向かった。
 この日は「3時半に出船」ということでいささか慌てたが、何とか間に合い、実績のある超ヘビーウェイトのミノー・タックルハウスのフリッツも購入する。
 さて、この日立丸、超大型シイラはもとより、カジキも水揚げし、冬場はタラジギングに出る船だが、噂通り、とんでもない船だった。
 トローリング用にアウトリガーの竿に加え、ファイティングチェアも装備され、散水機や一本釣り用の竿まであり、おまけにツナタワー搭載で他船より遙か遠くの魚まで見えそうだ。さらにはイカ用の集魚灯まで付いている!



 これは正しく理想の釣り船だが、出船後、冷暖房完備のキャビンで寝てると、この寝心地も最高だ。

 さて、2時間ほど走ってカツオ場に到達したが、群れが見ないので、CB-ONEのトローリング用ロッドに、ティアグラやペンのリールを組み合わせたトローリングタックルを持っている人は両サイドのアウトリガーから竿を出し、真ん中にはでかいヒコーキが放り込まれ、その間にルアータックルを持って、ミノーを引っ張るトローリングだ。

 当たったところで群れを探すため、あちこちに投げまくるのだとか。

 最初の当たりが来たらしいので、筆者たちも懸命にミノーを引き。ジグをしゃくるがなかなか当たらない。
 次の流しでも、3キロ級のカツオが取り込まれたが、私の周りでもジグに食ってきた。そして私もトローリングさせてもらうと、同じルアーを使っているのに、他人が先に食わせているようだ。
 しかし、私の握るソルティガドラド・80TNにもガツンと衝撃が伝わり、ジャーッとラインが持って行かれた。
 ダッシュが止まったところで、素早く頭を手前に向けてガンガン巻き取る。激しい胴震いもロッドパワーでかわし、タモですくって一丁上がりだ。


                        
 私の道具はいささかごつく見えたが。巨大シイラで有名な日立沖では、ソルティガの6500番とか、ペンの950にGTロッドのようなごついタックルも目に付く。また、メーカー関係者のせいか、CB-ONEの竿がやたらと目立った。
 久しぶりのカツオをクーラーに仕舞い、次にトローリングさせてもらうときにはルアーが、水面を飛び出さないように竿先を海面に向け、引き続ける。
 他の人にヒットしたときは、胴の間でミノーを投げ、ジグをしゃくるが、今日は魚影が薄いのか、なかなか当たらない。
 それでも、ジギングで釣った人もいたが……。
 私は「トローリングしなけりゃ、食う保証はない」と割り切り、フリッツを引っ張るがなかなか当たらない。それでもヒットルアーなのは確実なので、豪快に曳き続ける。
 と、ジャーッとドラグが作動し、隣のアングラーもロッドが曲がった!
「船長! 船停めてください!」
 一気に20mほど持って行かれたが、止まったところで、テンションを保って一気に寄せたのは3キロ半ほどのカツオだ。

 この後も他の釣り人が数本釣ったようだが、ここで時間切れとなり、港へ戻り始めた。しかし、その途中で鳥山に遭遇した。
 ジグを投げると、フロントフックとテールフックにサバが食ってきた。その次もサバ。
 35cmくらいの、マグロの餌にも使えそうなゴマサバだが、締め鯖にでもしようと、ライトタックルに持ち替えてジギングすると引きは楽しめる。
 かくしてサバを5本お土産用に確保し、船は帰港した。


                                      
 氷をもらい、道具を洗って片付けたら、カレーとつみれ汁の昼食をご馳走になり、船長にタラジギングについて質問すると、400gから500gのジグで、水深の200mの場所を攻めるそうだが、私のタックルでも可能と言うことなので、これは挑戦してみたい。

 なお、少しだけ陸っぱりでも遊んでみようと、シーバスタックルを持って港近くの河口に足を運ぶと、地元アングラーがロッドを曲げていた。鈍重な引きを、何だろうと思って行ってみると、浮いてきたのは何と65cm、3キロ半はあるヒラメ!


 私が取り込みを手伝い、別の地元アングラーが魚を締めたが、こんなのが釣れるとは、さすが茨城、恐るべし!
 私もすっかりエキサイトしてルアーを投げまくったが、小型カレイのスレ掛かりで終了し、かくして日立を後にした。
 いやはや、日立はアクセスの面で遠慮していたが、こりゃ訪れる価値がある! 


 以下:船宿の報告を転載

 ルアー船:朝のうち風吹いていたが次第になぎてきた。

今日は朝から曇天で暗かった為、アカキン、ピンクなどの目立つカラーがダントツに良かった!

型も3〜4キロクラスとメタボカツオが船中14本ゲット!

明日も頑張ります!

真鯛船:今日は朝から潮が澄んでいて真鯛の食いは低迷・・・

1.5キロ筆頭に3枚でした。

その他にホウボウ、ショウサイフグなどでした。

〜明日以降の予定〜

14日(日)真鯛船、ルアー船

15日(月)第三月曜日定休日

※集合時間は出船時間の30分前です。

※キャンセルは必ず前日の18時までにお電話下さい。

※当日集合時間に遅れるような時は0294-53-7552まで

ホームページリニューアルしました 。


〜カツオタックル説明〜

ヒットルアーはジグは小さめ、

60g、80g、100g各サイズ用意ショート系。

カラーはピンク、アカキン、ブルーなど(アカキン、ピンク意外と強いです)

フロントフックよりもテールフック(トリプル#1/0の方が掛りやすくばれにくい感じでした。

ミノーはリップ付きの物!

9〜18cmシンキングミノー

お勧めは、

ソウルズのボンバー9cm60g

タックルハウスのFLITZ120mm75gや

シブキ159mmが早く巻いても横にならないのでヒットしやすいです。

シーバス用のボディが細くリップの角度が浅いものは早く巻くとすぐ横になってしまうので、

マグロ、シイラ用のものがお勧め!

近くで手に入らない方は船宿にもヒットルアーとフック常備しておりますので乗船時ご利用下さい。

リーダーは60〜80lb位。

ラインはPE3〜4号。

ロッドはキャスティング用が無くてもジギング用でもOK!

http://6214.teacup.com/hitachimaru/bbs


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